県の石・・・日本地質学会が選定 (岩石・鉱物・化石)
下仁田の鶏冠石 が「県の石」の鉱物分野で選ばれました。選定は権威ある日本地質学会です。
6月11日付けの上毛新聞にのっていましたので、ご存知の方もいらっしゃるかと。
鶏冠石はヒ素を含む鉱物として知られています。以前にこのブログで紹介したことがあります。
見ると ちょうど2年前。
その時は
「世界遺産登録 おめでとうございます 荒船風穴」
という記事を最初に載せ、そのあと鶏冠石の話を書きました。はからずも 今回も登録のお祝いとお知らせになりました。
以前のブログは以下です。
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/06/5.html
(鶏冠石の詳しい解説はこちらでごらんいただけます)
次々と価値を認められ登録されるものが出てきて、地元下仁田にとっては喜ばしいことと思います。
こうした文化的価値を守り、人々に広めていっていただきたいです。
ところで 下仁田自然史館に展示してある鶏冠石の色がちょっと・・・
鶏の「とさか」のような赤い色のはずなのに、全然そんな色じゃない!
見学に来られた方が感想を書いていかれました。
「鉱物の保存の仕方が悪い。リアルガー(鶏冠石のこと)など展示の仕方を考えるべき」
確かにそのとおりで、お恥ずかしい限り。上の写真のように、ケースにいれ それをガラスケース内においてあるだけですから。(写真に光が反射していて不出来なのですがご容赦を)
鶏冠石は光が当たると結晶が変化してしまい、赤から黄色に変化して、正確に言えば鉱物名も変わってしまいます・・・展示、むずかしいなあ・・・
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ブルーの食塩が自然史館にあるのですが 光で色が消失するということで展示していません。写真をとったらたら良いかな。
酸素に触れることで変化する鉱物もあります。黄鉄鉱は酸素・水に触れると酸化して 硫酸ができたりする・・・地層の中にできた黄鉄鉱の小さな粒子は 山が崩されたりして地表に現れ酸素に触れると そこにできた硫酸が岩石をくずしていく・・・昔は黄鉄鉱から硫酸をつくっていたというほどです。八ッ場ダムの現場で酸性水があったり 法面が赤茶けてくずれそうなのが 心に浮かびます。
様々な原因で引き起こされる変化、変質にも注意をはらう必要があるわけです。
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光の当たらない場所に赤い色のサンプルが保管してあります。その写真をのせます。赤い色ですね。
なお土地は個人所有で 現在は立ち入り・採集とも 禁止です。
産地を大切に守りましょう。
岩石と化石は以下です。
上毛新聞のインターネットサイトのものです。
新聞記事はもう少し詳しく書かれています。
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「県の石」に鬼押出し溶岩など3種類 日本地質学会
更新日時:2016年5月11日(水) AM 09:00
日本地質学会(東京)は10日、47都道府県で産出する特徴的な岩石、鉱物、化石を一つずつ選び、計141種類を「県の石」(都道府県の石)として認定したと発表した。
群馬県は「鬼押出し溶岩」(嬬恋)、「鶏冠石(けいかんせき)」(下仁田)、「ヤベオオツノジカ」(富岡)がそれぞれ認定された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~群馬県は「鬼押出し溶岩」(嬬恋)、「鶏冠石(けいかんせき)」(下仁田)、「ヤベオオツノジカ」(富岡)がそれぞれ認定された。
上毛新聞より |
県の木・花・鳥などはあるのに石というのはなかったなあ。誰もそんなこと考えなかったし。でも 少しでも多くの人に眼を向けてもらうには こういった工夫も必要でしょう。
学校で地学という教科があまり教えられなくなり、関心をもつ人が減り、基本的なことが知られずにきた昨今、こんな試みも意義があると思えます。自然災害の多い日本では 特に。大地の公園・ジオパークはユネスコの正式事業になりました。地震が増えている昨今、大地に眼をむけるきっかけ作りになってほしいとも思いました。
ところで群馬県の花とかは何だけ?
木 : クロマツ
花 : レンゲツツジ
魚 : アユ
鳥 : やまどり
たしかに みんなが知っているなあ。 やまどりは知らないかな?
