群馬県には、冬に晴れあがる太平洋側気候の地域と、冬には雪のたくさん降る日本海側気候の地域があります。下仁田はもちろん太平洋側。
気候によってそこに住む動植物は異なりますから、両方の気候区のある群馬県には、多くの種類、特に植物、がみつかります。
たまには 群馬県内の地域の紹介もしてみようかと。
群馬北部地域、ここでは雪が溶ける頃から、水のある所には両生類の仲間が卵を産みはじめます。 4月末のみなかみ町での様子です。
地滑り地にできた湿地に、 たくさんのクロサンショウウオの卵塊が |
草などにしっかり付いて。1匹が卵塊2個を産みます。 |
木にはクマのつくったクマだな |
クマはバキバキと枝を折ってむしゃむしゃ食べ、その枝が熊棚になります。
クロサンショウウオの親。卵は大量にあるのですが、成体はめったにみられません。夏の間、どこで過ごしているのか、はっきりわからないようです。 |
ヒトリシズカまだ出はじめ |
ここはまだカタクリのシーズン |
ショウジョウバカマ |
クロサンショウウオとアズマヒキガエルの卵塊 |
昔、「カエルの発生・原腸胚の卵黄栓」と テストで覚えた人もいるかも。生物の教科書の最初のほうに載っていますから。何だかよくわからないような面倒くさい断面図があったはず。白いのは、卵のなかの卵黄のたくさん詰まった部分(卵黄栓)です。写真ありませんけど・・
アズマヒキガエルの産卵・ガマ合戦(数年前) |
下仁田にもヒキガエルはいます。こんな光景、どこかで見られるのではないでしょうか。
少し流れのある場所にはトウホクサンショウウオが産卵しています。
トウホクサンショウウオの成体 |
トウホクサンショウウオ卵塊 |
右写真の卵塊は、もちろん、そっともとの状態に戻しておきました。
親の姿や幼生も見られます。
トウホクサンショウウオの幼生 |
ハコネサンショウウ幼生 写真 竹村英雄さん |
小さなサンショウウオを中心に紹介しました。
この地域では、6月になると、木の上で泡の中に卵を産むモリアオガエルの産卵も見られます。豊かな生き物相があるなあ、と思います。
ところで、下仁田にはどんな両生類が見られたかな・・・冷たく澄んだ渓流にはハコネサンショウウオがいるのでは。下仁田を含む多野地域には、両生類が14種類、そのうちカエルが11種類とか。ヒダサンショウウオはいるはず。ちゃんと調べていなかったので、詳細はわかりませんが。
それぞれの生き物は、環境によって棲み分けていて、微妙な環境の変化や人による採取で、どんどん生息を減らしています。両生類などはレッドデータ(絶滅危惧種)にないるようなものばかりという有様です。知らぬ間にいなくなった、などということのないように、関心を持って保護していってほしいと思います。
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「地滑りでできた湿地に生息する」と簡単に書きましたが、本当はそんなに簡単じゃない。
地滑りで凹地ができても、下に水を通さない地層がなければ、水はたまらない。また、どんどん土が流れ込めば、凹地はすぐに埋まってしまい、水はたまらない。その他、いろいろな条件が微妙に関係して、生き物の住む場所が決まってくる。
みなかみ町の大峰山は、厚い泥炭層が浮島になっている大峰沼があり、近くにはモリアオガエルの産卵で知られる古沼(こぬま)があります。ここでは、モリアオガエルの産卵数が、何と1963年からずっと、地元の方々により調べられています。貴重だなあ。
この沼の成因は長いあいだわからなかったのですが、近年、地滑りによるものとされています。
地質を見ると、厚い溶結凝灰岩の下に、水を通しにくい火砕流堆積物があることがわかります。その境目のあちこちに、水が湧き、沼や湿地、池が見られることに気づきました。予想される場所に水が湧いている・・・「昔、ここにはイモリ池という池があった」と地元の方のお話を聞いた場所も、予想される場所。林業の作業で埋まったようです。
非常にきれいな、水質の良い水は、そんな場所を好む多くの生物の大切な生育場所にもなっています。
以下は、大峰山付近の地質とその解説、湧き水との関係です。細かなわき水については記入は省きました。
こうしてみていると、大地の条件が生き物たちの生きる条件に大きく関係していることが
はっきりと読み取れてきます。
多様な生き物と一緒に生きていく・・・そんなことを忘れてきてはいないでしょうか。
環境を、大地を、強引に改変するばかりではいけないのでは。
キクザキイチゲ |
わき出した水に育つバイカモとそこに生きるイワナ |
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