2013年10月8日火曜日

岩石① 石灰岩 その2

 石灰岩ってどんな石?
理科の教科書だったら、どんなことが書いてあるでしょう。。。。


       
成分>
  方解石(カルサイト)という鉱物が主成分の石です。
 とはいえ、ふつう、「方解石」というのが何なのかがわからない・・・
 化学成分でいえば 炭酸カルシウム  
          
ますます何のことか・・?といわれそう・・・
 
 
方解石の透明な結晶
下の紙に引いた1本の線が2本に見える
大きく透明な方解石の結晶は、マッチ箱をつぶしたような形に割れ、何度割っても同じ形に割れ、文字の上に置くと、二重に見える・・・・こんなの、どこかで勉強したと、思い出す人もいるかもしれません。


東京の科学技術館で開かれた今年の『青少年のための科学の祭典」で、方解石岩塩を子供たちがとんとんと割って、同じ形に割れるのを体験するコーナーがありました。岩塩はサイコロ型に割れる性質があります。こういう性質を劈開(へきかい)といいます。
でも、こう聞いても、見た目からいうと、この透明な方解石と石灰岩は、ほとんど結びつかないなあ。
 
 
炭酸カルシウムという成分は、学校で使うチョークの成分になったり、卵の殻・貝殻の主成分だったりします。いろいろと姿形を変えて私たちの前に現れそうです。
ちょっと解説を試みてみます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 
  • 材料の化学成分が炭酸カルシウムなら、これからできた結晶が「方解石」。     
  • 材料がお砂糖(化学の言葉ならショ糖)なら、これからできた結晶が「氷砂糖」、
      こんな
    関係かなあ・・・・
     
    さらに
  • 小さい方解石の結晶がたくさん集まって、石灰岩という石になる。
      一方、砂糖では
  • すごく小さい氷砂糖がたくさん集まって、金平糖になる・・・正確かな?・・・、ま、こんな感じで、ということでご勘弁願います。
    。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
判定の仕方、など

石灰石に塩酸をかけると、泡が出ます。泡は二酸化炭素です。
 
化学成分の炭酸カルシウムはCaCO3と表されますが 、いかにも二酸化炭素(CO
)が出てきそうです。
 
(化学の時間に大嫌いだった化学式=記号かもしれませんが、こんなふうに、化学式

      書くとよくわかることがあります。)
 ふつうの家には塩酸なんてありません。でも、塩酸の入った商品を使って同じことができます。トイレの洗剤のサンポール(商品名)には塩酸がたくさん入っています。結構濃いので、取扱注意です。薄めて使えます。結構おもしろいですよ。
石灰岩が材料のコンクリートでも泡が出ます。

 鉄よりやわらかいので、ハンマーやクギで傷がつきます。
 鍾乳洞の鍾乳石も方解石からできています。
 


石灰岩は川原のレキでは丸っこくて表面がつるつるしていますが、野外では表面が地下水や雨で溶け、独特の雰囲気を見せたりします。
               雨水で表面が溶けた石灰岩

              

 
<どうやってできた?> 生物からできた岩石です。
 サンゴ・貝殻・有孔虫などがたくさんつもってできたといいます。大昔のサンゴ礁がそのまま石灰岩の塊になっていたりもするとか。そんなわけで化石を含むことも多いのです。
・・・ということは、この岩石は昔の海の中でできた・・・
                                    *生物起源でないものもあります。
                                        

古い時代の古生代のものが多いのですが、もっと新しい時代のものもあります。
下仁田にも、
数億年前の古生代のもの(地質年代の石炭紀からペルム紀という時代のもので、2億年・3億年といった、はるか大昔)と、1600万年ほど前のもの(新生代 中新世がみられます。
                     (
地球の歴史では、1600万年は新しい時代なんですね~)

                                                                                         おみやげものの星砂。白いのが有孔虫


*有孔虫:海にいる石灰質の殻を持った小さな原生動物(殻をかぶったアメーバーといった感じ)。  沖縄土産の「星砂」は有孔虫の殻です。
☆の形をしているかな? 
いているのと、海の底にいるのとがいて、普通は1mm以下程度の大きさ。
この仲間は古生代の初めから、つまり5億年ほども前から生息というからすごいですね。     