「クロマツ」というのがどうも・・・これ 天女が羽衣をふわりとかける 海べの松、海岸の木という感じがするのですが・・・たしかに赤城山の南面には松林が広がりますが・・・たしか ケヤキと最後まで争ったと聞いたのですが・・ちなみに 埼玉県の木はケヤキです。赤城山の「くろまつ」 ずいぶん枯れて 酸性雨調査が盛んにおこなわれていたのですが 最近は話をきかなくなっています・・・どうなっているのかな・・・
30年近くも昔、群馬から離れて住んでいたとき 「町が売られている」という番組をぼんやり見ていた時のこと。「なんだか故郷を思いだすなあ」などとふっと感じたりしていたら なんと「玉村町」と出てきて、びっくりしたことが・・バブルのころ、土地が切り売りされ、急激に人口がふえていった時のことでした。平らに広がる光景に ケヤキがポツポツとたつ風景・・何の変哲もないけれど、なにか空気を感じる・・それが育ったところというものなのか。
ところで 玉村町の木は 「もくせい」 花は 何と「バラ」。しかもマリア・カラス という品種! バラは確かにきれいです。でも 田んぼのまんなかの田園花火が知られているように、つい最近まで田んぼや畑が広がり、養蚕の盛んだった地域。もんぺ・かっぽう着姿のお母ちゃんが身を粉にして働いていた という地域とは ずいぶん感触が違う・・マリア・カラスは歌に生き 恋に生きといった 華やかな女性だし・・
単純に「なにがいいですかあ」と 投票しただけだったのかなあ。花の名前なんて知らないし、きれいだからこれでいい とかなったのかなあ・・?
経緯を知らないで言うのは良くないですが、とにかくその地域にあった、特徴をあらわすのを選ばなくては、ね。それも文化でしょう。
梅雨の雨が降っている・・ 季節の花 咲いている・・
写真とってこよう。
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どうせなので 県の石 一覧をのせます
大切なお願い
各都道府県で岩石・鉱物・化石をそれぞれ1つに絞って認定いたしましたが,
これ以外にも各地域には選びきれないほど,すばらしい岩石・鉱物・化石が多々あります.
特に化石・鉱物の産地については,充分な保護が必要です.国立・国定公園、並びに自治体の条例で保護が指定されている地域等ではもちろんのこと,そうでない場所で試料の乱獲や盗掘などはせず,
露頭保護を心がけるようお願い致します。
これ以外にも各地域には選びきれないほど,すばらしい岩石・鉱物・化石が多々あります.
特に化石・鉱物の産地については,充分な保護が必要です.国立・国定公園、並びに自治体の条例で保護が指定されている地域等ではもちろんのこと,そうでない場所で試料の乱獲や盗掘などはせず,
露頭保護を心がけるようお願い致します。
「県の石」発表
「県の石」発表
日本地質学会は、全国47都道府県について、その県に特徴的に産出する、あるいは発見された岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」として選定いたしました。日本地質学会は来る平成30年(2018年)に創立125周年を迎えますが、都道府県の石の選定をその記念事業のひとつとして実施するものです。
2014年8月に学会のHPやプレスリリースを介して一般にも広く推薦を呼びかけました。それをもとに学会内で各支部から委員を選出して選定委員会(委員長:川端清司(大阪自然史博物館))を構成し、約2年をかけて検討し、選定いたしました。
2014年にこの事業を推進するにあたって調査しましたところ、都道府県の花や樹木、あるいは鳥というのはほぼ全てにありました。しかしながら、各都道府県へのアンケートでは「県の石」あるいはそれに類するものを制定しているという回答はありませんでした。
地元の地質を愛する心は国際共通であり,米国では「州の石」を定めているところもあります.我が国では石や岩などというものは、奇岩や特別な景観の中で愛でることはありますが、産業として成り立っているもの、あるいは一部の愛好家を除いて、日常的にはほとんど意識されていないものだと思います。日本は国土の面積こそ小さいのですが、複雑な地質構造をもつ世界でも特異な場所です。
