「遺跡」 と 「大規模な火山灰の地層」のある場所
金剛萱
下仁田自然史館の近くに金剛萱という山があります。
ここでは2007年から,さらに2008年からは毎年、春と秋に調査・発掘がおこなわれています。
金剛萱は標高788mの山で,おもに古い昔の海底火山の噴出物が変化した岩石でできています。秩父中・古生層とよばれる古い時代の岩石です。
その山頂近くで、たまたま石器が見つかったのです。しかも3万年前という、古い時代の石器が。旧石器時代の石器です。
群馬県には、岩宿遺跡というとても有名な遺跡があります。なぜ有名かと言えば、それまで日本には旧石器時代には人が住んでいないと思われていたのに、岩宿の旧石器時代の地層から、石器がはじめて発見されたから。人がいた!!
1946年、敗戦後すぐの頃のことでした。考古学に夢中の貧しい青年が,自力で見つけたものでした。
群馬の西の端と東の端に、3万年前、人がいたわけです。
群馬の西の端と東の端に、3万年前、人がいたわけです。
旧石器時代の地上には厚い赤土の層が残されています。何十万年もかけてつもった赤土の地層です。赤土の元は火山灰、つまり、当時はそんなに火山灰が積もるほど火山活動が活発だったわけです。そんな時期、そんな場所に人は住んでいなかった,住めなかったというのが常識だったのです。そこで、赤土が出てくると、「発掘終わり」と、誰も発掘しようなどと思わなかったのだそうです。
この遺跡の発見のきっかけも、火山灰の調査でした。コンニャク畑の造成でできた崖に、厚い火山灰の地層があるのを下仁田自然学校の関東火山灰研究グループが見つけたのです。その場所では、厚い火山灰層ばかりでなく、畑の土の上に3万年前の石器が発見された!!
厚い赤土の地層と旧石器時代の石器、この両方が見られる貴重な場所
これが金剛萱なのです
それにしても,昔の人は
ずいぶん山の上を歩いたのですねえ・・すごいなあ。
左の写真で見てください。
山頂には祠が奉られています。これは江戸時代末期のものです。
写真提供は野村哲さん
下の写真は方向を変えての撮影です。南牧村の青倉石灰の採掘場所だった所から見たものです。
遺跡の発掘場所は頂上からは少し下ですが、それでも標高650m~700mの場所です。自然史館の標高が標高300mほど、
うねうねと登る林道はとても長く感じられます。あらためて、
「昔の人はすごい」
畑を作った場所は,もともと少し平らで、調べてみると,地滑り地だったことがわかりました。
そこに降り積もった火山灰が、幸運にも洗い流されることなく今日まで残っていたわけです。
今回の活動の初日、群馬県には強風が吹きまくっていました。それなのに、金剛萱にいた人たちは,風が強いなんて気づかなかったのだそうです。「風から守られた場所」・・・そんな特別の場所なのかも、それで火山灰が残されたのかもしれません。
(この日、帰り道、林道を下っていったら、何と大木が道を横断して倒れていたのだそうです。みんなで”よいしょ”としても,到底動かせないほどの木・・・幸運にも,作業で山に入っていた人がいて、伐採用のチェーンソーで切ってもらって,何とかなったとか。)
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金剛萱の火山灰の地層を紹介します。
火山灰の崖です。足跡は鹿かな?表面を削って,よく見えるようにします。
右写真の中央より少し上の赤っぽい部分、これ、軽石の見える火山灰層です。
左の図の名前の,識別できる火山灰が見つかりました。
含まれる鉱物などから、どこの火山からやってきたか,わかります。
30万年以上もの長い時間,降り積もった火山灰が失われることなく残された地層なのですね・・・
これほど厚く,しかも多くの種類の火山灰のそろった場所は,あまりないと思います。
かつて,開発が盛んなころ、工事現場であらわれた崖も,すぐにコンクリートで覆われ,今は見ることはできないでしょうし。
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火山灰の説明が長くなりました。
次はこの崖の 「地層のはぎ取り」 の紹介です。
削った赤土の壁面を「はぎ取り」ました。長いものと、短いもの2種類。
短いのは,その日、発掘をしていた場所で取りました。
(1) (2)
(3)
次は長い地層のはぎ取りです。
1 2
3
この中に30万年以上の長い時間をかけてつもった火山灰の歴史が詰まっているわけです。
火山灰については、以前にもこのブログに載せました。重複も多いですが、ご参考に。
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=481530670025045050#editor/target=post;postID=3009426460560494659;onPublishedMenu=allposts;onClosedMenu=allposts;postNum=77;src=postname
降り積もった火山灰2