日本の石灰岩は、多くはそれほど大規模でなく、地層中に切れ切れに分布しています。
雨水や地下水でほんのわずか、ゆっくり溶けます。下仁田にも、そうしてできた小さな鍾乳洞があります。
    例:下郷(しもごう)
()の鍾乳洞 
            
 鍾乳洞の中の鍾乳石(左の写真)
一度水に溶けた石灰成分が、ふたたび固体になり鍾乳石となって姿をあらわしています。
学校の理科の時間で、石灰水に二酸化炭素を吹き込むと、白く濁るという実験をしたことがあると思います。あの濁りは石灰岩や鍾乳石の成分と同じというわけです。

写真 堀越武男さん

石灰岩は日本で自給できる、数少ない地下資源です


< どこにあるの?>

下仁田では、ほとんどの石灰岩体は中央構造線の南地域にあり、古い時代の地層(秩父帯の地層)に多く見られます。
中央構造線の北の地域では、見つかっているのは新しい時代・新生代の石灰岩(中小坂虻田(あぶた)地区)の石灰岩だけです。
                                         

下仁田では青倉川沿い赤谷集落付近に石灰岩の大きな崖が見られます。ここではかつて採掘され、今でも会社があります(白石工業株式会社 白艶華工場)。写真は前回載せました。
この石灰岩の崖は道路わきに見られますが、昔はもっと大きな崖だったそうです。
なお青倉では化石は見つかっていません。25000万年前の石灰岩と言われています。     

又山ふもとの下郷には小さな鍾乳洞があります。

平原(へばら)ではフズリナ化石を含む石灰岩が見られます。
      ( 採取した化石は、自然史館にもあります。写真を撮っていません。ゴメンナサイ)
中小坂(なかおさか)虻田(あぶた)には、新生代という新しい時代の石灰岩があります。大型有孔虫(ゆうこうちゅう)レピドシクリナをたくさん含む石灰岩として有名です。

石灰岩といっても、砂や泥が混じり、砂岩・泥岩と交互に層(層)(ごそう)
をつくっています(下の写真)。大きな塊となっている古生代のものとは感じの違うものです。

この石灰岩を持ち帰り、うすく切って磨き、ガラスにはり付けてプレパラートにして顕微鏡で見ると、右の写真のような化石の集まりが見えます。
下仁田自然学校の堀越さんが作成し、写真撮影もされました。
    

   レピドシクリナ  写真 堀越武男さん


    
             
虻田の石灰岩 野外の様子
  

砂泥と交互の地層をつくっています。
一方、古生代のものは塊状 になっています。

写真 堀越 武男さん




石灰岩に含まれる化石


レピドシクリナ>
上に書きましたが、もう一度。
()()中小坂(なかおさか)虻田(あぶた)の石灰岩は、大型有孔虫レピドシクリナをたくさん含むことで有名です。この化石が出てくると、何年くらい前とか、暖かい海だったとかわかるという化石です。
「大型」とは言いますが、大きさは数㎜。有孔虫の中では大きい、ということです。
ですから、よく見るにはルーペ・虫眼鏡が必要で、さらによく見るには、切って磨いて、顕微鏡などで見ることになります。
フズリナ >
(平原(へばら)
()みられます。
フズリナは古生代という古い時
代に生息していた有孔虫の一種で、生息していた時代を知るのに使われる、
とても有名な化石です。
下仁田とは別地域ですが、風化で化石だけが転がり出る場所もあり、そんな地域では米粒石などと呼ばれました。
ちょうど米粒のような感じに見えるのです。)

栃木県葛生のフズリナ(米粒石)

