2013年12月27日金曜日

マグマの冷えかたなど


岩石についての話、一通り触れてきたかと思います。
お読みいただいた方々、ありがとうございました。
  かんらん岩や蛇紋岩など、取り上げていない岩石もあります。これらはきちんと話をきいてからでないと書けませんので、また後ほどに。

ここでは、何となく疑問に思ったりすることを、いくつか書き加えてみます。




マグマが冷えて固まって、地上に現れるまで


地下で溶けていたマグマは,どれくらいの深さで、どれくらい時間をかけて冷え,固まるもの
 なのだろうか  

  地下で固まった岩石のかたまりは,どれくらい時間をかけて,地上に現れるのだろうか

こういったことは、疑問に思っても、よくわからないことが多いもの。こういった内容に関わることを、あれこれさがしてみました。というわけで、目にとまった範囲ということですが、紹介してみます。
  
l   冷えるのにかかる時間
      マグマはふつう、地下から上昇してきて、そのまま地上に出るわけではありません。噴火している火山のマグマでも、地下で”たまり場”、マグマだまりをつくっています。
直径数kmのマグマだまりの温度が
100℃下がるのに約1万年かかり、完全に冷えるのに数万年かかるとか。マグマの塊が巨大サイズなら数百万年~1千万年かかるとも・・・もともとのマグマの温度は?・・・地上にあらわれた溶けている溶岩の温度は900℃から1,100℃くらいですが(実測値850℃~1200℃など)、地下では高い圧力がかかるので、もっと高くなるでしょう。

    一般的に言ったら、地下のマグマが冷えるには数万年~数十万年かかる。さらに完全に冷えきるには、おそらく数百万年以上必要、ということになりそうです。

  数百万年も温かいとしたら、その周りでは地下水があたためられて、温泉となっても不思議はない・・・・実際、閃緑岩(深成岩の一種)の近くに温泉があったりして、「熱源では」などと言われるのを聞いたこともあります。


l  ゆっくり固まるとは、急速に冷えるとは・・…まとめると・・・

    花こう岩・閃緑岩・はんれい岩などができるときは「ゆっくり」冷えてかたまるといわれます。
    完全に冷えきるのは、数十万年~数百万年といわれています。

例:丹沢の石英閃緑岩(深い所で固まった岩石)は数百万年かけて固まったといわれているようです。
 
②   ガラス質の 黒曜石は数日で固まるともいわれます。
  ( 溶岩が水中に流れ込むと、表面は急冷します・・・ですから水中に流れ出してできる枕状溶岩の表面は急冷しています。
     時には溶岩がバラバラに砕けてしまうこともあります。熱湯に入れたガラスのように。)

安山岩溶岩の表面 
  ③ふつうの溶岩が固まる時間、あるいは地下の割れ目に入り込んで      固まるまでの時間・・・
      安山岩や玄武岩ができるわけですが、どれくらいの時間がか       かっているのかな・・・


ちょっとおまけ <前回の補足 :  安山岩溶岩の表面の写真>
 右の写真:安山岩溶岩の表面に小さな穴がたくさんあります。マグマが冷えるとき、内部の気体が発泡して抜け出たあとです。前回、溶岩の表面に方解石の丸い粒がたくさんあるのを紹介しましたが、こんな穴を埋めたら、白い点々ができそうですね。今頃になって写真のあるのを思いだしました。石は多分、浅間山の溶岩です。


l  マグマが深いところで固まるというけれど、どれくらいの深さ?
・花こう岩や閃緑岩ができるときは、「深いところ」で固まります
・深さは地下10km15kmほどか・・5kmほど・・でもできそうです。
・どうしてわかるのかといえば・・
マグマによってまわりの岩石がやけどしますが、そのときできた鉱物から温度圧力条件が推定できるときがあります。これらの数値から推測していきます。掘って調べるなんてできません。


結晶片岩は地下15km~30kmに岩石が押し込められ、溶けずに変化してできた石といいます。花こう岩より深い所で、しかも溶けずにできた・・・地下の世界も単純ではなく、いろいろあるのですね。
 
l  深い所でできた花こう岩が、どうして今、地表でみられるのか
もちろん地下から上昇してきたわけですが・・・

どうして上昇できるのか
・花こう岩は密度が低い(軽い)ので、浮き上がっていく、つまり上昇します。
・温度が高いと、やわらかく流動性があり、また周囲の岩石も温まってやわらかく、可塑性が高く(変形しやすい)上昇しやすくなります。
・日本列島は太平洋側から押される力がはたらいていますが、こうして押されてずり上がるとい
   うこともあるのでは、という人もいます。
  単純ではないでしょうし、説明も難しそうです・・・・・・

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下の写真、磨かれた花こう岩(ちょっと黒めなので閃緑岩かな)の表面に、なにやら黒っぽいかたまり・・・
これ、花こう岩が上昇するとき、まわりの岩石を取り込んだもの
捕獲岩といいますが、何か地下の情報を持ってきてくれるかな。
けっこう見かけますから、ちょっと目をとめてみませんか。




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l  花崗岩が地上まで出てくるには、どれくらいの時間がかかる?

