新しい年を迎えて
今年が良い年になりますように
そこは古い時代の岩石が分布している地域。
秩父中・古生層などとよばれていて、1億5000万年を超えて、2億年、あるいはそれ以上古い岩石もあるかも(詳しく調べてませんでした、ごめんなさい)。土台の石といってもいいでしょう。
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図中の数字はこの図をのせた本の解説ページ№です。(下仁田町と周辺の地質 下仁田自然学校 2009年)
下仁田自然史館は④付近です。
青倉川をさかのぼって南(図の下方向)へ。図では薄い小豆色にぬられている地域です。これは
秩父帯(秩父中・古生層)、古い時代の地層が分布する地域をあらわしています。この地層は名前からわかるように秩父まで続いています。いえ、もっと広く、日本列島のずっと西の方まで。
秩父では古くから地質研究が行われ、そこで秩父は「日本の地質学発祥の地」などとよばれているほどです。
この地層、どんな特徴があるって?
うーん・・・・
岩石では泥岩、頁岩、砂岩はもちろん、さらに石灰岩やチャートがたくさん見られます。緑色岩(輝緑凝灰岩)も。化石ではフズリナも見られます・・
とにかく、コースに沿って解説してみましょう。上図の赤い楕円部分には、石灰関係の工場がみえて来ます
工場とは川を隔てて、大きな岩壁があります。石灰岩の岩です。
かつてはこの道周辺は石灰岩の岩壁が迫って来るようだったそうです。青倉地域の石灰岩は古くから採掘して利用していたわけで、青倉石灰という言葉が古い文書にも出てきます。
石灰岩については、このブログの以下のページにも解説しています
2013年10月8日付け
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=481530670025045050#editor/target=post;postID=5026551798170325335;onPublishedMenu=allposts;onClosedMenu=allposts;postNum=73;src=link
2013年10月6日付https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=481530670025045050#editor/target=post;postID=6936814231678267974;onPublishedMenu=allposts;onClosedMenu=allposts;postNum=74;src=link
この工場には、かつて石灰を乾燥させた小屋が残っています。
さらに歩いて行くと、見上げるようなチャートの岩壁もみえてきます。
道沿いは流れの速い清流が続きます。
ここにはカワノリが育ちます。かつては食用とされ、アオクラノリとして知られていたそうです。
それが今では絶滅危惧種!
環境省基準で絶滅危惧Ⅱ類
(絶滅の危惧が増大している)
県での基準では
栃木県:絶滅危惧Ⅰ類
埼玉県:準絶滅危惧
熊本や宮崎では注意項目に
群馬県は特に指定していませんが、とにかく、国で認定されているという、今となっては貴重となってしまったものなのです。全国どこでも激減しているようです。
・・・少し解説を・・・・
ほぼ栃木県より南の太平洋に注ぐ川に見られます。
見られる川、見られない川がはっきり分かれるという、限られた川にしか育たないソウ類です。
住む場所に、気むずかしいのかな?そこで、生育条件です。
カワノリ こんな場所で育ちます
・特定河川の上流部
・平均水温13℃。
9℃~15℃の範囲という
測定値もある。夏でも水温が低くなければダメ
・流れが速い。測定値もある。夏でも水温が低くなければダメ
平均1.5m /秒。沢の勾配は急
・水中酸素が多い。水質良好
・光合成のため、日光が当たる
海のアオサみたいな姿のカワノリ。急流の石にくっついています。全国で見ても標高は200m以上、平均500mとかいったところで見られるそうです。くっつく石に、好みがあるような、ないような・・青倉のこの場所では、チャートがお気に入りのような・・・・・でも、本当に好みがあるのかどうかも、よくわからないような・・・・・石灰岩のある所によく見受けられてアルカリ性を好むなどと書いてあるものもありましたが、pH7.6前後とかで、そうともいえないかなあ・・・。石灰岩と関係ないところにも見られますし。地質の条件が関係しているのかどうかもよくわからない・・・
生息条件がはっきりわかれば、減少を食い止め、たくさん増やし、特産品の食用のりにできるかもなどと思っても、そうは簡単なことではなさそうです。
世間には希少と聞くと、なおのこと取って食べたがる人たちがいます。根絶やしになるまで探し回るのです。絶滅危惧種になったら、控えるべきなのですが・・・絶滅なんかさせてはいけない。長野では、今では絶滅種になっています。
昨年、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されました。我が家の近くの利根川でも、少なくとも20年前にはほんの少しとはいえ、ウナギが見られたのですが、はて、最近はどうなっているか・・・・やりたい放題に食べあさって、生息環境を壊して、絶滅に追い込むようなことを続けてはいけない・・
希少で高価になるほど手に入れたがる、食べたがる人たちは、本来、教養のない、下品な人、
かっこ悪い、クールでない行為と、皆が思うようになってほしいです。
じつは、下仁田地域には、絶滅危惧種に該当するような植物がたくさんあります。そういった植物たちが生育する自然環境があるということです。
しかし今、特に、美しい花をつけるものは、乱獲により、見るも無惨な状況に陥っています。絶滅したものもあります。これらを紹介するのもはばかられるが(取りに行く不心得者がいる)、放っておいて、いつの間にか絶滅しているという事態になってほしくもない。
多種の生物が共存していける、生物多様性が、特に今、叫ばれています。でも、絶滅危惧種指定は増え続けています。
多くの皆さんに、繊細な環境条件の中で生きる動植物たちを守るという意欲と知識を持っていただけたらと、強く願います。
以前、青倉小学校(今は廃校・校舎は現在下仁田自然史館)の生徒たちがカワノリの調査をしていたそうです。そんな生徒と指導した先生、ステキですね。
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東方向にむいて大きく曲がって分かれ道があり、沢に沿って道路があります。桑本へ向かいます。
ここには春早くザゼンソウが咲きます。北国にいけば、めずらしくもない植物なのですが、こんな南の、標高500mほどのところで見られるのは、かなりめずらしい。
同じような条件でザゼンソウが見られるのは赤城山。ここは毎年テレビのニュースで取り上げられて、人々がわんさとおし寄せます。ここがまったく知られていないのはちょっと悔しい・・少なくとも、群馬県でこんな低標高でみられるのは、赤城山とここしかない。
今年の春、このザゼンソウを見にいってみませんか。
もっとも、ここの集落の方は、迷惑がるかもしれませんが。それに、まったく関心も持っていらっしゃらないかもしれない・・・・・通りがかりに地元の方に聞いても、ご存知なかったですから。迷惑にならないようにマナーを守っていかねば・・・・人に知られるというのは、時によっては車や人が入り込んだりして迷惑だったり、さらに絶滅を招く危険な話だったりするものなのです。
皆さん、多くの貴重な植物たちも、大切に守ろうではありませんか。人目につかなければ、勝手に掘り取る不心得者が、まだまだ多数見受けられます。そんなことのない社会をめざしたい!!
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桑本には曲がらずに、さらに奥に進むと、七久保へむかい、その先に小沢岳への登山道があります。ここも秩父帯の岩石の山です。
周囲から目立つ山容は上州のマッターホルンとよばれ、西上州の山として登山客にも知られています。 尖った山頂の形は、硬いチャートのおかげなのですね。
そこに育つ動物・植物をふくめて、自然に親しみ、その中に生きる自分たちを感じていただけましたら。
小沢岳(おざわだけ)の解説をのせます。 登山の参考にしていただけましたら幸いです。
下仁田自然史館から見た小沢岳
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