こんな石は、少し「重い」感じのする石です。持った時、大きさの割にずっしりと感じたりするときもあります。でも、「そうかなあ・・・・・」という気もします。何といっても、大きければ重たいわけで、普通に持っても、重いか軽いかなんて、よくわからない。たくさんの石に触れている人ならわかるかもしれないけれど・・・
そこで、今回は、この「重さ」について書いてみます。
<石の重さくらべ>
下仁田自然史館の展示をちょっと紹介します。
下仁田には、明らかに「重たい」石ころがあります。手で持って、誰でも納得する「重さ」です。
それは、中小坂鉄山(なかおさかてつざん)で拾った「磁鉄鉱」の鉱石の塊です。鉄の含有率、何と70~80%(重量比)とか。ずいぶんたっぷりと鉄が入っています。
ほぼ同じ体積の石で重さ比べをしてみます。
閃緑岩(利根川で ひろったもの) 磁鉄鉱の鉱石(中小坂鉄山)
体積は
どちらも
約100cm3
この測定からは
1cm3の重さは
閃緑岩………
約3g
磁鉄鉱鉱石…
約5g
ちなみに水は
1g
鉄は 7.85g
磁鉄鉱は
5.17g
はかりにのせた磁鉄鉱の鉱石は,手に持っても、小さい割には重たく感じます。
それでは、ほかの岩石は・・・ちゃんと調べられています。
マグマが冷えてできた岩石(火成岩)では 黒っぽいものほど重いと言われます。色の白っぽいものから順に、いくつか数字をあげます。1cm3の重さです。密度といいます。(単位をつけない時は、比重とも呼んでいます)
花崗岩 1.74~2.80 g/cm3
閃緑岩 2.7~3.0 カンラン岩は数字が大きい、つまり、重い・・
ハンレイ岩 2.8~3.1
カンラン岩 3.3~3.58 下仁田の黒内山のカンラン岩も調べてみたくなります。
測った結果は 3.4g/cm3
蛇紋岩 2.68程度 ちゃんと本にあった数値あてはまっていました。
かんらん岩から変化してできたという蛇紋岩、どうして軽いのか?
答は・・・・・水が加わってできるので、軽くなります。
水は石と較べたら軽いですよね。1cm3は1gですから。
ところで、こんな時、石の体積をどうやって測るかご存知でしょうか。
じつはとても簡単。石の密度なんて、家にある道具で自分で測れる!!
必要なのは石の重さと体積
重さ・・・台所にあるはかりで計れます
体積・・・これも、台所のはかりがあればOK。
左写真のように、水を入れた容器(なんでもいい)を
はかりに乗せ、その水の中に、糸でつるした石を
いれます。これだけ。
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どうして体積が計れるって?ちょっと解説
問に答えてみませんか(学校の勉強みたい・・・たしかに・・・小学校や中学校で浮力や密度、力の勉強をするとき、こうやって教えたりもしました。
小学生の気分もいいかな、という方は、ちょっと読んでみてもいいかも。
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水の入った容器をはかりに乗せたら、400gでした。
問1
今度は左図のように、糸でつるした石を水に入れたら、はかりの読みは、どうなるでしょうか。
①400gより少ない
②400g
③400gより多い 答えは③ 当たりましたか
問2
左図のように、水入り容器が400g、石の重さが205g
石を水に入れたら、上皿ばかりは460gになりました。
バネばかりにぶら下げていたら、?は何gになるでしょう。
答は、145gです
水に入れると、軽くなるということは、体験的に知っているかと思います。ですからきっと、205gより軽くなる・・・この軽くなった分が、浮力。
押しのけた水のぶんだけ軽くなります。60g軽くなったということは、水60g分、水は1cm3が1gなので、体積は60cm3。減った60gは台ばかりが支えています。(ちなみに、油に入れたら、60g軽くはなりません。もっと少ない値・・・このあたりになると、テストなら、できない子がふえるだろうなあ・・・・・すっかり学校のペースの話になってしまいました・・・
こんなわけで、はかり1つで体積を知ることができるという話でした。
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下仁田のかんらん岩の密度を測ったとき
・水の入った容器をのせたら、400gでした。
・糸につるした石を水の中に入れたら、はかりの読みは460gでした。
・石の体積は60cm3 石の重さは205gだったので、 205÷60で、約3.4
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自分の手でやってみるって、大切なことではないでしょうか。ネットでしらべるばかりでなく。
水で満杯にした入れ物にポチャンと石を入れて、こぼれた水の量を調べても、体積を知ることはできますが、家庭には普通、正確に体積を量れるメスシリンダーみたいな物はないし、それに、水は表面張力で容器の表面がふくれたりして、誤差が多くなると思う・・・
(おまけ:この話、アルキメデスが金に銀が混じっているのではというのを解明するために、お風呂に入って、水があふれたことから、密度測定に気づいた、という、ちょっと知られた話があります。)