下仁田の平滑(なめ)花こう岩は6500万年前のものです。日本にはこの頃の花こう岩がたくさんあります。でも、日本にはもっと若い花こう岩もあります。量も分布場所も少なめですが。
1400万年ほど前の花こう岩の仲間が、日本列島の西のほうに点々と見つかります。ですから1400万年あれば間違いなく地上に出てきているわけです。
   例: 屋久島の山頂 、南アルプス甲斐駒が岳、奥秩父の金峰山(1000万年前?)
      甲武信岳(1100万年前?) 
  
屋久島の例で、ちょっと考えてみます
屋久島の宮之浦岳は花こう岩でできていて、標高は2000mほど。
この花こう岩は地下12kmで固まったといわれます。
1400
万年で14km上昇とすれば、1年間に約1mmの上昇となります。地上に出れば雨風で削られるので、上昇スピードはこれよりもう少し大きいはずです。

もっと若い花こう岩も見つかっています。
 北アルプスにある花こう岩で、地表に露出する深成岩で「世界で一番若い」、というのが発表されています。北アルプス主稜線の西斜面、上宝村滝谷の花こう岩です。ここのものは200万年~100万年前の花こう岩だそうです。地下ではまだ冷え切っていないかもしれない・・
  200万年かからずに地上に出てくることも可能ということになります。
   ガダルカナル・ブーゲンビルといえば第2次大戦での悲惨な戦闘で忘れることのできない地名ですが、そこにも200万年・300万年といった若い花こう岩があるとか。

海外のことまで触れましたが、群馬県では谷川や水上付近にも花こう岩の仲間がみられます。奥利根地域とよばれる群馬県北東部には花こう岩がかなり広く分布しています。古い年代のものもありますが、数百万年前といいう新しいものもあるようです。
  正確に年代を測定するのはけっこう大変なので、意見が分かれることもあり、なかなか大変な世界のようです。
    でも、みんな地下から上昇してきたんだ・・・

  というわけで、まだまだわからないことがたくさんある世界、まだまださまざまな話が出てきそうです。

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<季節の便り>

今年は野菜が高値です。
ニュースで、鍋物に必須の白菜の高騰が報じられていました。群馬県は白菜生産量は多めの県です。
そこで、我が家の近所の白菜畑の写真を載せます。葉がきれいにまとまるように、一つ一つ
丁寧に上の方を結わえています。これだけの数、結わえるのは、けっこうな手間だったろうな
あ・・・腰も痛くなる・・・・感謝して食べねば。
  私が子供の頃は、まだ田植えは1本1本手で植え、刈り取りはひとつかみずつ鎌で刈り取り、それを手作業でまとめて結わえ、運び、脱穀・乾燥と、まさに八十八の手間の世界でした。それを知っていると、やはり、食べ物を粗末にする気にはなれませんね。
  それにしても、枕草子にも出てくる田植えの姿が、私の生きている時代にみられなくなったのか・・と、あらためて思いました・・

この場所は利根川べりで、浅間山・天明の噴火の際の泥流もつもっている場所。水はけのいい場所になります。昔はほとんど桑畑でした。キャベツ、ネギなどは水はけのよい場所が適していたと思いますが、白菜はどうだったかなあ。そういえば、コンニャクは、相当の水はけのよい場所に育つもののようですね。下仁田のネギも、下仁田という場所を選んで、高品質のものが育ちます。気候と土、それを充分に活かして作物を作り、それで生産者の生活が成り立っていけるようになれたらと、つくづくと思います。


今年もそろそろ終わり。皆様にとっては、どんな年だったでしょうか。

  来年がよい年でありますように、また、よい年にするべく皆で力を合わせたいものです。


正月が明けたら、今度は「地層の見方」についての解説から始めます
  地層についた縞模様などの話です。

来年もよろしくお願いします。









2013年12月21日土曜日

岩石の丸いすき間・羽状割れ目・下仁田のブナ

今年も もうじきおわり。どんな年をすごされましたか。


   丸く隙間を埋めているものは何?

