2018年4月30日月曜日

39回目だそうです 森とオーケストラ

「クラシックには人を優しくさせる力がある」

 誰の言葉でしょう・・・宗次徳二さん。69歳。
こういわれても誰の事かわからない。でも、「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)という名前なら、どこかで見たことがあるかも。街角で見かけるカレー屋さんです。そのお店の創業者がこの人。

 2007年、28億円の私財を投じて、名古屋市に音楽ホール「宗次ホール」をつくり、千円、2千円台のコンサートを開催。若手演奏家の活躍の機会をつくり、ファンを広げ、昨年の年間公演回数は374回。2位の東京文化会館小ホールを引き離して全国1。今ではクラシック音楽界で重要な位置を占めつつあるといいます。
 ここまで聞いて、「偉い人がいるもんだなあ。そういえば、ずっと昔、国による社会保障も文化支援もない時代には、豪商は地域の文化・教育のためにお金を出していたものだよなあ。今は内部留保でため込んでいるばかりだけれど」などと思うのが、まあ、順当な感想かと。
 でも、新聞記事を読んで、「エッ・・・」   宗次さんはこんな人 
               (朝日新聞3月25日 より)
 「生みの親を知らず、児童養護施設で暮らすところを養父母に引き取られた。養父がギャンブルに金をつぎ込み、食うや食わずの生活が続いた。高校1年の時に養父ががんで亡くなり、養母と二人暮らしに。生活は苦しく、登校前には豆腐屋でアルバイトをして家計を支えた。そんなある日、養母が勤務先で白黒テレビを譲り受けてきた。チャンネルをひねると、クラシック音楽の番組を放送していた。メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲。貧しさから生じる心のうっ屈を、弦楽器の旋律が癒してくれる気がした。
1978年に愛知県内にココイチの1号店を開いて以来、妻の直美さんとの二人三脚で全国有数の飲食チェーンに育たてあげた。」
  ここまでもすごい。努力と成功物語 …でも、どこか自分とは遠い世界と思う人も多いかもしれません。フーン と。

「経営から退くと、次の日からまったくやることがなくなった。
さて、何をしようかーー。預金通帳を開くと、有り余るほどの大金が入っていた。
”これは世の中の皆様から『一時預かり』しているだけよ。社会に還元しなきゃ”。直美さんの言葉にうなずき、貯金を元手に社会貢献を始めようと決めた。
幼い頃のことを思い出し、道筋が決まった。
「クラシックには人を優しくさせる力がある。この魅力をもっと多くの人に伝えたい」
まずは自宅でミニコンサートを始めた。

こうして、以前と同じように働き続ける。街のカレー屋さんのように身近な音楽ホールをめざして。朝は4時に起き、デスクワークや掃除。開演前はホールの入り口に立ち、来場者を笑顔で迎える。つぎ込むお金は年間数億円を下らないという。今後の目標はシンプル。
 「ホールをお客様でいっぱいにしたい」

 世を恨み,人をねたみ、悪の世界に踏み込んでもおかしくない状況だったのに・・どうやったらこんなふうになれるのでしょうか。しかも、心にしみいったのが、もっとも生活に縁遠そうなクラシックの音楽・・・


 芸術、文化の力というのは、こういうものなのでしょうか。





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「森とオーケストラ」の話がすっかり後になってしまいました。
よく晴れた日、日傘がほしい。まわりは新緑。

 野外コンサートって、開放感があって、いい気分。
お弁当を食べたりねそべったり、アイスクリームをペロぺろやったり、こんなことは、こんな場でなければできない。広い芝生では、音楽と関係なく遊んでいる子供たちのシャボン玉がキラキラと流れている。これも幸せな雰囲気。

この日の様子は、本多優二さんの以下のブログに詳しくのっています。
http://geogunma.blogspot.jp/

 群馬で育った子供は、みんな群馬交響楽団の演奏に触れています。楽器を携えて学校にやってきてくれたから(今はみんなホールに出かけているかな)。この移動音楽教室、なんと、1947年からはじまっているとのこと。私にも記憶があります。宗次さんのように音楽が心に響いたわけでなくて、トラックから楽器をおろす姿とか、楽器の説明をする光景とか、本質とちょっと違うなあ。
この野外コンサートは、もちろん群馬交響楽団の出演です。