石灰岩の中に貝やサンゴなどの他の化石は見られないの?
  下仁田では、今のところないのかなあ・・・

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ついでなので、おまけの話を
 石灰岩や大理石(石灰岩からできます)の中の化石を気軽に見られる場所は大都市です。
先日東京駅に行ったら、丸の内北口(丸天井にいろいろな像で有名になった場所)の床に、たくさんの化石がありました。みんなが上を見上げているとき、下を見ているというのも、何だか妙に見られそう・・・。今思い出そうとして、「サンゴだったっけ?」などと、なんとも頼りないかぎり。「こういうのはネット投稿している人がいるだろう」と・・そういう人、たくさんいるのですね。ウミユリ化石とありました。そうだったっけ・・などと、今頃思っている・・ちょっと情けない。
化石は有名どころのデパートの壁などでさがすと見つかります。壁に大きなアンモナイトのはいった場所だってあります。町中化石観察会、なんて開かれることもあります。もっとも下仁田や私の住む玉村町では、あまりないと思いますが。そういったことにお金を費やすのは、資本力のある所といえるかも。
 上信越自動車道甘楽パーキングエリアの上り線では、一部の柱にびっしり化石のはいった石灰岩がはり付けてあります。下仁田自然学校校長の真野さんに教わり、のぞいてきました。我が家に近い場所なのでふつうなら絶対に立ち寄らない場所です。見事な化石!(外国産のものです)。石器や古墳などの埋蔵文化財もおいてあったり、富岡製糸のレンガを模したレンガの壁に屋根がみられ、高速道路のパーキングとしてはあまり見かけないつくりでした。目をとめる人はあまりいない感じではありましたが。
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l  生物が集まったのなら、化石だらけでもいいと思うのに、それほど化石が見られないのはなぜ?
 岩石は、長い間には圧力や熱を受け、変化していきます。このとき、再結晶といって、
 結晶が組み変わっていったりして、化石の姿はだんだん失われていきます。

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石灰岩の分布地域には、他の場所ではあまり見られない植物が育つことがあります。あるいは他地域よりも石灰岩地で多く見られる植物が見つかったりします。
 
叶山では、石灰岩を掘りとっていますが、山の一角に石灰岩地に育つ植物を集めて、管理していました。その指導を下仁田自然学校の名誉顧問の里見哲夫さんがおこなっています。
ここを訪ねたとき、キバナコウリンカが花をつけていました。叶山とすぐ近くの二子山だけに見られるという貴重な植物で、絶滅危惧ⅠB類に指定されているものです。

日本の土壌は少し酸性の土です。日本の植物はこの土に適応した性質をもっていることになります。ところが石 灰は水に溶ければアルカリ性になるわけで、石灰岩の上では、通常の土とは違った性質になります。そんな特別の場所に育つ植物は、少し特別の植物だったりするわけです。
下仁田にある青倉や下郷の石灰岩体は小規模のものですが、それでも、石灰岩地を好む種類が数種見つかっています。

写真: キバナコウリンカ
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賢治は農家の人に、石灰の効用を教え、その知識を広めようと努力しました。今では家庭菜園をおこなう人でも、ホウレン草をまくときは石灰をまきます。育ちがよくなるようにと。
野菜を育てるとき、たいてい石灰をまきます。考えてみたら、野菜の原産地はほとんどが外国。日本にやってきたこれらの植物たちには、日本の土は少し酸性がきつかったのかな。

2013年10月6日日曜日

岩石  ①石灰岩 その1

 

<2> さまざまな岩石   
下仁田にはたくさんの種類の岩石が分布しています。

鏑川の川原では、たくさんの種類の岩石をみつけることができます。
石灰岩

   石灰岩   青岩公園の川原に転がっている白い石です
       (青岩公園の川原の白い石は、他にもう1種類あります)
 白くてよく目立ち,青岩公園の川原の石の中では区別しやすい石。
ですが、少し下流に行くと,見られなくなります。柔らかく、砕け削ら
れてなくなってしまうため。
ということは,近くに石灰岩があるはず・・・・
そこで南牧川を少し上流にたどってみると、石灰岩の岩壁と工場が見えてきます。


下仁田町青倉にある石灰岩の岩壁              白石工業株式会社 白艶華工場

この石灰岩の崖は道路わきに見られますが、昔はもっと大きな崖だったそうです。
     ここではかつて採掘され、今でも会社があるわけです。



何に使われるの ?

