下仁田町の化石
野山で石や地層に親しんだことのある人には 「化石探しが大好きな人」 が
きっといると思います。
普通に生活していると、「化石」は 「いったい、どこに行ったらあるのかわからない」もの。
こころみに「化石を自然の中で見たことある人」と聞いたら、きっとほとんどいないと思います。
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下仁田では、いろいろな時代の化石が見つかっています。
表にしてみました。
下仁田自然学校文庫⑤「下仁田町と周辺の地質」2009年 にのせられたものからの作成です。
下仁田層
下仁田では、町の真ん中で、地層の中の化石を簡単に見ることができます。
下仁田駅のすぐ近くの西牧川の河原に行けば、貝の化石が見られます。
場所は下仁田の「中央構造線」が見られる付近。その北側、川の上流方向の河原で貝の化石が見られます。
地層は下仁田層といい、砂岩や泥岩の固い地層です。
写真に黄色で小さく、「中央構造線」と書かれてありますが、その手前に見える下仁田層に、貝の化石が・・・・・・まさに、街中の化石。
ぱっとしない写真ですが・・・ |
できの悪い写真でスミマセン。でも、こんなのならすぐに誰にでも見られます。
この貝はどうやら2枚貝。しかも
貝殻が2枚合わさっていたりします。
そう言われても、2枚貝といえば味噌汁のアサリを思い浮かべ、ちょっとイメージが・・・・アサリを縦やら横やらに輪切りにしたイメージを思い浮かべる必要があるわけです。
本当は、せっせと貝を切ってみたら、一目瞭然なのでしょうけど。
死んだ貝の貝殻は、ばらばらになって流されてつもります。
ここのものは2枚の殻があわさったままということで、どうやら、流されたものではなく、ここで生きていたもの。こんな場合は、現地生とよびます。
化石もそれほど密集してはいません。
植物の化石も見つかります。
よく探すと、巻貝も見つかることがあります。少数ながらサメの歯、カニなどの甲殻類も見つかっています。
イガイの化石 この貝は、もともと密集して生息しています もうちょっとでハート型にみえそうなのもありそう?、ちょっと無理か・・・・ 写真: ジオパーク推進室
化石の種類から、時代や環境がわかってきます。
この地層は約2000万年前に海に堆積したもので、北方のやや冷たい海、ということがわかります。
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下仁田層は固く、化石はそれほど密集していませんから、化石を取り出すのもけっこう大変だったりします。
とはいえ、観察の適地でもあり、多くの方々により、調べられてきました。
今までに30種類以上の貝の化石が報告されています。
多く見つかるのは、シラトリガイの仲間、カガミガイ、キララガイ、イガイといったものです。
下仁田自然史館の入り口のガラスケースには、下仁田層の化石が展示されています。実物の名前等知りたいときには、ご参考に。
化石写真 下仁田自然学校文庫の本より |
なお、化石産地は乱掘されると破壊されてしまいますので、保護も必要とされます。採集と保護の兼ね合いも、ジオパークが果たしていく役割なのでしょう。
1998年に、森平利政さんは採集の化石を大森昌衛さん(故人)に鑑定していただく機会がありました。
その時のリストを以下にのせます。
*印は中新世の示準化石です。
示準化石とは、その時代だけに生きていたことが知られている生物の化石。
ということは、その化石が見つかれば、その化石を含む地層の時代がわかるのです。
たまには、もっと昔の化石が転がり込むことがあるかもしれませんが、下仁田層の場合、その時代に生きていて埋まったもの(現地生)と考えられますから、はっきりと時代が決められます。
中新世とは新生代中新世で、2300万年前~530万年前の時代になります。
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化石探し大好きな、下仁田自然学校の本多さん、ご自身のブログで、化石探しのための基礎を解説されています。持ち物から、採集の際の注意点などが書かれてあり、このページは、400回を超えるブログのなかでも、閲覧者数のベスト10に入っている、というより、第4位だったそうです。
みんなに望まれていた内容だったわけでしょう。
