2018年10月30日火曜日

山の高さと木々の変化・大菩薩にて

これ、なあに?

   これなら、どうでしょうか
何でしょう?


山里の林の中に、緑の棒が立っている・・・?
 
 答は「フジの実」 
ブランと下がった実が落ち
フカフカの腐葉土に突き刺さりました。
うまく刺さったなあ。

 暖かい海、マングローブの生い茂る海辺で、浅い水の底につき刺さっているマングローブの実の姿が思い浮かびました。テレビでしか見たことのない光景ですが。

林の中をゆっくり見ると、楽しい”見つけもの”があるものです。散策、してみませんか。

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大菩薩嶺

 誘われて、大菩薩嶺に行ってきました。朝5時発。暗い中の出発は久しぶりだなあ。
誘われた時に行かないと、何もしないで終わってしまう。それに、コースも交通手段もお任せで、お弁当だけ用意していくというのも、時にはうれしいものです。

 到着間近の頃、雲の上に、雪を頂いた富士山が大きくクッキリと。「ワー、いいなあ」バスの車窓からでした。登り始め、「ここは木々の間からで、ちょっと残念、もう少し上に行ってからよく見よう」と思っているうちに,富士はみるみる雲に隠れ・・・とにかく写真をとっておくのだったと、後悔でした。
 チャンスは後からはやってこないかもしれない・・・人生だって同じだよなあ…などと神妙な思いが心に浮かんだり。 
大菩薩嶺 標高2057m

 それでも、遠く雲の上には南アルプスの山々が浮かび、頭上の青空に周囲も映え、暖かさもちょうどよい。昨日なら午前中は雨。ラッキー、という気分。

この山行は玉村町山の会というところの主宰。知っている人もいるグループです。




途中の道は針葉樹の森に
ミズナラなどの広葉樹が色づいて、いい気分。
黄色が陽の光にさらに金色に輝き、緑との美しいコントラストを見せていました。



針葉樹の大木が素敵。よく見ると、何種類かあり、しかも標高の差で変化していました。標高差480mの行程なのですが。見られたものを下から書いていきます。

 たくさんあるのはウラジロモミ。モミより少し標高の高い場所に育ちます。
カラマツもありました。これは人が植えたものでしょうが、黄色く色づいて落葉する姿は魅力があります。今回はすでに落葉。
 もう少し登ると葉が針のようなのも少し見かけました。トウヒの仲間だろうけれど・・で、あとでしらべたら、イラモミ(マツハダらしい。モミの名前がついているけれど、トウヒ属。グループが違う。本州中部付近では、変わったトウヒの仲間もみられるらしい。「ブナ帯に属し、ウラジロモミ、ダケカンバ、ミズナラなどと混生する」なんて書かれてあったけれど、まさにそのとおり。
 さらに登れば、コメツガ、山頂付近では、なんだかさわやかなヤニのような香が漂い…どうやらシラビソが混じっている、と、木を見上げました。
 教科書の勉強みたいなことを書いてしまいましたが、「実際の場で実物を見ると、無味乾燥だった解説が、あっという間に理解できて頭に入るもんだなあ」とつくづく感じて、感慨しきりだったものですから。

 名前だけ聞いたって面白くもおかしくもないのですが、でも、ルート行程7.4㎞で木々の変化が目に見えて、ほんの少しの知識でも、持っていれば楽しさが倍増でした。こういうのを手助けするのが、ガイドの存在価値なんだろうな。 
ところで、上の方の道端に、背丈は低いけれど普通の松のようなのがあったのですが・・こんな所に?人にくっついてきてはえた?

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帰りのバスでは、渋滞で少々時間のかかるなか、クイズを用意してくれていました。
20問もあったのですが、いくつか紹介。
 山のクイズ です

