2017年2月28日火曜日

花地蔵 心に呼びかける絵手紙



春めいてきました。
2月の春はまず光から、「光の春」という言葉もあります。でも、もう草木も春めいています。
なんといっても、3月です。
軒下のサクラソウ
軒下ではサクラソウが花いっぱい。
軒から外へ出してしまうと、少し寒さがきつ過ぎるらしく、株が貧弱になってしまいます。軒下がいい!
ほんのちょっとの差なんですけどね。

 私の祖母もこの花を育てていました。まだ花を買うような時代ではなく、それぞれの家にあるものを毎年大事に育てていたものです。
このサクラソウは、たぶん古くからある品種で、丈夫で手間もいりません。
10年以上前、友達の家にあったのを、懐かしくて、もらってきました。





 年末に花のカレンダーをいただきました。
絵手紙を描いている方の作品です。花の絵に何の気なしに添えたお地蔵様の絵に多くの人が心魅かれ、それ以来「花地蔵」として描き続けているといいます。1998年からといいますから、長くなります。    久しぶりに会っておしゃべり。
作成 小林生子さん

 2011年、東日本大震災の時、「被災された方々にひとときの安らぎを届けたい」と、花地蔵の絵を被災地に届けたそうです。花地蔵絵手紙はがき1500枚。コピーじゃなくて、1枚1枚手書きです。
絵手紙の中からいくつかを紹介します。  もうじき3・11の日がやってきます。

こんな絵手紙はがきを多くの子供たちが亡くなった大川小学校の親御さんにも、届けていただいたことがあるそうです。

さしあげるといっても、見も知らぬ人、簡単なことではない話。いろいろな方のつながりで実現したと聞きました。
 被災地では、毎日を何とか過ごすのに精一杯だった方々、でも後から聞くと、 
「子供にそっくりなんですよ」と大切に持っている方もいらっしゃるとか。似ているとは思えないけれど、でも、似てる、とおっしゃる。被災者の集まる所に何日か展示して、そのあと気に入ったものを、どうぞと持って行ってもらったりしたそうです。
  咲く花とお地蔵様で、一時でも心が安らかになれたら、うれしいですね。
  
 ・・・・・・・  
震災のほんの数年前、岩手から仙台までの海岸沿いを車で走ったことがあります。
一度見てみたいと思って。とてもきれいな海岸。
「ここまで津波到達」といった表示が道沿いに見られ、「今、津波が来たら、どこに逃げる?ちょっと怖いなあ・・」と思ったのを思い出します。
 津波被害と防潮堤で有名だった田老町にも行きました。特に目的無く、道路マップと首っ引きで、あちこち訪ねたので、津波被害で出てきた地名に、土地勘がありました。

 泊まった釜石の宿は、安価なのに食事はたくさんの海の幸でおいしく、くるくる動く明るいおかみさんがいました。震災のあと1年ほどして、寒中お見舞いが届きました。
「祖母・父・母・姉  東日本大震災で永眠いたしました。 新年のご挨拶をご遠慮しました」。宿は海岸に近く、しかも川沿い。津波は川を伝って奥までやってきます。皆さん、亡くなっている・・・
宿泊者名簿が見つかり、嫁いでいた娘が、その名簿ではがきを出してくれていたのでしょう。なんて丁寧な・・・こんな方にも、花地蔵を手渡したくなりました。
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川辺の水に、早春らしいものが見つかります。
何でしょう。
 中学校の理科の教科書にも載っていますよね。
 カエルの卵。だいぶ発生が進んでいて、だるま型になっています。
 種類はアカガエルでしょうね。 
 利根川の河原、でも本流から外れた、こんな場所。遠くには橋が見えています。
何年も前から、この辺りではカエルのたまごをみていますので、安定した産卵場所なのでしょう。
でも、アカガエルの姿なんて、とんと見かけないなあ。
 つまようじのような小魚の群れも、猛スピードで動いている。メダカと言いたいところだけれど、メダカは絶滅危惧種、ウグイなどの稚魚でしょう。

教科書の絵で「何とか胚」なんて覚えるだけでは、面白くないに決まっている。
外に出てごらんん、いろんなものがみえてくる。

 ところで、この周囲、右写真のごとく、流れついたごみの散乱。プラスチック系のゴミは、1960年代あたりから急増したのですから、将来発掘で掘り出されたら、時代の特定に結びつくんじゃないでしょうか。