岩石には、白いすじばかりではなく、白く丸い点々も見られます。
川原で石を拾っていても、時々目にします。何だろう?と思いますよね。

  小さく丸く、白いもので満たされた点々がたくさんあったら、その石は、もともとは溶岩(緑色岩も含むだったのでは、という推測もなりたつとか。溶岩が固まるとき、含まれていたガス成分がぬけて、その気泡のあとが残ることがあり、そこが白い鉱物でうめられたものと見るわけでしょう。

   白いものの候補には、方解石や沸石。あとから気づいたのですが、石膏などもあげられるのかも・・・。(前回書いた「白い脈」に、石膏もあるかもなどと、今頃思っています)
  

●下の写真の「丸い点々」は方解石で埋められていました。塩酸をかけたら、盛大に泡が出ていました。岩石は安山岩や緑色岩でしょうか。

 

●次は沸石が(たぶん)うめたものです。少し大きな穴も見えています。こんな穴には少し大きめの結晶が成長していることもあるものです。 (白い斑点には、丸くないのもありますが・・)

玄武岩にできたこんなすき間には、沸石が成長する(安山岩にも)と書いてあったものもありましたが、下の石は何かなあ・・・よくわからない・・



●その他・・
  「点々」や、隙間を埋めるいろいろなもの(思いつくものをあげてみます)

 変成岩に変成鉱物ができたとき、点々とみえることがあります。  例:点紋結晶片 
   下仁田では見られませんが、三波川結晶片岩の変成の強いところにあります。手元に写真もありませんので、説明だけですけど・・・

・岩石の結晶が、ぽつぽつとした点に感じられることもあるかも。
  砂岩のような石で、含まれた石英の粒などが点々に感じられることもあるかも。

隙間を石英成分が埋めれば、
水晶・メノウ・玉髄 などができることもあります。こんな場所を晶洞といって、大きめの晶洞は、きれいな鉱物をさがすときの目のつけどころ。パカッと割って中からきらきら結晶が出てきたら、感激でしょうね。
メキシコの鉱山で、隙間どころか洞窟をうめた、信じられないほど巨大な石膏の結晶の乱立する場所が見つかりました。一見の価値あり。「結晶洞窟」で検索すると、たくさんの写真がみられます。



    羽状割れ目    理屈っぽい話になりますが・・

宮室の泥岩層には、白い筋が平行にきれいに並んで見えるところがあります。

こういった並び方を羽状割れ目、あるいは雁行がんこう状配列・雁行れっか、と呼びます。
並んだ模様が、渡り鳥のがん飛んでいる時の隊列のようだということです  
宮室のものは、見事できれいなものです。


かつて岩石に力が加わり、そのために割れ目ができ、そのすき間を方解石が埋めて白い筋になりました。

よくみると、白いすじの列が「X」字状に配列している
この白く見える割れ目の並び方から、かつて力がどのように加わったかがわかるといいます。

「橋の橋脚にどういった力が加わるか」といったことは、土木建築の世界では重要で基本的な話でしょう。私はほとんど知らない世界なので、そういうことも多少は勉強しておいたらよかったのに、などと思いつつにわか勉強で少し説明してみます。

面倒くさいと思ったら、飛ばしてください。
理科の時間のようになりそうなので・・・




力学の話、というわけで、大学の先生の書いた図をのせます。鹿児島大学理学部で教えていらした岩松暉さんが公開していた図です。
 岩石の柱を上下に押しつぶしていったら、まず小さな割れ目ができるがやがて見えなくなり、次には斜めの大きな割れ目が入る。割れ目から左右の石がずれないようにしていると、全体が膨らみはじめ、今度は向きの違った大きな割れ目がはいる・・・・これ、実験で記録しています。地震で倒壊した高速道路の橋脚や建物の柱にも、こんな割れ目が入っていたっけ


今度は下の図。 こんな話になると思うのですけど・・・

  • 上下に押すと、膨らみ始めます①。
  • 大きな割れ目が入りずれるとき、包丁で切ったようにはならず、ずれに斜めの方向に、何本もの小さな割れ目が入ることがあります②③。②になるか、③になるかは、そのとき次第です。
    その小さな割れ目の形をみると、「ミ」のようにみえるか、「杉」の字の右側のように見えるかで、2タイプに分けています。
  • 上の図の共役割れ目のタイプ(X型のわれめ)になるときもあります④。
  • ミ型の割れ目ができて、もしさらに引き続き同じ向きに力が加わり続けると、割れめがS字状に曲がり、⑤のようになります。




宮室には泥岩上の羽状割れ目、写真のは、⑤タイプと④タイプですね。
   割れ目は方解石に白く満たされていて、きれいに見えています。

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雁行状配列という言葉は、「地形に、雁行状に線構造が見える」とか、「火山列が雁行状に配列している」とか、大きな構造にも使う言葉です。