  1.  日本に山はいくつある?(国土地理院2万5千分の1に載っている山名)
      ① 5,000以下  ②5,001~14,999  ③15,000以上
  2.  もっとも山の多いのは北海道、3位は長野県、では2位は?
  3.  もっとも山の少ない都府県を3つあげよ
  4.  火山の定義は「概ね1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」。では現在の日本の火山は(50 80 111) なお、北方領土を含んでいる。
  5. 群馬県には火山が5座あるという。すべて答えよ(群馬の山の会ですので)
  6. 山の名前でいちばん多いのは
     ①権現山 ②愛宕山 ③城山 ④丸山 ⓹大山
  7. 山の名前で一番多い生き物は(この文字が使われている山)
     ①馬(駒) ②牛 ③熊 ④鳥 ⓹烏
  8. 山の名前で一番多い鉱物は
     ①金 ②銀 ③水晶 ④鉄 ⓹硫黄
  9. 1万年以内で最も大きな噴火をした火山は
     ①阿蘇山 ②富士山 ③浅間山 ④硫黄島(薩摩) ⓹桜島
  10. 観測史上、世界で最大の積雪をした山は
     ①大雪山 ②立山 ③富士山 ④白山 ⓹伊吹山
  11. 万葉集で一番多く登場する山名は
     ①富士山 ②三輪山 ③畝傍山 ④香久山 ⓹筑波山
。。。。。。解答です。。。。。。。。
  1.  15,000以上
  2.  新潟県965  1位北海道は1,383 3位長野903  
        ちなみに私の住む群馬は17位405
  3.  千葉67 大阪111 沖縄117  (私、これ、正解でした。ちょっとうれしい)
  4.  111
  5.  浅間 草津白根 日光白根 榛名 赤城   意外なのがあったのでは
  6.  ③の城山304  丸山187 愛宕山123
  7.  ⓹の烏196 烏帽子の名前が含まれるから 馬(駒)148  鳥125
  8.  ①の金(金剛を含む)227  水晶20 鉄16 硫黄13 銀11
  9.  ④の硫黄島(薩摩) 鬼界カルデラをつくった、紀元前5300年ほど前。
       大量掘火山灰が飛んで、広範囲で見つかる。 
  10.  ⓹の伊吹山  1927年2月14日積雪量1182㎝。1日の降雪量が230㎝(1975年1月14日)という世界最高記録も持っているとか。知りませんでした。
  11.  ⓹の筑波山25  三輪山24 香具山15 富士山11 畝傍山7 生駒山7 

伊吹山のことはまったく知りませんでした。
石灰岩の山で、特殊な植物がみられるといったことはよく紹介されていたと思うのですが・・・













2018年10月23日火曜日

仙台市野草園・市民に愛される植物園


秋のうららかな日には、身近な林に行ってみませんか。

住民に親しまれ、愛されてきた都市近郊の植物園

仙台市の野草園に立ち寄りました。仙台市中心街の西方に広がる山のすそ、伊達政宗の像がある青葉城址も近く。少し行けば東北大学のキャンパスも点在する地域です。車があれば、すぐの距離です。

都市公園といった趣とはちょっと違い、多くの野草を保護保全することが目的だったとのことで、ロックガーデン風の場所・沢・池・ツツジ類の育つ場所からアジサイ・ツバキ・針葉樹と、様々な環境を再現し、多くの種類の植物を育てています。
アップダウンもあるので、歩くにはスニーカーのほうがいいですね。
 
多種の木々が見られます
池・湿地も数か所あります

砂礫地の高山植物
岩場に育つ植物




沢には水琴窟も作られています。
柄杓で水を流すと、澄んだ音が響きました。

入り口には、ちょっとした展示スペースもある施設があります。
捨てるような紙袋を利用
野草たちが映えます

一般の方々も参加して、
野草での飾り付けを
楽しんでいました。
食事も楽しめます。
中高年の女性グループや
カメラを抱えた方も
見かけました。

そこここに,愛らしい像や歌碑が
置かれてあります。






草花遊びって、ご存知ですか?
昔は身近な草花は、子供の遊び道具でした。
数珠玉ネックレス、ツバキの笛、ヨシの笛、麦わら細工の小さな籠、シャボン玉遊びも、吹くのはプラスチックのストローではなくて麦わらだったなあ。

見つかった植物は1110種(2004年の報告)(このうち、植栽が527種)
普通みんなが植物といって思いうかべる植物・被子植物が806種、松の仲間のような裸子植物が32種、それ以外のコケ類が116種、シダ類が56種 

ずいぶんあるものですね。
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じつはこの場所、もともと野草が豊富にあった場所ではなく、人の努力で作られた場所とのこと。沿革が書かれてありました。

