2013年9月21日土曜日

 川はどうやって石を運ぶ(絶滅危惧種も)


川原の大きな石は、どうやって運ばれてきた?どこからやってきた?
 



鏑川・青岩公園の川原  チャートの巨礫がある
答えは、大洪水のとき運ばれた・・それにしても、なかなか実感がわかないなあ


流水が物を運ぶ力は、流速のおよそ6乗に比例するということなので、流速が2倍になると運搬力は2×2×2×2×2×264倍、
3倍になると3×3×3×3×3×3729倍!
さらに水が泥を含んだ土石流のようになれば、浮力が増して、ますます軽々と石を運べるというわけです。


 上流に分布する石が運ばれてくるわけですが、チャートは硬いので簡単には砕けず、そこで、大きなチャートの塊が川原に見られることになります。もう少しやわらかい石は、けずられ砕かれて、小さくなったり,無くなったりしてしまいます。

 

川原の石のふるさとは,もちろん上流。西牧川と南牧川という2つの川が合流して、上の写真の鏑川となります。
この2つの川の上流には違った種類の石が分布しています。特に,南牧川上流には様々な岩石が見られます。そこで、川原の石も,たくさんの種類がみつかります。

   目立つ石をあげてみます。

   西牧川の上流からやってきた石・・・ほとんどが火山噴出物安山岩が多い)。
 
 南牧川の上流からの石・・・・・・・さまざまあります。
        古い時代の石:チャート・石灰岩・硬い泥岩・
          輝緑凝灰岩(古い時代の火山噴出物で緑色岩ともよびます)
          流紋岩(砥石に使われた石)
          なお、西牧川と同じに、安山岩などもあります。

そんなわけで、川原の石の勉強会が、しばしばここで開かれています。

 

上流の石の分布のようすは、下仁田自然学校作成の「かぶら川の石図鑑」にあります。観察会用に作成されたもので、観察会でよく利用されています。名前をつけるのに難しい石もありますが、代表的・典型的なものなら、図鑑を見ながら小さな子供でもちゃんと区別していきますよ。

 

 

    


・・・・・絶滅危惧種 について ちょっと解説・・・・・


妙義山の話の中で、植物の絶滅危惧種について書きました。でも絶滅危惧種って何?と思われた方もいると思いますので、ちょっと解説を。

「そんなめずらしいものなら、妙義のような山や,はるか深い山奥にあるのだろう」と思われる方も多いのでは。ところがそうとも限らない。

そこで、真っ平らで田んぼと畑の広がる玉村町の絶滅危惧種のいくつかを紹介。(玉村町は最近は住宅地が相当多いですが)

右は ミズオオバコ

 田んぼの脇を流れる水路に,ぽっかりと淡いピンク色の花を浮かべます。昔、学校の行き帰りの道脇の水路にたくさん咲いていて、大好きな花でした。今、国の基準でも,群馬県の基準でも、絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)
これが絶滅危惧種と聞いてびっくりして、
詳しい人に話を聞き、田んぼの絶滅
危惧種を探してみました。





 ヒロハトリゲモ

きっと見たことも聞いたこともない ・
私もはじめてみました。
水田をよく見ると,たまにあります
 国基準で絶滅危惧Ⅱ類
 群馬県では絶滅危惧ⅠAになってます





 


これも見たことないかも 

 ミルフラスコモ  といいます。


国の基準で絶滅危惧Ⅰ類
(近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い)
シャジクモ(絶滅危惧Ⅱ類)がたくさん見つかり,そのとき、何だか違う種類がありました。シャジクモの専門家の人が写真を見て「十中八九、ミルフラスコモです」と。
玉村町は広域幹線道路が建設中で、高速道路のスマートインターもできます。これらの植物の育つ場所も消失していくも・・・



ちなみに,左がシャジクモ。 高校生物教科書あたりには出てくる植物です。
シャジクモって,こんな身近にあったんだ、と,再認識したしだいです。     
その気になって注意すると,いろいろ見つかるものだと、思ったものです。
県のレッドデータ調査で水田地域などに詳しい人に、「玉村は,なかなかおもしろいものがありますね」といわれました。
 
 
かなりマニアックな感じになってしまったので、最後に,目立つきれいな水田の植物を。
オモダカといいます。大きさはもう少し大きくなります。雑草なので、一度刈り取られていて、それで小さめなのだと思います。
 
 水田にたくさんの強力な農薬がまかれた頃、魚がたくさん浮き上がり、除草剤で水田の雑草はほとんど無くなりました。そんな頃、通学路のわきで田んぼから少し離れた湿地に,こんな花がありました。きれいだなあと思いました。まさか、田んぼの雑草とは思いもよりませんでした。(でも、もしかしたら、クワイだったかもしれませんが。お正月に食べるクワイはオモダカの変種です)。オモダカは今、休耕田にはもちろん、稲田のわきにも、たくさん花をつけています。
 そっくりの花でアギナシというのがあります。これは絶滅危惧種で、田んぼのオモダカを見て、しばしば間違う人がいます。
オモダカ


 下仁田には田んぼがないそうですね。ですから水田の植物はあまり見たことはないかも。
でも、下仁田はたくさんの山や川があり、はるかに多様な環境があり、多種の植物の見られる場所です。もちろん、たくさんの貴重な植物が育っています。
 大切な宝物として大切にする気風を育てたい、そんなことを思いました。


 ・・・・・・・・・・・・・

 
絶滅危惧種ランクを書いておきます。ランクの高い順に
 絶滅危惧ⅠA類  絶滅危惧ⅠB類  絶滅危惧Ⅱ類  準絶滅危惧種
 
どんなものがあるか知りたい時、ネットですぐ調べられます(便利な世の中になったものです)。
検索表をつくって公開している人たちがいますので、例をかいておきます。
 
・日本のレッドデータ検索システム
      NPO法人の作成
植物だけなら
・植物レッドデータブックcomplete
      個人の作成かな?   

3 件のコメント:

  1. 県道下仁田軽井沢線で軽井沢に向かう途中の下仁田町西野牧新屋地内に水田があります。
    「西野牧開田記念碑」があって、昭和の初めに苦労して、水田を復旧したことが刻まれています。

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  2. 下仁田町には、水田は何カ所かありますが、山間地で、とても小規模で自家用のためのものです。
    また、かって水田だった場所も、昔は向かなかったが、品種改良や土壌改良などでコンニャクやネギの栽培がなされるようになり水田が消えた経緯もあります。

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    1. ご指摘ありがとうございました。地域のことは,なんといっても地元の方がよくわかっていらっしゃる。
      これからもよろしくお願いします。

       なお、表題の ①川原の大きな石は・・・の「①」は、間違いでした。

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