説明から想像できるように、断層に沿って雁行状の模様が見られるということだってあるかもしれない・・・・・と思って探してみたら、アメリカのサンアンドレアス断層で、道路の上にこんな割れ目のできている写真が載っていました。(ごらんになりたい方、知識不足でリンクするのがわからなくて http://www.arito.jp/FG05.shtmlなのですけど・・・「四万十帯に便利」 クリープ断層 で ヒットします)
 というわけで、もしかしたら、見るチャンスもあるかもしれないと、説明も書いてみます。 
 地面が上下にずれる断層ではなくて、横にずれる「横ずれ断層」というタイプで図を書いてみました。




こういった分野、ほとんど知らない世界で、にわか勉強だな、と思いつつ書いています。
おかしなところがあったら指摘していただけましたら幸いです。
     詳しい方に見ていただけたらよかったのですが、そうもいかなかったもので・・・

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下仁田の森  (落葉広葉樹林夏緑広葉樹林ともいう ブナクラス

先にヤブツバキクラス(常緑広葉樹林)の紹介をしました。
もっと標高が高くなると、何がはえている?・・・・・・秋に葉を落とす馴染みのある森です。
          植物学でブナクラスと呼ばれるとか。

  でも、ブナなんて 下仁田周辺にあった???
     ブナといえば世界遺産白神山地、あるいは水上や新潟の雪深い地域が思い浮
       かぶものです。ブナの美しい森が見られます。
        大地に水をため込む力に優れ、母なる樹としてあこがれる人もたくさんいます。
     
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はえている植物で地域を大きく分けたとき、群馬県には次の3つがあります。

  針葉樹林帯 (コケモモートウヒクラス域(亜高山帯)
       県境稜線付近のみ 
  夏緑広葉樹林帯(ブナクラス域(低山帯)    
      落葉広葉樹林のこと
      上限1,500m~1,700m付近
  常緑広葉樹林帯(ヤブツバキクラス域)(丘陵帯)
     標高500m~700m以下  下仁田では500m以下

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「なんだ、群馬の山地はほとんどみんなブナクラスなんだ。山はブナがないところだらけ。ということは、下仁田付近にはブナなんてなくたっていいんだ」・・・と納得されそうですが、じつは、西上州地域には、かつてはブナの森があったというのです。御荷鉾山付近などには、かつてはみられたようです。

なぜほとんど見られないか・・・・それは、人の手によりほとんど切り払われた歴史が関わります。戦中から戦後にかけてたくさん切られたようですが、詳しいことは知りません。はるか昔というわけではないようなので、調べたらすぐわかりそう。
切られた後は、植林されたスギ・ヒノキやその他、クリ・コナラ・カエデなどの木々が、さらに標高が高くなるとミズナラなどが育っています。

一方、今、群馬県南西部地域ではブナの姿はほとんど見かけません。ですが、よく見ると、時々ぽつぽつとみることができます。今では尾根すじに点在する程度になってしまいました。御荷鉾山付近で、ブナの実がたくさん落ちていたことがあったなあ・・
  多雪地のブナと姿が少し違っていて、葉が小さめです。
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「ぐんまの自然」 1982年 作成群馬県
中学生用学習資料 より
 妙義などの標高500m~700mほどでは冬の寒さでカシは育てず、夏の暑さでブナも育てない。でもイヌブナなら育ちます。そういえば妙義の登山コースにも、イヌブナがありました。

 右の表に「中間温帯林」という部分があります。妙義などはこれにあたるわけで、関東の内陸などに見られる区分です。下仁田地域はこの区分域にけっこう入りそうです。
 妙義でも、もう少し標高の高いところにはにはブナも見られるそうです。



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というわけで、ブナ・イヌブナの見分け    
       
    ブナって名前は有名な木なのですが、どの木だかわからない人の方が多いのでは





ブナもイヌブナも、普通の葉っぱに見えます。そこで・・・
 左写真のように、葉のすじ(側脈)の先がへこんでいる
  
 こんな葉は ブナかイヌブナ





もし、が見つかれば、すぐわかります。  
ブナ
左がブナ。
イガイガのは殻斗(かくと)といって、栗のイガにあたるもの。ツルッとしたのが実で、大変おいしい。なまで食べられます。「そばぐり」とも言われます。実の形がソバの実に似ているので。
ただし、毎年は実りません。数年に一度大量に実り、動物達が食べ残した中から次の世代が生き残ります。その後の不作の年で、ブナをたっぷり食べて増えた動物たちも、数を減らす・・・ブナの生き残り戦略です。

下がイヌブナ。
殻斗は長い柄でぶらんぶらんと下がります。
実がなっていれば、どちらかすぐわかります。

イヌブナ
でも、実はいつもなっているわけではありません。
それに、イヌブナの実は、あまり見たことないですね。(この写真、じつは猿ヶ京付近のイヌブナのものです)


