2014年2月16日日曜日

褶曲 ・ずれ礫


大雪   家に帰れない・・ 日曜日は総出で雪かき・・・みなさん、いかがでしたか

普段あまり雪のない地域の大雪・・・・・関東は、もう,麻痺状態。
群馬県も麻痺、というと、「エッ,群馬って普段から雪がいっぱいなんじゃないの」という人もいることでしょう。上越県境近くのイメージがあるかもしれませんが、平野部は、雪はほとんどなしなのです。「かかあ殿下と空っ風」の県ですから。
  前橋の積雪73cm!・・・1896年に観測はじめて以来の最高値、しかも2番は37cmなのです。

「この程度の雪、普通じゃないか」と、雪国の方から言われそう
こんなの札幌に住んでいたときは、当たり前の光景でしたが・・
玉村町での光景です
近所でも、車を乗り捨てて7時間かかって歩いて帰ってきたとか、たった8㎞ほどの距離を車で5時間かかって帰り着いた方、動かなくなったJR高崎線の駅から2時間かかって歩いて帰り着いた人・・・・道には車がのりすてて・・・・もちろん新聞も配達できない・・
 スチール製のカーポートがずいぶん壊れていて、近所の住宅団地でも8件みましたし、ベランダがこわれていたり・・・次の日、スーパーマーケットではパンなどの棚はすっかりカラ・・・
 皆さんの周りではいかがだったでしょう。
テレビのニュースではいろいろ大変な様子が・・・下仁田のとなり、南牧村は、陸の孤島になって停電で、と、報じられていました。

天気予報が本当によく当たるようになって、いつも「すごいなあ」と感心しているのですが、自然の力のすごさには謙虚にならねばと思う次第です。それにしても、世界中で自然災害が増えているというのは気になります。

<3>
地層の褶曲
  岩石なのにどうしてアメのように曲がれるの?
 
鉄の棒も、長い間にはぐんにゃりまがったりします。ながーい時間力をかけ続ければ、鉄はもちろん、岩石も変形してまがることができるはず・・・・
この説明、ほとんど小学校低学年の子供の絵本の世界だなあ・・・・と思いつつ書いています。
     温度が高めなら曲がりやすいのか、地下での圧力のかかりかたはどんなのか・・・
    もっといい説明が書けるようになりたいのですが・・・難しそう

 曲がった地層は「褶曲している」といいます。
力が加わった時、曲がるだけではなく、岩石が破壊されてしまうことももちろんあります。このときは地震が起こり、断層ができます。

大桑原の褶曲                          写真 関谷友彦さん
大桑原でみられる褶曲した地層です。8000万年ほど昔に海に堆積した跡倉層とよばれる地層。曲がりすぎて横倒し」という感じですね。
    地層には砂泥の粒の大きさがだんだんかわっていくグレーディングがみられて、どっちが
    地層の上位かわかります。川の水をじゃぶじゃぶ渡らないとみられないけれど。

 下に教科書でよく見るような褶曲の形の説明をのせます。どれに一番近い?
   褶曲の構造にはいろいろな用語があってわからなくなりそうですが(例えば,大桑原の褶曲は
   シンフォーム状背斜とか・・・)、まず下の図のイメージを思い浮かべたらいかがでしょう。
                                地学図表 浜島書店より
下仁田駅から西に、大崩山(おおぐいやま)・川井山という小さな山がみられます。これらは、どこからか横すべりしてきた岩のかたまり、クリッペとして知られています。その周辺一帯も横滑りしてきた地層で、少し西に行った宮室では、すっかりひっくりかえった砂と泥の地層がみられます。そこに行く途中でこの褶曲がみられます。大崩山も中腹より上部はこの跡倉層で、跡倉層は,ずいぶん変動にさらされてきたのだなあ・・・と思えます。写真のように大きく褶曲していると、大きな力が働いたんだ、どんな大事件があったのだろうと、誰でも素直に感じられます。

                                  地学日曜散歩 1971年 より 一部改変

褶曲には、小さいのから大きいのまで、いろいろあります。山そのものが褶曲の一部という、大規模なときもあります。
    
 岩石の中に見られるこんな曲がりの模様も、褶曲といっています。

上はスティルプノメレンという鉱物を含む長瀞の結晶片岩。
この岩は虎岩とよばれていて、宮沢賢治が歌に詠んでいることでも知られています。


下は近所のお寺で見かけた石です。緑色岩やチャートでしょうか。




















<4>その他
     ずれ礫
      
下仁田では、「切れてずれて、お皿に盛ったお刺身のようにみえる礫」が見られます。
礫に何本も平行にひび割れがはいり、割れ目に沿ってずれています。

割れ目というより「断層の動いた力を受けて,切れている」、 といった方がいいかな・・
こんなに割れているのだから、取り出したら、ぼろぼろと崩れるかと思えば、まったくそんなことなし。硬くしっかりくっついています。