 戦後まだ間もない頃、山野の荒廃を憂えた方々がいました。昭和24年、当時の東北大学教授の加藤多喜男さんは、仙台市長を訪ね、その保護を訴えました。
「戦後仙台の野山の荒廃はあまりにもひどい。近郊の山々の立ち木は惜しげもなく切られ、開墾されて畑地となり、あるいは宅地と化し、昔日の面影はない。戦前に愛でた草花はブルトーザーに掘り起こされ、あるいは踏みにじられ、わずかに生き延びた野草は水辺を求めて畑や宅地の片隅に伸吟している。これらの貴重な山野草を今にして保護の手を差し伸べないと絶滅する恐れがある。仙台の自然を守るために市は応分の力を貸してほしい」
まだ食うや食わずの厳しい時代だったはずです。こうして訴える方がいたことは、とても貴重なことだったと思います。
      (ところで、植物は今は当時よりもっと絶滅の恐れの高い危機的状況です。
      絶滅危惧種は増え続けています)
 協力の約束はされたものの、周囲は民有地ばかり。そのころ市所有の土地で少年院の敷地候補となっていた土地23万1千㎡が緑地となることになりました。木はほとんど切られ、雑多な幼木の繁る荒れ果てた土地でした。草木をかき分け調べると、山あり谷あり沢あり湿地や小池もある変化にとんだ場所。加藤さんはもっと広い土地、66万㎡欲しい、何故なら、様々な植物群落が育つには、それ相応の土地が必要だからと。ですが他に土地はなく、この場所に決定。
 昭和26年鍬入れ式、少年院生の手で開墾をはじめたということでした。
植物にはそれぞれ育つことのできる環境が必要です。植える場所の環境は、慎重に選び、作らねばなりません。そこで専門家の指導で採集・植え付けをおこなってきたわけです。

     当時の写真です



こうして植えられたであろうモミが、いま大きく育っています。仙台はモミの北限、モミの立派な天然林も近くの植物園に見られます。

様々な種類の植物がびっしりと植えられた土地は、常に人による手入れが必要でしょう。こうしてていねいに守られた場所には、市民も協力をしていることでしょう。
 こういった場所が、多くの地域につくられたら、どんなにか素晴らしいことでしょう。
身近で、気軽に協力したり観察したりしたら、自然に様々なことを理解していけるでしょう。自然の木々の育つ場所を見て、「利用してない土地だから開発したい」と考える人ばかりでは、自然は守れません。
 園芸的に手入れされた花壇も美しいものですが、こうした自然のままを少しでも残そうとしている様子は、すばらしいですね。






2018年10月10日水曜日

山道にリンドウが咲いてます

山道に咲く花
  秋の野に咲く花は?
リンドウ


山の林道を歩いていたら
 澄んだ青色!!
   リンドウです

標高600mから1000mほどの
場所を通る緩やかな林道です。

お日様の光の当たる場所に育つ素敵な花です。
キキョウ色という色があるけれど、リンドウ色ってあるのかな?色も似ているけど。 
やっぱりありました!! 

センブリ




こちらはセンブリ
 10㎝程度の草丈
 小さな葉っぱを口に含むと 
     苦~い
 
 民間薬としてよく知られています
 胃を丈夫にする?

 名前はよく知っていましたが、こんなに小さな草だとは、教えてもらうまで知りませんでした。
リンドウもセンブリも薬効のある植物です。

古来、人々は身の回りの物を利用してきました。色からは感性を感じ、薬からは科学と生活を感じます。         
   秋の野道・・実はもちろん、素敵な花もありますよ。

オヤマボクチ
地味だけれど堂々として貫禄がある

オヤマボクチは昔、火をつけるためのホクチに使ったとか。
ホクチ? マッチも知らない子供が増えているでしょうに、ホクチなんてわからないだろうなあ。
マッチ製造大手が生産を終了したと聞いたのは、昨年くらいだったろうか・・・

ところでこれ、山菜のヤマゴボウになるそうです・・根を食べるのでしょう。
そばのつなぎに使う・・どこを??と思たものです

とにかく、手間暇をかけても利用して、人々は生きてきたのでしょうね。





アザミには蛾の仲間。名前はわからないけれど


ヤマブシタケ
相変わらず、キノコには楽しいのがある。
木から落ちてきたヤマブシタケ(薬効がある)
ヌメヌメとした高さを広げるヌメリイグチが。
食べられるキノコだけれど、間違うかもしれない。
  カエンタケなら触れただけでただれるとか。
カエンタケ?
いえ、ベニナギナタタケかな
 
