・・・、前回の補足・・・・溶岩からできるもの・・・・
前回、火山からの噴出物につて取り上げました。地下のマグマはさまざまな形をとって私たちの前に姿をみせる、ということで、その例をもう一つ。
解説は「灼熱の溶岩が水中に流れ込んで,バラバラに砕け固まったもの」。
加熱したガラスを水にいれると、細かくひび割れますが、そんな感じにも近いかな。水中自破砕溶岩とよばれるものでしょう。
なぜロダンの石とよぶか・・・この石を本宿地域から苦労して運び、展示台をつくっていたときの話・・なかなかうまくいかず、工夫し,考え込んだりしているうちに、ロダンの彫刻「考える人」がなぜか頭に浮かんできて・・・というわけで、こだわりの名付けになりました。ニックネームというわけです・・・なお、運んで、台をつくったのは,下仁田自然学校名誉校長の野村哲さんです。
”水の中に溶岩が流れ込む”話、以前にも書きました。そのときの話では、できるのは枕状溶岩です。これは枕を積み重ねたような塊で、砕けてなんかいません。この違いは何?
違いは水の量・・・水がたっぷりなら表面が固まって枕状溶岩になるけれど、水が少ない(溶岩の量より少ない)と激しく反応してバラバラに砕けるといいます。”ロダンの石”は少ない水の中に流れ込んだ溶岩だったのでしょう。たとえば、湖に流れ込んだとか想像されますよね。
このように、マグマからできる石も、それぞれのおいたち・環境で、さまざまな顔つきをみせてくれます。
ガラスの器にうまくひび割れをいれた商品もありました。強度には難があるでしょうが、ながめるだけなら、すてきです。
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泥・砂・礫からできた岩石
ドロ・砂・・・・なんだか馴染みのある言葉です。
子供はドロ遊びが大好き。泥沼でどろんこになったりします(最近はいやがる子もいるかな)。
「ドロ団子」づくりには,なぜか子供は夢中になります。
「ドロ団子」づくりには,なぜか子供は夢中になります。
公園の砂場で子供は飽きずに砂遊びをしましたが、最近は「砂は猫のトイレになっていたりで不潔」だと管理が大変になったり,砂場そのものをつくらないとか、なかなか難しい話にもなっているようです。
ずっと以前、児童文学の「さすらいの孤児ラスムス」を読んでいて、「ああ、この感覚!」とうれしくなったことがありました。(作者は児童文学の名作”長靴下のピッピちゃん”を書いたリンドグレーン)。「いったいどこがいいの?」といわれるかもしれませんが、でも私には胸にキュッとくる感覚があるのです。そして、「私と同じことを感じる人がいる」といううれしさも。というわけで、ちょっと引用。
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夜なかに雨がふった。雨のあとの太陽がかがやく夏の朝だった。・・略・・ラスムスは水だまりの中を、はねをとばしながら、ピチャピチャはいっていった。
「足、とてもいい気持ちだよ。」粘土が足指のあいだから、にゅるにゅるとおしだされてくるのを見て、ラスムスはそういった。「いや、もっと、からだじゅう、いいきもちだよ」 )
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私にとっては,田植えのたんぼでの、足の裏に刻みつけられた感覚だったのだろうなと、今思います。
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泥・砂・・・・どうやって決める
ところで、泥と粘土って,どう違うのか・・・何となくわかるけど、あまりに身近すぎて,よくわからない。
礫・砂・泥は粒の大きさにより区別されます。泥はさらにシルトと粘土に分けたりします。
つまり大きさの順に、
礫・砂・泥(さらにシルト・粘土と分けることもある)
礫・砂・泥(さらにシルト・粘土と分けることもある)
( シルトってふつう聞かない言葉です。昔,こんなふうに教わったことがあります。
泥を指にはさんでこすりあわせて、アカのようによれてきたら粘土、バラバラになって
粒になってしまったらシルト)
泥を指にはさんでこすりあわせて、アカのようによれてきたら粘土、バラバラになって
粒になってしまったらシルト)
粘土は粒の大きさで決まるといいましたが、分野によってその大きさが違ったりするとか。
焼きもの・農学・鉱物学・セラミック工学など、粘土に関わりの深い分野はたくさんありますから、それぞれにとって便利な基準があるのでしょう。
地質学で使う粒子の基準は以下です。
礫:粒子の直径2mm以上 砂:2mm~1/16mm 泥:1/16mm以下
地質学で使う粒子の基準は以下です。
礫:粒子の直径2mm以上 砂:2mm~1/16mm 泥:1/16mm以下
泥・砂・礫・・・どこに積もる
最後はどこかに積もります。川沿いに広くつもれば平野ができます。
海の中に大量に積もるというのは、目に見えないので,うっかり忘れられたりしそう。でもこれが圧倒的に多いものです。
こうしてつもったものが固まれば、また硬い石になります。
<泥質の堆積物からできる岩石>
泥が石になる・・・・どうやって?
