2014年1月13日月曜日

地層に見られる構造: 平らな面 その2 断層

平らな面 その2     岩石に見られる平らな面って、なに?

  断層
断層と言ったら、みなさん何を思い出すでしょうか?
たぶん、教科書にあったようなこんな図かな。
  (高校地学の教科書の図なので、中学校の教科書や子供向けの本よりも、用語が詳しく、たくさん入っています。ちょっと難しそうに見えてしまいますが、文字を気にしなければ単純。
                                         東京書籍教科書 地学Ⅰより

あるいは下の写真のように、縞模様がずれて見える断層の写真でしょうか。(ちょっと見えにくい写真ですみません。これしか撮ってなかったもので)
甘楽町の山沿い道路の切割りにみえた
富岡層群小幡層、
断層で地層が切れている
  でも、実際には、こんなふうには見えない断層のほうが多いと思います。
  では、どんなふうに見えるのでしょうか・・・・
   断層って、要するに、ずれた割れ目の      ことをいうわけですが、でもそのずれが、
 その場で見てもよくわからない場合がたく さんあるのです。


 ・地層の縞模様がみえなければ、見ただけでは「ずれ」がよくわからない。

・大規模な断層になると、その前に立っただけでは、「ずれ」はわからない。大断層ほど、どれが断層か、わかりにくいかも。


・断層付近は、包丁で切ったように、スパッと切れて見えずに、グズグズになっていて、なんだかよくわからないことも多い
    などなど・・

次には断層面がちゃんと見える場合を取り上げてみます。

断層面のよく見える例 

下仁田・青倉の大断層では、断層面がよく見えます。下の写真です。
 
黄色い線の先っぽ、矢印の所に左から右へ、少し右上がりに見える線が断層で、この断層は、断層面が水平に近くなっています
   断層面の上にある岩石は、平らな断層面の上を、どこからか横滑りしてやってきた
   岩の塊、根なし山(クリッペ)です。
というわけで、根なし山の底が断層になっていて、この断層の平らな面が見え(手でさわれます)、すり傷(条線)もみられます。  この断層は相当大きな規模のものです。
         教科書にある断層の絵のイメージとは、だいぶ違いますが。

下仁田自然史館前の青倉大断層

      (下仁田自然史館とは道路を隔てた場所ですので、自然史館にいらした折には、
     ぜひお立ち寄りださい)     

                                               写真  下仁田自然史館

スケッチ・解説
                                                             細谷 尚 さん
l  断層の上盤(うわばん)は、跡倉層(中生代白亜紀、8千数百年前)の砂質泥岩で、よく見ると、堆積後の変動が原因の大小のひび割れが見られます。
   下盤したばんは青岩公園と同じ緑色片岩ですが、ひどく破砕されて、ぐずぐずになっています。断層面の近くでは、暗緑色のじゃもん岩ができ、塊状になって表面がみがかれた状態になっています。

上盤の断層面には、みがかれた鏡肌、条線が見られます。断層の動きによってできた
  線構造で、動きの方向を示しています。


・・・・<言葉の説明>・・・・

  断層面にできた 平らなかがみはだ 
断層で岩石がずれたときに磨かれたてできた面。
ツルツルして光沢さえあるようで、鏡の面のようだということから、鏡肌。もっとも、顔が写るほどに光っているものを見たことはありませんが。
この面には一方向についた線状のすり傷、じょうせんが見られることもあります。 

断層面付近はしばしば岩石が砕けてぐずぐずになります。断層破砕帯とよびます。さらに一部は軟らかくなりしばしば粘土状のもので埋まっています。この部分を断層粘土(断層ガウジ)とよんでいます。
  そんなわけで、断層面が平らになって見えることは少ないものです。


それにしても、「大地が切れる」っていうのですから、どんな力がはたらいたのかと、想像を超えます。
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ところで断層というと、本当のところ、みなさんがいちばん知りたいのは、原子力発電所の事故で知った、「活断層」のことだと思います。我が身に降りかかるかもしれない災害も、活断層によるものらしいし・・・

地下で岩石が壊れるとき、地震の波がうまれます。岩石はズレて食い違い、断層ができる・・・・・
ですから地震の揺れがくるたび、「地下で断層が動いた」と思ってもいいわけ。
時たま、この断層が地上にも現れて、私たちに見えるわけです。
一度壊れたところは壊れやすいですから、同じ地域で、何度も地震が起きやすくなります。
とはいえ、永遠に壊れ続けるというわけでもなく、古い時代の断層では、もう壊れることもなくなります。

というわけで「過去に何度も活動し、今後も地震が起こると思われる断層を活断層とよぶ」わけです。
「思われる」ですから、いろいろなことが言えます。当然、活断層であっては困る人は、「活断層ではない」と主張します。

