2017年4月23日日曜日

穀雨の季節

もうじき初夏

すでに藤の花 風薫る季節
つい先日までサクラ、サクラと大騒ぎしていたのに・・
ソメイヨシノは咲き終わり、今は八重桜。種をまく時期を、
 「ソメイヨシノの咲くころ」とか「八重桜の咲くころ」
などと指南することもあります。
今は穀雨の季節だとか・・種まきに適した時期といわれます。立夏は八十八夜の3,4日後。すぐにやってきます。
丘陵の小路
「夏も近づく」季節です。
 ソメイヨシノがはらはら散り始めると、里山の雑木林では山桜(カスミザクラなど)が咲きだします。私はこの頃の里山が大好きです。
毎日のように色合いを変えていく木々の葉、山桜の薄ピンクが霞み、赤いヤマツツジ、そして民家に植えられたハナモモをはじめとした美しい花々の色どり。毎日でもそこらをぶらついていたい気分。  
 ですが、ほんの短い時期なので、時期を逃す・・大慌てで出かけてきました。山桜はすでに咲き残りだけ。カエデやアケビの花も終わり。春の山を、一生のうちに何回見られるのかと思うと、毎年を大切にしたくなります。
テレビ番組の中で農家の方が言っていました。「稲づくりは1年に1回だけ。だから自分ができるのはせいぜい☆☆回。だから1回1回を大切に、工夫を積み重ねていくのです」。

 高崎の裏山の観音山から富岡市方面には標高の低い丘陵が続きます。約800万年ほど前から1600万年ほど前の海の地層が丘陵を作っています。人にとっては大昔ですが、大地の歴史にとってはずいぶん若い時代で、地層も柔らかく、そこには、なだらかな丘陵ができます。雑木林の続く、まさに里山風景があります。

山吹の咲く小路

あちこちにあるキランソウ
沢沿いの農地 












   なだらかな丘陵は畑になり、その裾に民家が並びます。沢筋は水田に利用されました。谷津田とか谷戸と呼ばれるこうした場所は、多くの生き物の命をはぐくむ場所にもなってきました。動物も植物も。イタチが水路にちょろっと・・・何年ぶりだろう、姿を見たの。
 平地の田んぼや畑でも手入れをする人がいなくて困っている時代です、こうした手のかかる場所は、真っ先に耕作放棄地となり、あちこちでヤブが広がっています。
  上の写真の場所は、きれいで、なんだか心穏やかになる風景です。
 
道にもタケノコ




竹の秋





竹の葉が、サラサラ散っていました。竹は春に葉を落とします。「竹の秋」という言葉もあります。そういえば竹藪の竹の葉が、なんだか黄色っぽい 。竹の秋かな?
(なお、竹細工に使うマダケのタケノコは、6月に出ます)

  見かけた花をいくつか紹介 
もう少し見事な群落をお見せできればよかったのですが、ご勘弁を。
どこにでもあるカキドオシ
クサイチゴ たくさんありました
ウマノアシガタ キンポウゲですね
クヌギの花穂