工場があるわけですから、何かに利用しているわけです。何にか、ご存知でしょうか。


 
<石灰石の利用>
何といっても「セメント原料」。
ある資料では、国内生産の約半分47%がセメント材料で、21%がコンクリート骨材とありました。
東京のビルは、石灰岩の山を崩して運んで作られた! 
      ただし、
下仁田の石灰岩は小規模の産出で、セメント材料には使われていません。
他の使い道
青倉の工場のパンフレットにのっていたもの
ゴム プラスチック  塗料  インキ  紙   食品  など

(食品利用を調べると、じつに様々に使われているようです。パン・ビスケット・チョコレート・米菓・豆
腐・寒天・麺類・マカロニ類・漬物 そしてコンニャクなど。役割は発酵、変色・変質防止、中和など)  

ほかにもいろいろ使い道があるようです・・・化粧品  マッチ 歯磨き粉  皮革、 
ニワトリや牛の飼料に混ぜる(しっかりした卵の殻をつくり、良質の牛乳をつくる)、
火力発電所や工場の排ガス処理、  群馬では、酸性の水が流れる川・吾妻川(草津温泉
温泉水が流れ込む)の中和のために使用

グラウンドの白線も、畑にまく石灰も、お菓子や海苔の乾燥剤も、みんな石灰です。生石灰だっり
消石灰だったりで、詳しい説明は省きますが、とにかく、身近にあるものです。
よくもまあ、こんなにいろいろな使い道を考えついたものだなあ、と感心しているところです。
秩父武甲山(埼玉県秩父市)
 秩父の武甲山は石灰岩の山。神流
()()(かのう)山も。どちらも山を削り尽くす勢いで採掘されています。(「秩父太平洋セメント」という会社があります)。
鍾乳洞で有名な山口県の秋吉台も石灰岩の大地。
石灰岩は東北の北上山地にも北海道にも、また西日本から沖縄まで、日本各地に分布しています。

沖縄では琉球石灰岩という新しい時代の石灰岩が広く分布しています。サンゴ礁からできたものです。
第2次世界大戦の沖縄戦で住民が逃げ込んだガマは石灰岩にできた洞窟・鍾乳洞のはずです。

 
叶山(群馬県神流町)  採掘前の叶山  写真提供 細矢尚さん  
 

現在の叶山   西荷鉾山より撮影(風景がかすんでいてすみません)
 
 
石灰岩は日本で自給できる数少ない地下資源です。         叶山  秩父太平洋セメント提供
   
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 宮沢賢治と石灰岩には深いつながりがありました。
 
 賢治は学校の教師を辞めて,農家への科学的な援助・肥料指導をはじめています。
その後、東北砕石工場という会社で、石灰石利用のために働いています。
作物のための主要な肥料分としては窒素・リン酸・カリとよくいわます。ですが,石灰も重要な役割
を果たします。酸性土壌の改良のためです。とはいえ農民は,石灰の効用に半信半疑だったそう
です。その理解を深め広げるためにも、賢治の努力は続けられました。
今ではその名前のよく知られた「小岩井農場」は火山灰土の荒れ地で、酸性土壌の改良が必要
な土地でした。そのために大量の石灰が使われました。消石灰というタイプでは、石灰石を焼いて
つくっていたため、それなり値段が高くなります。小岩井農場では焼かずに岩を細かく細かく粉砕
したものを使用し、価格を抑えました。これを引き受けた工場が東北砕石工場でした。農民に価格
の安い石灰を提供することは賢治にとっても大切なことだったはずです。この工場のために賢治
宣伝文を考えたりもし、献身的な活動で、石灰を広めました。石灰の効用を宣伝するため、大
宣伝文書を送り続けたともいいます。今のようにコピーで簡単に印刷物をつくることももちろ
く、ましてやメールなどない時代です。
石灰岩からつくった建築用壁材の販売にも取り組み、その重いサンプルをトランクに詰めて,東京
まで営業に出かけています。その旅先で倒れ、その後回復することなく、亡くなりました。
 
