2019年2月26日火曜日

訃報に思う ドナルド・キーン



私のような年齢になると,著名人の訃報には、どこかで慣れ親しんだ名前が多くなります。
ドナルド・キーンさんの死去が伝えられていました。96歳。
世界に日本文学を広めた人といわれ、新聞紙上にも時折論説など載っていたものです。2011年、東日本大震災後に日本国籍を取得されているという、日本を愛してくれた方。いったいどこからこの心が生まれたのか・・戦時下の兵士の日記からだという。


思わず目頭が熱くなるような・・人と人は、こうして互いに知り合うことから理解が生まれ、平和へとつながる…そんなことを思いました。

 戦没画学生の絵を展示している無言館の紹介を紹介した折、埼玉市で9条を織り込んだ俳句が公民館だよりに掲載を拒否され、裁判になっていることを書きました。この裁判、訴えた側の勝訴が決まりました。うれしいですね。
気に入らないと切り捨てるのでなく、敵側の兵士の中に人間を見ることのできたキーンさんのような心を、多くの人が持てるようにと願います。紹介記事を載せます。



 
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 明け方、見上げる位置に半月がかかっていました。
少し前には、同じ時刻のころ、西の空に明るい満月を見ています。スーパームーンと言われた、明るい月でした。
 ♪~ 月がとっても青いから、遠回りして帰ろ ~ こんな歌が思い起こされました。
そうか、これはスーパームーンの空だったに近いない。

 前日の夕刻は曇り空で、少し雨も降っていました。久しぶりの雨を吸った大地は、明け方、息づくように湯気を立てていました。
畑いっぱいに咲く雑草・ホトケノザがボタン色に地面を彩り、 
 「ああ、もうじき春がくるんだ」と 心温たたまる想いでした。




大地が湯気を立てているようでした。
 朝霧に煙る光景
 手前の赤紫は 畑一面を覆う雑草
  ホトケノザの花





2019年2月17日日曜日

野鳥キクイタダキがいたそうです

朝の風景 

   朝起きて窓の外をちょっと見ると、気持がいいものですよ、と書きましたが、
  「そうだ、写真撮ろう」と。カメラ取りに行っているうちに、
  ちょっと見栄えが・・ピントもあやしい・・・ですが・・

 早朝の光景も、日の沈む夕焼けの輝きもいいものですね。「沈黙の春」を書いて、環境汚染を訴え、自然保護を人々に伝えたレイチェル・カーソンは、自然に親しみ自然に浸る気持ちを豊かな表現であらわしました。

日の出前の東の空

56歳で亡くなった彼女が、小さな甥のために書き始めた本があります。
 「センス・オブ・ワンダー」 
もし見かけたら、手に取ってみてください。ほんの書き出しほどで、彼女の命が尽きてしまったのが本当に惜しまれます。
見過ごしていた美しさに目を開く一つの方法は、自分自身に問いかけることだと、彼女は語ります。
美しい星空を見ての一節
 「もし、この眺めが1世紀に1回か、あるいは人間の一生のうちにたった1回しか見られないものだったとしたら、この小さな岬は見物人であふれてしまうだろうと考えました。


 けれども、実際には、同じような光景は毎年何十回も見ることができます。そして、そこに住む人々は頭上の美しさを気にもとめません。見ようと思えばほとんど毎晩見ることができるために、おそらくは一度も見ることがないのです」 センス・オブ・ワンダーより


烏川の川べりでは 野鳥観察の人々

 私の住む玉村町には、白鳥がやってきます。でも、去年は見にもいかなかったなあ。
風がなく晴れていたので、健康のための運動がてら、自転車で出かけました。そんなに広くはない面積の町なのです。

川べりの公園には、写真のような人たちが。
どうやら野鳥観察。

ハッと気づいたのは、双眼鏡持ってこなかった!一応、鳥を見るつもりだったはず。まあ、いいか。

 そっと端を歩いて、小声で聞いてみました。「野鳥観察ですか」「うん、キクイタダキがいる」。ざっと数えて17名の人たち。えーっと、どんな鳥だったっけ・・・
お願いしたわけではないけれど、ご自身の写真を見せてくださる。「いちばん小さい鳥。5gだよ。5g。頭の黄色がいい。今、木の上にいるけど、下に降りたときでないとこういう写真は撮れない。ちょうどそこの水路に下りたときがあってね。」頭の黄色が魅力的なきれいな写真でした。松の木をちょこちょこ動き回っているのがキクイタダキらしい。今2匹、1ペアがいるとか。1か月半通って、7回見られただけ、とか。
「野鳥の会ですか」「いや、これだけいて、会員は一人だけ」
どうやら写真を撮ることが目的らしい。しっかり防寒対策して、じっと動かずに待つわけですね。
 キクイタダキの姿は、図鑑やネットでご覧ください。なかなかかわいい鳥ですね。
針葉樹の所にいる鳥のとのことです。

