地層に近づいてみると、その境目は真っ平らではなく、でこぼこがあったりします。つもった粒子にも模様が見えることもあります。
こんなものを、注意深く見てみると、わかってくることがあるのです。
こんなものを、注意深く見てみると、わかってくることがあるのです。
①
級化構造(グレーディング)
砂混じりの泥水を透明な入れ物に入れて置いておくと、最初に粒の大きいものが沈み、上にいくほど、だんだん粒が細かくなるのが見えます。級化構造といいます.。
地層にも同じ模様の見られることがあります。右の図です。
地震などで海底斜面に地滑りが・・・
海底の斜面を一気に流れ下った泥水(乱泥流・混濁流といいます)が海底に積もるとき、級化構造の地層ができます。
これが何度も繰り返されると、砂岩泥岩互層(ごそう)ができます。
このページの下にのせてある写真(宮室の地層)が砂泥互層の例です。
こんな地層では、粒の大きい方が下。
こんな単純当たり前のことをなぜ大騒ぎして説明するか・・・
じつは地層が地殻変動でひっくり返ったといった大事件が、これでわかることがあるから。
下の図を見てください。右と左の図の,どこがちがうか,わかりますか?右は地層が180度ひっくり返っているのですが。
平らにつもった砂と泥の地層、砂の量が多いですね。最初は水平に積もったものなので、せいぜい、少し傾いた程度、と思ったら・・・・
なんとこの場所、じつは地層がまるっきり
ひっくり返っていたりするのです。
相当激しい大地の動きがあった!
・・・そんなことがどうしてわかるのか・・・
ここの 一枚の地層をよーく見ると、上の方が粒が細かい場所があります。これが証拠。
ただし、ここの粒子はちょと細かくて見えにくいので、虫眼鏡が必要かも。私のような老眼の目には、虫眼鏡は必須です。
下の写真は、宮室の地層の一部です。草がはえて,なんだかぱっとしない写真で,なぜこれを載せたのかと思われそう。なぜ載せたかというと、
じつはこの写真の左端にちょっと見える地層は、地層がひっくり返っていて、右端の地層はひっくり返っていません。
真ん中部分に断層があるはずで、そのため岩石がグズグズと崩れて、しっかりした地層がみえないわけ。
下の解説図と較べてください。写真の場所は解説図のなかの、「逆転している所」とから「雁行れっか多し」という部分になります。間に断層をはさんでいます。
化石採集の旅 関東編 1961年 より
下の写真は 万年橋下流(上図の右の方)の地層。橋の上から見たものですが、
地層がほとんど垂直に立っているようです。
これなら、見ただけでも「大変動があった!」という感じがします。
これ、どっちが地層の上方向かは、調べないとわかりません。
なお、級化構造でも、特別な場合には,上の方が粒が大きいこともあります。たとえば、軽石は水に浮くので、上の方が粒が大きくなる、など。自然はなかなか複雑,一筋縄ではいかないのです。
地層の逆転を知る方法は,他にもあります。いろいろな方法を組み合わせて確実にしていくという慎重さも,大切なわけです。
他の方法の紹介は,次回に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
② 葉理 (ようり ラミナ)
一枚の地層の中に,細かなすじのみえることがあるのですが・・・砂や泥の粒がつくる縞模様。つもるときの水の流れなどでできる模様です。
例えば・・・ 写真は荒船山の近くの兜岩の地層から持ってきた石です。昔の湖にたまったもので、火山灰の混じった泥岩です。
植物や昆虫(!)のたくさんの化石を産出したことで知られます。
この場合の縞は、水の流れではないかもしれませんが。
この縞模様をパカッとわると、 間から化石が出てきます。
資料提供 堀越武男さん
この地層の場所での化石採集は、今は一般にはご遠慮いただきたいという方向のようです。化石産地の保護も必要とされます。
似たようなもので有名なものに、栃木県塩原の「木の葉石」というのがあります。かつての湖に砂・泥・火山灰・ケイソウなどが静かに積もり、それが縞模様になったといいます。兜岩の縞模様も、同じような成因でしょうか・・
というわけでこの縞模様、1枚の地層の中での模様です。そういわれても、ちょっとわかり にくいかもしれませんが・・
下の写真の縞模様もラミナです。
これ、甘楽町の楽山園の庭に使ってあった石のです。三波石など、この地域の名石がたくさん積み上げてありましたが、その中に混じっていました。どこの石?・・といわれると,困りますけど・・
このすじ、地層面に平行な時と、斜めの時があります。平行葉理(平行ラミナ)、斜交葉理(クロスラミナ 昔は偽層ともいった)があります。・・・・・写真がなくちゃ,何のことやら・・・・・・・野外の地層での写真がなくて,すみません !!