 ちなみに、この活動をモデルの映画が製作され、多くの人に知られることになりました。1955年「ここに泉あり」。 戦争が終わって、たった10年しかたっていないのだなあ、とあらためて思った次第。貧しい時代でした。
   監督 今井 正 主演 岸恵子・岡田英二 
   思いついて調べたら、音楽 團伊玖磨  山田耕作出演、その他、私くらいの年齢なら知っている俳優がたくさん出演されていました。
ハンセン病の施設訪問の場面もあったはず。

 様々な場所で、いろいろな時代に、多くの人の努力が重ねられているのですね。
 この野外コンサートも、来年は40回。すごいなあ。
来年も、晴れた良い日でありますように。

 学校で生徒が音楽のことを「音が苦」と呼んだことがあったそうです。悲しいですね。
幸い私はそんなことはなく、田舎の学校で楽譜も読めずでしたが、でも、楽しく歌っていたものです。外部の人を呼んできて、指導してもらって、みんなでいろいろな歌を歌って、たのしかったなあ。
最近は「歌を忘れたカナリヤ」になってしまったかも。
楽しいって、何といっても一番大切ですね。

  

 

2018年4月26日木曜日

もう新緑 ニセアカシアと絶滅危惧種

    ニセアカシア

世界中どこでも、
ニセアカシア
この花が咲くころが、いちばんいい季節 
   こんな言葉を聞いたことがあります

雨上がり、開いた窓からあま~い香が漂ってきました。 
 「アカシアが咲いている!!」

近所の利根川の土手ぎわには、ニセアカシアがもう花穂を下げていました。
今日はこの花の天ぷらを食べよう っと。
  (夕食に食べました。葉や芽には毒があるそうなので食べてはいけません)

北アメリカ原産で、世界中に広まっているようです。
上質のハチミツがとれるのはご存知かと思います。
愛される花とも思えるのですが、でも、この植物、世界中にはびこって、侵略者となっているともいえるのです。その地域にもともとある植物を追い出して広がるから。

 1873年 明治に日本移入されています。 街路樹にも、使われました。
 北原白秋の歌 ご存知でしょうか?
   ♪~  この道は いつか来た道
       ああ そうだよ  あかしやの花が咲いてる

札幌に住んでいたころ、どんなに忙しくしていても、この花の香りに気づくと、ふっと街路樹を見上げたものです。心が安らぎました。町中で味わう自然でした。
 現在は 
「日本の侵略的外来種ワースト100」、外来生物法で「要注意外来種」に指定されているのですけど。

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連休前なのに、我が家の庭ではもうフジもボタンも花は終わり。ツツジも終わり。
木々は新緑。
  毎年同じことを言っていますが 
    「春のあゆみに、ついていけない。自然のエネルギーに追いつけない。
春を味わう時間が足りない」

今年は特に足りなかったなあ。花も、あっという間にいろいろな花が咲いてしまったし。
   人の一生で、春を味わえるのは、いったい何回あるのか。
   自分の一生で、いったいあと何回春を味わえるのか。 
     毎日を大切にしなくては。

初夏の花、クレマチスが咲いています。ツル性なので、垣根などに絡んで咲いて、あふれるようです。
カザグルマ
 クレマチスの原種、カザグルマの花の栽培されたものを紹介しましょう。ヨーロッパに持ち込まれ、品種改良を重ね、多数の園芸種を作り出したという、誇るべき日本の野生種です。野生ではもうほとんどみられず、絶滅危惧種。見つかると、その美しさに、掘り取られるという歴史を繰り返してきました。



今、日本の野生植物では、絶滅危惧種がたくさん指定されています。世界中で、たくさんの種が絶滅していると言われますが、「本当??」と思ってしまう・・・でも、こうして日本でも危惧種がたくさん指定されているのを知ると、「そうなのか」とも思える。
 国でも、県単位でも、減少している動植物を調べ、指定しています。定期的に調査を繰り返し、指定の見直しをしています。
群馬県でも、現在の絶滅危惧種指定の更新のための再調査が、今年からまた始まるそうです。
人の都合で、多くの生き物がすみにくくなっているわけですが、少し反省すべきと、つくづく思います。