下仁田ジオパーク応援団
私の体験的”化石探し”講座 2013年3月のものです
http://geogunma.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
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季節の便り
春のこずえを飾る花たち
秋に葉を落とした枝、と思っていると、そこを真っ先に飾る花々があります。
早春の山で、ふっと気づくと咲いている花たち。
里山歩きの楽しみ
ダンコウバイの丸い花房が咲いています 不通渓谷にて |
アブラチャンは日の当たる道端のあちこちに黄色い花をつけています 雪国ではこの木でかんじきを作りました |
早春の木の花には黄色いものが目立ような気がします。
これは4月初旬の甘楽町の
山沿いの道端に咲いていた花たち。下仁田にも、もちろんたくさんあります。
アブラチャンの花はダンコウバイによく似ていてまちがいそう。甘楽地域では「ずさ」とよぶそうです。
まるい花の塊に少し柄があるのが、ダンコウバイと違います。
ちょっと赤っぽくて目だちませんが、よく見ると花。 フサザクラといいます |
花穂の下がる黄色いキブシ
ゆらゆら揺れるかんざしが思い浮かびました。
もう少しすると、アブラチャンにちょっと似た花の クロモジ が咲き出します。
早春の木の花で有名なのは、マンサク、
「まず咲く」から付いたといわれる名前をもつ
花です。
ですが、下仁田付近では、あまり見ることはありません。
アブラチャン・ダンコウバイ・クロモジ
どれも、枝を折るとさわやかないい香りがします。
折るのは気が引ける・・そうしたら、ちょっと枝の皮をひっかいて見みてください。
いい香りのクロモジの枝は、和菓子にそえられる高級ようじに使われます。
みんなクスノキ科クロモジ属の木。親戚関係です。
クスノキ科には、いい香りを持つ木がたくさんあります。
モミジにも花が咲いている |
近所の神社では、ソメイヨシノの隣で、モミジが花の蕾を下げていました。小さな気づかれないような花です。
春早くには、いろいろな木に目立たない花がいろいろ咲いているものです。
ちょっと目を向けてみませんか。
大きな木々の梢を見上げると、枝先がほんのり赤い。
赤といっても、下の写真のようだったりですが。
赤いのは、花の場合もあれば、芽の場合もあります。
花の場合はカツラが知られているでしょうか。カツラの芽は赤いのも緑のもあります。
アイヌの人たちはこの木で丸木舟を作り、またその木の姿の美しさから淑女にたとえた木です。
下仁田だったら、下郷鍾乳洞の入り口に大きな木があったのを思いだします。
枝先が少し赤く見えませんか 不通渓谷にて |
「木の芽は緑」と単純に思っていると、じつはもっと多彩です。赤みがかった木の芽、ありますよね。庭の垣根に植えるカナメモチを思い浮かべるかたもいらっしゃることでしょう。
葉の出る前、芽がふくらんできたときにも、梢が何となく赤っぽくなってきたりします。
写真程度では、「茶色だろう」と言われてしまうかもしれませんが・・
赤は、芽を食べる害虫、昆虫たちに見えない色なのだそうです。動くことのできない植物は、虫に見えない色で、小さな芽を守っています。
「柿の芽は緑だよ。虫に食べられないのかね」・・・・・生き物はみんな違っていて、それぞれが多種多様な戦略をもつのです。多様なところがいいところ。みんな同じじゃダメなのです。
赤い芽も緑の芽も、それぞれ生きのびているのですから、自然の中で役割を持って、うまくやっているのでしょう。
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頭を出したツクシ、そろそろ ツクシシーズンも終わりです。
我が家の近所の空き地では もう一面のツクシでした。
絵手紙 小林生子さん |
スギナもはえてきています。スギナの胞子を作る場所がツクシです。
フキとフキノトウみたいな関係です。ただし、ツクシの頭にできるのは、種でなくて胞子です。
スギナ(ツクシ)はシダ植物のグループにはいるといわれると、エッと思う人もいるかも。
これからの季節、やたらとはえる庭や畑の雑草として、憎まれ役になるのですが・・
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