2014年10月24日金曜日

”八ッ場ダム”の今

 
 
八ッ場ダム工事の場所を歩いてきました
 

60年以上前に計画がはじまり、今、ダムの本体工事がはじまろうとしている八ッ場ダム、以前見学会に参加して紹介したことがありました。
本体工事が始まると、古くから使っていた国道が工事用道路となり、通行禁止予定となっています。その国道を歩く企画があり、晴れた秋の日に歩いてきました。10月19日のことで、2週間ほど前になります。
なお、この国道を生活道路として使っている方がまだいらっしゃるのですが、11月18日に使用を禁止すると発表がされました。

 吾妻川の水は工事現場の上流で迂回用のトンネルに吸い込まれ、下流で滝のようになって流れ落ち、川へ戻されています。

 
 

       写真は今の川の姿です。

       ダムの本体準備仮締め切り工事で
       堤が築れ、水はほとんどみられ
       ません。
       締め切りの上流の川の様子も
       眺めながら歩きました。
        

       上流側では迂回トンネルの前で水が
        たまっています。
        迂回トンネルの後では,右下写真の
        ように水はなく,川底が見えていま
        す。
   
 



















ダム予定地に一番近くの最近建設された橋、八ッ場大橋から見おろすと、 橋の影が視界を横断して見えています。川は手前から奥の方へ流れていますが、仮締め切り工事は橋の影のもう少し先の位置にあります。ですから下の写真の水の流れのその先にダムが築かれることになり、この付近一帯は水没することになります。
この地域一帯には様々な大規模な土木工事が行われてきました。新しい道路、新しいJR線路と駅、複数の大きな橋、トンネル(国道用、工事用)、代替地造成・・・ダム本体工事費用予定は、このダム建設に使った費用全体の1割以下なのだそうです。
JR線路が付け替えとなり、写真右側には廃止となった旧川原湯温泉駅が見えています。吾妻川を横断して川原湯温泉へ向かう時に渡っていた橋も見えています。これらはすべて水没予定となっています。

この日は10月19日でしたが、木の葉は色づきはじめていました。
その後の報道では、今年はとてもきれいな紅葉の年となったようです。見事な紅葉も眺めたかった・・・

10月31日のニュースステーションはこの八ッ場からの中継でした。左手奥に白く見えている橋付近からの中継です。雨の夜でしたが、ライトに照らされた紅葉がきれいでした。

 
                              

国道を川の上流に向かうと、途中には水没予定の天然記念物、昇龍岩・臥龍岩があります。


貫入してきた安山岩を龍に見立てて名付けられたものです。










川原湯層に入り込んだ輝石安山岩の岩脈が、まっすぐ上に伸び、角材を積み重ねたような姿が龍の腹のようだとみなされました。
貫入は230万年より古いようです。
 


臥龍岩(左下の写真)は水に洗われるような場所で、写真ではちょっとわかりにくかった・・・
 これは230万年前の貫入で、龍が寝ているようだという見立てです。

これらもすべて水没します。

  



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 次は下流から2番目の橋、不動大橋を国道から見上げています。この写真のかなりの高さまで水没の予定です。
今まで使われていた橋(上湯原橋)が低い位置に見えています。
 
 
下写真は、八ッ場大橋から見た周囲の様子です。廃止された旧川原湯温泉駅と、新しく作られた代替地が見えています。遠方の中程に見えている代替地にはかなり家が建っています。背面の斜面が少しくぼんで見えているところがあります。土が流れたようなこともききましたが、気になるところです。斜面下方はダムの水がたまることになります。盛り土もある代替地は、水が張られたとき地面が安定していてくれるか・・・こんな心配がずっと語られてきています。
八ッ場大橋より
 



橋を渡り、代替地側から見た対岸のようすです。
新しく付け替えられた国道が、長いトンネルをぬけ、見えている所です。すすめられている工事で削られた部分も見えています。