2018年4月13日金曜日

水の中の昆虫も動き始め

エグリトビケラ ・・・・それって何??・・・・

ぬるみ始めた水の中・・・何やら動いている・・
 テレビニュースのひとこまです。

つい最近、同じものを見てきたばかり。4月7日のことです。
標高約1000mの山の中にある小さな湿地の水たまりで。

丸く切り取られた葉っぱが、水たまりの底に沈んでいました。   「これな~んだ」
 下は同じく水底で見つけたもの・・・こちらは丸く切り取られた部分です。
切り抜いたのは誰でしょう。
人ではありません。
 これを利用してつくられたものが、
 下の写真。
筒状に丸めた葉っぱと、それをペタンとはさんだ2枚の丸い葉。


 筒の中には、柔らかイモムシ状のものが入っています。白い身体がちょっと見えていました。エグリトビケラといいます。

切り抜いたのはこの虫。
うまく丸く切り取るもんですね。

 これ、昨年はじめて見つけました。水辺に立っていた時、ふっと、落ち葉が動いたような気がしました。目を凝らすと、左写真の姿が見えてきたのです。一緒にいた人たちを呼び集めると、”あそこにもいる、ここにもいる!!”
 この場所には、もう10年も前からきています。そんなわけで、水底をのぞき込むことも多かったはずです。
写真のように、アカハライモリもいます。
 エグリトビケラは今までいなかったのでしょうか・・・でも、7年前に水生昆虫を調べている人に来ていただいて調べてもらったとき、そのリストの中にはエグリトビケラがあるのです。
  ・・・・私たちには、見れども見えずだったのでしょう。

 「はじめてわかる、気づく」というのは、難しいこと。
一度わかると、次からは簡単に目に入る、わかる・・・そんなことを単純明白に体験したような気がしました。

ところで ビケラって、何? ~~~~~ ちょっと解説 ~~~~
 水の中に住む昆虫の一種です。
トビケラ、カワゲラ、カゲロウ・・・川の石の裏なんかに張り付いていたりして、釣りをする人ならエサにしたりするので少しは馴染みがあるかも。でも、見分けはつかないし、トビケラ、カワゲラなんて、名前まで似ている。
 じつは、トビケラはカワゲラやカゲロウと違って、進化の進んだ昆虫で、完全変態するのだとか。つまり 幼虫→さなぎ→成虫 と変化する。言ってみれば、水の中のミノムシ。エサ取り用のネットを張ったり、筒状の巣をつくってそこに小石を張り付けたり、いろいろなのがいますが、池や沼のような流れのない水に住むものは、落ち葉や枯れ枝などの軽い材料で筒状の巣をつくり、巣を背負って水底を歩き、たまった落ち葉などを食べている。泥の中に沈みこまないように、軽い落ち葉を2枚合わせて、平たい形の巣をつくっているのもいるとか。エグリトビケラは両方の性格をあわせもっているように見えますね。

これらの虫を調べると水質がわかるので、環境調べに使われることもあります。
人とはかかわりなくひっそりと暮らしているように見えるのですが、実は自然を語ってくれているわけです。
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 昨年の4月初旬、この場所は雪に埋もれていました。
セッケイカワゲラ 小さな虫
スノーシューをはい(初めてはきました)、楽しいけれどクタクタになりながら登ってきました。雪の上には何やら小さな昆虫が。セッケイカワゲラです。
ところが今年は春が早く温かく、すでにカタクリがつぼみをつけていました。
 我が家からここまでくると、季節をさかのぼっているようでした。標高の低いところから高いところへと植生が変わるのを、植物の垂直分布といいますが、季節の変化も味わえるようでした。
1週間前の姿になりますが、その変化を、ちょっとばかり紹介します。
  今年の4月7日がほとんど。6日もいくつか。

今年は春がとても早い。我が家で、学校の入学式の日にソメイヨシノが見事なことも多かったのに、今年はすでに散っていました。

標高60m 我が家付近 枝垂れと八重桜が満開
標高115m ハナモモが見事。立派なカメラを抱えた人が
やってきて、光と形のアングルを、工夫している様子でした
標高430m 山には残雪 ソメイヨシノが咲いています
標高510m コブシと桜が咲いています
サクラは何桜?立派な木でした

標高640m 里山の雰囲気いっぱい
サクラと梅が一緒に咲いていました
標高820m 家の周りに水仙がいっぱい
周囲は春浅い雰囲気


標高1050m 木のまわりから雪が溶けていきます
標高1050m 雪が解けたとたん、ひだまりでは
カタクリのつぼみ
春は麓からやって来て、山を登っていきます、   春を存分に味わいました。