ブナとイヌブナでは、イヌブナの方が少し
標高の低めのところにはえます。とはいえ、西上州では一緒に育っているかな・・・

木の立ち姿が少し違います。

イヌブナはひこばえがたくさんはえたような姿で、何だかゴツゴツしていますし、幹の色も黒っぽい。別名黒ブナといいます。

ブナは幹が白く、別名白ブナ。少しすらっとしていますが、雪国のブナのように、ほれぼれするようなまっすぐにすらっとした姿にはなりません。枝がたくさんでています。


葉の違い  
イヌブナは、葉の裏・特に葉脈上に白いがたくさんあります。落ち葉になってもあります。
ブナは若い葉には毛がありますが、だんだんなくなります。
イヌブナ




左の写真で比べてみませんか。(どちらも若い頃は葉の面にもけがはえていたりするようです)。

葉のすじの数が、イヌブナの方が多めです。イヌブナが10~14対、ブナが7~11対 だそうです。




ブナ

山はこれから冬ごもりのシーズンになりますが、
こんなわけで、春になってから山を歩くとき、ブナとイヌブナの木を探して見ませんか。



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西上州はカエデ(もみじ)がたくさんある場所です。碓氷峠付近ではその美しさに感動して

 ♪♪ 秋の夕日に てるヤマモミジ      の歌が作られました。        

 妙義の紅葉の美しさも 奇岩とあいまって広く知られています。

  今年、紅葉を見ましたか

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内容が、ほとんど学習教材みたいになってしまいました。
気に入ったところがあったら、使ってみてください。



       

2013年12月18日水曜日

岩石の中の白い脈 

<4>岩石についてのいろいろ


 岩石の中の白い脈って何?

野外に出ると、岩石中に白い筋がたくさん見えます。
この筋は何からできている??   いつどうやってできた?? 

 学問的に調べているときには、特別の場合以外は、こんな脈のことははほとんど注目されず、話にもでてきません。ですが、私たちが石をながめるときには、よく目につくものです。
というわけで、取り上げてみよう思ったのですが、正しく判定できているのかどうか・・・

白い脈をつくるものの候補は  石英・方解石・沸石   
 (あとから気づいたのですが、石膏などもあるのでは・・・他にあったら、教えてください)

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下の白い脈はどんな成分からできているでしょうか。
青岩公園の青岩に入った脈
  
宮室の砂岩泥岩互層に入った脈


見ただけでは、なかなか区別がつきませんが・・・どちらも方解石脈。青岩には石英も少しあるかもしれません。どちらも見学場所として有名な所ですので、もし行かれたら、ちょっと思い出してみませんか。
                     

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見分け方をあげてみます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

石英脈     
      石英( ーツ)   
ナイフやハンマー、クギで傷がつかない。硬い。塩酸で溶けない

 石英の化学成分は二酸化ケイ素(SiO2)で、ガラスにたくさん含まれている成分です。実験室の試験管やビーカーはガラスですから、石英も熱や薬品にも強く、変化しにくいはず。それが脈になって隙間に入り込むのは、いったいどんな状況だったのかな・・と、ちょっと考えてしまいます。地下での熱水循環が関わる・・・?いったい、どんなとき石英脈はできるのでしょうか。

荒船風穴近く 熱水変質を受けた
本宿層中に見られたオパールの小片
ところで、石英が花崗岩に含まれている時は透明で、脈になるときは白色に見えています。こうして考え始めると、不思議なものです。
石英そのものは、ちょっと不純物がはいると色がついたりすることもあります。
石英の透明できれいな結晶は水晶。玉髄ぎょくずいカルセドニー)は石英の微小な結晶のあつまりで、玉髄が縞模様になっているのがメノウ。非晶質で水を含んでいるのがオパールで・・・。宝石の一種のジャスパー(碧玉)は微細な石英の集まりで玉髄やメノウと同じですが、より多くの不純物を含んでいて様々な色合いになっている・・・・顔つきによって実に様々な名前で呼ばれています。                
    
川原の石から いくつか写真をあげてみます       

 左:泥質の岩石にはいった白い脈。ぺらぺらとはがれそうな泥質岩でしたから、きっと強い圧力を受けていたものでしょう。

右の石は、変成岩という感じ。白い脈も、層状に何層も入っています。岩石ができたときにつくられてものでしょうか・・・・



 チャートには白い脈がしばしば見えます。これは石英脈でした。左も下もチャートです。
 



左の写真の石、少し石灰岩質の石で、脈は方解石脈、と思ったら、違いました。



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方解石の脈 
     方解石( カルサイト)     
ナイフやハンマーで簡単に傷がつく塩酸で泡を出して溶ける。たくさん見られる。


塩酸をかけると溶けるので区別できますが、普通の家に塩酸はないなあ・・・。スーパーに売っているトイレ掃除用のサンポール(商品名)には塩酸が入っているので、すこし薄めてかけると、ちゃんと泡が出ます。

