今、ピカソのゲルニカを織り込んだタペストリーが展示
されています
夏休み時期、各所で特別展などが開催されています。
行こうかな、と思っても、ついつい見逃して・・・の繰り返し・・・
県立近代美術館開催中の「ウィリアム・モリスと英国の壁紙展」というのを見に行こうかと思っていたところ、新聞に記者の書いているコラムが目に留まる・・・
「こんなところでゲルニカに出会うとは思わなかった」 ?・・ゲルニカ?・・・
美術館の2階、常設展示などのコーナーの壁面いっぱいに、見たことのあるモチーフ、ゲルニカが。布で織った作品・タペストリーが掲げられていたのです。
大きさは原画サイズとほぼ同じで、3.2m × 8m
作成は1983年
所蔵はここ、近代美術館 1996年入手
ゲルニカのタペストリーは世界に3枚あり
1枚目は1955年作成、6ヶ月かけて織りあげられ、現在は国連本部安全保障理事会のエントランス壁面を飾っているそうです。
2枚目は1976年作成、フランスのウンターリンデン美術館所蔵。
そして3枚目がここ、群馬の近代美術館に。びっくりです。
原画は1937年パリ万博スペイン館に出展したもの。ゲルニカでの無差別攻撃を聞いたピカソが、急きょテーマを変更して作成したことは、あまりにも有名です。
「スペインに真の民主主義が回復するまではスペイン政府に渡さない」とのピカソの言葉通り、ずっとニューヨーク近代美術館に置かれ、1981年、ピカソ死後スペインにわたったのは、ニュースで報道されたのをかすかに覚えています。
写真を撮るわけにはいきませんので、ご覧になりたい方は会場へどうぞ。
同じフロアーには戦争に関連した作品がいくつか掲げられていました。
夏・・戦争の記憶を呼び起こす季節・・・それにちなんだ展示なのでは。
忘れないために、こうしたものを繰り返し展示していくことは大切でしょう。
・ ミロー 「スペインを助けよ」
1936年 スペイン支援を訴えるキャンペーンとしてデザイン。切手のデザインを
ポスターにしたもの
・ジャン・フォートリエ 「銃殺された人々」1943年 「黒い人質」
1940年対独レジスタンス運動に参加、パリ郊外に隠れて42年から開始された
「人質」シリーズは、45年発表され、大きな反響を。暴力・拷問・虐殺などの横行
する戦争という現実から生み出されたものと。
こんな時代環境のなかでも描き続けていたのか・・・
・福沢一郎 「敗戦群像」 「虚脱」
裸体の折り重なり積みあがった絵は、見るものに時代を感じさせる。富岡市生まれ
・鶴岡政男 「夜の群像」
戦争でつらい経験をし、終戦後1949年に描かれた。戦争の苦しみと戦後の混乱を
表現。 高崎市生まれ
ところで、美術には疎い私でも、どこかで名前を聞いたことのある画家の作品もあります。一部屋を使ってのムンクの絵の展示もありました。
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壁紙展を紹介していませんでした。
美術館は我が家から近い場所にあるので、ちょっと目の保養に、といった気分でした。
写真はチラシにあった壁紙のデザインです。
表題になったモリスという方は、1834年~1896年に生きた方。
壁紙を使った部屋の再現が会場の一角にありました。
手の込んだデザイン、豪華、きれい。でも
日本人のセンスには、白壁に美しさを求める気持ちもあるかもしれません。
文化は、地域、時代でそれぞれなのでしょう。
下の写真のポットは、豪華ではあるけれど、でも
「部屋に置いたら、ほこりがたまるよな、扱いが大変だよな」とか、思ってしまうのは、日々の生活の追われてしまうからか。それとも現代に住む私たちの感覚なのか・・
モリスのデザインを現代に |
どんなにか手間のかかったことでしょう。
こうして、デザインで生活に潤いを、文化を感じさせたと言えるのでしょう。
現代の私たちは、生活者の感覚として、もっとシンプルな方が生活しやすいな、とか感じるような気がします…
実際、彼より前の時代から後の時代までの壁紙が展示されており、時代の経過とともに、デザインがよりシンプルになっていく様子もみられました。
現代に近づくと「洗える壁紙」との作品も。私など、これこそ、清潔でいいな、と感じますから。
最後に、モリスのデザインをとり込んだ模様の布が、大きくいっぱいに掲げられていました。
これ、まったく違和感なし。どこかで見たことがあるような感じがします。同じようなものは布として販売されているのでは。
なるほど、今でも通じるとは、優れたものとはこういうものなのか、と思いました。
暑さでダウンしそうな今年の夏、クーラーのきいたこうした施設を訪れるのもいいものかもしれません。
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