2014年12月21日日曜日

地質案内その5 宮室(上) 地層の”模様”の数々

 
宮室(みやむろ)で見られる「跡倉層上部層」
      クリッペ・ナップを構成する地層です
         ・さまざまな地層の”模様”が見られます
   
    ・海底につもった地層 約8000万年前のもの

    ・砂や泥が交互に見える地層・砂岩泥岩互層です
       
見たところ、平らな縞模様の地層・・・・海底に平らにつもったそのままに見えるのですが・・・・じつはこの地層は並でない経験を経てきた地層・・・・
断層でぶっつり切れたり逆転したりしています。
相当な大変動を経験してきた地層なのです。

さらに地層にさまざまな模様があったり、さらに、後からできた割れめにしみこんだ脈が、きれいな模様を見せていたりと、見所も多い場所となっています。

考えてみれば、クリッペ・ナップの一部なのですから、大変動を経験してきたはず。


図の左下、小さな赤丸の付近が宮室です。
 (以前にのせたものとダブる内容も多々ありますが、まとめということでの紹介とさせていただきます)

(なお、図表などが多くてデータが重くなりますので、上下2部に分けます)

宮室の万年橋付近は、地層の観察にとても良い場所です。地層にあらわれるさまざまな模様なども見られます。

早稲田大学の高木秀夫さんは学生の野外学習にこの場所を利用しています。「天然記念物クラスの貴重な露頭」とおっしゃっています。

         N30°Wというのは、「真北から西に30°傾いた方向」という意味。「ほぼ北西方向」ということですね

ここの地層、ごく普通の砂岩泥岩互層に見えます。
ですが、この地層、つもったときから180度回転、つまり、ひっくり返っている部分があります。地層の上の方が下よりも古いのです。逆転層といいます。
 (水の中につもった地層は普通、だんだんつもっていくのだから、下より上が新しい・・・・でも、その後の出来事で、曲がったりひっくり返ったりするわけです)

上の写真では、左半分は180度ひっくり返っている・逆転している地層。右半分は逆転していない普通の地層です。
・・・つながった同じ地層に見えるのにね・・・・・境は断層です。写真中央の草の繁った付近に断層があるわけです。
 

じつは、この断層より左(西)の地域は、広い範囲にわたり地層が逆転しています。どんな動きがあったのか・・・知恵を絞るのもなかなかたいへん・・・でも、過去の大規模な大地の動きを解き明かす手がかりとなるのです。
高木秀夫さんが、下仁田自然学校の連絡誌「くりっぺ」の12月号に、この大規模な大地の動きについての考えを紹介しています。
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 どうして逆転しているとわかるのか
まずは、級化層理という現象が見られたから


右の写真は、砂岩泥岩互層の部分を上から撮ったもの。逆転した部分です・
灰色のところが少し粒が粗く、黒い部分がとてもこまかい粒子の泥の部分です。灰色と黒の1セットで1枚の地層になります。でもこれを見ただけでは、どこからどこまでが1セットかわからない・・・

 注意深く見れば、灰色っぽい部分で粒子が下から上へ、「小さい粒→大きい粒」と変化しているところがみつかります(私のような老眼の者は、虫眼鏡がほしくなりますが・・)。粒子がつもったときは、「大きい粒→小さい粒」でつもりました。というわけで、ひっくり返っている、とわかるわけです。
 なお、1枚の地層は「灰色部分(下)→黒部分(上部)」で1セットです。


  以前に紹介した級化構造の解説が、以下にあります。
  
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/01/blog-post_26.html


宮室では、他にも見所があります。羽状(うじょう)割れ目生痕(せいこん)流痕(りゅうこん)です。
ページをあらためて紹介します。







 
 
 




 

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