2013年9月19日木曜日

滝・ ポットホール

山の地形は終わりにして、次には滝とポットホールについて書いてみます。

地形 ②            滝のできたわけ

 
沢沿いにはあちこちに大小の滝が見られます。岩石の硬い部分は削られにくいため、なかなか水に削られず、滝になったりします。
硬い部分にはいろいろなものがあります。
 

l  奥栗山渓谷 

 硬いチャートの間を、いくつもの小さな滝をつなげながら冷たい清冽な水が流れ下っています。赤い色のチャートとしぶきを上げる水とがつくりだす光景です。
下仁田市街地から遠くない所にある渓谷ですが、幽玄な趣を漂わせ、炎暑の夏にも涼しく、山奥深くに入りこんだかのような気分にさせてくれます。渓谷の奥では、歩くとき滑らぬようにと、注意を。特に冬は足もとが凍るため、かなり注意が必要になる場所です。
  

写真 本多優二さん

 
 
 
 

 
 
 
 
阿唱念の滝
 硬い溶結凝灰岩が滝を形作っています。
火山から噴出物した火山灰や軽石・岩片が高速で流れ下る火砕流は高温で、まだ熱いうちに内部が溶けて固まり、硬くなります。その硬い部分が、浸食に耐え、滝になりました。
 
写真 自然学校作成の本「下仁田町と周辺の地質」より 
                                     

 

蒔田不動の滝

 傍らにお不動様のまつられた滝は、白い岩の上を流れ下ります。
 石英閃緑岩という、かこう岩の仲間の石です。この石はできてからのち、強い力を受けて一度砕かれて、さらにもう一度固まっているといいます。ですから砂岩のように見えるところもあります。とはいえ周囲にある砂岩や泥岩などの岩よりも硬いのではないでしょうか。クリッぺ(根なし山)を構成している岩石です。






 
l  線ヶ滝
1
本の線ような滝は、硬いチャートの岩肌を一気に35m流れ落ちて見ごたえがあります。下仁田の隣の南牧村(なんもくむら)の滝です。
南牧村には他に、三段の滝(滝をつくる岩石はチャート)、象ヶ滝(チャートや粘板岩)といった名瀑があります。どれもチャートが関係しています。



  写真 関谷友彦さん


 豊後の滝
下仁田市街地の裏山に産廃処分場がつくられようとしていたとき、下仁田自然学校では,町民の反対運動に呼応して、地質調査・水の調査をおこないました。
そのときつくられたパンフレットの表紙を飾ったのがこの滝のスケッチです。


   
     
絵 細矢尚さん
 
中生代ジュラ紀という古い時代に堆積した南蛇井層の泥岩を流れ落ちる水の流れです。
南蛇井層は全体に破砕された泥岩ですが、複数回の変動で、圧砕で塊状になった部分と破砕された部分とができ、その違いが水の落ち口をつくっています
 
ちょっとした滝でも、できるにはその理由があるわけ。これ以外にも、おすすめの滝・小さくてもお気に入りの滝などあるかも。
滝ができたり,水が流れ出したりしていたら,その理由は?と探るのもちょっといいなあ。
 
    

地形 ③


  
  川底でできたはずのポットホールがなぜあんなに高いところにある?
 

ポットホール
河床の硬い岩に開いた穴。
くぼみに入った石が水の流れでぐるぐるまわり、岩を削って丸い穴をあけたもの。
ポットホールって、けっこうあちこちで見かけます。
ですが、下仁田のはねこし峡のポットホールには少し注目です。なぜかというと、
(1)大きい。直径2m×3m、深さ2.5m以上
(2)水の流れる河床から8mも上の崖の上にある
    
 

写真 本多優二さん                       

 ここは神農原れき岩という硬い岩にできたポットホールです。ポンプで水をぬいたあとの写真です。
  深さ2mの穴をうがつには何年かかるでしょう・・1000年という人がいましたが、さて、どうでしょうか。
  
 昔の川の流れは、今より8m上の面を流れていたはず。なぜ今、川は8m下を流れるのか。可能性は2つ 
(1)地面が上昇したため、川が削る力が強くなってけずりこんだ
 (2)海水面が下がって、川が削る力が強くなった。
           (氷河期に起こった現象)
たぶん、(1)かな・・・下仁田地域は大地が上昇したと考えられることが、他にもあるので・・

  (現在この場所に行くには、はしごをかけて登らねばなりません)




ポットホールの赤ちゃん

長寺橋下の川原で見つけました。
中に石が入っていますが、水が流れると、これが
グルグルまわって岩に穴をあけます。
ここには小さなポットホールがたくさんありました。








   


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宮沢賢治は ポットホール(おう穴)も解説しています。

「台川」という作品で、教師をしていた賢治が、花巻温泉の小さな川,台川沿いに釜淵の滝まで、生徒をつれ出した時の話です。地質見学のようすを、楽しく書いているものです。壺穴は、おう穴のことです。

 
「壺穴のいのがなくて困るな。少し細いけどもこれで説明しやうか。
elongated  pot-hole
 こがどうしてかう掘れるかわかりますか。石ころ、礫がこれを掘るのです。そら、水のために礫がごろごろするでせう。だんだん岩を掘るでせう。深いところが一層深くなる筈です。もっと大きなのもあります。」

 あれこれ解説してくれています。

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