ラミナのよく見える場所は、きっとあちこちあるのでしょうけど・・・三浦半島など行くくと、目だって見えていたように思う・・・秩父でもあったなあ。その他いろいろ・・
下仁田周辺で,ちゃんと探して見ようっと。
ラミナを使って,地層の上下を決められる時もあります。
詳しい説明は省きますが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宮室で見られる「雁行状れっか」もいくつか紹介します。
力を受けて岩石にできた複雑な割れ目に,方解石が入り込み,白く見えています。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
<季節の便り>
今年は寒い!12月から寒いので、なおのこと「早く暖かくならないかな」
こんな中、日だまりの斜面では、もう咲いている花があります。
オオイヌノフグリ
青空の小さなかけらをちりばめたのではないかしら、と、見るたび思う花。寒い冬のうちから、そしてのどかな春まで、キラキラ見えるあの青さは本当に魅力的。
名前は、意味を口に出すのがはばかられるという、ちょっと花にそぐわないものです。
ですが、学名はヴェロニカ・ペルシカ。これ、ずいぶんすてきな名前なのです。
十字架を背に刑場へ向かうキリストに、汗をふくようにと自身のヴェールを差し出した女性の名前なのです。
(そのヴェールにキリストの顔が浮かび上がったという・・・以前、毛布を差し出した、と聞いたこともあったなあ・・・のちにこのヴェロニカは聖人とされています。たしかに、我が身の命の危険もあった行為のはずですから、その価値はあるわけです。)
この花、昔からこんなにはえてはいなかった・・もう50年近く昔になりますが、学校で、利根川べりをサイクリングしたことがあります。五料橋から板東大橋へ、もしかしたら、さらに烏川沿いを走ったかもしれません。その途中どこかでオオイヌノフグリがひとかたまり群れ咲いていました。初めて見たその澄んだブルーの花を,美しいなあと思った記憶があります。
(今思うと、昔私の育った学校は,独自にけっこう好きなことをしていましたね)
この花、もとは地中海沿岸地域の植物(だからキリストの話に出てくるんだ)。日本には1890年ころ渡来したとか。明治時代の外来種なのです。それが近年、急速に広がり,日本中の春の野山の花になっています。
きれいだからいい、と、単純に喜んでばかりもいられない・・・・・・・今日本中で外来種が増えて、もともとの日本の種類が生息場所を奪われたりで、どんどん減少しているのです。実際、在来種のイヌノフグリは絶滅危惧種です。玉村町でも田んぼや畑の道ばたは、外来種のオンパレードです。
美しいコバルトブルーの花は、いろいろなことを伝えてくれます。
日曜地学散歩 みやま文庫1971年 より |
海底の斜面を一気に流れ下った泥水(乱泥流・混濁流といいます)が海底に積もるとき、級化構造の地層ができます。
これが何度も繰り返されると、砂岩泥岩互層(ごそう)ができます。
このページの下にのせてある写真(宮室の地層)が砂泥互層の例です。
こんな地層では、粒の大きい方が下。
こんな単純当たり前のことをなぜ大騒ぎして説明するか・・・
じつは地層が地殻変動でひっくり返ったといった大事件が、これでわかることがあるから。
下の図を見てください。右と左の図の,どこがちがうか,わかりますか?右は地層が180度ひっくり返っているのですが。
宮室の砂泥互層(さでいごそう) 級化構造がみられます
ジオサイト・宮室の砂泥互層 |
なんとこの場所、じつは地層がまるっきり
ひっくり返っていたりするのです。
相当激しい大地の動きがあった!