 川原の石の写真をいくつかのせます
 

いろいろな石に脈が入っています。
    泥質の石、緑色岩、火山岩 ・・・

塩酸をかけて少し泡が出るかどうかで判別できるといえば、簡単な話に感じられます。実際にやってみると、迷うこともあり。
少し泡が出てもすぐに出なくなる場合もあったり、石英脈と泡の出る脈が混じっていたり。クギでひっかいてみたり、あれこれやってみる必要もありそうです。 

緑色岩や泥質岩に入った脈
    

   
<補足:方解石について>
石灰石は主に方解石からできています。
化学成分:炭酸カルシウム(CaCO3 )。炭酸カルシウムという物質の結晶が方解石とよばれています。

CaCO3 を含むもの: 卵の殻・貝殻・サンゴ・チョークなど
 
貝殻などをつくる生物のCaCO3には、結晶の形が少し違ったアラレ石(アラゴナイト)という鉱物もあります。とはいえ、アラレ石は方解石に変わっていきます。 
      
なんだか複雑ですね。こういったことを緻密に調べた人たちがいたわけです。
*砂岩には石英脈が発達する特徴があるそうです。一方、泥質岩や緑色岩には方解石脈がよく見られるようです。(実務者のための岩石肉眼鑑定法  より)               
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沸石(ふっせき)(ゼオライト)  沸石にはいろいろな種類があります
ナイフやハンマーで簡単に傷がつく。塩酸に反応しない。

 100℃程度の低温の熱水から晶出したりします。その他いろいろな所にでてきます。
大桁山の安山岩中の沸石の脈
下仁田では大桁山の安山岩の割れ目にたくさんみられます。
種類がたくさんあって、日本で41種、世界で85種あるそうです。
 SiO2にアルミニウム・水その他が含まれた鉱物で 水をたくさん含んでいるといいます。(鉱物が水を含むというのは、ちょっと不思議な感じがすると思いますが。)
 加熱すると沸騰するように見えるからこんな名前になったとか。
ものをよく吸着するので、放射能を取り除くのに利用する話もありました・・・

産業用に様々に利用され、同じよう
荒船風穴近く本宿層岩石中にみられた沸石
岩石を割ったので、沸石が表面に見えている
ルーペで見ると細かな針状の結晶がたくさん見える
 機能を持つ人工ゼオライトもあるとか。土壌改良から猫トイレまで、案外と身近に使われているかもしれません。



よく見ると、たまには黄緑色や茶色がかった脈もあります。
  どれも鉱物が脈になって入ったものです。いったいどんな鉱物なのでしょうか。

黄緑色の脈・・緑れん石・・・・緑泥石もあるかなあ・・
       変成岩によく含まれる鉱物です。
茶色の筋
多分、鉄の酸化物が割れ目やすき間にしみこんでできたもの。


<脈はどうやってできる?>                                                                                                                

ちゃんとしたことを知りません。どなたかメカニズム教えて下さい・・

見た目から、後からできた割れ目をうめることが多いのだろうと想像されます。
でも石英が隙間を埋めるというのは、どうやって?地下での熱水の循環がかかわっている・・??
でも、化石がオパールになっていることもあるというので、案外簡単に液体状になるものなのか・・・結晶片岩などでは変成作用がかかわるわけで、また違った仕組み・・?岩石が固まるとき分離してできてきたりすることもあるかもしれないし・・・というわけで、まるっきりわかりません。
方解石なら、それほど高温でなくてもできそうなので、けっこう簡単にできるのかも。

勝手なことを書いていてみました。

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<季節のたより>

かなり時期はずれになってしまいましたが・・・

下仁田の子供たちと近所の山に登り、植物のことをすこし勉強し、葉っぱで遊びました。10月末のことでした。
イチョウでつくったネズミが人気で、「もうちょっと時間がほしかった」の声も。小さな子供でも作れます。もう
イチョウの葉はみんな落ちて、色もくすんでしまいましたが、「そうだ、みんなが喜んだのだから、紹介しておこう」と、いまごろ思いついて、ここにのせています。
 鮮やかな黄色の葉だったら、もっとかわいい。                           作り方
                    葉に切れ目を入れ、小さな穴をあけて葉の軸を差し込みます                
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

右の写真の植物は何でしょう ・・・葉っぱだけじゃわからない・・
  そうですね。

 お墓に植えてあって縁起でもない、なんて言わないでください。昔はよく植えたのです。
 田の畦でもよく見かけます。公園でも。
古くから人とつながりの深い植物
  お彼岸に真っ赤な花を咲かせる・・・・そう、ヒガンバナです