流れる水は、利根川本流。悲しくなりますね。





 




2017年2月19日日曜日

身近な場所、身近な木

近所で見たもの

 庭のおきな草が咲きはじめました。種から育てたもの。
それほど日当たりのいい場所ではないのですが、塀で風が当たらないのが幸いするようで、ずいぶん早くから咲き始めました。
 この植物、かつては日本中の草地に咲いていたといいますが、今ではほとんど見かけず、絶滅危惧種に指定されています。

オキナグサ













 何の変哲もない利根川の堤防を歩いていると、堤防の下、畑との境界あたりをブラブラとしているおじさんがいました。見ると、手には虫取り網らしきもの。
近くまで行ったときに、ちょっと声をかけました「昆虫見てるんですか」。
ちらりとこちらを見て、一呼吸してボソッと「あ」。「何がいるんですか」
そうしたら、いろいろ話しはじめて・・・
この辺りに捕虫網を持った人がいた
風もなく日差しの暖かい日で、南斜面の堤防は、ぽかぽか陽だまり。チラチラと白っぽいチョウチョの姿も。「あれはキタキチョウ 雄。北方系の蝶でね。ベニシジミもいるけど、幼虫はスイバが好き、ここはギシギシしかないから、これを食べてる。蝶の標本は触角が大事でね・・」などなど。ここには時折来るようです。やがて「ここはいい場所ですよ」と、この場所をほめるのです。
ホトケノザの花とギシギシの葉っぱ


 



えーっ??こんな場所が?・・・キタキチョウもベニシジミもごく普通のどこにでもいるチョウチョ。珍しいものがいるわけでもなさそうだけど・・・こんな「普通の場所」でも、見る目があれば魅力もあるというわけ・・?

少し前に見たドキュメンタリーを思い出しました。

 「足元の小宇宙・絵本作家と見つける生命のドラマ」
絵本作家の甲斐信枝さんを紹介、代表作「雑草の暮らし」は30年以上たった今でも版を重ねる。85歳の今でも、近所の田畑にスケッチを描きに通う。描くのはどこにでもある道端の雑草たち。タンポポ、カラスノエンドウ、ホトケノザ、ヒガンバナ・・・どこにでもあるけれど、「足元は無限の楽しさの広がる小宇宙」と。
 種が飛ぶ…風の動きであちこちに漂い動くさまを
”綿毛が舞い舞いしている”と言う。キャベツの葉の水滴は朝日に輝き色を変え、ぴくッと動くモンシロチョウのさなぎのことは,なんて言ってたかなあ・・。子供のような好奇心で、だれも見向きもしないものにもワクワクと極上の楽しみ、美しさを見つけ、しかもそれをみんなに伝えている。

 堤防で出会ったおじさん、自然史博物館などにも出入りして、いろいろ学習したり,情報提供もしているようでした。聞けば、高崎在住の方。いろいろ情報にも詳しそう。堤防や公園でも、あまりにきれいに草刈りしてしまって、生き物がいなくなってしまう、と嘆いていました。生き物と共存するにはどうしたらいいか・・・身近でしかも世界的なテーマです。
 
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身近な木・杉の話

近所に杉の木はありますか。
 「やめてくれ、花粉が怖い」と言われそう。黄色い花粉が一面に舞う杉林の様子は、すっかりみんなの知るところとなりました。
枝先が枯れた杉。全体が赤っぽいのは、
花粉をいっぱいつけているからかな
以前は「風で花粉を飛ばす植物もある」というのを教えるのに、わざわざ花粉舞う映像を準備して見せたのに。「すごいねえ、こんなにたくさん飛ばすんだね」などと言って。

 左の写真、杉です。近所の神社の杉。
見てほしいのは、枝先。よく見ると、白骨のような枯れ枝が立っています。
杉は樹勢が衰えると、こうして枝先が枯れていきます。
こんな姿、以前はたくさんありました。

 30年も昔、利根川の対岸からこの神社を見た時のこと。「向こうに見えるのが火雷様(神社)。おかしいんだよナ。杉の上の方が枯れてるだろう。みんなああなるんだよな。乾いたのか、病気か、虫か・・・」
 遠いとはいえ、枯れた棒のような杉の頭がたくさん立っていました。

