川底にたまった土砂を撤去・洪水対策だそうです
気候変動なのか、雨の降り方が激しくなってきていて、洪水の心配が・・・
水が早く流れるようにと川底をさらったりするのですが、どんな作業でどんな変化がみられる?
場所は?
群馬県玉村町
位置関係は以下です。
黄色にマークした場所は 群馬県前橋市の県庁と、玉村町の伊勢玉大橋と五料橋です。
県庁から17㎞ほど流れ下ると、伊勢玉大橋に達します。
この図には橋の長さを書き込みました。玉村町では、218mの玉村大橋からわずかに下った五料橋は544mあり、急に川幅が広がっています。さらに下流の坂東大橋付近は利根川治水の重要な場所として、重視される場所です。
県庁から17㎞ほど流れ下ると、伊勢玉大橋に達します。
この図には橋の長さを書き込みました。玉村町では、218mの玉村大橋からわずかに下った五料橋は544mあり、急に川幅が広がっています。さらに下流の坂東大橋付近は利根川治水の重要な場所として、重視される場所です。
この付近で、大々的に作業が始まっているわけです。
中洲がみえます。
この中州は、土砂を取り去った後の姿です。
撮影2020年5月3日
少し前
中洲の土砂を掘って運び去る作業をしていました。
重機が見えています。
2020年1月13日
もう少し前
2017年1月26日
中洲も右側の川岸も、木が生い茂っています。
土砂をとる前に、まずは木を切っていました。
右側の川岸も、しっかりと土砂をとっていました。厚さ2m以上も掘り取っていたようです。
もっと前
1996年の写真
見た角度が少し違いますが、注目は、はえている木がまだ小さいこと。
八ッ場ダム建設への疑問を述べている人たちが、洪水対策にはダムをつくるのではなく、河道整備を、と何度も何度も主張していました。
川の土砂を取り除いて水を流しやすくし、堤防を強化して決壊を防げばいい、と。
ダムよりはるかに安価で早くできます。
ところで、八ッ場ダム建設中は河道整備は目につきませんでしたが、できたとたん、すぐに土砂を取り除き始めたわけですね・・・それも、急ピッチで。
今度は伊勢玉大橋から下を見て
川の右岸の川底の土砂を取り除き、川の流れ方を少し変えようというもののようです。
ここは川が大きくカーブし、さらに写真の左手付近には、韮川という小さな川(用水として田んぼの水に利用していると思う)が流れ込んでいる。大きな川に小河川が流れ込む場所は、洪水時には内水氾濫を起こしやすい場所となるのでは。
2020年2月29日
まずは土嚢で囲って、水が入らない部分をつくる
2020年3月26日 砂利を掘って、トラックで運び出した。 右は 2020年5月6日
2020年5月25日
2020年6月7日
砂利取り完了し、土嚢は取り除き、何もなかったかのような川。
まだまだたくさんの工事が行われています。
川沿いにつくられた東部スポーツ広場という公園の川辺では、コンクリートブロックを敷き詰めていました。
今は礫におおわれた普通の川辺で、こんな工事が行われてていたとはわかりません。
橋は五料橋、上流側から下流方向を見ています。
このあたりの利根川の川筋では、手を付けていない所はないのではと思うほど、あちらでもこちらでも、土嚢を積んだりコンクリートのブロックが敷き詰められたり、浚渫したり、工事が行われています。
五料橋下流 堤防内側で工事をしていた。遠くに五料橋が見える。 昔作られた、洪水対策のために棒杭で作られたものが残っている。 聖牛と言っただろうか。 |
現場にいたお兄さんに「何しているんですか」と聞いてみました。「こっちに水があまり来ないようにして、水際には土嚢も積んで、ここには土を入れている」。
この場所では土砂をとっているのではなく、土砂を入れているのでした。川岸の強化ということでしょう。
「木の伐採や浚渫は下流の八斗島あたりまでやるんですか」
「いや、もっともっと下流まで。作業には
17社入ってる。今まで堤防を作っていたけれど、それは終わったから、これからは川の中だね」
利根川はこのすぐ下流で烏川と合流し、八斗島へかけて広い川原が広がり、左写真のように、草と木が生い茂っています。
ここにも工事が入るわけです。工事は1期、2・3期と続くようで今回の玉村町はその第1期のようです。
広い川原は増水時には遊水地の役割を果たし、洪水対策にも役立ちます。八斗島には流量観測所もあり、利根川河川管理の重要地点となっています。
お兄さんにお話を聞いたちょうど対岸の場所は、砂利の取られた跡が、細長く入江のようになっていました。
川には入江のように水の入り込んだ部分が自然にでき、そこでは水鳥などの姿もよく見られます。魚の産卵場所になったりと、生きものにとっては大切な場所になっています。
高度成長時代、こうしたことに無関心に工事が進められ、批判もおこった歴史があります。川砂利はコンクリートの骨材として大量に掘り取られていました。
現在は規制もされていますが、今後、バランスを見ながら採取もされるようです。 担当業者の看板には、砂利採取標識とありました
左は五料橋下に見られる入り江のようになった部分。手をつけずに残されていました。
この付近の利根川ではサケの産卵が見られたと聞いています。お話を聞いた工事のお兄さん、魚の産卵期には注意して、とは言われたそうです。
昔、この付近は養蚕が盛んで、母たちは蚕を迎えるためにはまず、養蚕道具の籠や蚕棚づくりの道具やらをリヤカーに載せて利根川へ運んで、その水できれいに洗ったものでした。男の子たちは魚とりで遊んだものです。さらに昔は、川は物流の大動脈を担っていました。水は農業にとって重要なものであることは言うまでもありません。
いつの間にか、川は私たちに縁遠い存在になってしまいました。
荒れ狂って脅威を与える存在にしか見えないとしたら、悲しいことです。
利根川は洪水の対策がよく行われる川と思うのです。一方で、中小河川の氾濫が大きな被害を起こしてもいます。みなさんの近所の川はどうですか。
まずは、今年は大雨が降りませんように。
さらに川と親しめる関係を持てたらとも願わずにおれません。
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