2015年2月1日日曜日

地質案内その11 下仁田の鍾乳洞

下仁田に鍾乳洞があるってご存知でしたか?

・・・鍾乳洞・・・・

石灰岩が水に溶かされて洞窟ができ、そこでは、ぽたぽたと滴った水で、鍾乳石や石筍などが育っている・・・そんな場所・・
山を越えて南に、上野村まで行けば、上野村には観光客に公開している鍾乳洞があります。
石灰岩体は秩父帯の地層中にポツポツとみられ、神流町の叶山は、山全体が石灰岩で、秩父セメントがこの山を採掘しています。そのうち、山が一つなくなるかも・・・
  石灰岩のある所、鍾乳洞がうまれる可能性があります。

下仁田では石灰岩はどこにある?
大規模な岩体はありませんが、
青倉石灰などの名前があがります。図の「石灰岩採石場」の所です。

石灰岩は、サンゴ礁が元になっていることが多いとか。古生代のサンゴ礁だったりで、ずいぶん古い時代のものが多いはずです。というわけで、日本列島に連なる秩父中古生層(秩父帯)には、石灰岩があちこちでみられます。

下仁田でいちばん大きい鍾乳洞は下郷(しもごう)鍾乳洞といいます。場所を見ると、
「あれ・・秩父中古生層地域でなくて、クリッペ地域にある!?」
クリッペ(根なし山)をつくる地層で思い浮かぶのは、中生代の地層、約8000万年前の跡倉層。でも、じつは他の時代の岩石もあります。クリッペの四ツ又山は分布する岩石が複雑で、跡倉層・マグマからできた約1億年前の石英閃緑岩、さらに石灰岩も見られるそうですから、この付近に石灰岩があっても、不思議はないわけです。

ここに行ったのはずいぶん前のこと。少し長めに歩いて、ちょっとした崖の上の方にある鍾乳洞の入り口までのぼり、ぞいてみました。この鍾乳洞の入り口までは斜面になっていて、そこに張られたロープにつかまったまま怖がってワイワイ大泣きしていた女の子がいたなあ。すっかり大人になっているはず。たくましくなったかな。   
                                下仁田自然学校作成の冊子より          

                     黄色く塗った部分は跡倉層、石灰岩はその上流にあります。
 

自分でとった写真がないので、堀越さんのアルバムから転載させていただきます。

壁に沿って石灰分が成長しているようですが、上から垂れ下がる鍾乳石と、下から育っていく石筍がくっついているのかもしれません。

人は、きれいな鍾乳石などみると、折り取りたくなるようです。多くの鍾乳洞で、折り取られたりしている・・・下仁田でも。
岩手県の龍泉洞に行ったとき、新しく見つかって公開し始めたという場所があって、そこでは繊細なつくりの様々な鍾乳洞生成物が見られました。きれいでした。壊されないように管理には気をつかっているのでしょう。写真撮影もダメでした。
下仁田の小さな鍾乳洞でも、かつては、きれいな鍾乳洞の生成物がもっとあったかもしれません。

南牧村のかつての砥石産地近くにも鍾乳洞があるそうです。広さ8畳ほど、高さ4~5m、いえ、もっと高いかも・・・洞窟って、ちょっと行ってみたくなりませんか。
石灰岩には、石灰岩を好む植物が育っていたりします。下仁田自然学校名誉顧問の里見哲夫さんは、何種類もの好石灰岩植物を観察しています。最近も、かなり希少なものを見つけていらっしゃいます。また、石灰岩は、古くから産業に利用されてきました。古文書にも記録がありますが、下仁田のかつての小坂鉄山の製鉄にも(日本最初の近代的製鉄所だったそうです)、富岡製糸場の漆喰にも、下仁田の石灰岩が使われています。採掘した場所が、「このあたり」としかわからなくなっているようです。
フズリナ化石の見つかるところもあります(化石はあまりたくさんはありませんが)。
里見さんは、下仁田の石灰岩の分布をちゃんと調べて、人との関わりの歴史も調べて、植物も加えて、冊子を作れないかなあ、などとおっしゃっていました。地域の自然と歴史の記録・・・・調べるの、宝探しみたいで、おもしろいかも。


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