 この後、ある新聞の記事にびっくりしたのです。1989年の記事。たまたま まとめたことがあって、手元に図がありました。右図です。
「関東平野で杉枯れが広がっている。この衰退は大気汚染ガスの濃度分布と比較的よく一致している」というものでした。東京都心部では、杉の木そのものが見られなくなっているような。酸性雨が大きくとり上げられていた頃のことです。酸性雨の影響が疑われました。
 熱心にこの現象を研究報告していた林野庁のある人は、しかしその後、「杉のスの字も、酸性雨のサの字もいわなくなった」と、前橋営林署の職員の方が言っていました。「酸性雨の被害は顕著ではない」と言われ続け、杉枯れとの関係は認められることはなく、当然、いろいろな反対意見にさらされ続けたでしょうから、すっかり嫌気がさしたのかも・・・そんな世界もありそうな気がしてきます。

 松もずいぶん枯れました。赤城山南面の黒松も枯れ、酸性雨調査も行われていました。枯れの原因は・・これは今、マツノザイセンチュウという害虫のためといわれます。乾燥、病気、大気汚染等様々な原因も言われますが、主はこの虫、と。多くの資金を投入して、対策をしてきたのではないかな。
 なら枯れというのもすすんできたとか。これにはカシノナガキクイムシというのが関係しているといわれます。このあたりの話、様々な意見の対立もあった話と思います。
 もちろん、枯れる原因は一つではないわけで、鳥取県の森づくり推進課では、その他の
原因との見分け方として、乾燥により枯れるとき、大気汚染によって枯れるときの枯れ方の違いを載せていました。親切ですね。

 では杉枯れはどうだったのでしょう・・・?
 今、神社の杉は、枯れたのは切り取られ、枯れた木は目立ちません。

 大気汚染も、今では酸性雨という単純な話だけでなく、光化学オキシダントからPM2.5 などの新しい概念も持ち込まれ、複雑な世界が感じられます。なかなか難しい世界になってしまった・・・

 先日、中国の大気汚染の状況の番組を見ましたが、呼吸器障害等に苦しむ多くの人たちや、死に至った子供のこと、抗議行動に立ち上がったお母さんたちの姿が出てきていました。
 かつての日本の姿が重なります。現象の正しい解明は、日本の例を見てもこうして長い時間かかっても、まだわからないことがたくさんあり、意見も違ってきます。中国の場合は、工場の排気と、だれにもわかるような原因なのに、止むことはない・・
日本は、まずは、呼吸器疾患等に苦しむ人たちに何とかアドバイスできないか、などとも思ってしまいます。公害先進国と言われた日本だったのですから。
 
 ところで、最近聞かなくなった酸性雨ですが、今、日本にはそんなものはないのでしょうか・・いえ、そんなことはないでしょう。雨・霧・小さな固体の粒、そんなものが降り注いでいます。けっこう酸性のようです。中国あたりからきたものも、汚染物質を含んでいるし、量も多い。日本の大気はずいぶんきれいになったはずですが、でも、ニュースに取り上げられなくなったら忘れてしまうというのでは、まずいよなと、久しぶりに思った次第でした。
 

2017年2月8日水曜日

冬木立


冬枯れの季節



関東平野の末端に位置する私の住む町では、冬には葉を落とした木立が見通せます。
この平野の代表の木は、なんといっても
    ケヤキ
     
以前にも紹介した俵萌子さん(故人)のお話に、父を語ったこんなものがありました。







歩いていて大きなケヤキの木があったとします。
私の父ならこういうでしょうね。
「萌子、けやきの木はいつが一番美しいか知ってるかい」  どうしようかと思って、こんなふうにこたえるでしょうか。 「 春?」
 「いいや、冬が一番美しいんだよ」

 群馬で育ったお父さんは、ケヤキの木をこよなく愛していたのでしょう。冬の空に、あるいは風の中に立つこの木の生命力をしっかりと受け止めていた人、感性豊かでそして子供思いの父親だったのでしょう。

  ひるがって、わが身をかえりみれば、子供たちにこんな風に接してはこなかった…後悔しても追いつかない・・・
 ケヤキは今、葉を落とし、細やかな枝の模様を広げています。
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 もう一つ、葉を落とした姿の目立つ木があります。メタセコイアです。

下の写真より実物はもっときれいで印象的に見えるのですが・・・

昔小学校のあった場所に2本の木  
遠景の尖った山は 秩父の武甲山

 名前から推察されるように、日本の木ではありません。でも、化石ではたくさん見つかります。高崎の観音山付近からも。
新第三紀の地層にみつかっています。

小学校に育つメタセコイア 
 これ、絶滅したと思われていたのに、1945年(1946年?)中国四川省で、生きているのが見つかったという木。まさに「生きている化石」。しかも、この発見の数年前、日本の学者が植物化石の研究から、メタセコイアという名前を付けたという、日本に縁の深い植物でもあります。日本へは1949年に持ち込まれ、あちこち植えられました。各地で大きな木に育っています。

以前にも紹介したことがありました。
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_18.html

この木、近所の学校・役場などの公共施設に植えてありませんか?