写真左に見える、法面をコンクリートで覆った部分に行って見ました。

下写真のように、デコボコと飛び出した岩もすべてコンクリートで覆った面が見えています。(もう少し拡大した写真ならよかったのですが)
                                       長い茂四郎トンネルを上流側にぬけてすぐの場所ですが、斜面の石が落ちてきたことがあるとのこと。その後コンクリートで岩の上までおおって固めたとのことです。かなり気を遣わねばならない場所かもしれません。

コンクリートに覆われたこの場所のすぐ左手、隣接した法面をみると、格子状に区切られた枡が茶色く変色して見えます・・熱水変質帯を含み、粘土化した部分が見られるようです。付近は酸性化していて、中の金網がボロボロになているというのですが・・・。
写真にはありませんが、国道近くの水路が橙色となり、pH3のかなり強い酸性の水が流れているとのことです。酸性熱水変質帯から黄鉄鉱,カオリナイトなどを溶かしこんだ水が浸出してくると思われます。この付近は2005年造成、2013年、写真のようなアンカーボルトを差し込んだ工法での工事が行われているとのことです。まだできてそれほどたっていない道路のはずなのですが、すぐにこうなるものなのだろうかと、素人目にも不安を感じてしまいます。


  
 
この場所の道路脇の縁石は、少しゆがんで、前方向に傾いているように見えます。縁石と路肩のあいだには亀裂ができています。表面は赤茶けた色でおおわれています。付近の道路も少しデコボコとしているのか、通行している車が少し揺れて見えました。路面の凹凸で、9月に舗装のやり直しが行われたばかりとのことです・・・

地質関係の方が見て、これは地滑りがはじまっていると言っていたそうです。開通してまだわずかしかたっていないはずですが・・


地元をよく知る人は、この道路付近は、山を大々的に切り取っていて、以前とはまるっきり違った姿になっている場所だといいます。山の真ん中が切り取られ、残った端くれが道路法面の反対側に、無意味な岩の塊になって残っていました。

        
        道路脇の地面を見ると、白や茶色になっています。
        変質していると思えます。
         工事現場へ向かう切り通しも見えますが、
        土の色が白、茶、灰色と、まだらにあれこれ色付いて見えます。
        温泉地域ですから、変質の起こりやすい場所もあるのでは。

切り通し 変質している

山を切り取れば、それはそれで、地面の力の加わり方も変わるでしょうし、温泉があれば、化学的作用も強い場合もあるだろうし、など、あれこれ頭に浮かんできます。
八ッ場ダムの湖予定地域周辺には地滑り危険区域が22カ所もあるといいます。地滑りに困ることになったら、あるいは地滑り対策に多額のお金が投入され続けるといった事態になったら、といろいろ心配になってきます。

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8月5日毎日新聞に、八ッ場ダム工事その他に環境基準を超えた有害物質を含む鉄鉱スラグが使われていたことがスクープされました。フッ素とクロム化合物が検出され、強アルカリ性の性質も示しています。スラグとは鉄の精錬で出る廃棄物です。
スラグは渋川にある大同特殊鋼からもたらされたものでした。環境基準を満たしていれば工事に使うことは許可されていますが、これは基準の5倍~23倍といったものです。
電気炉での洗練時、ホタル石を入れると温度が低くてすむとのことらしいです。ホタル石はフッ素の化合物、CaF2という記号で表されます。Fがフッ素です。(下仁田自然史館にも、寄贈された大きなホタル石が展示されています)。フッ素といえば虫歯予防で聞いたことのある名前かと思います。ですが、フッ素そのものは大変危険な物質です。一方、六価クロムといえば、かつてこれを扱う工場で働く人の鼻に穴があいて・・という話をきいたのを思い出します。ずいぶん昔なのですが、びっくりしたので、よくおぼえています。東京などでも大規模な土壌汚染で大問題になったことのある物質だったはずです。そんなこととは知らず、庭に蒔くと雑草がはえなくて良い、などと校庭にまいたりなどという話もあったような・・・クロムは鉄を錆びにくくするために使用するのだそうです。このクロムが六価クロムに変化します。