このような日本列島の北から南までの各都道府県の地域特有の「県の石」を選定することによって、一般市民の方々に大地の性質や成り立ちに関心を持っていただき、大地とうまく付き合っていくことができるようになることを目指しております。
また、各都道府県においては、近年盛んになっております「ジオパーク」への貢献ならびにこの「県の石」をさまざまに活用していただくことを希望しております。
2016年5月10日
都道府県名 | 岩石 | 鉱物 | 化石 | ||||
支部 | 岩石名 | 主要産地 | 鉱物名 | 主要産地 | 化石名 | 主要産地 | |
北海道 | 北海道 | かんらん岩 | 様似町 | 砂白金 | 北海道中軸部 | アンモナイト | 北海道中軸部(空知,留萌,日高など) |
東北 | 青森県 | 錦石(鉄分を含む主に玉髄からなる岩石) | (全域) | 菱マンガン鉱 | 尾太鉱山 | アオモリムカシクジラウオ | 青森市 |
岩手県 | 蛇紋岩 | 早池峰山 | 鉄鉱石 | 釜石市 | シルル紀サンゴ化石群 | 大船渡市樋口沢 | |
秋田県 | 硬質泥岩 | 男鹿市船川港女川など,女川層分布地域 | 黒鉱 | 北鹿地域 | ナウマンヤマモモ | (特定の場所無し) | |
宮城県 | スレート | 登米市登米,石巻市雄勝 | 砂金 | のの岳,涌谷 | ウタツギョリュウ | 南三陸町歌津 | |
山形県 | デイサイト凝灰岩 | 山形市山寺 | ソロバン玉石(カルセドニー) | 小国町 | ヤマガタダイカイギュウ | 大江町三郷甲,用地区の最上川川床 | |
福島県 | 片麻岩 | 阿武隈高原 | ペグマタイト鉱物 | 石川町 | フタバスズキリュウ | いわき市大久町 | |
関東 | 茨城県 | 花崗岩 | 八溝山地南部 | リチア電気石 | 妙見山 | ステゴロフォドン | 常陸大宮市 |
栃木県 | 大谷石(凝灰岩) | 宇都宮市大谷町 | 黄銅鉱 | 足尾銅山 | 木の葉石(植物化石) | 那須塩原市塩原 | |
群馬県 | 鬼押出し溶岩(安山岩) | 浅間山鬼押出し | 鶏冠石 | 西牧鉱山 | ヤベオオツノジカ | 富岡市 | |
埼玉県 | 片岩 | 長瀞町 | スチルプノメレン | 長瀞町 | パレオパラドキシア | 小鹿野町,秩父市大野原 | |
東京都 | 無人岩 | 小笠原諸島 | 単斜エンスタタイト | 小笠原諸島 | トウキョウホタテ | (特定の場所無し) | |
千葉県 | 房州石(凝灰質砂岩・細礫岩) | 鋸山 | 千葉石 | 房総半島 | 木下貝層(きおろしかいそう)の貝化石群 | 印西市木下 | |
神奈川県 | トーナル岩 | 丹沢山地 | 湯河原沸石 | 湯河原町 | 丹沢層群のサンゴ化石群 | 丹沢山地 | |
中部 | 新潟県 | ひすい輝石岩 | 糸魚川市青海,小滝 | 自然金 | 佐渡金山遺跡 | 石炭紀−ペルム紀海生動物化石群 | 糸魚川市青海の青海石灰岩 |
富山県 | オニックスマーブル(トラバーチン) | 宇奈月地域 | 十字石 | 宇奈月 | 八尾層群の中新世貝化石群 | 富山市八尾町 (2016.5.11訂正) | |
石川県 | 珪藻土(珪藻泥岩) | 能登半島 | 霰石 | 能登町恋路 | 大桑層の前期更新世化石群 | 金沢市大桑町 | |
福井県 | 笏谷石(火山礫凝灰岩) | 足羽山 | 自形自然砒 | 赤谷鉱山 | フクイラプトル キタダニエンシス | 勝山市北谷 | |
静岡県 | 赤岩(凝灰角礫岩) | 富士火山宝永火口 | 自然テルル | 河津鉱山 | 掛川層群(大日層)の貝化石群 | 掛川市,袋井市 | |
山梨県 | 玄武岩溶岩 | 富士火山青木ヶ原 | 日本式双晶水晶 | 乙女鉱山 | 富士川層群の後期中新世貝化石群 | 身延町など | |
長野県 | 黒曜石 | 和田峠 | ざくろ石 | 和田峠 | ナウマンゾウ | 野尻湖 | |
岐阜県 | チャート | 木曽川(鵜沼-坂祝),飛水峡,金華山 | ヘデン輝石 | 神岡鉱山 | ペルム紀化石群 | 大垣市赤坂金生山 | |
愛知県 | 松脂岩 | 鳳来寺山 | カオリン | 瀬戸市 | 師崎層群の中期中新世海生化石群 | 知多半島 | |