残された革鞄の中には数個の石灰石と1冊の手帳があったそうです。
この手帳に書かれてあったのが、「アメニモマケズ・・・」の詩でした。
 
自らの持つ科学の知識と言葉への感性、働く人々への思い、それらをもとに、あまりにも献身的に
働いた姿がありました。
 
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 日本建築の白壁、これにも石灰がかかわっています。白い漆喰(しっくい)を塗って白壁を仕上げ
ます。私にとっては、漆喰って聞いたことはある言葉でしたが、よくわかっていない言葉でした。
  奥栗山渓谷の入り口付近では,かつて石灰岩を採掘したそうです。その石灰で漆喰(しっくい)
をつくり、富岡製糸場で使用した記録があると聞きました。白い漆喰は赤いレンガに映えます。
かし、いまではその石灰岩は見つからず、採取場所もはっきりわからなくなっているようです。漆喰
は石灰岩からつくるというのを、あらためて知りました。
 
白鷺城として知られる姫路城の白壁は、貝殻を焼いてつくった灰を漆喰(しっくい)の材料にしてい
そうです。ですから、大がかりな修理にあたって、その材料確保が大変だったようです。今、石灰
岩なら簡単に入手できますが、歴史的価値を持つものとしては、石灰岩を使うわけにはいかな
い・・・
貝殻も石灰石も、どちらも主成分は同じで、炭酸カルシウムになります。
 
 

 


2013年10月2日水曜日

岩石分類の 補足:岩石の変質

各岩石の説明の前に、ちょっと思いついて、話のおまけを。 少し余分な話かもしれませんが。

  「緑色岩って聞いたことあるけれど、分類の表のどこに入るの?」 とか、実際の石を手にすると,いろいろ疑問が出てくるものです。「これから書いていく解説文の中で書けばいいじゃないか」と言いたいところですが、それもどうかと・・・
というわけで、少しページを割いてみました。
  
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<岩石の変質>

角張った石の混じった石で名前は「凝灰角礫岩」なのだけれど、色がなんだか変。緑色がかっているのです。これはどうして?・・・・あとから緑色に変化した・・・

凝灰角礫岩


緑色の色の水がしみこんだ?いえいえ「緑色の鉱物が、あとからできた」からです。
あとからできたという緑の鉱物は、この場合は緑泥石かと思います

輝緑凝灰岩・緑色岩
というわけで、「凝灰角礫岩だけれど、少し変質した石」になります。
もう一つは,緑色岩といって、昔の火山噴出物(溶岩や火山灰など)が変質したもの。これになると、もとがどんな石か、わかりにくい・・・。

岩石は、長い間には、それぞれ異なった環境に置かれます。地表近くで雨風にさらされるものもあります。地下で300℃とかいった熱水にさらされたり、圧力を受けたり、もみくちゃにされたりしたものもあります。
そんな時、岩石の成分が水や熱水に溶けたり、水や熱水の中の成分が沈着したり、多少の熱にさらされて堅さや成分に違いができたり。そこでは化学変化が起き、新しい鉱物ができたりと、さまざまな変化がおこるのです。
 
非常に大きな変化で、もとの岩石と大きく異なってしまえば、変成岩になるわけですが、それほどでないときは、「変質」と呼びます。正確に言えば、地表や地殻(地球の表面部分)の浅い所での水の影響による変化を「変質」とよぶとのことです
熱水以外にも上にあげたように、さまざまな影響を受け、様々な顔つきの石ができてくるわけです。
  

こうして石は、緑色をおびてきたり、いろいろな鉱物が沈着したりと、顔つきもだんだん変わっていきます。
歴史・経験を経ると,最初の顔とはちょっとちがった、それぞれその歴史を刻み込んだ顔つきになるわけ。人間も同じかなあ・・石のほうが変化が激しそう・・・
   ますます見分けが難しくなりそうな気がしてきそうで、困ったものですが。
 
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石も、水浴びしたり、お風呂や温泉に入ったり、煮物にされたり、焼かれたり、深くに埋められたり、ぎゅっと押されたりと、さまざまな歴史で変化していくというわけ。時にはまったく違う岩石になって、変成岩といわれたりもする、という話でした。

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<変質の例>
大谷(おおや)(いし)