28日の県からの発表では、56工事での使用が認められ、26が八ッ場ダム関連、30が国道17号線バイパス工事とのこと。八ッ場代替地盛り土や道路土台などに使用していると言います。
他にも渋川の遊園地の駐車場など、あちこちでの使用も明らかになってきています。
 八ッ場にお住まいの方々も心配なことなのでは。気になる話です。

  詳しくは 八ッ場あしたの会HPで http://yamba-net.org/
 
 

5月にここを訪ねた記録は
  
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_25.html
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毎日様々な事件も起こり、世の中はめまぐるしく動いていきます。八ッ場ダムも、一時はマスコミに大々的に取り上げられました。ですが、その後を知る方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
前のことをすぐに忘れてしまうのでなく、いつまでも見続けていくことも、大切なことと思えます。
このダム建設も、これからも見続けていく必要があると思えます。

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   秋の花は菊だけではありません。
      菊とサザンカの咲くシーズン、地味ですが、ほかにも花が咲いています。
   


お茶の花

   →
シロダモの花

お茶の木にも少し前から白い花が咲いていました。

シロダモはご存知ないかもしれませんね。ツバキのはえているような場所で見られる,同じような背丈の木です。人とは関係なく、自然にはえている、自生している木です。やがて赤い実がみのります。
これらは皆、照葉樹森(常緑広葉樹森)に育つ木です。

照葉樹林は少し暖かい地域、関東南部から日本列島の西部、四国や九州といった地域に、さらに海を渡って中国の南部地域にひろがる森です。
下仁田はその分布のぎりぎりの地域で、下仁田の標高の低い場所の林には、これらの花が見られます。








2014年10月23日木曜日

秋の木の実 ナツハゼなど

 
丘陵の木の実
 ・・・ 虫めがね一つでひろがる世界  ・・・
 

下仁田近郊の低山、神成山の尾根筋を歩いていたら、こんな木の実がなっていました。
小さくて(直径6~7mmほど)、黒くて、あまり目にとまりません。
でも、虫めがねを使って拡大すると、なんと、花模様がしっかり見えてくるのです! カワイイ!一緒に歩いていた子どもたち、「ほんとだあ」と喜んでいました。  これは花の咲いていたときのガクのあとです。
  これはナツハゼという木で、この実、食べられます。ジャムにもできます・・・と言ったら、子供の頃、このあたりで遊びまわったに違いない人が「食べたことない。いろいろ口に入れたけど」と。・・・何だか心配になってきました。これ、ナツハゼですよねえ。食べたことある人いたら、教えてくださいね。

”山渓ハンディ図鑑・木に咲く花”によると、ナツハゼは「かこう岩の土地を好み、関東ローム層の武蔵野や相模野ではみられない」とありました。へえー、そうなの・・・日当たり水はけのよい場所、酸性の場所というくらいならわかるのですが・・何しろツツジ科なので、ツツジの仲間はそんな性質を持っていますから。
 ここ神成山は、かこう岩でできています。高崎市の裏山、山名丘陵にもはえていましたが、ここは砂礫。みなかみ町の大峰山の北側の吾妻耶山にもあったなあ。ここは流紋岩質の溶結凝灰岩の山でした。流紋岩が深くで固まればかこう岩になるわけなので、成分的には同じようなものなのでしょう。
最初にこの実を教わったのは札幌市近郊の野幌の丘陵。食べられるというので、何となく名前をおぼえたようです。野幌丘陵は海でたまった砂や泥の地層でできていますが、表面には支笏火砕流堆積物が広くみられます。白っぽい色の火砕流で、支笏から札幌周辺に広く分布します。これも、「白い」ということは、成分的にはかこう岩と似ているでしょうね。
西日本はかこう岩が広く露出していますから、そんな地域では「かこう岩の所に多い」と言うことができるのでしょう。
こうしてみると、本当に、「かこう岩を好む」植物なのかも。地質と植物の関係・・・が少しあるかな