ところでこのおじさんから言われました。「今年は白鳥はいないねえ。下流の方に少しいたかな」   えッ、毎年いるものだと思っていた。そういえば、近所の利根川には「白鳥飛来地」という古びた看板が たっていたことがあった。でもそこで白鳥は見たことなかった。変わっていくのですね。  


川辺にたくさんの鳥が休んでいます。オナガガモ、ヒドリガモ、オオバン、カルガモなどかな
オオバンは最近姿を見せるようになったのだそうです。ここでも目に留まりました。

冬の水辺は北国から渡ってきた鳥たちがたくさんいて、とても賑やかです。
川や池があったら、ちょっと目を向けてみませんか。




 

2019年2月11日月曜日

下仁田の蛇紋岩岩体

 季節の足音 

我が家のフクジュソウ
北海道には最強の寒波
我が家の庭にはフクジュソウが・・・春はちゃんと準備を整えています。

 昔札幌にいたころ、新札幌のある丘陵地帯では、早春、木々がうっすら芽吹きを始める頃、林の下や道のすぐ脇に、当たり前のようにフクジュソウが咲きました。野生のものだと思います。野生のものなんて、そこに住むまで、もちろん見たことはありませんでした。
 近所には、広大な面積の平地の林、野幌森林公園があり、林床には様々な野生の花が咲いていました。今なら絶滅危惧種に指定されているものが、たくさん。その公園区域から外れても林が続き、同じような花がたくさん咲いていました。新札幌駅の隣の駅、JR上野幌駅は当時無人駅で、周囲には林が広がり、こうした花々に当たり前のように出会いました。早春、沢沿いにはミズバショウやリュウキンカも顔を見せていました。今は、ほとんど住宅地等に開発されていると思います。
 ここ数十年で多くの植物が数を減らし、絶滅危惧種に指定されています。
 北国の早春の林床の花々の美しさを、とても懐かしく思い出します。そして、夏にかけて次々咲く花々の美しさも。
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 下仁田にはぽつぽつと蛇紋岩岩体があるそうです
  ~~三波川帯には、結晶片岩の中に、橄欖岩、それからうまれる蛇紋岩岩体が
         あるのだとか~~
 
このブログを始めたきっかけは、下仁田周辺の地質紹介をするためでした。
最近、そうした紹介はご無沙汰になっていますが、時には取り上げてみようかと。

 かつての調査の記録が報告書や論文として残されています。これらの文書は小説を読むような面白さはありませんが、記録としての面白さと役立つ面があります。
下仁田自然史館という地関連質のものを主に集めている場所があります。そのすぐ近くに、蛇紋岩の岩体があり、それを昔掘ったという話を聞きました。でも、地元の方は、何に使ったかわからない、と。
家の裏に釜が4つあったとか、ご存知なのですが、子供のころのことで、それ以上はわからないと。
すると、その資料を見つけてくださった人がいます。
 何しろ、1950年の報告書ですから、かなり読み取りにくいですが、感じだけでも。
終戦後、物資不足の中、とにかく利用できそうなものを全国で探した時期があったようです。
その一つだったのでしょう。蛇紋岩を採掘して、焼いて出荷したというのです。探していただいた文書を読むと、耐火煉瓦に利用しようとしたようです。下仁田は鉄道も通っていて、トラック輸送も確立していて、条件は良いとみられたのでしょう。図の左下が岩体ですが、ここからさらに少し道を南に行くと、白石工業白艶華工場があり、石灰の微細粒子を製造しており、そのためトラック輸送も完備していたわけです。
 地下資源としてはそれほど価値をうまなかったようで、昭和21年9月には休山と書かれてあります。ですが、蛇紋岩、橄欖岩(カンラン岩)、角閃岩などと、めったに見られないような石たちの名前を聞くと、興味津々の気分もしてきます。
 教科書に出てくる三波川帯という地域、庭石に使われた三波石のある地域とかも含めて、そういった場所には、点々と超塩基性岩(蛇紋岩とか橄欖岩とかいった石)が見られるのだとか。こんな石は地下深くに関係するようで、興味も湧きます。
下仁田にも、そういった地域に入る場所があるわけなのです。
  こうした文書、先人の残してくれたもの、これも大切にしたいですね。

 この土地の持ち主の方にこの資料をお届けしましたら、とても喜んでくださいました。
じつは以前に案内していただいたことがありました。「よく覚えていなかったが、道があるのを思い出した。楽に歩けるよ」と。そこを今度案内してくださるとか。ちょっと怪我したので、直ったら、とのこと。ありがたい話です。よろしくお願いします。




 


「この裏には釜が4つあってねえ」「この道を上の方に上って行って」「ここにトラックが入ってきて運んだんだ」 等々、地元の方のお話の通りのことも書かれてあります。
「裏にレンガを使ったところがあるよ」・・もしかして、耐火煉瓦?
時間がなかったので、後ほど見せていただく約束をして帰りました。

