2013年12月21日土曜日

岩石の丸いすき間・羽状割れ目・下仁田のブナ

今年も もうじきおわり。どんな年をすごされましたか。


   丸く隙間を埋めているものは何?

岩石には、白いすじばかりではなく、白く丸い点々も見られます。
川原で石を拾っていても、時々目にします。何だろう?と思いますよね。

  小さく丸く、白いもので満たされた点々がたくさんあったら、その石は、もともとは溶岩(緑色岩も含むだったのでは、という推測もなりたつとか。溶岩が固まるとき、含まれていたガス成分がぬけて、その気泡のあとが残ることがあり、そこが白い鉱物でうめられたものと見るわけでしょう。

   白いものの候補には、方解石や沸石。あとから気づいたのですが、石膏などもあげられるのかも・・・。(前回書いた「白い脈」に、石膏もあるかもなどと、今頃思っています)
  

●下の写真の「丸い点々」は方解石で埋められていました。塩酸をかけたら、盛大に泡が出ていました。岩石は安山岩や緑色岩でしょうか。

 

●次は沸石が(たぶん)うめたものです。少し大きな穴も見えています。こんな穴には少し大きめの結晶が成長していることもあるものです。 (白い斑点には、丸くないのもありますが・・)

玄武岩にできたこんなすき間には、沸石が成長する(安山岩にも)と書いてあったものもありましたが、下の石は何かなあ・・・よくわからない・・



●その他・・
  「点々」や、隙間を埋めるいろいろなもの(思いつくものをあげてみます)

 変成岩に変成鉱物ができたとき、点々とみえることがあります。  例:点紋結晶片 
   下仁田では見られませんが、三波川結晶片岩の変成の強いところにあります。手元に写真もありませんので、説明だけですけど・・・

・岩石の結晶が、ぽつぽつとした点に感じられることもあるかも。
  砂岩のような石で、含まれた石英の粒などが点々に感じられることもあるかも。

隙間を石英成分が埋めれば、
水晶・メノウ・玉髄 などができることもあります。こんな場所を晶洞といって、大きめの晶洞は、きれいな鉱物をさがすときの目のつけどころ。パカッと割って中からきらきら結晶が出てきたら、感激でしょうね。
メキシコの鉱山で、隙間どころか洞窟をうめた、信じられないほど巨大な石膏の結晶の乱立する場所が見つかりました。一見の価値あり。「結晶洞窟」で検索すると、たくさんの写真がみられます。



    羽状割れ目    理屈っぽい話になりますが・・

宮室の泥岩層には、白い筋が平行にきれいに並んで見えるところがあります。

こういった並び方を羽状割れ目、あるいは雁行がんこう状配列・雁行れっか、と呼びます。
並んだ模様が、渡り鳥のがん飛んでいる時の隊列のようだということです  
宮室のものは、見事できれいなものです。


かつて岩石に力が加わり、そのために割れ目ができ、そのすき間を方解石が埋めて白い筋になりました。

よくみると、白いすじの列が「X」字状に配列している
この白く見える割れ目の並び方から、かつて力がどのように加わったかがわかるといいます。

「橋の橋脚にどういった力が加わるか」といったことは、土木建築の世界では重要で基本的な話でしょう。私はほとんど知らない世界なので、そういうことも多少は勉強しておいたらよかったのに、などと思いつつにわか勉強で少し説明してみます。

面倒くさいと思ったら、飛ばしてください。
理科の時間のようになりそうなので・・・




力学の話、というわけで、大学の先生の書いた図をのせます。鹿児島大学理学部で教えていらした岩松暉さんが公開していた図です。
 岩石の柱を上下に押しつぶしていったら、まず小さな割れ目ができるがやがて見えなくなり、次には斜めの大きな割れ目が入る。割れ目から左右の石がずれないようにしていると、全体が膨らみはじめ、今度は向きの違った大きな割れ目がはいる・・・・これ、実験で記録しています。地震で倒壊した高速道路の橋脚や建物の柱にも、こんな割れ目が入っていたっけ


今度は下の図。 こんな話になると思うのですけど・・・

  • 上下に押すと、膨らみ始めます①。
  • 大きな割れ目が入りずれるとき、包丁で切ったようにはならず、ずれに斜めの方向に、何本もの小さな割れ目が入ることがあります②③。②になるか、③になるかは、そのとき次第です。
    その小さな割れ目の形をみると、「ミ」のようにみえるか、「杉」の字の右側のように見えるかで、2タイプに分けています。
  • 上の図の共役割れ目のタイプ(X型のわれめ)になるときもあります④。
  • ミ型の割れ目ができて、もしさらに引き続き同じ向きに力が加わり続けると、割れめがS字状に曲がり、⑤のようになります。




宮室には泥岩上の羽状割れ目、写真のは、⑤タイプと④タイプですね。
   割れ目は方解石に白く満たされていて、きれいに見えています。

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雁行状配列という言葉は、「地形に、雁行状に線構造が見える」とか、「火山列が雁行状に配列している」とか、大きな構造にも使う言葉です。

説明から想像できるように、断層に沿って雁行状の模様が見られるということだってあるかもしれない・・・・・と思って探してみたら、アメリカのサンアンドレアス断層で、道路の上にこんな割れ目のできている写真が載っていました。(ごらんになりたい方、知識不足でリンクするのがわからなくて http://www.arito.jp/FG05.shtmlなのですけど・・・「四万十帯に便利」 クリープ断層 で ヒットします)
 というわけで、もしかしたら、見るチャンスもあるかもしれないと、説明も書いてみます。 
 地面が上下にずれる断層ではなくて、横にずれる「横ずれ断層」というタイプで図を書いてみました。




