2016年9月18日日曜日

ずれ礫、 秋・水田の植物  

NHK朝のドラマ・とと姉ちゃんに、洗濯機が登場したころのことが。

  「洗濯機を発明した人に、ノーベル賞をあげたいと思った」
今90歳になる方が言っていた言葉が忘れられません。
小学校の先生をしながら3人の子供を育てあげた方、親の援助も得られない環境で、夫は家事などほとんどやらない人でした。重労働の洗濯への強力な助っ人登場は、どんなにうれしかったかと・・・肩の荷が下りる思いだったでしょう。
 私の母も、私を育てるとき、おむつを手で洗っていたのだと・・大変だったよね(そのころは水道もなかった)
そんな時代の人々に思いをはせる想像力を持たねば。しかも、これはほんのわずかの昔のことなのです。


下仁田自然館にあるもの
 
  力の”化石”? 力が加わった場所の石

下仁田には中央構造線があったり、どこからか動いてきた地塊がクリッペ(根なし山)をつくっっていたり・・・過去に大きな大地の動きがあった場所なのでしょうね。
大地の大きな力がはたらいた場所・・・そんな場所らしい石があるのでは。
 次のものなど、どうでしょう。

 
写真の石、下仁田では「 ずれ礫」とよんでいます。
礫がスパっと切れてずれた感じです。
「くいちがい礫」ともよばれます。
左下のような礫を、「お刺身を並べたような」と言っていた人もいました。
力がはたらいて切れて、ずれた。よくあんなにスパッと切れたものだ。たしかに、よくまあ、・・・全国でもあまり見かけないようです。
 もっと大きな力ならボロボロになってしまったでしょう。下の写真のようにボロボロ、粉々に。崩れないように、周りを石膏で固めてますね。これは泥の固まった頁岩、南蛇井層の石です。ずれ礫の礫は、石英はん岩という、マグマが深いところで固まった石からできたものです。


南蛇井層の頁岩





ずれ礫については、以前に下記で紹介したことがあります。

大地の深くまで割れ目や隙間があると、地下深くの物質が上がってくる・・かんらん岩などは、そんな石ですよね。下仁田にもかんらん岩があります。

展示してある左写真の石を見て、きれいと感じる人はいないかなと思うので、かんらん岩の顕微鏡写真も紹介します。
実際に見ると、色づいてきれいですよ。顕微鏡下のかんらん岩は特にきれいだと思います。

 ただし、この顕微鏡写真は展示の石のものではなくて、下仁田町にある黒内山のものです。
黒内山は三波川結晶片岩地域にあるかんらん岩の少し大きめの岩体で、左の写真とは、違う場所のものになります。

かんらん岩顕微鏡写真  中島啓政さん作成
 
このように、自然史館も含んだ青倉・栗山地域には、地下深くから上昇してきた岩石も見られます。
左写真のような岩石も見つかります。角閃石の大きな見事な結晶の含まれる岩石で、地下の深くからやってきたとも考えられます。
あまり見かけることはない石ですね。

下仁田地域には、実に様々な石があります。見かけもいろいろですが、どうやってできたかも、実に千差万別なのです。

ここでは河原の石の学習会もあります。自然史館にも、さらに工夫して石をお見せできるようにと、願うところです。



探してみませんか、近所の田んぼ・・
        もしかしたら、絶滅危惧種がいっぱい・・


田んぼのようす

たんぼのあぜの草が刈り取られてきています。
稲刈りシーズンが心に浮かびます。

生い茂った草がなくなって、水田の中をが見やすくなっています。ちょっとのぞいてみましょうか。
田んぼにはえていたミズオオバコ ピンクがかるのですが・・
水路の水にゆれるミズオオバコ
 
はるか昔、学校への行き帰り、道のわきを流れる水路にぽっかり浮いた薄ピンクの花、大好きでした。
ミズオオバコといいます。

この頃なんだか見かけないなあ・・と探したことがありました。数年前のこと。よく見れば、ところどころで姿を見かけました。
 
 ほかの花も見てみましょう。
 ところで、これらの中に、絶滅危惧種が何種類かあります。あててみませんか。
   (☆マークです)
私の家からほぼ6㎞以内、自転車でトコトコ行くのに適した距離の範囲にあるものです。
                                                


イボクサ

アゼムシロ(ミゾカクシ)

オモダカ
ホソバヒメミソハギ
      下の植物、名前がわからない・・
      名前、突き止めたはずなのに・・忘れた
   田んぼいっぱいを埋め尽くしているのに・・比較的最近
    広がった外来種です。↓






 左も外来種で、はびこりますね。


ホソバヒメミソハギの花
コナギ





ミズワラビ














ウリカワ
シャジクモ
シャジクモ




干上がった田んぼのミルフラスコモ ?


ミルフラスコモ




    
トリゲモ と思っているのですが・・・・?
 