 道脇の石垣には、ぽつぽつと蛇紋岩も使われています。
 奥まで行けなくても、ちょっと通りがけに、こんな石を見て、地域の自然に思いを巡らすのもいいですね。




2019年2月3日日曜日

星もきれいな季節 街路樹の紹介

 

最近は朝早めに目が覚めるようになりました。これって、年のせい・・・若い頃はいつまでだって寝ていたかったはず。

いいこともあります。
 寝ている場所が東の空が良く見える所なので、夜明け前から明け方の空の美しさを味わえます。最近は明るい星と月がきれいに並んでいて、ステキ。まだ日の出が遅い季節なので、6時近くでも空は星の世界です。
 新聞に、月、木、金そろい踏み、という写真があって、そうか、きれいな空なんだよね、と。写真ではよくわかりそうもないけれど、写真はとりあえず2月2日朝の東の空です。細い月と金星、木星でよかったかな? 土星も見えてくるようです。
 この前日もそのまえも、位置を変えながら、月と星がきれいに並んでいました。この写真の日より、もっと素敵だったかな。

 私は星の動きも星座の位置も、ほとんどわからないのですが、今どきはネットに載せている人がたくさんいるわけで、その気になれば、あれこれ探せば多少のことはわかるはずです。
そんなの興味なくても、寒い日、ガラス窓越しにながめているだけでも、気分いいものです。最近でも、月がやけに明るい日もありました。そんなスーパームーンと呼ばれる日もあるようですから、時折、夜空や明け方の空を見上げてみませんか。

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こんな実がたくさん落ちていました
3つに分かれた実は、白いロウのような
ものでおおわれています。
前橋方面への道を車で走っていると、ず~と続く街路樹に、たくさんの実がなっていました。
場所を書けば、県庁から南方向へ、ゴミ焼却施設の東側を走る道沿いです。

 以前、植物好きの方と一緒にこの道を走った時、「えーっと名前は・・よく知ってるはずなんだけど、出てこない」。
 最近街路樹によく見かける木で、「ナンキンハゼ」でした。ハゼは昔ろうそくをつくった木の「ハゼノキ」のハゼです。ナンキンですから、中国かどこかからやってきたのだろうと見当がつきます。調べれば、原産は中国、台湾と書かれてありました。ろうそくをつくったような・・
ホワイトチョコでコーティング?

実には火がつきます
ろうそくだったら燃えるだろうと、火をつければ、よく燃えます。
割ってみれば、まるでホワイトチョコレートでおおわれたお菓子のようです。



 実に火をつけてみたのは、私が考えたのではなくて、以下に載っていた事。種苗会社のサカタのタネのHPにある、「東アジア植物記」という連載に紹介されていたものです。
サカタ種苗に長く勤務されていた方が、いろいろな植物を紹介しているページで、植物が大好きなのだなあと、伝わってきます。ナンキンハゼについても詳しく書かれ、燃やす実験ももっと細かく丁寧に、さらにはろうそくも作ってみたり。好奇心いっぱいなのだなあ、と。
https://shop.sakataseed.co.jp/m/r/GgslgeLBioAxoFAcXpbu

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前回、展示会の紹介をしました。
じつは今、私たちのグループ 兜岩研究会も少し参加させていただいている展示会があります。
  群馬県立自然史博物館の特別展
      ぐんまの自然の『いま』を伝える    
                      です
県内で活動している人・団体がそれぞれ、今こんなことやっています、こんなことがわかりました、ということを持ち寄って、ポスターなどで展示するという場です。
お互いを知り合い、交流する場にもなっています。高校生の発表も見られます。
ここだけ見るなら,無料とのことです。

 私たちのものは、
  兜岩層の昆虫化石  です。

群馬県西部から長野県付近に、多くの化石を産出した場所があります。よく知られた山・荒船山の近くです。

 ここにはかつての湖にたまった地層が分布していて、木の葉化石もたくさん見つかるけれど、非常に保存の良い昆虫化石が産出し、採集されていました。羽虫の類の小さな弱弱しい虫の触角まで残っているのですから、びっくり。今は国定公園なので、原則採集禁止、特別な許可のある時だけ採集できます。もっとも、そんなに簡単には見つかりませんけど。
 これを大変な努力でたくさん採集された茂木伊一さんという方がいらっしゃいました。300点を超える化石はご家族が大切に保管され、散逸することなく残されていました。その化石の同定をできる方が参加されて、貴重な化石の研究が始まっています。同時に、植物化石の同定も、産出した地層の調査も。
展示の様子です
ポスターに拡大写真と解説が書かれています
こうしたところにも足を運んで、いろいろな方々のようすをご覧になるのもいいことではないでしょうか。