庭の木の剪定をしていた人が「いいもの見つけたよ」と。
もちろん、モズの仕業。モズのはやにえ。
バッタやカナヘビなどは見た事あったけれど、ネズミは・・・
「いや、あるよ」という人もいましたから、よく見ると見つかるのかも。
ハツカネズミでしょう |
身の周りの自然、最近見ていないと反省。
もう一つ小さなネズミを思い出しました。
カヤネズミといいます。
当時書いた文を紹介してみます。
カヤネズミ
カヤネズミって知っていますか?
小さな小さなネズミです。
体重7g、大きさ5~7㎝のからだに同じくらいの長さのしっぽがついています。
手にのせている写真を見たら、まるい小さな体に長いしっぽがちょろりと出ていました。
かわいい!
ネズミというと、ドブネズミやら天井裏をゴソゴソしていたネズミを思いうかべて、イヤだなと思う人もいるかと思います。
でもカヤネズミは人とほとんど関わりなく生きてきました。
こんなネズミを五料橋の対岸、伊勢崎よりの河原、オギやアシの繁る中で見つけました。
カヤ(ススキのこと)の中にいるからカヤネズミなんでしょうね。もちろんススキでなくてオギだってかまわないわけです(もっとも、この二つは同じだと思っている人の方が多いでしょう)。とにかく、草むらの中に巣をつくります。地表から1mくらいのところに直径8㎝の球状の巣が見つかるそうです。
そんな巣を見つけたのです。河原のオギのなか、高さは1.7mくらいの所でした。
写真を探したら、見たのは2005年だったのですね。下に紹介します。ちょっとわかりにくい写真ですが、丸い球状でした。ずいぶん昔になってしまった。
出会うと、感激ですよ!
これを教えてくれた人は、カヤネズミを飼ったこともあるそうです。観察していたカヤネズミの生息場所が開発でつぶされたとき、すみかを追われるカヤネズミたちを思うとなんだかつらくて、何匹か家に連れて帰ったのだそうです。寿命2年ほどの生きもので、しばらく一緒の生活が続いたわけです。
観察記録を本にまでしました。2003年出版です。
本の表紙と、中の写真いくつかを紹介します。
カヤネズミは湿地や川べりをすみかとしています。そういえばそんな場所、草の繁ったような場所がどんどんなくなったのが、高度成長期以来の日本でした。
冬には地下にトンネルを掘って過ごすそうです。それなら冬の野火もこわくないですね。
聞けばますますかわいくなるのがカヤネズミ。
7gの親から生まれる子供が1g。
そんな子を産むために作る巣の材料はオギなどの葉っぱ。口で細く細くさいていくそうです。その細さときたら、一本が髪の毛1本分。これを草の上で行います。落ちないように後ろ足でしっかり草をつかむのだそうです。
水辺にすむ生き物のカヤネズミは、水をたくさん飲むとかで、それがまた、なんと、両手を使って水をすくって飲むというのです。考えただけでもカワイイ!
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こんなカヤネズミ、見てみたいですね。でもガサゴソだいぶ探し、やっと巣をひとつみつけたということで、生息密度は低そうです。むずかしいかなあ・・・
このネズミ、分布はそれほどよく調べられていないのかもしれません。群馬の動物分布を記した本でも、カヤネズミの見つかっている地域はわずかしか書かれてありませんでした。何といったって、ここ玉村町付近はカヤネズミのいることになっていないのですから。
現在の日本のレッドデータを見たら、群馬県ではホンシュウカヤネズミ名で絶滅危惧Ⅰ類になっていました。いちばん危ないというランクです。
福島、新潟以南に分布でしていて、レッドデータに登録している都道府県は33。絶滅危惧Ⅰ類は、群馬県だけでした。本当にいなくなっていしまったのかもしれないけれど、探す人が少なくて、報告が少ないのかもしれません。生き延びてい欲しいです。
群馬県内の分布 |
出産は春の5~6月と秋の9~12月で、探すなら秋の方が良く見つかるそうです。生息地の大部分はどちらかというと標高の低い、川の土手や河川敷、休耕田にできたススキ(オギ)の群落。田んぼの稲に巣があったりもするそうです。標高は20m~400mの範囲。もう少し標高の高い山のカヤ場で見たという話もあるようなので、もう少し高い所にもいるかもしれません。
全国では標高1200mでの捕獲記録もあるようですから、決めつけはいけませんね。
今年、探してみませんか。