2018年4月9日月曜日

里山散策は新緑と花の季節

あっという間に季節は進む
    春の野は、山は、毎日のように姿を変える

たった1週間で、ソメイヨシノはすっかり葉桜、八重桜も満開、街路樹を彩るのはアメリカハナミズキの花。今年の季節の進み方は、早いなあ。入学式が満開の桜の下、ということも多かったのに。

ちょっと忙しくて、移り変わりを報告できなかった・・・
  目に残ったものを少し紹介。 
        いまさら桜でもないのですが・・・
4月4日のこと
満開の公園のしだれ桜。長く垂れた花をかき分ける濃い桜色のおそろいの服を着た二人の女の子。飽きもせずに走り回っていました。 ~~花と妖精~~
脇には寝ころんだお母さん。
しあわせそうだなあ。
 これからの人生、いろいろなことがあるでしょう。辛いことも。でも、こんな幸せな一瞬をたくさん積み重ねていったら、心のどこかの貯金になって、乗り越えていけるよね。

 こちらは八重桜。
この花の下を、男性の乗った車いすを押しながら、二人の人が歩いていました。一人は奥さんでしょうか。もう一人は若い男性。息子かな。車いすの男性は、年配というほどでもなく、わりに若い感じでした。
大変だろうな・・・こうしてうららかな、穏やかな日、サクラを楽しんで、ひと時の幸せを味わっているかのようでした。

 最近はソメイヨシノ以外の桜もあちこちで見られるようになってきました。サクラは人に愛されて、たくさんの品種が作られ、植えられてきたのだなあ、と、つくづく思います。

「サクラの咲くころ種をまく」
少し高温の方がいい種類では「八重桜の咲くころ蒔く」と説明されています。
早く種まかなくちゃ。春は忙しい。  今年は特に気温の高い日が多く、大急ぎです。
  でも私の住む付近は雨が降らず、なかなか芽がでない・・・
~~~~~~~~~~~
このころの里山は、とても素敵。
毎日のように出かけたいけれど、そうもいかない。
今頃見られるものを少し紹介。
ウグイスカグラ
ウリカエデの花
 4月2日
高崎観音山の丘陵で。
サクラもたくさん咲く。
ソメイヨシノに続いて咲くヤマザクラやカスミザクラなどらしい。調べた人に聞いたのに、他の種類は忘れてしまった・・・

観音山の丘陵は、西へ南へと続きます。その丘陵の南東端には上野三碑と呼ばれる、7世紀から8世紀にかけての古代の石碑があります。ユネスコの「世界の記憶」に昨年登録されたという、大切なもの。この丘陵には以前から高崎自然歩道が整備されており、どなたが設置したのかは知りませんが、万葉の歌を刻んだ石碑が道に沿っておかれています。

きれいなハイキング道で、新緑に山の桜が映える頃、いいですよ。
こんな花も見られます。4月5日の様子。

新緑に桜、自生する野生のカスミザクラです
マルバアオダモ ふわふわとした花

モミジイチゴ おいしいイチゴ
クサボケ
ヤマツツジ
ニガイチゴ
ルリタテハ
コナラの芽吹きは柔らかな銀ネズ色
ルリタテハ裏面
毎年見るけど,飽きない花、蝶たち。
スミレの仲間やキジムシロなど他にもおなじみたちがいます。
ミヤマセセリ
早く動き過ぎて、写真、とれない。
以前の写真を載せます。

身近な里山で、きっとこんなものたちに出会えます。
早春の散策に、里山も加えてみませんか。



この付近は昔から人が利用した地域です。沢の水は使いやすく、雑木林の木は燃料になり、きっと住みやすい場所だったのでしょう。
利根川のような大河は、いつ洪水で流されるかもわからず、川を手なずける技術を手に入れるまで、平野のような場所は、住むには大変な場所だったことでしょう。今でこそ平野部は、産業活動の中心になっていますが。

里山は人が作り出した自然。
人と生き物が作り出した自然。何とも言えず穏やかな気分になれる場所です。
今、手間がかかりお金にならない里山仕事はされなくなってきています。里山に見られる生き物も減ってきているといいます。
 そうか、タダで楽しめるものではなかったのか・・・
 穏やかな自然とそれを作りだしてきた人々に感謝です。