コナラの花穂
オトコヨウゾメ

ムラサキケマン
コバノガマズミ
花はふわふわ マルバアオダモ



どこにでもあるムラサキサギゴケ
ニガイチゴ
チゴユリ 里山の代表かなあ







 以下は10日ほど前の写真  
ニリンソウ

アズマイチゲ 
下仁田にて
アマナ あまり見かけませんが
これは藤岡にて

富岡付近ではこんな感じの地層でした


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
 里山に心奪われたのは40年ほど前。明石の北、神戸市の最も西部になる丘陵地帯をてくてく歩いていた時のことでした。当時そこは「西神ニュータウン開発」と称して、大規模開発が行われていました。南北に走る3筋の丘陵の一番西と真ん中の場所の丘が削られている時でした。
 そこは大阪層群と呼ばれる200万年ほど前の砂礫の多い地層の分布域でした。泥の地層も。時々、火山灰がはさまれています。地球の歴史からしたら本当に新しく、まだ固まっていない地層です。淡水にたまったものがほとんどですが、時々海の地層が挟まるというものです。大阪市の地下には厚く堆積していて、地層にはさまる海水由来の硫酸イオンが硫酸になって、人が作った地下構造物に被害を与えたりというので、知られました。
 茶色に削られた地面と、残された緑の部分…4月に出かけたそこは、ピンクのツツジに覆われていました。色の濃淡もあり、目を奪われる思いでした。思えばそれはたぶん、モチツツジというツツジ。木に絡んだ黄色い花はジャケツイバラだったのでしょう。小道を歩くと、たくさんのため池があり、スイレンが花をつけ、カメがのそのそ歩いていることもありました。黄色のちいさな花,キンランもひっそり咲いていました。少し開けた場所の大きなため池で岸辺が浅くなっている場所がありました。そこには、サギソウが一面に咲き誇っていました。園芸植物としては見かけますが、今、野生のものなど、いったい見ることができるのでしょうか・・・。大きな白いユリ(ササユリでしょうか)がたくさん咲き誇っていて、一抱え泊まっていたユースホステルに持ち帰ったこともありました。秋には少し這うような形のリンドウが咲き、紫色の大粒の実を付けた木が。野生のマンリョウもあります。キノコ採りの人も見かけました。
 春から秋の里山の移り変わりを見続けることになり、しかもそれが、次々消えていくのを見たわけです。忘れられません。  現在、ここは神戸地下鉄の終点の地域です。

 私が歩いた時、まだ木々に覆われていた東の丘陵はそのすぐあと開発され、その時、アケボノゾウというゾウの化石が見つかりました。「神戸の自然」というシリーズが作られ、大変ていねいに自然が紹介されており、今ではデジタル化されて、ネットで見ることができます。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
ちょっとお日様で乾かしました
電子レンジで簡単には乾かないので

春には紹介したいことがたくさん。サンショの葉っぱは佃煮にする人が多いでょうが、ほんのちょっぴりになってしまう・・・私は、葉をそのまま乾かして粉にして使うことにしました。電子レンジでチン(何度か)、パリパリになったら、すり鉢で粉に。

ざるとかクッキングシートに載せて
電子レンジへ。焦げるのに注意

 


。。。。。。。。。。。。。。。。

やがて雌花は・・・
これも季節が少々遅いのですが・・・
  フキノトウに雌花と雄花があるの、ご存知ですか。
雌花
雄花









   こんなことを教えると、びっくりして、喜んでくれます。里の栽培されたフキをみると、み~んな雌花。きっと雌花のフキのほうが商品価値あるのでしょう。

身近な里山も、ちょっと標高の高い地域も、どちらも楽しですよ。

2017年4月10日月曜日

サイカチの木

  校庭の木

 子供のころ、学校の庭に植えられていた木,覚えていますか?
ある時サイカチの木について話題になったとき、私の住む玉村町の玉村中学校の校庭にサイカチがあることを聞きました。
 サイカチってご存知ですか?幹には大きなトゲが束になってはえ、見れば誰でもわかる木です。
トゲはどこにあるの?と聞かれそうなので、一番右に、トゲの写真を載せます。


 葉はアカシアのような形、マメ科の木ですが花はあまりマメ科っぽくない形。
大きなさやの実をつけますが、それを水に入れると泡立って、石鹸の代わりに使ったという話は、今回初めて知りました。
 宮沢賢治の風の又三郎の中で、子供たちが川で遊ぶ場面で、サイカチの木の所から川に飛び込んで・・とかいった場面があって、この木の名前を覚えた記憶があります。
サイカチは川沿い、沢沿いによくはえるのです。

 八ッ場ダム関連で道路建設となった時、予定地にサイカチがあり、大学の先生などから、貴重なので切らないでほしいと要望があったと、地元の人が言っていたそうです。
八ッ場ダム地域が故郷で、地域の自然をよく知り、都市部で中学校の先生をしていたという方が、「玉村の通知表はサイカチという名前だよ」と言っていたとも聞きました。
「へー、そうなのか」さっそく知人に聞くことにしました。
 玉村在住でこの地域で先生をした人に、親しい人が何人かいます。女性ばかりで、60歳代の人(Aさん)、80くらいの人(Bさん)、91歳?の人(Cさん)。皆さん、玉村小学校か中学校に勤務したことがあります。電話でちょっと聞いたけれど、はっきりしないので、Aさん,Bさんと3人で集まっておしゃべり。