・・・そんなことがどうしてわかるのか・・・
ここの 一枚の地層をよーく見ると、上の方が粒が細かい場所があります。これが証拠。
ただし、ここの粒子はちょと細かくて見えにくいので、虫眼鏡が必要かも。私のような老眼の目には、虫眼鏡は必須です。
じつはこの写真の左端にちょっと見える地層は、地層がひっくり返っていて、右端の地層はひっくり返っていません。
真ん中部分に断層があるはずで、そのため岩石がグズグズと崩れて、しっかりした地層がみえないわけ。
下の解説図と較べてください。写真の場所は解説図のなかの、「逆転している所」とから「雁行れっか多し」という部分になります。間に断層をはさんでいます。
化石採集の旅 関東編 1961年 より
下の写真は 万年橋下流(上図の右の方)の地層。橋の上から見たものですが、
地層がほとんど垂直に立っているようです。
これなら、見ただけでも「大変動があった!」という感じがします。
これ、どっちが地層の上方向かは、調べないとわかりません。
なお、級化構造でも、特別な場合には,上の方が粒が大きいこともあります。たとえば、軽石は水に浮くので、上の方が粒が大きくなる、など。自然はなかなか複雑,一筋縄ではいかないのです。
地層の逆転を知る方法は,他にもあります。いろいろな方法を組み合わせて確実にしていくという慎重さも,大切なわけです。
他の方法の紹介は,次回に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
② 葉理 (ようり ラミナ)
一枚の地層の中に,細かなすじのみえることがあるのですが・・・砂や泥の粒がつくる縞模様。つもるときの水の流れなどでできる模様です。
例えば・・・ 写真は荒船山の近くの兜岩の地層から持ってきた石です。昔の湖にたまったもので、火山灰の混じった泥岩です。
植物や昆虫(!)のたくさんの化石を産出したことで知られます。
この場合の縞は、水の流れではないかもしれませんが。
湖にたまった兜岩の湖成層の石 |
資料提供 堀越武男さん
この地層の場所での化石採集は、今は一般にはご遠慮いただきたいという方向のようです。化石産地の保護も必要とされます。
似たようなもので有名なものに、栃木県塩原の「木の葉石」というのがあります。かつての湖に砂・泥・火山灰・ケイソウなどが静かに積もり、それが縞模様になったといいます。兜岩の縞模様も、同じような成因でしょうか・・
というわけでこの縞模様、1枚の地層の中での模様です。そういわれても、ちょっとわかり にくいかもしれませんが・・
地層に見られるラミナ |
下の写真の縞模様もラミナです。
これ、甘楽町の楽山園の庭に使ってあった石のです。三波石など、この地域の名石がたくさん積み上げてありましたが、その中に混じっていました。どこの石?・・といわれると,困りますけど・・
このすじ、地層面に平行な時と、斜めの時があります。平行葉理(平行ラミナ)、斜交葉理(クロスラミナ 昔は偽層ともいった)があります。・・・・・写真がなくちゃ,何のことやら・・・・・・・野外の地層での写真がなくて,すみません !!
ラミナのよく見える場所は、きっとあちこちあるのでしょうけど・・・三浦半島など行くくと、目だって見えていたように思う・・・秩父でもあったなあ。その他いろいろ・・
下仁田周辺で,ちゃんと探して見ようっと。
ラミナを使って,地層の上下を決められる時もあります。
詳しい説明は省きますが。
宮室で見られる「雁行状れっか」もいくつか紹介します。
力を受けて岩石にできた複雑な割れ目に,方解石が入り込み,白く見えています。
この場所ではさまざまな現象が見られて、地質学を学ぶ学生の学習にも向いている場所になっています。
<季節の便り>
今年は寒い!12月から寒いので、なおのこと「早く暖かくならないかな」
こんな中、日だまりの斜面では、もう咲いている花があります。
オオイヌノフグリ
青空の小さなかけらをちりばめたのではないかしら、と、見るたび思う花。寒い冬のうちから、そしてのどかな春まで、キラキラ見えるあの青さは本当に魅力的。
名前は、意味を口に出すのがはばかられるという、ちょっと花にそぐわないものです。
ですが、学名はヴェロニカ・ペルシカ。これ、ずいぶんすてきな名前なのです。
十字架を背に刑場へ向かうキリストに、汗をふくようにと自身のヴェールを差し出した女性の名前なのです。
(そのヴェールにキリストの顔が浮かび上がったという・・・以前、毛布を差し出した、と聞いたこともあったなあ・・・のちにこのヴェロニカは聖人とされています。たしかに、我が身の命の危険もあった行為のはずですから、その価値はあるわけです。)
この花、昔からこんなにはえてはいなかった・・もう50年近く昔になりますが、学校で、利根川べりをサイクリングしたことがあります。五料橋から板東大橋へ、もしかしたら、さらに烏川沿いを走ったかもしれません。その途中どこかでオオイヌノフグリがひとかたまり群れ咲いていました。初めて見たその澄んだブルーの花を,美しいなあと思った記憶があります。
(今思うと、昔私の育った学校は,独自にけっこう好きなことをしていましたね)
この花、もとは地中海沿岸地域の植物(だからキリストの話に出てくるんだ)。日本には1890年ころ渡来したとか。明治時代の外来種なのです。それが近年、急速に広がり,日本中の春の野山の花になっています。
きれいだからいい、と、単純に喜んでばかりもいられない・・・・・・・今日本中で外来種が増えて、もともとの日本の種類が生息場所を奪われたりで、どんどん減少しているのです。実際、在来種のイヌノフグリは絶滅危惧種です。玉村町でも田んぼや畑の道ばたは、外来種のオンパレードです。
美しいコバルトブルーの花は、いろいろなことを伝えてくれます。
0 件のコメント:
コメントを投稿