こういった分野、ほとんど知らない世界で、にわか勉強だな、と思いつつ書いています。
おかしなところがあったら指摘していただけましたら幸いです。
     詳しい方に見ていただけたらよかったのですが、そうもいかなかったもので・・・

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下仁田の森  (落葉広葉樹林夏緑広葉樹林ともいう ブナクラス

先にヤブツバキクラス(常緑広葉樹林)の紹介をしました。
もっと標高が高くなると、何がはえている?・・・・・・秋に葉を落とす馴染みのある森です。
          植物学でブナクラスと呼ばれるとか。

  でも、ブナなんて 下仁田周辺にあった???
     ブナといえば世界遺産白神山地、あるいは水上や新潟の雪深い地域が思い浮
       かぶものです。ブナの美しい森が見られます。
        大地に水をため込む力に優れ、母なる樹としてあこがれる人もたくさんいます。
     
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はえている植物で地域を大きく分けたとき、群馬県には次の3つがあります。

  針葉樹林帯 (コケモモートウヒクラス域(亜高山帯)
       県境稜線付近のみ 
  夏緑広葉樹林帯(ブナクラス域(低山帯)    
      落葉広葉樹林のこと
      上限1,500m~1,700m付近
  常緑広葉樹林帯(ヤブツバキクラス域)(丘陵帯)
     標高500m~700m以下  下仁田では500m以下

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「なんだ、群馬の山地はほとんどみんなブナクラスなんだ。山はブナがないところだらけ。ということは、下仁田付近にはブナなんてなくたっていいんだ」・・・と納得されそうですが、じつは、西上州地域には、かつてはブナの森があったというのです。御荷鉾山付近などには、かつてはみられたようです。

なぜほとんど見られないか・・・・それは、人の手によりほとんど切り払われた歴史が関わります。戦中から戦後にかけてたくさん切られたようですが、詳しいことは知りません。はるか昔というわけではないようなので、調べたらすぐわかりそう。
切られた後は、植林されたスギ・ヒノキやその他、クリ・コナラ・カエデなどの木々が、さらに標高が高くなるとミズナラなどが育っています。

一方、今、群馬県南西部地域ではブナの姿はほとんど見かけません。ですが、よく見ると、時々ぽつぽつとみることができます。今では尾根すじに点在する程度になってしまいました。御荷鉾山付近で、ブナの実がたくさん落ちていたことがあったなあ・・
  多雪地のブナと姿が少し違っていて、葉が小さめです。
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「ぐんまの自然」 1982年 作成群馬県
中学生用学習資料 より
 妙義などの標高500m~700mほどでは冬の寒さでカシは育てず、夏の暑さでブナも育てない。でもイヌブナなら育ちます。そういえば妙義の登山コースにも、イヌブナがありました。

 右の表に「中間温帯林」という部分があります。妙義などはこれにあたるわけで、関東の内陸などに見られる区分です。下仁田地域はこの区分域にけっこう入りそうです。
 妙義でも、もう少し標高の高いところにはにはブナも見られるそうです。



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というわけで、ブナ・イヌブナの見分け    
       
    ブナって名前は有名な木なのですが、どの木だかわからない人の方が多いのでは





ブナもイヌブナも、普通の葉っぱに見えます。そこで・・・
 左写真のように、葉のすじ(側脈)の先がへこんでいる
  
 こんな葉は ブナかイヌブナ





もし、が見つかれば、すぐわかります。  
ブナ
左がブナ。
イガイガのは殻斗(かくと)といって、栗のイガにあたるもの。ツルッとしたのが実で、大変おいしい。なまで食べられます。「そばぐり」とも言われます。実の形がソバの実に似ているので。
ただし、毎年は実りません。数年に一度大量に実り、動物達が食べ残した中から次の世代が生き残ります。その後の不作の年で、ブナをたっぷり食べて増えた動物たちも、数を減らす・・・ブナの生き残り戦略です。

下がイヌブナ。
殻斗は長い柄でぶらんぶらんと下がります。
実がなっていれば、どちらかすぐわかります。

イヌブナ
でも、実はいつもなっているわけではありません。
それに、イヌブナの実は、あまり見たことないですね。(この写真、じつは猿ヶ京付近のイヌブナのものです)


ブナとイヌブナでは、イヌブナの方が少し
標高の低めのところにはえます。とはいえ、西上州では一緒に育っているかな・・・

木の立ち姿が少し違います。

イヌブナはひこばえがたくさんはえたような姿で、何だかゴツゴツしていますし、幹の色も黒っぽい。別名黒ブナといいます。

ブナは幹が白く、別名白ブナ。少しすらっとしていますが、雪国のブナのように、ほれぼれするようなまっすぐにすらっとした姿にはなりません。枝がたくさんでています。


葉の違い  
イヌブナは、葉の裏・特に葉脈上に白いがたくさんあります。落ち葉になってもあります。
ブナは若い葉には毛がありますが、だんだんなくなります。
イヌブナ




左の写真で比べてみませんか。(どちらも若い頃は葉の面にもけがはえていたりするようです)。

葉のすじの数が、イヌブナの方が多めです。イヌブナが10~14対、ブナが7~11対 だそうです。




ブナ

山はこれから冬ごもりのシーズンになりますが、
こんなわけで、春になってから山を歩くとき、ブナとイヌブナの木を探して見ませんか。



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西上州はカエデ(もみじ)がたくさんある場所です。碓氷峠付近ではその美しさに感動して

 ♪♪ 秋の夕日に てるヤマモミジ      の歌が作られました。        

 妙義の紅葉の美しさも 奇岩とあいまって広く知られています。

  今年、紅葉を見ましたか

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内容が、ほとんど学習教材みたいになってしまいました。
気に入ったところがあったら、使ってみてください。



       

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