 木といえば、巨木は御神木にされ、また大きな木はツアーの対象にまでなります。
悩んだときは木と向き合い、対話しながら心を落ち着かせたという話も聞きました。
大きな木は「日陰になる、落ち葉がいやだ」と邪魔にもされます。
道路工事で大きな木を切り倒すことになり、その作業に従事した人が言っていました。「嫌なんだよな。切ると樹液はでるし、やっぱり生きているんだよなあ」
  縁遠くなっていた木との触れ合いを思いました。

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 この時期、川には白鳥がやってきます。
JR高崎線新町駅からそれほど遠くないところ、烏川にかかる岩倉橋付近です。
「白鳥」と聞けば、見に来る人も多いですね。オナガガモなどの他の水鳥たちの姿も。

 先日、この付近にはオオバンがいるのを教わりました。流れの緩やかな入り江状の水辺から、中州の草むらに上がったり、泳いだり。近所なのに、この鳥、はじめて知りました。 (コンパクトカメラにしては、鳥が遠くだったので、写真は小さな姿になりました)
コハクチョウたち ほかの水鳥も
町の公園整備ボランティアグループの観察会に参加したのですが、新しいことを知ったりできて、教えてもらうって、いいですね。
オオバン


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んな本を書いた人のお話を聞く機会がありました。
浜矩子氏推薦の帯紙の付いた本です。
筆者は20年以上も地方自治体を訪ね続けているという地方自治問題に取り組むジャーナリスト。

写真の本は、大きく3つの自治体を取り上げています。その2章目が、群馬の南牧村。最近は高齢化率全国1位として知られ、テレビ等にもしばしば登場します。「消滅可能性日本一」とまで言われた村。この村、じつは下仁田町の隣村。最近まで、このブログの表題は「下仁田ジオパーク地学教室」、ですから南牧は馴染みのある名前です。
筆者は群馬の前橋高校出身。でも、だから南牧村を取り上げたわけではありません。

 読んでみたら、「地方公務員の仕事ぶり」を、あきれたところも書きながら、でも、本当は応援する本でした。
言っていること・・・最も必要なのは他力本願をやめ、できるだけ地域(自分たち)で自立を図ろうという意欲と覚悟、そして行動。
予算や事業を引っ張り出して地域を活性化させるのが公務員の仕事じゃない と。
 こう書くと、当たり前の一般論に聞こえてしまいますが、もっと生の情報で、頑張る人たちを描いています。頑張る地域には、頑張る人がいるんだなあ、と。同意できるところもできないところもあるでしょうが、地方活性化とかに関係している人には、おすすめ。

相川さんの講演は、「八ッ場あしたの会」の開催したもので、会場は浦和駅の目の前。
駅前でスタンディングを行っている人が興味を感じて参加し、そのレポートをすぐに送ってくれたそうです。エッセンスがまとめられている。内容といい、そのスピードといい、すごいなあ。いろいろな人と出会えた気分です。
出会いって、楽しいですね。 レポートは以下で見ました。
   http://blog.livedoor.jp/ura_sta/archives/17504771.html

ところで、使用した会場は、駅前のビル、雨でもぬれずに行ける場所。お店がたくさんですが、8階は市の図書館、9階は市民活動の広いフロアー。机と椅子のちょっとした塊が四角四面ではなく、ぱらぱらと並べられ、それの予約を取って利用。飲食もOKのようで、昼時は食事をしていました。たくさんのグループが集っています。なんだかいい感じ。
講演会のできる会場もあり、費用もびっくりする安さ。当然、予約とるのは幸運を願うことになるでしょう。地元の方の予約が必要なのかな。
  こんな便利な場所に、こうした施設を作っていること、素晴らしいです。
  真の市民への応援、と思いました。