昔の海底火山の噴出物が固まった石。変質で緑色になっていますが、永い間雨風にさらされると、だんだん緑が薄れていきます。栃木県大谷でたくさん切り出されてきました。
穴ぼこは軽石だったところだそうで、早くから茶色に変質して柔らかくなり,抜け落ちていきます。塀によく使われました。昔の倉庫にも使われた石です。栃木県の大谷が産地なので、大谷石。岩石学的な名前は,軽石質の凝灰岩になります。最近、採掘跡の空洞が陥没したりして,問題になったりもしています・・・

   
    大谷石の倉庫(下仁田町)

大谷石の塀


  砥沢(とざわ)()の砥石・・流紋岩という、マグマが冷えて固まった石からできたもの。熱を受けて少し変質し、こまかい結晶で加工しやすい石になっています。
岩石名は,流紋岩になります。鏑川の川原の白い石には,この仲間の石があります。
   

  (くぬぎ)石・・南牧村に産する石材です。安山岩ですが、変質して白っぽく加工しやすい石に変質しています。細粒の火山灰の固まったような感じに見えています。コンニャクの製造過程で,この石でつくった臼を使い、水車を動力として干したコンニャクを粉にしたそうです。ふるさとセンターの入り口に石臼になって置かれてありました。
自然史館にも展示してあります。

  温泉地にいくと、石や土が白くなっている時があります・・・黒っぽい鉱物は変質の過程でなくなっていき、変化しにくい二酸化ケイ素の成分(白い色)が残るための現象です。


<補足の話> ・・・・・・・・・・・・・・

水の温度は沸騰しても100℃以上にはならないのでは?


  →水が100℃で沸騰するのは1気圧(普通の地上)の時で、このとき水の温度は100℃より高くなりません。しかし圧力がもっと高い時は、もっと高い温度で沸騰します。ですから地下や海底では300℃の温度の熱湯・温泉というのもあり得るわけです。当然、圧力が1気圧より低ければ、100℃より低い温度で沸騰します。気圧が低くなる高山では、水は100℃にならずに沸騰します。
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<岩石の風化>

野外での岩石は苔むしていたり,表面がボロボロしていたり、何だかよくわからない石だったりします。ハンマーで割って見ると、ボソッと割れたり、表面と内部がちがった色だったりします。この場合、内部のものがもともとの石で、表面近くの色の変わった部分は「風化」した部分です。
雨風にさらされているうちに砕け、化学変化がおこり、あの硬い石も変化していって、だんだん土のような色になってきたり、粘土のようになってきたりもします。柔らかくもなり 「石がくさった」 などといわれます。
だから地質調査の人たちは、必ず、ハンマーで石を割って見ていますよね。
腐っていない「新鮮な石」を求めて。
川原の石はたいてい新鮮です。観察するとき,ハンマーで割らなくても,見ることができますね。

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ここで再び、宮沢賢治に登場してもらいましょう。
  以前にも『岩頸』の話で紹介した,「楢ノ木大学士の野宿」という作品から

地下深くでうまれたカコウ岩に含まれる鉱物たちが話しています・・・
登場人物は クオーツさん(石英)
        プラジョさん(プラジオクレース 斜長石)
        オーソクレさん(オーソクレース 正長石)
        ホンブレンさん(ホルンブレンド 角閃石)
        バイオタさん(バイオタイト 黒雲母)

  角閃石と黒雲母がケンカしています。
        
「そんなに肱を張らないでお呉れ。おれの横の腹に病気が起こるじゃないか」
「おや、変んなことを云ふね、一体いつ僕が肱を張ったね。」
そんなに張ってるじゃないか、ほんとうにお前この頃湿気を吸ったせいかひどくのさばりだして来たね」
「おやそれは私のことだろうか。お前のことじゃなからうかね、お前もこの頃は頭でみりみり私をおしつけ様とするよ」
「何がひどいんだよ。お前こそこの頃すこしばかり風を呑んだせいか、まるで人が変わったように意地悪になったね。」
  
     ・・・・・・・中略・・・
「さうかい、そんならいいよ。お前のやうな恩知らずは早く粘土になっちまへ。」
      (どうやら石が地上に出て,風化がはじまっているようです)