 地質と植物の関係と言えば、下仁田では、石灰岩地域を好んで育つ植物が数種類見られます。この関係は、アルカリ性の石灰岩の性質が関係します。

ところで、ネットで見ると、ナツハゼは園芸用に、またジャム販売用に、けっこう人気のある植物のようで、販売関係がたくさん載っていました。知りませんでした。

子どもに、実のなっているものに何があるかきいたら、左のものをあげた子がいました。
これに気づいたなんて、意外で、目の付け所に感心しました。

何だと思いますか?
ミツバツツジの実です。
こんなものには、なかなか目を留めないですよね。



その他、山名丘陵などで見かけた実を紹介します。

コバノガマズミ                           ガマズミ













              ゴンズイ (典型的でなくてわかりにくいですが )               クサギ(花の頃は蝶がよく訪れます)




 
ヒラヒラ飛ぶ木の実も紹介します。 機会があったら子どもと遊んでみませんか。
 
左はシナノキの実です。丸い実はほとんど落ちてしまっていますが、上の羽で、くるくる回りながら遠くまで飛んでいきます。これは羽の部分が6~7cmほどの大きさ。下仁田のホタル山公園に植えてありましたが、山にみられます。
オオバボダイジュやボダイジュ(中国産)もこんな実をつけます。大きさは少し大きめ。どこかに植えられているかもしれませんね。

くるくる回ってとんでいくものは、何でも楽しいですね。

 家のまわりに植えられたアオギリにも、ヒラヒラ舞う実がなります。舟のような形に丸い実がくっついていて、なんともかわいいものです。これを2階から落とすと、くるくる舞いながらとんで行き、ひとしきり遊べるわけです。
昔は家のまわりに植えられていたのですが、最近はあまり見かけないような気もします。
広島で、被爆して生き残ったアオギリを「被爆アオギリ」として大切にしている話を聞いたことがあります。広島市では被爆樹木として選定しています。この木を親とした2世は国内各地、さらに世界中に送られ、育てられているとのことです。多分、昔はよく植えられていた樹種だったのでしょう。ちなみに 、私の育った家にもありましたが、今はありません。
   アオギリの実                               実をつけたアオギリの木 背が高くなります
 

 ついでなので、川沿いなどによく見られる木の実も紹介します。
写真の大きい木、どれも同じように見えます。でも3種類写っています。
  左が皆さんよくご存知の ケヤキ。   右写真のいちばん左がエノキ、いちばん右がムクノキ。
  

どれもよくある木なのですが、なかなか区別がつきそうもない感じです。でも、実を見ると、一目でわかります。
 
  ケヤキ  右のように、小枝に実がついていて、これで風に乗って飛んでいくのだそうです。大きなケヤキの木に枯れたような葉がたくさん下がっていたら、それは種のついた枝かもしれません。

                    
                             







ムクノキ







黒みを帯びた実はムクノキです。
昔は子どもが食べたそうです。
今では食べるなんて、思いも浮かばないでしょう。鳥が運んできた種から、庭にはえてきたりして、邪魔になったりはしますが。

 赤い実はエノキ
エノキの葉は国蝶とされるオオムラサキが食べるといいますが、オオムラサキの住むところは、めったにないでしょうね。(エゾエノキというのは実が黒っぽいですけど・・

 

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 子どもたちに、ぱっくり口を開けた実を指さして、「これなんだ」ときいたけれど、みんな知らなかった。「ザのつくもの」のヒントでやっと当てました。ザクロです。
   そうか、「ガーネットのことを日本ではザクロ石とよんだ」なんて話しても、何のことやら
   わからないのだなあ。                                        

 
地味な草木たちですが、野山に出たとき、様々な自然が友達になれたら、うれしいことです。 

                               
                                                                                   

2014年10月19日日曜日

上信電鉄沿線 どんぐりのなる木


上信電鉄沿線ハイキングコース  神成山 (かんなりやま)

10月の初旬、下仁田の子どもたちと近郊の山、神成山を歩きました。公民館行事です。
近くには南蛇井(なんじゃい)とか神農原(かのはら)などという変わった名前の上信電鉄の駅が・・・特に「なんじゃい」って、一体この名前は何なの、と言いたくなります。
上信電鉄では車体を絵や写真で飾ったラッピング電車も運行しています。



                                                                                                             
車内にも地質解説

    
                               
