2017年10月3日火曜日

ワンカップで雨量計、防災は自分たちの手でも

「自分で雨量を調べると、
   雨の降り方が感覚でわかるんですよ」

NHKの番組で、下仁田町にお住いの方の防災への取り組みが紹介されたと聞きました。
自分の手で雨量を計って、防災に役立てようというのです。
 テレビ番組は見なかったのですが、お話をうかがう機会を得ました。

これが雨量計   お酒のワンカップの廃品利用です。目盛りを張り付けていますね
     
カップにたまった雨の量を記録します。
1つは一日の雨の量、もう1つは大雨の時の1回分の雨の量を測るのだそうです。
 なんと2011年の5月からず~っと測っているとのこと!

 きっかけは、防災の取り組みに、お住まいの下仁田町川井地区が参加することになったこと。
2010年の秋に、群馬大学の片田先生の講演があり、同じく群馬大学の金井先生から、どんなことをやったらいいかを教わったとのこと。(片田教授については、2011年の東北の大津波の時、指導していた釜石の子供たちが、片田教授から教わったように行動して助かったことで、お名前を憶えていらっしゃる方も多いかと思います。釜石の奇跡などと言われたりしました。)

 どういう災害があるかと聞かれたので、「土砂崩れがある」と答えたら、「雨量計が必要だね。測る道具はワンカップがあれば大丈夫」と。そして自作の雨量計で、2011年5月からずっと、今は2017年秋ですから、6年以上測り続けているというのです!!

 ワンカップは、家の裏の手作り棚の上、石で作ったテーブルの上にあります。この記録を取っていらっしゃる市川さんは、本業が石屋さん。石の残り物のきれっぱしも使ったというわけですね。
 やってみて、降水量何ミリというのがどんな雨か実感して、わかるようになったとおっしゃっていました。すごいな。私、わからない。
 「何年も測るなんて、大変だったでしょう」
 「な~んも。朝ここにきて見るし、雨降ったときはちょっと見ればいいんだから」
   いえいえ、それがなかなかできるものじゃないんですよ」

資料を見せていただきました。





お年寄りからも話を聞いて、それも参考に、川井地区の防災マップも作成しています。
  
一部を拡大してみました

 地元の地形を細かく観察して、いろいろ書き込まれています。こういう記録は、住んでいる人でなくては作れないですよね。

 災害の記録も調べていらっしゃる。
1947年(昭和22年)のカスリン台風では、家が1軒流され、歩いていた人を含めて
5名がなくなっています。
昭和62年にも土石流が発生。
 古い資料も調べています。200年ほど前に土石流があったらしいのですが、古文書に「寛政3年(1791年)8月の大雨で2町歩余の被害を受けたが百姓家は無事だった」といった記録があるそうです。この記録なのでは。
近隣にある桑本地区では、1742年に70余の家が流され、死者50余名という記録もあるそうですから、土石流はおそろしいものです。

 こういった活動をしていると、「何かやっているみたいだから」と、昔の沢の名前が細かく書き込まれた古い地図を持ってきてくれる人がいたりと、活動も広がるといいます。

 防災活動を始めてすぐ、2011年の大地震がありました。停電がありましたね。計画停電で、大騒ぎした記憶があります。寒い頃で、暖房に困るお年寄りの家があるかもと、ペットボトルにお湯を入れて暖を取るようにと、民生委員と一緒にお年寄り宅をまわったそうです。ペットボトルには、熱いお湯を入れても大丈夫なものとダメなものがあるとかそんなこともいざという時には必要な知識。(そうだなあ)

 有名国立大学の先生が、「いちいち測らなくても、ドラム缶を使って雨量をはかればいい」と言ったそうです。レーザーを使って、反射を人工衛星に飛ばしてそれをパソコンに受けて記録するシステムとかいうことのようです。今、開発中のようです。でも
  「体験するのが大切なんで、こういう雨でこういう雨量と、
   やっていると体験でわかるんだよ。それが大切なんだよ」 同感!!
それに「災害の時は、だいいち、停電しちゃうかもしれないじゃないか。そうしたら、電気がこなけりゃ、測れやしない」  納得です。

 最新技術の利用も、自分たちでやることも、どちらも大切でしょう。まさに目の前で災害が起こりそうな時、自分たちで判断できるということは、大切です。

 自分の命は他人任せにしてはダメ。自分で考えて、やる。専門家はそこに適切にかかわるのが大切。そんなことを教えられたような気がしました。

 地域の防災委員は次々変わります。情報が受け継いでいかれる保証はありません。
「避難場所は小学校、これだけはみんなに覚えてもらうのが大事だよ。地区の集会所は危ないところにあるから」 地域の実際を知る方の言葉は、重みがあります。

ところで市川さん、本業は石屋さん。本業の様子を載せましょう。
この作業所の裏に、ワンカップが置いてあります。

防災なんて、考えたことなしで生きてきました。でも、最近は豪雨も増えています。
地震も活動期に入ったといわれています。
テレビの教育放送に「学ぼうBOSAI」という番組もあって、びっくりしたものです。
 自然災害の多い国・日本と言われています。ちょっと考えてみたいです。
市川さん、ありがとうございました。




2 件のコメント:

  1. 和田さん、先日は白艶華工場見学会ありがとうございました。
    ところで、カスリン台風災害では、私の地区(七久保)で、縁戚のおばさんが鉄砲水のような土石流で流されて亡くなっています。川井地区(市川さんら)の取り組みは大変重要ですね。日頃から変化に気付き、一早い避難をする、これは大切ことだと思いました。大切な情報提供をありがとうございます。snsでも紹介させていただきます。

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  2. ご親戚の方が亡くなられているとのこと、驚きました。
    いつでも当事者になると、他人事でないことを、あらためて感じました。


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