「一寸お待ちなさい。あなた方は一体何をさっきから喧嘩しているんですか。」
新しい二人の声が一緒にはっきり聞こえ出す。
「オーソクレさん。かまはないで下さい。あんまりこいつがわからないもんですからね。
「双子さん。どうかかまはないで下さい。あんまりこいつが恩知らずなもんすからね」

「まあ、静かになさい。僕たちは実に長い間堅く堅く結びあってあのまっくらなまっくらなとこで一緒にまはりからのはげしい圧迫やすてきな強い熱にこらえてきたではありませんか。一時はあまりの熱と力にみんな一緒に気違ひにでもなりさうなのをじっとこらえて来たではありませんか」

しばらくして今度は黒雲母が泣き出します。
「ああ、いた、いた、いた、いた。、痛い、いたい」
「バイオタさん。どうしたの、どうしたの。」
「早くプラジョさんをよばないとだめだ。」
「ははあ、プラジョさんというのはプライオクレースで青白いから医者なんだな」
大学士はつぶやいて耳をすます。
「プラジョさん、プラジョさん。」
「はあい」
「バイオタさんがひどくおなかが痛がっています。どうか早く見てください。」
「はあい。なあに別段心配はありません。風を引いたのでせう。」
「ははあ、こいつらは風を引くと腹が痛くなる。それがつまり風化だな」

大学士は眼鏡をはづし、半巾で拭いて呟く。
「・・・・お前さんの体は大地の底に居たときから慢性りょくでい病にかかって大分軟化してますからね、どうも恢復の見込みがありません。」

「さやう、病人が病名を知らなくてもいいのですがまあ蛭石病の初期ですね。俗にかぜは万病のもとと云いますがね。」

「プラジョさん、プラジョさん、しっかりしなさい。一体どうなすったのです。」
「うむ、うむ、実は私も地面の底から、うむ、うむ、大分カオリン病にかかっていた、うむ、オーソクレンさん、オーソクレンさん。うむ。今こそあなたにも明かします。あなたもちょうど私同様の病気です。うむ」  (カオリンは粘土をつくる鉱物の一つです)

このプラジョさんの告白を聞いて
「ずいぶん神経過敏な人だ。すると病気でないものは僕とクオーツさんだけだ。」
  といったのはホンブレンさんこと角閃石。しかし斜長石医師は答えます。
「ホンブレンもバイオタと同病。」
  今度はクオーツこと石英がいばって云います。
「おや、おや,どなたもずいぶん弱い,健康なのは僕一人。」
  ふたたび斜長石医師が告げます。
「うむ、うむ、そのクオーツさんもお気の毒ですがクウショウ中の瓦解が病気です。うむ。」
 かくして,みんな病気だと知った鉱物たちはいっせいに泣き出してしまいまう。
「あ、いた、いた、いた、いた、た、たた。」


こうしてかこう岩も変化して、さらに,温度差なども影響して、細かく砕けてもいくのでしょう。
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”慢性りょくでい病”は、緑泥石化作用のこと。鉱物が,温泉のようないろいろな成分を含んだ高温の熱水によって、緑泥石に変わってしまう作用です・・・・・
緑色になってくる・・・岩石が地下で受けた作用です。賢治は「大地の底にいたときから」と、ちゃんと書いています。。
ページの最初に取り上げた石の緑色は,これのことですね。

蛭石は、黒雲母が熱水の作用や風化をうけて生じると言われるものです。園芸用の土のバーミキュライトはこれを利用してつくるようです。

カオリン・・・これも、長石から変化したもの。焼きものの粘土になります!これがたくさん含まれているほど、良質の焼き物の土になるそうです。風化は岩石を腐らせて,いやなやつというイメージですが、これのおかげで,焼き物ができるのかあ・・と思うと、ありがたい話になります。地下で熱水の作用をうけたり、水底にたまったりしてできます。

セキエイは風化で変化したりはしないのですが、「クウショウ」でくずれていくと・・・クウショウって、「空晶」とかきます。鉱物の中にできた小さな空洞のこと。

変質・風化を病気たとえているところが何とも楽しいです。
それにしても、豊富多彩な知識を持っていた人なんだなあ、と思わずにいられません。