神成山は標高320mほどの、「山」というには低いなあ、という山。めだったピークがあるわけではなく、下の写真のように横長に連なっています。前回紹介した山名丘陵のような「丘陵」という感じがしてきますが、よく見るとまるっきり違います。
 
山の前面は切り立った急な崖・高さ100mの絶壁です。上から落ちたら・・・ちょっとぞっとしますね。
なぜ崖か・・・鏑川が削り取ったから。 本当なの??などと思ってしまいます。以前は川はもっと上を流れていたの?とか、いろいろわからないことがあります。川の力も恐るべし。なお、鏑川はいまは流路が少し変わったため、この崖のわきを流れてはいません。
 地質もまったく違います。山名丘陵は砂礫や泥で、ここ神成山はかこう岩の塊です
かこう岩といえば、石材によく使われるごま塩模様の硬い石を思い浮かべますが、ここのかこう岩は、平滑(なめ)かこう岩といって、黒い黒雲母などほとんど見られない、かなり変わったかこう岩です。チャートのように見えたりも・・・。6400万年ほど前のかこう岩で、強い圧砕作用をうけているとのことです。近くに中央構造線があるなあ・・などということが、あたまに浮かんできます。きっと関係あるのだろうなあ・・・
   この山頂部を連ねてハイキングコースがあります。




  歩いてみると、ザラザラと細かく崩れた石が道に散らばり、ずるっと足が滑る。滑って転んだ子に「何回目?」と聞くと、元気に「3回目!」、その後滑った時「4回目!」と、元気いっぱい。
「さすがに、かこう岩だねえ」と、妙に感心でした。顔つきからはあまりかこう岩らしくないこの石ですが、風化で細かくなりやすいというカコウ岩の性質を持っていた!

 かこう岩は風化で砂のようにざらざらになります。これをマサ土(真砂土)とよびます。「長い時間のあいだには」のただし書きがつきますが。
 石川五右衛門の辞世の句「浜の真砂(まさご)は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」の真砂は砂つぶのことでしょう。西日本にはかこう岩が多く、瀬戸内海の白砂青松の海岸の白い砂浜は、風化したかこう岩からできているといいますから、真砂からは、美しい海岸風景を思い浮かべたらよいでしょうか。

西日本では雨の多かった今年、広島では大規模な土砂崩れ・・・・・・
「またも起きた__もろい”まさ土”」などという見出しが躍っていました。多くの人命も失われています。

 

丘陵に育つ植物・・・・・その1  どんぐりのなる木

秋・・木の実の代表は「ドングリ」かな。    落ちていると、つい、拾いたくなる
  秋の一日、ちょっとドングリにご挨拶

ドングリのなる木にもいろいろあるの、お気づきだったでしょうか。冬に葉っぱを落とす木(落葉樹)のドングリ、常緑の木に実るドングリ・・・・神成山にも、4種類はありそう。

そのうちの一つがちょとめずらしいので、紹介を。                   
左写真で、名前はフモトミズナラ。
なんと、2006年に命名された・・・それまではモンゴリナラと呼ばれたり。ここでやっと学名をつけ、正式に認められたようです。 
どんぐりは下の写真。

少し詳しい方なら葉の写真を見て「ミズナラかな」、と思われるでしょうか。
でも、群馬南部地域で、標高300mのこんな標高の低い所にミズナラがあるわけはない。記憶をたどれば、みなかみ町の標高700m近でさえもコナラがたくさん育っていて、ミズナラはもう少し標高の高い所にくたくさん育っていました。
 
葉っぱはミズナラそっくりだけれど、樹皮はコナラに似ていて、ドングリをみると、ミズナラとはちょっと違う・・・頭がへこんでいます。似ているのが大陸にあるモンゴリナラ。
(ミズナラのどんぐりが手元になかったので、写真なしで、ごめんなさい。) 
 
 
最近の学問の進歩で、モンゴリナラとも違うことがわかったそうです。あらたに名前がつけられたとか。ですが、まだわからないことが多いらしい・・・コナラの仲間として学名がつけられていましたが、後からミズナラの仲間に変えたという記述もネットにありましたが、はて、何が本当のところなのか。「氷河時代の生き残りでは」、とか、「雑種では」とか、あれこれの見解も見かけました。未解決事項がたくさんあるようです