<磁石にくっつく石>
石の区別をするとき、磁石にくっつくかどうかも役に立ちます。磁鉄鉱が出てきたので、その話もしましょう。
磁石にくっつく石(鉱物)の磁鉄鉱は、クギなどの鉄もくっつけると思っている方もいると思いますが、ちょっと違います。普通はクギはくっつきません。黒板や冷蔵庫にぺたんとくっつけるマグネット(磁石)ならくっつきますが。
時々、磁鉄鉱が天然磁石になり、鉄くぎやゼムクリップをくっつけます。
詳しくは http://geoharumi.blogspot.jp/2013/12/blog-post_4.html
岩石に、磁石にくっつく鉱物(磁性鉱物)が入っていると磁石に反応するわけですが、昔は中小坂鉄山の磁鉄鉱のように、相当たくさんの量の磁性鉱物が入っていなければ、磁石にくっつくことはありませんでした。(磁性鉱物の一番ポピュラーなのが磁鉄鉱です)
ところが最近、強力磁石が登場し、今まで磁石にくっつかなかった石まで、強力磁石に反応する、くっつくようになりました。たとえば、安山岩や玄武岩が強力磁石になら、強くくっつくのです(普通にそこらにある磁石では、くっつきません)。
マグマが冷えてできた火成岩の多くがネオジム磁石のような強力磁石にペタッとくっつくのです。石の中に磁鉄鉱などが含まれているから・・と思っているのですけど.・・(どんな場合なら磁石に反応するか、詳しくは知らないものですから)。ただし火成岩でも、色の白い流紋岩や花崗岩では、反応が弱かったりします。
下の写真の黒い石、みんな同じに見えるけど、じつは違う・・・3種類ある
どれも私の家の近くの利根川の川原に一緒に転がっている石です
どうやって見わけようか?・・・・これに磁石を使います
下や右の写真では紐の先にぶら下がているドーナツ型のネオジム磁石が玄武岩に引き寄せられてくっついています。
磁石を近づけると、猛烈な勢いでペッタッと吸い寄せられてくっくのです。
我が家の近くを流れる利根川で黒い石を拾ってくると、見かけはそっくりなのに、まったくピクリとも反応しないものもあります↓
泥岩起源の石らしい。
そういえば、石器を調べるとき、石の材質を判断するために、この磁石で、火成岩かどうかをまず判断したりしているのを見たこともあります。なるほどなあ・・
ところが、同じような黒い石で、紐にぶら下げた磁石を近づけると、少しだけ反応し、弱く引き寄せられる石もあるのです。「これは一体どういうこと?・・・・」。
これはどうやら緑色岩らしい・・・同じような見かけの真っ黒な石なんですけどね。磁石を近づけると、弱く引き寄せられて、くっつきます。
もともとは玄武岩などの石が、その後の変化を受けて変わってきた石です。その過程で磁鉄鉱などが無くなるというわけか・・・あるいは、磁鉄鉱のN極の向きがバラバラになるとか・・
昔ながらの棒磁石を思い浮かべて想像するとわかるのですが、磁石がみんなピッとそろって同じ方向を向いていれば磁力は強くなりますが、あっちこっち向いていては、力を弱めるばかりのはず(力を合わせると強い)。火成岩は冷えるとき、キュリー温度(これ以上では磁性が失われる温度)を通過しますが、この温度の時、地球の磁場が岩石中の磁鉄鉱に記録されて、すべての磁鉄鉱の磁性が同じ方向になるといいます。N極の方向が同じになるというわけ。その後、磁石の方向バラバラになってくれば、磁石の力も弱まるわけでしょう。
詳細は知りませんが、こんなことも考慮の中に入るかと。
(ちょっとおまけ:キュリー温度を見つけたのはジョリオ・キュリー。ラジウム、ポロニウムを見つけ、放射線学を切り開いたキュリー夫人の夫です)
それにしても、岩石が変化して性質が変わっていくことまで考慮せねばならないとは、自然はひとすじ縄ではいかない・・・・でも、原理を知っていると、いろいろ考えられますよね。
どれも利根川の河原に転がっていた見かけのそっくりな石ですが、磁石がないと見分けの難しい石でした。岩石薄片をつくって顕微鏡で見ればもちろん違いはわかるでしょうが、それは大変な作業と時間のかかる話です。
下仁田自然史館に磁石のぶら下がった所がありますから、どの石が磁石にくっつくか、確かめてみてもいいですね。
とにかく、この調べかた、反応がすぐわかるので、やっていて楽しい!
(緑色岩・・・石も名前もわかりにくいなあ・・・。下仁田の青岩の石(御荷鉾緑色岩類)も輝緑凝灰岩(今では緑色岩とよばれる)なども、緑色岩といわれますから。石のでき方が共通しているということです。見た目はずいぶん違ったりすることもありますが・・)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。紹介なんかしきれない。
部屋の中の花瓶の花、何でしょうか。
畑に咲いていて、もうほとんど終わりかけています。
ブロッコリーの花です。きれいな花はいくらでもあるけれど、こんな花にも目をとめていただけたらと思います。
桜に続く様々な花・花・花・・・見ないうちに、花が終わってしまう!!
毎年、こんなことを言っているなあ・・・
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美しい花は、写真ではなく実物で見てくださいね。
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