60年以上前に計画がはじまり、今、ダムの本体工事がはじまろうとしている八ッ場ダム、以前見学会に参加して紹介したことがありました。
本体工事が始まると、古くから使っていた国道が工事用道路となり、通行禁止予定となっています。その国道を歩く企画があり、晴れた秋の日に歩いてきました。10月19日のことで、2週間ほど前になります。
なお、この国道を生活道路として使っている方がまだいらっしゃるのですが、11月18日に使用を禁止すると発表がされました。
吾妻川の水は工事現場の上流で迂回用のトンネルに吸い込まれ、下流で滝のようになって流れ落ち、川へ戻されています。
写真は今の川の姿です。
ダムの本体準備仮締め切り工事で
堤が築れ、水はほとんどみられ
ません。
締め切りの上流の川の様子も
眺めながら歩きました。
上流側では迂回トンネルの前で水が
たまっています。
迂回トンネルの後では,右下写真の
ように水はなく,川底が見えていま
す。
ダム予定地に一番近くの最近建設された橋、八ッ場大橋から見おろすと、 橋の影が視界を横断して見えています。川は手前から奥の方へ流れていますが、仮締め切り工事は橋の影のもう少し先の位置にあります。ですから下の写真の水の流れのその先にダムが築かれることになり、この付近一帯は水没することになります。
この地域一帯には様々な大規模な土木工事が行われてきました。新しい道路、新しいJR線路と駅、複数の大きな橋、トンネル(国道用、工事用)、代替地造成・・・ダム本体工事費用予定は、このダム建設に使った費用全体の1割以下なのだそうです。
JR線路が付け替えとなり、写真右側には廃止となった旧川原湯温泉駅が見えています。吾妻川を横断して川原湯温泉へ向かう時に渡っていた橋も見えています。これらはすべて水没予定となっています。
この日は10月19日でしたが、木の葉は色づきはじめていました。
その後の報道では、今年はとてもきれいな紅葉の年となったようです。見事な紅葉も眺めたかった・・・
10月31日のニュースステーションはこの八ッ場からの中継でした。左手奥に白く見えている橋付近からの中継です。雨の夜でしたが、ライトに照らされた紅葉がきれいでした。
国道を川の上流に向かうと、途中には水没予定の天然記念物、昇龍岩・臥龍岩があります。
貫入してきた安山岩を龍に見立てて名付けられたものです。
川原湯層に入り込んだ輝石安山岩の岩脈が、まっすぐ上に伸び、角材を積み重ねたような姿が龍の腹のようだとみなされました。
貫入は230万年より古いようです。
臥龍岩(左下の写真)は水に洗われるような場所で、写真ではちょっとわかりにくかった・・・
これは230万年前の貫入で、龍が寝ているようだという見立てです。
これらもすべて水没します。
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次は下流から2番目の橋、不動大橋を国道から見上げています。この写真のかなりの高さまで水没の予定です。
今まで使われていた橋(上湯原橋)が低い位置に見えています。
下写真は、八ッ場大橋から見た周囲の様子です。廃止された旧川原湯温泉駅と、新しく作られた代替地が見えています。遠方の中程に見えている代替地にはかなり家が建っています。背面の斜面が少しくぼんで見えているところがあります。土が流れたようなこともききましたが、気になるところです。斜面下方はダムの水がたまることになります。盛り土もある代替地は、水が張られたとき地面が安定していてくれるか・・・こんな心配がずっと語られてきています。
八ッ場大橋より |
橋を渡り、代替地側から見た対岸のようすです。
新しく付け替えられた国道が、長いトンネルをぬけ、見えている所です。すすめられている工事で削られた部分も見えています。
写真左に見える、法面をコンクリートで覆った部分に行って見ました。
下写真のように、デコボコと飛び出した岩もすべてコンクリートで覆った面が見えています。(もう少し拡大した写真ならよかったのですが)
長い茂四郎トンネルを上流側にぬけてすぐの場所ですが、斜面の石が落ちてきたことがあるとのこと。その後コンクリートで岩の上までおおって固めたとのことです。かなり気を遣わねばならない場所かもしれません。
コンクリートに覆われたこの場所のすぐ左手、隣接した法面をみると、格子状に区切られた枡が茶色く変色して見えます・・熱水変質帯を含み、粘土化した部分が見られるようです。付近は酸性化していて、中の金網がボロボロになているというのですが・・・。
写真にはありませんが、国道近くの水路が橙色となり、pH3のかなり強い酸性の水が流れているとのことです。酸性熱水変質帯から黄鉄鉱,カオリナイトなどを溶かしこんだ水が浸出してくると思われます。この付近は2005年造成、2013年、写真のようなアンカーボルトを差し込んだ工法での工事が行われているとのことです。まだできてそれほどたっていない道路のはずなのですが、すぐにこうなるものなのだろうかと、素人目にも不安を感じてしまいます。
この場所の道路脇の縁石は、少しゆがんで、前方向に傾いているように見えます。縁石と路肩のあいだには亀裂ができています。表面は赤茶けた色でおおわれています。付近の道路も少しデコボコとしているのか、通行している車が少し揺れて見えました。路面の凹凸で、9月に舗装のやり直しが行われたばかりとのことです・・・