 
次は 水が干上がったころの田んぼです。おととし10月の写真
葉っぱの細い、真ん中のものがミズマツバ、周りがキカシグサ 



 
ミズマツバとキカシグサ
 
  
アブノメ










☆
アブノメ










☆
エダウチスズメノトウガラシ

まだまだいろいろな植物ありますが、あげていてもきりがないのでこのくらいで。

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 調べた玉村町の絶滅危惧種のリストを書いてみます  群馬県は2012年改定のリストを使用

             環境省      群馬県        指定している都道府県数

ミズオオバコ   絶滅危惧Ⅱ類    絶滅危惧Ⅱ類      39
ウリカワ        -            Ⅱ類   9  農家には厄介な雑草ではあります。花はきれい
      
シャジクモ          Ⅱ類           -       10  
ミルフラスコモ    絶滅危惧Ⅰ類         -      3  ちゃんと同定してもらわねば・・
ミズマツバ          Ⅱ類         Ⅱ類      36  結構たくさんあるのですけどね
アブノメ           -        絶滅危惧Ⅰ類     17  かわいい花です


トリゲモ          Ⅱ類           絶滅       32)
トリゲモは群馬県絶滅となっているので、ちゃんと専門家にもっていってみてもらわないとだめですね・・・3年だか4年前、調べたり聞いたりしたのですけど・・・
なお、3年ほど前、館林の人が来てくれたとき、ウスゲチョウジタデというのを記録していかれました。チョウジタデとの違いをおしえてくださったのですが、微妙で、どうもよくわからない・・・似たものがたくさんある世界です。

<絶滅危惧種の調べ方 : ネット検索で、「日本のレッドデータ検索」といれてください>
 
  多くの人が田んぼの植物で目を留めるのは、きっとオモダカ。葉も花も整っていて、
本当に美しく、しかもたくさんはえている。雑草というには惜しい。でも、田んぼにとっては厄介な害草だと思います。
 水田の除草剤が開発されたころ、この草もすっかり駆逐されていたはずです。私が子供のころのこと。学校への道の途中の曲がり角の小さな湿地に、ちょうどこんな葉っぱが育っていて、ほかで見ることはなく、「きれいだなあ」と思っていたのを覚えていますから。50年も昔の話。
でも、今思えば、それはクワイだったかも。お正月料理につかうクワイを植えていたのでは・・オモダカの変種がクワイですから。しかも、田んぼで見るオモダカより、ちょっと大きかったような気もするし。
 この植物にそっくりなアギナシという植物があります。ネット上などにはしばしば間違ってオモダカをアギナシと書いてあります。こちらは環境省指定で準絶滅危惧種、群馬県で絶滅危惧Ⅰ類、42都道府県で指定しているという、まさに希少なものです。群馬では数か所しかはえていないようです。
根のつくりが違うのと、葉っぱの先がオモダカのほうが鋭くとがっているという違いがあります。でもまさか、絶滅危惧種を掘ってみるわけにはいかないですよね。

 
シャジクモ  生物学では有名なもの。高校の生物の教科書には載っているかも・・少なくとも、副教材で資料集を買ったら,のっています 。私も写真で知っていましたが、まさか身近にあるものとは思ってもいませんでした。
数年前、ミズオオバコが絶滅危惧種になっていると知って、びっくりして、そこらの田んぼを見て回りました。そうしたら、「ん・・・・」。シャジクモみたいなものがたくさんはえている・・どう見てもシャジクモ。専門家に聞く機会も得て、「やっぱり」。ついでに、いろいろな田んぼの植物も調べたというわけです。
 私が子供のころは 魚もどんどん死んでしまうような強い除草剤が使われていて、田んぼの雑草は一掃されていました。ですから、どの田んぼの植物も見たことがなく、「はじめまして」といった気分でした。
 田んぼには顕微鏡で見るような生き物から、ゲンゴロウの仲間、貝の仲間など、いろいろな生き物がいます。田植え前など、ミジンコ等があふれるほどたくさん動き回っています。稲につく虫、昆虫・クモもたくさんいます。一方、外来種もはびこっています。
 田んぼは、ちょっと目を向けると、すぐ見ることのできる身近な小宇宙という気分になれるかもしれません。
 
(学校の教科書に載っているような生き物、実はほとんどが身近な場所にいるものだと、だいぶあとになってから知りました。学校時代には、なんだかわけのわからない、妙な生き物と思っていたのですけどね。身近なものだと知ると、がぜん興味がわくものです)
 
 
ミルフラスコモという藻類は、神戸の大学のシャジクモ研究者が、写真を見て「十中八九、ミルフラスコモですね」。これ、高速関越道の玉村インターのすぐ近く・・・生き延びられるかなあ・・・栃木県にはたくさんあるとのことなのでこのあたりにもあるのかも。


だいぶマニアックな話になってしまいました。でも、けっこう身の回りの話なのです。近くに田んぼがあったら、ちょっと目を留めてみませんか。

 

 

 


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