泥は水底に積もり地下に押し込められて圧力をうけていくうちに水が抜け,固まっていきます。
時間がたつにつれ、泥粒のあいだには鉱物が沈殿して糊のように粒をくっつけます。こうして泥はかたくなり、岩石になっていくというわけ。全体的に灰色~黒っぽい色の石になります。
泥は「泥岩」になるのですが、じつは受けた圧力の強さによって顔つきがだんだん変わり、呼び名も変わっていきます。
時間がたつにつれ、泥粒のあいだには鉱物が沈殿して糊のように粒をくっつけます。こうして泥はかたくなり、岩石になっていくというわけ。全体的に灰色~黒っぽい色の石になります。
泥は「泥岩」になるのですが、じつは受けた圧力の強さによって顔つきがだんだん変わり、呼び名も変わっていきます。
泥
↓
泥岩
↓
頁岩(けつがん) (シェール)
<頁岩>
↓
粘板岩(ねんばんがん)(スレート)
↓ さらに強い圧力
千枚岩
↓
黒色片岩
ここまで来ると、堆積岩ではなくて、変成岩と呼ばれます
たくさん名前が出てきましたが、連続的に変化して顔つきを変えていくので、厳密な境界はありません。ですから同じ石でも、人によって呼び名が違うときもあるのです。どれもけっこう似て見えますから。
泥や砂は見たらわかるし、石もそれなりわかる気がします。そんな気分で、まるっきり写真をとっていませんでした。というわけで、今回は写真なしで。解説だけを書きます。
↓ さらに強い圧力
千枚岩
↓
黒色片岩
ここまで来ると、堆積岩ではなくて、変成岩と呼ばれます
たくさん名前が出てきましたが、連続的に変化して顔つきを変えていくので、厳密な境界はありません。ですから同じ石でも、人によって呼び名が違うときもあるのです。どれもけっこう似て見えますから。
泥や砂は見たらわかるし、石もそれなりわかる気がします。そんな気分で、まるっきり写真をとっていませんでした。というわけで、今回は写真なしで。解説だけを書きます。
薄く割れやすくなったもので、本の頁(ページ)のようにはがれるということからついた名前です。
なかなか「けつがん」とは読めませんね。弱い圧力を受けた場合など、いくつかの成因があるとのことです。英語圏でシェールとよぶのがこの岩石。最近、シェールガスといった言葉で頻繁にニュースにのるようになりました。この石の中から、ガスやオイルがとれるというのです。これからはシェールといった方がみんなに通じる言葉になっていくかも。
<粘板岩>
改装された東京駅の屋根もスレート。三陸津波で壊滅的被害を受けた雄勝(おがつ)に産出するスレートを使用しています。保管中の石が津波で流されたのですが、雄勝の方々はそれを手作業で45,000枚拾い集めたそうです。自らも津波の被害を受けた方々が、こうしてがんばってくれたわけです。雄勝以外に、国内他地域、スペイン産などを合わせて使用して、東京駅の屋根はできています。
粘板岩はすずり石や碁石に利用され、だいぶ昔ですが、黒板もこれで作ったそうです。
文明・文化に多大に貢献してきた石といえそうです。
小学校1.2年生がノート代わりにつかったという、小さな黒板といった感じの石盤というものがありました。どこかのお宅に、今でもあるかもしれません。私の家でも、昔、倉の中に転がっていましたから。もともとはこれも粘板岩からつくったのではないでしょうか。
石盤は「赤毛のアン」や「トム・ソーヤーの冒険」にも登場します。「トム・ソーヤーの冒険」ならご存知でしょうか。授業中、気になる女の子の気をひこうと石盤に絵や言葉を書いていて、先生にとっちめられる場面とか。昔男の子だった方には「赤毛のアン」は知らないものかも。授業中、後ろに座っていた男の子がアンのお下げ髪を引っ張って「にんじん、にんじん」と。赤毛がコンプレックスだったアンは逆上して,持っていた石盤を男の子の頭の上にふりおろす・・・この男の子はのちによきライバルとして登場するというお話。