  • Bさん「通知表じゃなくて、学級通信じゃないの?Aさんのお母さん(やっぱり教師をしていた)が出していた学級通信の名前がサイカチだったような気がするけど。だいいち、私が勤めていたころ、通知表はなくて、それぞれの考えでいろいろ出していたのだし」

 ーーー通知表がないってきいたら、びっくりするでしょうね。実は私も小学校では通知表はなかった。うそでしょう、なんていわれるけど、ホント。ーーー

  • Aさん「母の出していたものは知らないんだけど‥でも、うちの息子の時は(玉村小学校に通った)通知表はあって、たしかサイカチだったと思うけど」 

 現役でないから、今の学校の通知表なんて知らないわけで、まだるっこしい話をしているわけです。

  • Bさん「あの木、本当は大きい木だったの。それがあるとき、夏休みが終わったら、途中からばっさり切られてた。教室が暗くなるから、だって。でもね、あの木の一番近くの教室は私のクラスだったし、暗くなんかなかったのに。教師に何の相談もなく、校長とPTA会長で決めて切っちゃったんだから。」 
    指折り数えると、どうやら33年前のことらしい。なお、今の校舎は、少し離れたところに作られている。

   私は、樹勢が衰えて切ったのかと思いました。違ったんですね。
   最近なら、「教師に相談もしないで」なんて、「何言ってんの。そんなの当たり前じゃない」と言われるのじゃないかな・・

  • Aさん「それどころか、10年位前なんか、切り倒すという話だった。予算までつけていて。なぜかというと、トゲがあって危ないから、と。係の人にその話がいったとき、その人から”ねえ、あの木、明治のころからあったとかいう人もいて、ああやって植えたのだから、何か由来があるんじゃない?切っていいんだろうか”と相談があってね。校長に言ったら”Aさん、あのトゲ、危ないじゃないですか。目でも突いたらどうするんですか”と。でも、学問に関係した言い伝えがあるとか何とか調べてきた人がいたりで、いつの間にか立ち消えになったんですよ」

    大学の先生とかに、サイカチは大切な木だとか言ってもらおうか。切ったりしない方がいいよ、って・・・などと話していました。でも、あとから聞いたところでは、今、玉村小学校では、子供たちはこの木が大切な木だとみんな知ってるよ、とのことでした。確かにトゲは危ないし・・・周りに生け垣を植えていますね。
  • Bさん「私の子供のころなんて、カラタチの生け垣があって、そこで遊んでたよねえ」  そうそう、サイカチどころじゃない、それこそ防犯に役立ちそうなトゲの藪のような木だよね。北原白秋の詩、山田耕作作曲の「カラタチの花が咲いたよ・・白い白い花がさいたよ・・」なんていう優雅な感じじゃないよね。
ここにはハルニレの大きな木もありました。水上などまで行けばありますが、この辺りにはない木です。きっと昔、木や生き物が好きな先生がいて植えたのではないかな。大切にしてね。なお、ハルニレはエルムとも言います。北海道大学のキャンパスにたくさんあって有名ですね。「エルムの森」なんて言います。そういえば何年か前、老木となったエルムを、危ないから切り倒すか、切らないかと、問題になったことがありました。
玉村小学校のハルニレ 

ハルニレの花

 Cさんのお宅にサイカチの木があった。大きくなっていてトゲトゲで、なんでこんな木を植えるんだろうと思っていた。その木は、中之条の道端にある県天然記念物の大木の子供だと聞いたことがある。
CさんはAさんのお母さんとも知り合いだし、サイカチという学級通信なども本当にあって、サイカチという木に愛着を感じたのかも、などと想像しました。
お会いして聞きたいなあ。





ところで、サイカチは群馬県では絶滅危惧種。しかも、調べたら絶滅危惧Ⅰ類で、ランクが高い。私はもっとランクの低い準絶滅危惧種と思っていた。
絶滅危惧等に関係している方に聞いたら、八ッ場ダム関連で切ったサイカチは、挿し木をしているという話。
サイカチは性が複雑で、雄花雌花があるのですが、雄木雌木になってしまうこともあって、八ッ場の木は、雄木で種をつけないため、挿し木に頼るのだとか。
サイカチの実
「玉村にはえてますよ」と言ったら、「見に行きます!」と。小学校校庭のものでなく、河原にはえているもの。あらためてよく見たら、すぐに8本見つかりました。種も落ちています。大切にしましょうね。

