2017年3月19日日曜日

早春の花が咲きだします

 春が来た!! 
いくつもの暗くなるような大ニュースが目に飛び込んでくる毎日です。
でも、春、うれしいですね。spring という言葉も、わくわく飛び跳ねるようです。

 毎年お正月ころに1,2輪はほころぶ庭のピンクの椿が、今年はいつまでも咲きませんでした。
それも今はいっぱいの花です。
先日、「たわわに咲く赤いつばきの木」の姿が、ふっと脳裏に浮かびました。

 少し前に戻りますが、2月の新聞紙面に3名の方の訃報が大きく並んで載りました。
一人は船村徹。私には名前を見てもどなたかわからなかったのですが、作曲家「王将・矢切の渡し」といった曲名を聞けば、ああそうか、と。(ちなみに「宗谷岬」も作曲とのことで、曲のイメージが違って感じられて、ちょっとびっくり)。
 もう一人はディック・ブルーナ。絵本の作者です。シンプルな線で描かれたウサギ、いつも正面を向いて、×印の口がトレードマークというウサギ。小さな子供を持つ親なら大抵知っているのでは。私は「うさこちゃん」の名前で覚えているのですが、最近は「ミッフィー」と呼ばれることが多いような。

 上記のお二人より少し小さい記事でしたが、同じ紙面に「佐藤さとる」の名前がありました。この名前は、私に、花いっぱいのツバキの木を思い起こさせました。
ヤブツバキの木
佐藤さとるは「誰も知らない小さな国」という本を書いた方です。この本、私は小学生のころ読みました。5年生か6年生でしょう。ずいぶん昔のことなのによく覚えているといわれそうですが、大人になってこの本を手に取った時、いつ読んだのだっけ、と思いおこしていたことがあったので、間違いないと思います。忘れられない本になりました。その本に大きなツバキの木がイメージとしてありました。
調べてみたら(今は便利ですね、ネットで調べれば、すぐに出てきます)、初期の本の表紙がそれでした。最近のものは違った絵になっています。
 ちいさな小人(コロボックル、もともとは、アイヌの伝説にある小さな人「フキの下の人」)が登場する物語です。主人公の「私」が見つけた、自分だけの秘密の場所で、林の中の草に囲まれた泉、流れる小川、そこに暮らす小人に出会う「私」(少し違っているかもしれませんが)。これがコロボックル。やがて、その場所が道路工事でつぶされそうになり、知恵をこらしてそれを阻止する・・その後の高度成長の中で、各地で開発で失われていった自然も思い浮かびます。1959年出版といいますから、私が読んだのは、かなり早い時期。小さな田舎の学校でしたが、そんな本をそろえてくれていた先生たちに感謝です。
 ツバキの木は、大人になった「私」が、ある日、ツバキの木の上に座っていた乙女に出会う場面で出てきます。澄んだ水の手触り、空気や風、身のまわりにある自然へのいとおしさ、そこに生きる者たちとその知恵、そんなものも感じたのではないかなあ・・・
 コロボックルの物語はシリーズとなって何冊も書かれています。それを図書館で見つけて、大人になっていた私は、せっせと読んだものです。でも、最初の本ほどには心に残りませんでした。子供のころに出会うということも、大きな意味をもつのかもしれません。

 「木陰にこんこんと湧く泉、流れる小川」、そのイメージから、ケニアのマータイさんのことが心に浮かびました。「もったいない」という言葉を世界に紹介した方、木を植える活動をすすめ、ノーベル平和賞を受賞した女性です。
 彼女が子供のころ、きれいな小川があり、そこには大きなイチジクの木があました。アフリカでは水汲み、薪集めは女性の仕事でした。そんな中で、おばあちゃんがそのイチジクの木を「神様の木だから、あの前では薪は取らないように」と教えたそうです。ある日、その小川に透明な丸い粒があり、ビーズと思って、首飾りをつくろうと、手ですくおうとしたら、手の隙間からぬけ落ちてしまいました。それからあと、ビーズは消え、そこには小さなオタマジャクシがいました。
 そのころ女の子は学校には行かせてもらえないのが普通でしたが、兄(弟?)の「どうして学校にいかないの」の言葉で、親が学校に通わせてくれました。学校では、書いた文字が消えるということにびっくりし(消しゴムをはじめてみた時)、何にでも目を丸くして夢中に。やがて優秀な成績を得て、アメリカへ留学。生物学を学んで故郷に帰ってくると、そこで見たものは・・イチジクの木は切り倒され、小川の水は枯れ果てていた・・・
 開発がすすめられ、森の木はどんどん切られてコーヒーなどの換金作物の畑に代わり、水は枯れ、薪を集めに女たちはますます遠くまで歩かねばならなくなり、さらには薪も手に入りにくくなり、調理もままならなくなる・・・国土の砂漠化もすすむ・・・
そんな中で木を植える運動を始めたマータイさんは何度も投獄されたりと過酷な状況にも負けずに頑張りぬいた・・

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先月紹介したカエルの卵が登場するのも、なんだかうれしいですね。
その卵から、こんなにも多くのものを受け取れる人もいるのです。外に出て、生の自然に触れることの大切さを、あらためて思います。

 春が始まっています。種まきも始まります。新学期もはじまります。
おたおたしているうちに芽吹きも花も過ぎていってしまいます。
何とかできるだけたくさんのものに出会いたいですね。・・などと、毎年思っているのですが、あっという間に春は過ぎてしまいます。ぼんやりしてないで、春を楽しもう、と。
 
以下の写真は一昨年3月31日の下仁田付近の様子です。もうこんなに花が咲いていたんだ。
ダンコウバイ
キブシ

アズマイチゲ
ミヤマキケマン

   次は 昨年3月30日 埼玉美里町の円良田湖付近。
カタクリ
ウグイスカグラ


クサイチゴ

ヤマブキ


センボンヤリ
ヤマツツジ

                           ヒトリシズカ 
                                  人が植えたものかもしれません


ちなみに、昨年は吉井町小串のカタクリは 3月25日には咲いていました。
もうお彼岸、うっかりしていると、こんな花たちを見ないままに終わってしまう・・・
有名どころでなくていいので、ぜひ、近所に小山や雑木林があったら、のぞいてみませんか。
山なんかない?いいえ、どんな場所でも。庭や公園でも、ふっと気づくと、その一角が白くふんわりと輝いている・・ユキヤナギの小枝の束です。桜ばかりでなく、楽しみは様々です。
   
どうぞ、よい春の日を。

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