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/03/blog-post_5965.html
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「下仁田町自然史館 研究報告 1号 」が作られました。
金剛萱の話題と,下仁田地域から東に延びる中央構造線について書かれたものとなっています。
ずいぶん山の上を歩いたのですねえ・・すごいなあ。
左の写真で見てください。
山頂には祠が奉られています。これは江戸時代末期のものです。
写真提供は野村哲さん
下の写真は方向を変えての撮影です。南牧村の青倉石灰の採掘場所だった所から見たものです。
遺跡の発掘場所は頂上からは少し下ですが、それでも標高650m~700mの場所です。自然史館の標高が標高300mほど、
うねうねと登る林道はとても長く感じられます。あらためて、
「昔の人はすごい」
畑を作った場所は,もともと少し平らで、調べてみると,地滑り地だったことがわかりました。
そこに降り積もった火山灰が、幸運にも洗い流されることなく今日まで残っていたわけです。
今回の活動の初日、群馬県には強風が吹きまくっていました。それなのに、金剛萱にいた人たちは,風が強いなんて気づかなかったのだそうです。「風から守られた場所」・・・そんな特別の場所なのかも、それで火山灰が残されたのかもしれません。
(この日、帰り道、林道を下っていったら、何と大木が道を横断して倒れていたのだそうです。みんなで”よいしょ”としても,到底動かせないほどの木・・・幸運にも,作業で山に入っていた人がいて、伐採用のチェーンソーで切ってもらって,何とかなったとか。)
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金剛萱の火山灰の地層を紹介します。
火山灰の崖です。足跡は鹿かな?表面を削って,よく見えるようにします。
右写真の中央より少し上の赤っぽい部分、これ、軽石の見える火山灰層です。
九州から飛んできた火山灰まで見られます!!姶良(あいら)火山灰です。
姶良は約3万年前のガラス質の火山灰で、日本全土に広がり、発掘にもとても役立ちます。
日光があたると、キラキラします。
九州から飛んできた火山灰まで見られます!!姶良(あいら)火山灰です。
姶良は約3万年前のガラス質の火山灰で、日本全土に広がり、発掘にもとても役立ちます。
日光があたると、キラキラします。
左の図の名前の,識別できる火山灰が見つかりました。
30万年以上もの長い時間,降り積もった火山灰が失われることなく残された地層なのですね・・・
これほど厚く,しかも多くの種類の火山灰のそろった場所は,あまりないと思います。
かつて,開発が盛んなころ、工事現場であらわれた崖も,すぐにコンクリートで覆われ,今は見ることはできないでしょうし。
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火山灰の説明が長くなりました。
次はこの崖の 「地層のはぎ取り」 の紹介です。
削った赤土の壁面を「はぎ取り」ました。長いものと、短いもの2種類。
短いのは,その日、発掘をしていた場所で取りました。
(1) (2)
手前にみえてるいる布をはぎ取り場所に はり付けます 。 |
布の上から薬品を刷毛で塗ります。トンネル工事等に使う薬品です。 |
(4)
上から水を吹き付けます。これで土が固まります。 |
固まったら、はがします |
次は長い地層のはぎ取りです。
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3
最後は丸めて車に積みました。ベタベタとくっついた土を,見栄えよくきれいにして、展示室に飾る予定です。
この中に30万年以上の長い時間をかけてつもった火山灰の歴史が詰まっているわけです。
火山灰については、以前にもこのブログに載せました。重複も多いですが、ご参考に。
降り積もった火山灰 1https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=481530670025045050#editor/target=post;postID=3009426460560494659;onPublishedMenu=allposts;onClosedMenu=allposts;postNum=77;src=postname
降り積もった火山灰2
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/03/blog-post_5965.html
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「下仁田町自然史館 研究報告 1号 」が作られました。
金剛萱の話題と,下仁田地域から東に延びる中央構造線について書かれたものとなっています。
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