地質関係の方が見て、これは地滑りがはじまっていると言っていたそうです。開通してまだわずかしかたっていないはずですが・・
地元をよく知る人は、この道路付近は、山を大々的に切り取っていて、以前とはまるっきり違った姿になっている場所だといいます。山の真ん中が切り取られ、残った端くれが道路法面の反対側に、無意味な岩の塊になって残っていました。
道路脇の地面を見ると、白や茶色になっています。
変質していると思えます。
工事現場へ向かう切り通しも見えますが、
土の色が白、茶、灰色と、まだらにあれこれ色付いて見えます。
温泉地域ですから、変質の起こりやすい場所もあるのでは。
山を切り取れば、それはそれで、地面の力の加わり方も変わるでしょうし、温泉があれば、化学的作用も強い場合もあるだろうし、など、あれこれ頭に浮かんできます。
八ッ場ダムの湖予定地域周辺には地滑り危険区域が22カ所もあるといいます。地滑りに困ることになったら、あるいは地滑り対策に多額のお金が投入され続けるといった事態になったら、といろいろ心配になってきます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
8月5日毎日新聞に、八ッ場ダム工事その他に環境基準を超えた有害物質を含む鉄鉱スラグが使われていたことがスクープされました。フッ素とクロム化合物が検出され、強アルカリ性の性質も示しています。スラグとは鉄の精錬で出る廃棄物です。
スラグは渋川にある大同特殊鋼からもたらされたものでした。環境基準を満たしていれば工事に使うことは許可されていますが、これは基準の5倍~23倍といったものです。
電気炉での洗練時、ホタル石を入れると温度が低くてすむとのことらしいです。ホタル石はフッ素の化合物、CaF2という記号で表されます。Fがフッ素です。(下仁田自然史館にも、寄贈された大きなホタル石が展示されています)。フッ素といえば虫歯予防で聞いたことのある名前かと思います。ですが、フッ素そのものは大変危険な物質です。一方、六価クロムといえば、かつてこれを扱う工場で働く人の鼻に穴があいて・・という話をきいたのを思い出します。ずいぶん昔なのですが、びっくりしたので、よくおぼえています。東京などでも大規模な土壌汚染で大問題になったことのある物質だったはずです。そんなこととは知らず、庭に蒔くと雑草がはえなくて良い、などと校庭にまいたりなどという話もあったような・・・クロムは鉄を錆びにくくするために使用するのだそうです。このクロムが六価クロムに変化します。
28日の県からの発表では、56工事での使用が認められ、26が八ッ場ダム関連、30が国道17号線バイパス工事とのこと。八ッ場代替地盛り土や道路土台などに使用していると言います。
他にも渋川の遊園地の駐車場など、あちこちでの使用も明らかになってきています。
八ッ場にお住まいの方々も心配なことなのでは。気になる話です。
詳しくは 八ッ場あしたの会HPで http://yamba-net.org/
5月にここを訪ねた記録は
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_25.html
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毎日様々な事件も起こり、世の中はめまぐるしく動いていきます。八ッ場ダムも、一時はマスコミに大々的に取り上げられました。ですが、その後を知る方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
前のことをすぐに忘れてしまうのでなく、いつまでも見続けていくことも、大切なことと思えます。
このダム建設も、これからも見続けていく必要があると思えます。
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秋の花は菊だけではありません。
菊とサザンカの咲くシーズン、地味ですが、ほかにも花が咲いています。
新しく付け替えられた国道が、長いトンネルをぬけ、見えている所です。すすめられている工事で削られた部分も見えています。
写真左に見える、法面をコンクリートで覆った部分に行って見ました。
下写真のように、デコボコと飛び出した岩もすべてコンクリートで覆った面が見えています。(もう少し拡大した写真ならよかったのですが)
長い茂四郎トンネルを上流側にぬけてすぐの場所ですが、斜面の石が落ちてきたことがあるとのこと。その後コンクリートで岩の上までおおって固めたとのことです。かなり気を遣わねばならない場所かもしれません。
コンクリートに覆われたこの場所のすぐ左手、隣接した法面をみると、格子状に区切られた枡が茶色く変色して見えます・・熱水変質帯を含み、粘土化した部分が見られるようです。付近は酸性化していて、中の金網がボロボロになているというのですが・・・。
写真にはありませんが、国道近くの水路が橙色となり、pH3のかなり強い酸性の水が流れているとのことです。酸性熱水変質帯から黄鉄鉱,カオリナイトなどを溶かしこんだ水が浸出してくると思われます。この付近は2005年造成、2013年、写真のようなアンカーボルトを差し込んだ工法での工事が行われているとのことです。まだできてそれほどたっていない道路のはずなのですが、すぐにこうなるものなのだろうかと、素人目にも不安を感じてしまいます。