花のあと葉っぱが出てくるのですけど、普通、気がつかないですよね。春には枯れてしまいます。花の頃には葉はなし。しかも、花は咲くけど実はならない。かなりの変わり者。
 「葉見ず花見ず」の言葉もあり。

夏に競争するのをやめて、土の中で過ごし、競争相手のいない寒い今頃、葉を出して光合成をして栄養をつくることを選んだというわけ。
地下の鱗茎には毒があるけど、飢饉の時はこれをさらして毒をぬいて食べたといいます。人の手で植えられて広がった植物です。

もともとは中国原産のようで、中国ではちゃんと種をつけるとか。

日本のは染色体の数が普通の1.5倍、同じ形の染色体が3個づつ(普通は2個)ある3倍体で、これには種ができません。
  というわけで、冬のヒガンバナの姿を探してみませんか。

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贈り物の季節
おつきあいの贈答には 少々嫌気を感じていたものです
でも、絵手紙のような、こんな純粋な気持ちが
    贈り物には込められる と
    原点にかえった気分です



年末年始と、身近な人とのつながりを感じることの多い時かと思います。贈り物にも 心を込めて



絵手紙:小林生子さん















2013年12月11日水曜日

岩石の色について

季節のたより

「霜柱の花」   下仁田 金剛萱にて ( 11月30日のはなし)
  寒くなりました。金剛萱では一足早く、長い霜柱が成長していました。
  霜柱になる水分は地面の下からやってきました。土の隙間を伝わって、毛細管現象で水が下
  から上へ上がってきて凍ります。そのためには土にはちょうど良い隙間がなくてはいけません。
  火山灰からできた赤土はこの条件にぴったりで、長い見事な霜柱が誕生します。
    火山灰がたっぷりつもってできた金剛萱の地面は、霜柱の成長に向いているわけ。
          でも、地面を見る調査には不向きな日になりました。

写真の霜柱は2段になってみえます。これは、成長した日が違うことをあらわしています。



岩石の色について
              岩石の色って、どうやって決まるの?
  
何かを見るとき、まず色に注目がいくものです。
色とりどりの花々なら、色はその美しさの決め手にもなります。
その点、岩石は何だか地味・・・灰色が基調・・・・・・とはいえ、その気になってながめると、
それぞれの異なった色合いがあります。
ではこの色は、岩石の区別の要素になるか・・・・・・といわれれば、なったり、ならなかったり。
何とも歯切れが悪い話。そこで具体的にみていくことにします。


1,<チャートの色> 
   含まれる微量成分により、いろいろな色がつきます。



   ただし、色のつき方には他の要素もあるので、「主な原因」と考えてください。
      (チャート以外の岩石についても、同様です)。

石の分布地域に行って写真を撮ればいいのですが、なかなかそうもいきませ
   ん。ここでは近所のお宅の庭にある石の写真だったりします。
でも、こうして見ている
       と、身近にいろいろ石が使われているのに、気付いたりして

   それも収穫です。


---------------------- チャートの成分は石英           石英の結晶で整った形で透明
           ものが水晶。
           石英の塊は白色にみえます。

 ということでチャートは白色に
  





左写真は赤いチャート。

系統の色------------ 鉄が酸化して(酸素とくっついて)できた鉱物をわずかに含むとき、チャートは赤い色になります。。含まれるのは赤鉄鉱FeOなどだそうです。
成分に酸素が入っているので、酸素の多い環境でできたと推測されるとのこと。大陸から風に乗ってきた火山灰が少しだだけ混ざり赤色になった、とかいわれるようです


灰色~黒--------------- 炭素化合物や硫化鉄を含んだもの。
 

こういうものを含むのは、酸素の少ない環境でできたからといわれます。
(堆積物中の酸素が少なくなると嫌気性細菌の働きで硫化水素が発生します。
硫化水素と鉄は反応して硫化鉄をつくります。いわゆるドブの臭い(硫化水素など)と黒い色
(硫化鉄など)が生じるわけです。炭素(C)は黒い色をしていますが、酸素が多ければ最終
的には二酸化炭素(CO2)になってしまい、黒い色の原因にはなりません。)

            灰色では、イライトという粘土鉱物を含むものもあるとのこと。

緑っぽい------------ 緑泥石を含むものだそうです
  

下仁田では栗山側上流の奥栗山渓谷に赤いチャートが、南牧川上流の蝉の渓谷には白っぽいチャートがみられます。黒色のチャートの場所もあり、どこのチャートが何色か、ちょっと目をとめてみようかな。




2,<結晶片岩の色>

 青岩の青緑色
青緑色の鉱物をたくさん含むために、この色に見えます。
青岩と同じ石はしばしばこのように利用されている
青岩の石には(りょく)(でい)(せき)という青緑色がかった色の鉱物がたくさん含まれています。
   黄緑色なら緑れん石という鉱物と考えられます。