近畿 | 三重県 | 熊野酸性岩類 | 三重県東紀州地域 | 辰砂 | 丹生鉱山 | ミエゾウ | 津市・亀山市・鈴鹿市・伊賀市・桑名市 |
滋賀県 | 湖東流紋岩 | 滋賀県南東部 | トパーズ | 田上山(大津市) | 古琵琶湖層群の足跡化石 | 湖南市野洲川河床 | |
京都府 | 鳴滝砥石(前期三畳紀珪質粘土岩) | 京都市右京区 | 桜石(菫青石仮晶) | 亀岡市 | 綴喜層群の中新世貝化石群 | 宇治田原町 | |
兵庫県 | アルカリ玄武岩 | 玄武洞 | 黄銅鉱 | 明延鉱山 | 丹波竜(タンバティタニス アミキティアエ) | 丹波市山南町,篠山川河床 | |
大阪府 | 和泉石[和泉青石](砂岩) | 和泉山脈 | ドーソン石 | 泉南 | マチカネワニ | 豊中市柴原の待兼山丘陵(大阪大学豊中キャンパス) | |
奈良県 | 玄武岩枕状溶岩 | 玉置山山頂,吉野郡川上村深山の吉野川河床、川上村下多古,十津川村折立など | ざくろ石 | 二上山 | 前期更新世動物化石 | 馬見丘陵(広陵町~河合町) | |
和歌山県 | 珪長質火成岩類 | 潮岬地域の橋杭岩,古座川弧状岩脈の一枚岩,虫喰岩など | サニディン | 太地町 | 白亜紀動物化石群 | 有田川流域(有田川町など) | |
四国 | 香川県 | 讃岐石(古銅輝石安山岩) | 五色台 | 珪線石 | 猫山 | コダイアマモ | 阿讃山脈 |
徳島県 | 青色片岩 | 眉山-高越地域 | 紅れん石 | 眉山 | プテロトリゴニア | 勝浦川流域(勝浦町,上勝町) | |
高知県 | 花崗岩類(閃長岩) | 足摺岬 | ストロナルシ石 | 高知市蓮台 | シルル紀動物化石群 | 横倉山(越知町) | |
愛媛県 | エクロジャイト | 東赤石山周辺 | 輝安鉱 | 市之川鉱山 | イノセラムス | 宇和島周辺,松山~四国中央 | |
西日本 | 鳥取県 | 砂丘堆積物 | 鳥取砂丘 | クロム鉄鉱 | 日南町多里 | 中新世魚類化石群 | 鳥取市国府町宮下 |
島根県 | 来待石(凝灰質砂岩) | 松江市宍道町 | 自然銀 | 石見銀山 | ミズホタコブネ | (県内各地,模式地松江市玉湯町布志名) | |
岡山県 | 万成石(花崗岩) | 岡山市 | ウラン鉱 | 人形峠 | 成羽植物化石群 | 高梁市成羽町 | |
広島県 | 広島花崗岩 | 広島県南部 | 蝋石 | 庄原市勝光山 | アツガキ | 三次・庄原地域(備北層群) | |
山口県 | 石灰岩 | 秋吉台 | 銅鉱石 | 長登鉱山 | 美祢層群の植物化石 | 美祢市 | |
福岡県 | 石炭 | 筑豊地域 | リチア雲母 | 福岡市長垂 | 脇野魚類化石群 | 北九州市,直方市,宮若市 | |
佐賀県 | 陶石(変質流紋岩火砕岩) | 有田町 | 緑柱石 | 富士町杉山 | 唐津炭田の古第三紀化石群 | 佐賀県西部 | |
長崎県 | デイサイト溶岩 | 雲仙岳 | 日本式双晶水晶 | 奈留島 | 茂木植物化石群 | 長崎市茂木町 | |
大分県 | 黒曜石 | 姫島 | 斧石 | 尾平鉱山 | 更新世淡水魚化石群 | 玖珠盆地(九重町野上) | |
熊本県 | 溶結凝灰岩 | 阿蘇山周辺 | 鱗珪石(トリディマイト) | 熊本市島崎の石神山 | 白亜紀恐竜化石群 | 天草市,御船町 | |
宮崎県 | 鬼の洗濯岩(砂岩泥岩互層) | 青島海岸 | ダンブリ石 | 土呂久鉱山 | シルル紀−デボン紀化石群 | 五ヶ瀬町祇園山 | |
鹿児島県 | シラス(主に入戸火砕流堆積物) | (島嶼部を除くほぼ全域) | 金鉱石(自然金) | 菱刈金山 | 白亜紀動物化石群 | 甑島・獅子島 | |
沖縄県 | "琉球石灰岩" | (全域) | リン鉱石 | 沖大東島 | 港川人 | 八重瀬町字長毛 |
子供の頃、父が仕事で行った上野村で二枚貝の化石を私に拾ってきてくれました。それを見た瞬間にその場所が大昔は海底だったと実感した事でした。それは本物の威力だと思います。でも、ソレっていけない事!本物は博物館で専門家に説明を受けて見る、そ れがベストだと私も思います。
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