同じ場所で繰り返し地震が起こると、地表でも「ずれ」が積み重なり、特有な地形が形成されます。専門家は、まずこの地形を探します。でも、それだけでははっきりわかりませんから、地面の下の地層が、断層で切られているかどうか、いつの時代まで切られているかをさがします。これがみつかると、少なくともいつまで動いた断層かを、知ることができるというわけ。原発付近で、トレンチという溝を掘っているのは、そんなことがわかるかもしれないから。
  とはいえ、断層かどうかの判定にもいろいろな意見が出ます。いや、地滑りだ、膨潤だ・・(膨潤って何だろうと、まったく知りませんでした・・)
さらに、断層があっても、それが動いた時代を決定するのも、難しい話になったりもします。

ところで、いつの時代まで動いていたら「これからも動く可能性がある」とみるのか・・・
最近の時代まで動いていたというだけで、「最近」に厳密な定義・合意は、学問的にはないのかも・・・・・第四紀後期の「数十万年前」といったあたりが、一般的なのかなあ。(はっきり知らないのですが・・)

原発についての最初の耐震審査基準は「5万年前までに動いた断層」でした。1978年のことです。2006年からは「13万年~12万年前以降に動いた断層」となりました。2012年に原子力規制委員会は40万年前以降とすると発表しましたが、2013年1月、「12~13万年以降とする従来の指針は変えず、地層がわかりにくいなど、判断がつきにくい場合に限り、40万年前までさかのぼる」と元に戻った形。
40万年という数字が出てからのネット上には、「現代の魔女狩り」とか「再稼働をさせないためか」、さらには個人攻撃の品のない罵詈雑言が踊っていました。

今年から、規制委員会からの原発立地・施設設備に関する結論も出されてくるのでしょうが、活断層のことは、最近あまり聞かなくなくなりました。トレンチを掘っている時ではないから話題に乗りにくいわけではあるでしょうが。
とにかく原発再稼働に関係してきますから、重大問題になってきます。
 「地震についてはわからないことだらけなのに、地震学者は重すぎる責任を負わされている」と、歎きとも思える声も目にしました。地震が、いつ・どこで・どれくらいの規模で起こるかなんて、わからない・・・・そもそも、見つかっていない活断層だってたくさんあるはず・・
 活断層の定義は、どうやら、科学の話ではなくなってきているようです。
今、状況はどうなっているのでしょうか・・・
 専門家の結論が出れば,それが科学的で正しいと思いがちですが、どうやらそんな単純な話ではないようです。
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 ところで、下仁田には「活断層」、あるのでしょうか。あまり聞かないなあ・・・
中央構造線に関係して、動いたところがあると言っていた人もいたけど。
私の住むところでは、1931年の西埼玉地震の際、地面に数㎝の段差ができ、小学校の校庭では水が吹き上がったと、親や親戚から聞いています。ちょうど生徒たちが校庭に整列していたときなので、みんなが見たというのです。水は液状化現象。段差は、はっきりわからないのですが、どうやら我が家に近い場所のようなので、「家の下に断層なんて通っていないでしょうね」と思ってしまう。「関東平野北西縁断層帯」というのが近くに伸びているので、活断層が他人事じゃない・・・。

 というわけで、地震大国日本では、地震と断層の知識は、「みんなの常識」になったほうがいいのではないかな、と思えます。

地震については話がどうも難しくなってしまいがちですが、そこをわかりやすく工夫してもらって。

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<季節のたより>

  お正月も終わり、七草がゆの風習も、テレビでみるばかり。
                                     




「せり・なずな・・・・   」と出てくるナズナ、
誰でも知っているかと思ったら、
そうでもない・・・・

高校生の女の子たちも、まるで知りませんでした。
そこらに生えている雑草なんて、こんな地味な「草」なんて、誰かが取り上げて「注目!」とでもしないかぎり、目にも入らないわけです。

雑草のナズナにも
元気をもらって
          
      




   絵 小林生子さん
                                                                       

メマツヨイグサかな?
地面にぺたんと貼りついた草の姿
  この形を ロゼットとよびます。 
バラの花・ローズの模様をロゼットというそうですが、草のロゼットは少し名前負けくらいのいい名前をもらいましたね。

夏には背丈高くなる草も、今は写真のように、地面に張り付いています。こうして寒い冬を乗り切ります。

葉の出方には規則性があって、お互い重なり合わないようになっています。この規則性がバラの花の形を作りるわけです。

冬には、地面に張り付いた、たくさんのロゼットがみられます。けなげに寒さに耐える姿です。

  

  



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