<分布>
主に愛知~岐阜の東海地方。さらにそこから離れた場所、北関東群馬県南部~栃木の低標高丘陵地。群馬では下仁田・南牧・神成。高崎でも見かけるかも。さらに桐生の丘陵。

<育つ環境>
砂礫層から花崗岩地帯の尾根のやせ地を中心に。

愛知県豊田市では、黒雲母花こう岩地帯だけに見られ、花こう閃緑岩地帯には全くないのだそうです。理由?・・・岩石の成分に原因があるのではなく、花こう閃緑岩では土壌が発達するのでほかの植物がよく育ち、そのため競争に負けてしまうから、と解釈されているようです。
極端な乾燥状態と発達の悪い土壌・・やせ地でほかの植物が育ちにくいところで生き残るということらしい。・・・・・・頑張って生きている。ご苦労様。

いっしょにはえているコナラの葉っぱとどんぐりは下写真です。葉っぱも実も、ちょっと違います。
写真の、大きい一つがフモトミズナラで、他がコナラのどんぐり。

(葉だけで区別するのは、実は難しいそうです。同じ種類でも葉の形がかなり違っていたり、あるいは雑種ができたりで、難しい世界だとのことです。特に、コナラなど、大変なようです。切って炭を焼いたおなじみの木なのですが)

神成山にあるどんぐりは,
フモトミズナラ ・ コナラ ・ シラカシ ・ アラカシ

下仁田全体では、もっと標高の高いところではミズナラのどんぐりも見られます。人が植えたものなら、他の種類も。

どんぐりの見分け方の表をのせます。この表、わかりやすいと思います。
 

種類の見分けはドングリで!
  と帽子(パンツ・殻斗)で見分けることがわかります。
                       (日本自然保護協会で作ったもの)
   フモトミズナラはモンゴリナラの名前でのっていますね。 
(栗やブナもドングリの仲間で載っていますが、文の中では、いかにもドングリらしい形のものだけを取り上げました)
   


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ずっと以前、下仁田自然学校で行った、どんぐりで遊んだ時の写真を紹介します。
 昔ながらの「どんぐりやじろべえ」  と  「どんぐりトトロ」
     (もっといろいろあったのですが・・・・
         箱の中に残っていたものの写真です)

 
                       (使っているどんぐりは クヌギとマテバシイ)




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丘陵から見おろすと、黄色く色づいた田んぼが、それぞれに、少しずつ色合いを変えて四角い模様を浮かび上がらせていました。ついこの前、田植えをしたと思っていたのに、早いなあ。(写真は山名丘陵です)

40年も昔、筑波山付近を走る
(だったと思う)列車の車窓の風景を見ながら、大学生の女性にこう聞かれました。「あれ、何ですか?」。
「エッ?」と聞き返してしまいました・・・外に広々とひろがるのは田植えを終えたばかりの田、風にそよぐ稲。
千葉の有名高校を卒業した彼女は、田んぼに植えられた稲を知らなかった!!

「なんということだ!」と目くじら立てられそうな話。でもついこの間、
「夏目漱石は稲を知らなかった」という話を知ってびっくり。あの漱石が・・・・稲からお米がとれることを知らなかった・・・
朝日新聞が掲載100年を記念して連載していた漱石の「こころ」に添えられた解説で知りました。

 自分が知っていることを他人が知らないと、上から目線であれこれうるさいことを言いたがるものですが、こころしていかねばなどと思ったしだいでした。
ちなみに、このことを書き残していたのは、友人だった正岡子規だそうです。

にんじんの葉っぱを知らない人なんてたくさんいるでしょうし、キャベツに花が咲くと聞いてエッと感じる人もたくさんいるでしょう。でも、お米や麦がどこでどう育てられ、どんな苦労がそこにあるのか、やっぱりみんなに知ってほしいですね。人は知らないこと、知らないものは大切にしませんから。