地質関係の方が見て、これは地滑りがはじまっていると言っていたそうです。開通してまだわずかしかたっていないはずですが・・
地元をよく知る人は、この道路付近は、山を大々的に切り取っていて、以前とはまるっきり違った姿になっている場所だといいます。山の真ん中が切り取られ、残った端くれが道路法面の反対側に、無意味な岩の塊になって残っていました。
道路脇の地面を見ると、白や茶色になっています。
変質していると思えます。
工事現場へ向かう切り通しも見えますが、
土の色が白、茶、灰色と、まだらにあれこれ色付いて見えます。
温泉地域ですから、変質の起こりやすい場所もあるのでは。
切り通し 変質している |
山を切り取れば、それはそれで、地面の力の加わり方も変わるでしょうし、温泉があれば、化学的作用も強い場合もあるだろうし、など、あれこれ頭に浮かんできます。
八ッ場ダムの湖予定地域周辺には地滑り危険区域が22カ所もあるといいます。地滑りに困ることになったら、あるいは地滑り対策に多額のお金が投入され続けるといった事態になったら、といろいろ心配になってきます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
8月5日毎日新聞に、八ッ場ダム工事その他に環境基準を超えた有害物質を含む鉄鉱スラグが使われていたことがスクープされました。フッ素とクロム化合物が検出され、強アルカリ性の性質も示しています。スラグとは鉄の精錬で出る廃棄物です。
スラグは渋川にある大同特殊鋼からもたらされたものでした。環境基準を満たしていれば工事に使うことは許可されていますが、これは基準の5倍~23倍といったものです。
電気炉での洗練時、ホタル石を入れると温度が低くてすむとのことらしいです。ホタル石はフッ素の化合物、CaF2という記号で表されます。Fがフッ素です。(下仁田自然史館にも、寄贈された大きなホタル石が展示されています)。フッ素といえば虫歯予防で聞いたことのある名前かと思います。ですが、フッ素そのものは大変危険な物質です。一方、六価クロムといえば、かつてこれを扱う工場で働く人の鼻に穴があいて・・という話をきいたのを思い出します。ずいぶん昔なのですが、びっくりしたので、よくおぼえています。東京などでも大規模な土壌汚染で大問題になったことのある物質だったはずです。そんなこととは知らず、庭に蒔くと雑草がはえなくて良い、などと校庭にまいたりなどという話もあったような・・・クロムは鉄を錆びにくくするために使用するのだそうです。このクロムが六価クロムに変化します。
28日の県からの発表では、56工事での使用が認められ、26が八ッ場ダム関連、30が国道17号線バイパス工事とのこと。八ッ場代替地盛り土や道路土台などに使用していると言います。
他にも渋川の遊園地の駐車場など、あちこちでの使用も明らかになってきています。
八ッ場にお住まいの方々も心配なことなのでは。気になる話です。
詳しくは 八ッ場あしたの会HPで http://yamba-net.org/
5月にここを訪ねた記録は
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_25.html
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毎日様々な事件も起こり、世の中はめまぐるしく動いていきます。八ッ場ダムも、一時はマスコミに大々的に取り上げられました。ですが、その後を知る方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。
前のことをすぐに忘れてしまうのでなく、いつまでも見続けていくことも、大切なことと思えます。
このダム建設も、これからも見続けていく必要があると思えます。
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秋の花は菊だけではありません。
菊とサザンカの咲くシーズン、地味ですが、ほかにも花が咲いています。
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お茶の花
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シロダモの花
お茶の木にも少し前から白い花が咲いていました。
シロダモはご存知ないかもしれませんね。ツバキのはえているような場所で見られる,同じような背丈の木です。人とは関係なく、自然にはえている、自生している木です。やがて赤い実がみのります。
これらは皆、照葉樹森(常緑広葉樹森)に育つ木です。
照葉樹林は少し暖かい地域、関東南部から日本列島の西部、四国や九州といった地域に、さらに海を渡って中国の南部地域にひろがる森です。
下仁田はその分布のぎりぎりの地域で、下仁田の標高の低い場所の林には、これらの花が見られます。
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