これいったい,いつごろの話かと思って調べてみました。トムソーヤー発表は1876年、赤毛のアンは1908年。20世紀なんですね。すぐ消えてしまう石盤の上での勉強は大変だったろうな。覚えたり復習したりするのは大変なはず。紙のノートを存分に使える時代にうまれて、考えてみたら,幸運だったんだなあ。ずいぶん勉強しやすくなっていたはずなんですけど、その恩恵がわかっていなかった・・・
ちなみに、古代ギリシャのアルキメデス(王冠が純金かどうかの判定方法をお風呂に入っているとき思いついて,裸で飛び出した、なんていう話が有名。天才的な数学者・発明家)は、砂の上に図形を描いて考えを巡らせていたとき、攻めてきたローマ軍兵士に殺されました。亡くなったのが紀元前212年です。アルキメデスの考えたことが、もし紙の上に書き残されてたくさん残っていたら、どんなにたくさんの財産になっていたかと、ふと思ってしまいました。
昔はやわらかい白い石を使って、黒板に文字を書きました。ドーバー海峡の「白亜の崖」は有名で、この崖はチョークの崖とよばれ、ここからチョークという言葉ができたそうです。地質年代の白亜紀という言葉もここからできました。
チョークの主成分は炭酸カルシウムで、石灰岩と同じです。石灰岩と同じように、もともとは生物からできたもので、ドーバーの場合は、ココリスといった、海の小さな植物プランクトンが主になっています。
・・・・・・・・・おまけの解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
頁岩の中で、特に黒色の強いものを黒色頁岩とよびます。
黒色頁岩は深い海の酸素の少ない還元環境で堆積した泥といわれ、石油のもとが含まれている石です。黒いのは有機物や硫化物のためといわれます。
有機物とは、炭素の化合物で生物のからだを作っています。有機物が分解して無定形炭素になり、これが黒っぽい。
硫化物とはイオウの化合物のこと。イオウと金属の化合物には黒い色のものが多く見られます。地層中にふつうにたくさんみられる黄鉄鉱FeS2は金色の粒ですが、細粒のものがたくさん含まれる泥は黒っぽく見えます。
生物の体を作る有機物には炭素が含まれ、有機物の一種のたんぱく質は炭素だけでなくしばしばイオウを含みます。黒色頁岩は炭素やイオウを含み、これは生物起源のものを多量に含むということになります。石が砕けてできた粒子ばかりではないわけです。
今話題のシェールはこういった岩石で、ここからとれるシェールガスは石油と同じに、大昔の生物由来の化石燃料ということになります。
今話題のシェールはこういった岩石で、ここからとれるシェールガスは石油と同じに、大昔の生物由来の化石燃料ということになります。
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人類は,生きるためにも文化のためにも、さまざまに岩石を利用してきたわけです。
古くは石器類、建物そして黒板やチョーク・・・・石炭だって、「燃える石」と呼ばれました。
さまざまな金属も岩石から掘り出し、技術を磨いて取り出し、利用してきました。コンピューターの心臓部に使われる珪素、これ、Siという記号で書かれる元素ですが、岩石の主要成分です。太陽電池に使われているのもケイ素。その他さまざまなものに使われています。
Siを含むものには、シリカとかシリコンといった言葉がはいったりします。お菓子の乾燥剤に使われるシリカゲル(半透明のつぶつぶのもの)はSiO2・nH2Oという化学式でかかれます。こんなところにもSiがありました。
とても楽しく読ませていただきました。
返信削除これからも楽しみにしています。