なお、私の小学校にあったみんなが覚えている木は大きなサルスベリ。記念写真はいつもその木の前でした。学校が別の場所になった時、わざわざ移植していました。でも、老木は移植難しかったろうな。あまり目立たなく、小さくなって、とにかく生きています。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
下仁田の川沿いに、早春の花が咲いていました。
早春の可憐な花たちです。
コミヤマカタバミはあっという間に散っていしまうので、出会えてよかった。昨年はもっと早い時期でも、散ってしまっていました。

コミヤマカタバミ

コミヤマカタバミ

ヒゲネワチガイソウ
エイザンスミレ

アオイスミレ
    ミヤマキケマン


    2017年4月5日水曜日

    里山に春が来ました

    月並みの 春の便り ですが

     カタクリの花を見に行ってきました。
     我が家の近所でソメイヨシノがちらほら咲くころが、この場所のカタクリの見頃。
     場所は吉井町小串で、カタクリの咲く所としては、わが家から一番近く、約18㎞の場所です。ちなみに、高崎駅からならもっと近い距離です。(見に行ったのは4月4日で、例年より遅めの満開、たいていは3月末)

     新潟や東北、北海道の方から「カタクリなんて珍しくもない」と言われそう。
     でも、酷暑の夏の関東の平野で、カタクリが育つのは、なかなか難しい
      以前にも書いたのですが、条件を書いてみますね。

    ①夏に地面の温度が22℃より高くならない
       そのためには
    ②北斜面
    ③土がいつも地下水で湿っているようなところ。水の蒸発で地温が下がります。
     どんな場所かというと  
       ・段丘崖  ・地すべり地  ・小さな扇状地のような場所

    ちなみに、ここは段丘崖です。かなり立派な崖です。

     月並みと言われそうですが、でも、素直に、きれいだなあと思える場所だったので
    紹介します。カメラを抱えた人がウロウロという場所、もっときれいな写真ないの、と言われそうですが・・



     段丘崖を上ると、畑が広がり、古くからの集落があります。里山の雰囲気。
    大きなしだれ桜が満開でした。後ろに持ち主の農家の家が見えます。
    畑仕事をしている人にお聞きしたら、60年ほど前に台風で折れ、そのあとまた育ったのだそうです。
     ここは上信越高速道の脇になるような場所です。でも高速道路を走る人には見えないんだ。ほとんど見る人もいないのでは…もったいない・・花にとっては、「そんなこと関係ない」かな。


    向きを変えて見てみました。














    さらに、コブシや馬酔木も植えられていて、柔らかな里山風景を作っていました。










    畑のヘリ、段丘面が終わって沢になる付近の藪の中にも、大きな桜の木が咲いていました。

    里山風景を堪能した気分で、ちょっと紹介してみました。


    スミレなどの里の花もちらほら咲きだした、春の風景です。

    これも花
    アカシデという木の花














    ここではソメイヨシノはまだちらほら咲き始めです。桜はソメイヨシノばかりではないわけです。

     ところで最近、ソメイヨシノの枝がばっさり切られている場所が目につきます。枝が横に張って、しだれ気味なのが邪魔で、特に街路樹に植えられたものでは、迷惑に。
    群馬県庁から利根川沿いに走る、通称国体道路もずっと桜並木ですが、最近はかなり短く刈り込まれています。玉村町にも桜並木があって「さくらまつり」を大々的にやっていましたが、枝をばっさり切って、お祭りもやめました。住宅街近くや工場内、お墓の木も枝が短く切られ、以前の見事な花の姿を知っていると、物足りない…毛虫もつくし、しかたないのか・・
     最近は、枝が横に伸びたり垂れ下がったりしない品種が好んで植えられるようになってきているとか。ソメイヨシノの寿命は、木にしては短命で50年ほどだとか。全国にたくさん植えられた木が、そろそろ老木になってきています。たくさんの種類があるという園芸種の桜、やがて町中の桜の姿が変わってくるのかもしれないなあ。

    <最近の里山風景いろいろ>

    庚申の文字の書かれた石があちこちに。
    風情ありますが、このすぐ脇は、ゴルフ場。   大規模太陽光発電も、あちこちに。