岩壁の高さ25mといいますから、滝の落差も25mほどということになるでしょうか。
滝の脇には階段がつけられ、
たどりついた場所からは滝がよく見え、お堂が建てられて
お不動様がまつられています。
左写真は、下から見上げた石段なのですが、なんだか、上から見おろしたような感じになってしまいました・・・
この滝のある場所の地質は、下の地質図で。
黄色の楕円に囲まれた付近が、今回解説する場所で、楕円の中に引かれた黄色の線を、上から下(北から南)に向かって歩きます。
地質図の黄緑から薄茶色を横切って歩くことになります。
薄茶はクリッペ部分、黄緑は三波川結晶片岩地域です。
より詳しく見ると、水色部分も入り込んでいるのです。水色は下仁田構造体地域と言われる部分になります。
というわけで、わずかな距離に、様々な種類、様々な生い立ちの岩石が顔をのぞかせることになります。複雑ですね。
はじめてここを調査した人は、どうなっているのか、理解するのも大変だっただろうなあ。 今歩いてみても、よくわからない・・・
じつは、ここを中央構造線も通っています。ますます複雑な感じ。
しかも、断層は直接は見えていません。(数字は本の解説用で、ここでは関係ありません)
茶色がっかった色に塗ってある部分がクリッペ部分です。
茶色く塗られたくりっぺ部分の模様を見ると、2種類あります・・・
+印が石英閃緑岩、
点々が跡倉層(あとくらそう)の砂岩や泥岩です。
赤い線は大きな断層の大北野ー岩山断
層、じつはこれが中央構造線にあたるといわれています。
ひょろひょろとした短い波線は三波川結晶片岩(青岩公園の石と同じ石)。あちこちに顔をだしています。何しろ、クリッペの下に広く分布するのがこの石ですから、顔を出すのも不思議ではないわけです。
大きめの点々が神農原礫岩(かのはられきがん)。
はねこし峡によく見られる礫岩で、ずれ礫が見られたりする礫岩です。中央構造線より北側(図の上側)に分布する礫岩になります。
はて、こうなると、図の中に見られる、中央構造線より北側にある結晶片岩は何?という話になります。結晶片岩は中央構造線より南にあるという岩石ですから・・・
この図をよく見ると、
千平ー蒔田(せんだいらまいた)断層
という断層が横切っています。
どうやらこれがかかわるようです。
いやはや、何とも複雑な構造です。
こういうときは、断面図を見ると、理解しやすくなります。
下の図が断面図。 右上図の上から下に歩いたコースが、断面図の左から右となります。蒔田橋(横瀬川)から岩山クリッペまでのコースです。
(注意:上の図では跡倉層の砂岩が点々の記号ですが、下の断面図では横線になっていました。)
断面図で茶色に塗られたのが、クリッペ部分。先に述べたように、クリッペの岩の種類は、2種類あります。
地下には 結晶片岩が広くひろがっているのがわかります。
そこに神農原礫岩が、断層に区切られて、入り込んでいるというのですが、このあたりがよくわからない。いったいどんな動きがあったのか・・・よくわからないけど、ま、仕方ないか・・・
(スラストというのは、底角断層、つまり、平ら(水平)な感じの断層のことです)
やっぱり複雑で難しいですね・・・
コースを写真で見てみます。
道路脇に蒔田不動の案内板があります ずっと杉林の中を歩きます
↑まずは、沢沿いに青緑色の石がみえます。結晶片岩です。やがて、顔つきが変わってきま
す。礫岩らしい。
砂防堰堤が見えてくる頃、ジオサイトの看板が立っています。 その下の川底は、いかにも「礫岩」という感じ。神農原礫岩です。↓
このあたりに中央構造線の断層が通っているはず(神農原礫岩と結晶片岩の境目部分)。
ウーン・・・なかなかわからないけど・・・
←沢の方を見ると、石が転がっています。その石の種類は、青緑の結晶片岩と、ごま塩模様のかこう岩の仲間の石(石英閃緑岩)、
この2種類の石が目だっています。↓
上流にはこの石があるはずです。
やがて滝が見えてきます。
たどりついた滝の下の石は、右写真のように見えます。見ても、何の石かわからない。ハンマーでたたいてみなければ、色もわからない・・・
でも、お不動様の奉られる付近をたたくのも不謹慎かと・・
滝の脇に、上まで登る道がついているので、登ってみると、水の流れる沢に行き着きます。
この水が滝となって流れ落ちるわけ。水が石を磨いてくれるので、そこを見てみます。ハンマーでたたかなくても、岩石の新鮮な面が見られるわけです。ですが・・・
写真で見てもよくわからないし、実物を見ても、ウーンという感じですが、石英閃緑岩だそうです・・・解説プリントにも、「砂岩のように見えるときも・・」と書かれていました・・下の2枚の写真の石です。
道に戻って歩き始めると、また、青緑色の石が見えてきます。結晶片岩です。
道脇に、イノシシが泥あびしたヌタ場があって、結晶片岩が粘土のように軟らかくなっていて、青緑の粘土のように見えていました(右の写真)。
やがて、また違った雰囲気の石・・・これは跡倉層の砂岩。風化していてわかりにくいし、こういう場所ではちゃんとハンマーでたたいて、石を確かめるべきでしょうね。 こんなふうに、様々な石が出てきて、石も風化していたりしてわかりにくかったり、それらの関係も難しく・・・つくづく、「自然は一筋縄ではいかない」
こんなことを感じるコースでした。
こんなことを感じるコースでした。
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今回出てきた岩石などの簡単な解説を三波川結晶片岩: 結晶片岩は岩石が地下15km~30kmに沈み込んで高い圧力を受けてできた
岩石。三波川結晶片岩の変成作用は白亜紀後期といわれます。
神農原礫岩 :下仁田付近で中央構造線の北側に分布する礫岩。狭い範囲に見られて
います。ずれ礫(食い違い礫)がみられます。礫は石英斑岩が多く、石英斑岩は
8,500万年まえにできています。ですから、この礫岩ができたのはこれよりあと。
でも、いつ堆積したかは不明です。
跡倉層 :中生代白亜紀後期に海に堆積した地層(8千数百万年前)。下仁田自然学校の
化石探険隊が跡倉層から発見したアンモナイトナから、年代が少し古くなる可能性も
考えられています。
石英閃緑岩 :花崗岩に近い成分で、花崗岩より少し黒っぽい。花崗岩と同じに、マグマが
地下深くでゆっくり冷えてできた石
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