玄武岩質の石が
低温高圧型の変成作用をうける→緑泥石などの鉱物が生じる→青緑色の変成岩になるという仕組みです 


  様々な結晶片岩の色について   
もとになった「石の種類」と受けた「圧力」と「温度」によってどんな結晶片岩になるかが決まります。それぞれできる鉱物が違い、その鉱物の色が違うため、違った色の石になります。
    下仁田ではほとんどが青緑ですが、長瀞などに行くと、違った色も見られます。





甘楽町の楽山園・三波石がたくさん使われている






写真ではわかりにくいですが、違った雰囲気の色をしているのがおわかりいただけるでしょうか。




<原岩>       <予想される色と、形成される変成岩の候補>
玄武岩質の岩石から変化------------ 青緑色などに
(緑色片岩になる。塩基性片岩・苦鉄質片岩などという呼び名もあり、ほぼ同じようなものをさしている)
下仁田の青岩はこの仲間です。 
泥質の岩から変化---------- 黒色 その他・・
(泥質片岩・黒色片岩・石墨片岩などと呼ばれる石になる。
細かい白雲母(絹ウンモ)がたくさんできると、きらきらみえるかも
砂質岩から変化·········    白っぽい石になる。砂質片岩、石英片岩・珪質片岩

チャートから変化 ·······  白っぽい。 石英片岩・珪質片岩
ピンクがかったものは紅れん石片岩(紅れん石という、マンガンを含むピンク色の鉱物を含んでいるため)で、石英片岩の一種。

・・・用語・名前がいろいろあって、ちょっと混乱してしまいます。
正直いって、よく区別ができません。
でも、みんなきれいな石ですね。


<追記>秩父の長瀞にある県立「自然の博物館」に行ったら、結晶片岩と色の関係が、表になっていました!!  もっと早く行くんだった・・・というわけで、その表をのせます。





群馬絹遺産群の一つ高山社は結晶片岩の分布域にある。この施設の石垣は青緑色の結晶片岩を積んでいる 






  
3<荒船溶岩の黒光りする色>

・・・・安山岩だが、色は真っ・・・・

荒船山の山頂にある荒船溶岩の岩石名は「玄武岩質安山岩」。
安山岩はふつう灰色の石ですが、荒船溶岩は真っ黒く、安山岩というより玄武岩のようにみえます。いくら「玄武岩質」とはいえ、「安山岩」というには黒すぎるのでは・・・ 

「黒色」の理由は? 
 この溶岩がガラス質であるため、黒く見えるということです。
ガラスというと無色透明と思うでしょうが、天然ガラスの黒曜石(石器に使われた石)は真っ黒です。

黒曜石の成分は「流紋岩」という白い石と同じです。それなのになぜ黒いのか?
これは石がガラス質のため。(よくわからないなあ・・次の項目、「黒曜石の色」を読んでください)。
地上に出たマグマが冷えると流紋岩、その時、急速に冷えると結晶になる時間がなくてガラスになり、石の名前は黒曜石になるという関係になります




ガラス質安産岩 
左が荒船溶岩の顕微鏡写真です。
すぐ下の写真は荒船風穴近くでみられた安山岩です。ガラス質で黒っぽい色の安山岩でした。
さらに左下の写真は荒船風穴をつくっている安山岩です。
ガラス質ではありません。

ガラス質の安山岩では、大きめの結晶(斑晶)のまわりには結晶がほとんどみられません


ガラス質安山岩
いちばん下の写真では、斑晶のまわりには小さい結晶がびっしりです。ここが大きな違い


小さくても結晶があれば顕微鏡で見えますが、ガラス質は「結晶がない」ので、顕微鏡でも見えず写真にも写らないというわけです。
       
荒船風穴付近の安山岩
薄片作成・顕微鏡撮影  
 中島啓治さん




考古学の世界では荒船溶岩は「黒色安山岩」と呼ばれています。この種類の石は群馬県には3カ所あります。八風山(はっぷうさん)のものは石器としてよく使われました。 
       


                                 発掘情報館資料展示室解説資料 より



 4,<黒曜石の色について>

急速に冷えたため、結晶をつくる時間がなく、非晶質のガラスになったのが黒曜石。(ガラスとは 理科的に言えば、「非晶質の固体」の一種です)

黒曜石のかけら と ペンダント
黒く見えるのは黒い物があるわけではなく、鉄分を含んだ着色ガラスが光を吸収してしまうためだそうです。結晶ができると、結晶が先に鉄を取り込んでしまうためにガラス質の部分には鉄分がなくなり、色が白くなっていく、とのことです。

わかったようなわからないような話になってしまいましたが・・・

石器時代の人は、石をよく観察していたのでしょうね。