この礫を含む地層は神農原(かのはら礫岩とよばれ、ねこし峡でよく見られます。市街地裏山の浅間山(せんげんやま中腹にも。神農原礫岩は、さらに鏑川下流の神農原へと 分布しています。
   礫は花こう岩の仲間の石(石英はん岩)が大部分で、赤みがかった長石が目立つ石です。
   この礫にたくさんのひび割れがはいり、時には写真のようにずれているものがあるのです。
   こんな、切れたような礫、めったに見られるものじゃない・・・ぜひご覧あれ。



  
ずれた礫がたくさん見られるのは、はねこし峡や石淵橋、浅間山付近、あるいは鬼ヶ沢にある
かつての鉄道鉄橋付近などで、鏑川の下流へ少し離れた神農原などではあまりみられなくなるそう
です。

この石は8500万年ほど前に形成されたものらしいのですが、その後礫になり,礫岩のもとになりまし
た。でも、神農原礫岩がいつ堆積したかはわかっていません。2000万年前に堆積した地層に覆わ
れていますから、8500万年よりあとで、2000万年より前に堆積したことだけはわかります。
 

こんな礫、めったに見られるものじゃない  
  ほかのどこに行ったら,こんな礫が見られるでしょうか  

他の地域での「ずれ礫」の見られる所を調べて、水落幸広さん、棚瀬充史さんが下仁田自然学校の連絡誌クリッペに紹介してくれました(2008年)。

「ずれ礫(くいちがい礫)」の見られるところ
      これで見ても、 どこにでもあるというものではなさそう・・・という感じがします。
    愛知県北東部巣山 阿寺七滝礫層の「くいちがい礫」 (中央構造線沿いです)
    山梨県南巨摩郡早川町  (南部フォッサマグナ)
    福井県敦賀 矢良巣岳頂上付近の礫岩中のチャート  (飛騨外縁帯)
    襟裳岬 歌露礫層   (日高西縁)
    断層帯の中で礫が食い違っている例
  神奈川県神縄断層
  国府津―松田断層
  新潟県糸魚川市小滝
やっぱり、”断層関連”という感じがしてきます。

どうやってできた??
・・・中央構造線の近くにあるから、そのパワーが関係しているのかも・・・
究極のパワーストーン!?
 より強い力なら、砕けたりすりつぶされたりしてしまうはず。
    ちょうどうまい具合に力がかかったのか・・・

      上にあげた水落さん、棚瀬さん、ずれ礫を切って,その断面のスケッチを解説してくれました。たくさんの割れ目がみられます。
     ②の割れ目だけでなく、①の方向の割れ目もあります。②には右上に伸びる割れ目群が発達。これは②に伴うもので、左ずれで形成・・・これって、羽状割れ目の時解説した、ミ型とか杉型とかといった割れ目を思い出させる話です。
     顕微鏡でみて、含まれる鉱物の変形のようすも語られています。

下仁田自然学校の運営委員の中島啓治さんがこのずれ礫を岩石カッターで切って断面を出して磨いてくれました。断面では割れ目がしっかりくっついていて、ちょっと見た目には、どこにずれの割れ目があるのかわからないほど・・・ほとんど普通の石に見えて、写真をとるのも忘れてました。
自然史館に展示してありますので、ごらんになりませんか。

切れた方向・ずれの方向に規則性は、と調べ、報告された方々もいます。小坂共栄さんたちで、3タイプの断裂があるということです。
多くの人たちを引きつけるずれ礫、とはいえ調べるのはなかなか難しい話です。
下仁田では町の真ん中を通って東西方向に大断層(中央構造線)が通っています。
この断層に近い場所にずれ礫が多い感じがしますが、どうなのでしょうか。


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前回、洗濯機の話をちょっと書きました。
ほんの一時期、ちょっと変わった洗濯道具がありました。幼い頃の記憶にあります。丸い入れ物をグルグルまわしていたような記憶が。蓋を開けると、パンッといったとかも。ご存知のかた、いらっしゃるでしょうか。
それの記事が新聞に載っていたことがあって、「そうだ、兄やおじさんに見せてあげよう」と,とっておきました。ところがどこかに紛れてしまい・・・それが最近出てきました。あらためて読んでみました。
 こんなふうにいろいろ工夫し頑張る人が近くにいたんだ、という気分でした。何だかうれしいです。
たくさんの人の努力と工夫で今があるのだな,と思いました。



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