命かけてまでキノコを食べる気にはならないなあ。
ヌメリイグチがヌメヌメとした傘を並べて
山で採ったキノコしか食べる気がしないという人もいるけれど・・
              








秋の野道、山道、歩いてみませんか。 




2018年10月2日火曜日

群馬県の生きものレッドデータ改定の調査が始まっているそうです

10月  秋です 実りの季節です
 とはいえ伊勢崎市では 10月1日の最高気温は33.5℃でした。


ミズオオバコ
環境省絶滅危惧Ⅱ類 群馬県絶滅危惧Ⅱ類
都道府県で指定しているのは40
稲刈りが近づくと、田んぼの畦の草が刈り取られます。
このころ、田んぼにはえる植物を見て回ったことがありました。2010年~2012年頃。近所だけですが、何があるかなあ~と、宝探しの気分で見て回ったものです。
 きっかけは、よく知っている草が絶滅危惧種に指定されていることを知ったからです。
田んぼの用水路に、ぽっかりと浮いて咲いていたきれいな花、ミズオオバコです。
学校の行き帰りに、そのうっすらとピンクを帯びたみずみずしい花を見ていたものです。
そういえば、ほとんど目にしなくなっていました。これが絶滅危惧種!・・と、びっくりでした。

 それにしても、このところの暑さ・・最近は田んぼを見て回る気がしません。お彼岸過ぎからと思っても、とにかく暑すぎる。私が年取ったせいもあるなあ~。暑い日差しの中に出ていく気がしない・・
 ところが、最近ちょこっと見ると、以前あったところでも、見当たらない・・・熱心に探してないからだけではないよなあ。心配・・・・

生き物の種類がどんどん減っています
環境省も、各県も、生物の調査をして、絶滅危惧種「レッドデータ」を作成し、
定期的に改定をしています。
 絶滅・絶滅危惧Ⅰ類・絶滅危惧Ⅱ類・準絶滅危惧種 の順でランク付けしています。
  Ⅰ類・Ⅱ類はさらにA・Bに分けたりもします。

 群馬県では次期改定に向けての調査が始まっているとききました。
 危惧種に指定されているものを「こんなのいたよ」と、写真と場所を報告したら、喜ばれるでしょうね。報告先は県自然史博物館でいいでしょう。
 絶滅危惧種かどうかは 「日本のレドデータ検索システム」で検索するとわかります。

   「こんなの身近にありませんか」と、紹介しましょう。
もっとも、今年はもう稲刈りで、水の多い夏に見られる田んぼの植物の季節は終わりですね・・・来年は、梅雨のころに「探してみよう」と紹介しましょうか。
 でも、ちょっとご覧になりませんか。群馬県玉村町で見つけた田んぼ周辺の絶滅危惧種です。


ミルフラスコモ
環境省Ⅰ類 群馬なし 全国で6県指定
水の中に育ちますが、水が干上がったところ 

ミルフラスコモ
 これ何??  図々しくきいたりしていたら、神戸大学の研究者を紹介されて、写真を送りました。 「まず、ミルフラスコモでしょうね」と。8割9割がた…と言われたと思う。
群馬で指定なしなのは、藻類まで手がまわらない・・・? 指定する都道府県が少ないのは同じ事情?それでも2012年には3つの都道府県の指定が、今回6つになっています。
 じつはこれ、ここ3年ほど見かけないのです。たくさんあったのは、高速の玉村インター、道の駅玉村宿近くにある田んぼの1か所。他にも少し見た場所があるのですが、今、どこにもみつからない・・・

シャジクモ 
環境省Ⅱ類 群馬指定なし
全国で16で指定

シャジクモは高校生物の教科書に必ず出てくると思うのですが、見たことある人なんてほとんどいないのでは。じつは私もその一人でした。
我が家の近く、玉村町の田んぼでは結構たくさん見られました。最近はどうかなあ・・・
神戸大学の先生に教えていただいた時、各地域のシャジクモを調べているということで、玉村のものを送りました。

サガミトリゲモ
環境省Ⅱ類 群馬Ⅱ類
33都道府県が指定




サガミトリゲモ
ウリカワ 
環境省なし 群馬県Ⅱ類
指定都道府県13
 
アブノメ
環境省なし 群馬Ⅰ類
全国で指定 18
ミルフラスコモと一緒にあったんだけどなあ・・・これもなくなって、ウキクサが覆っていた。・・・新しい場所探さねばダメなんでしょうが・・・消滅しているかもしれない・・・もともと少ししか見当たらなかった





ウリカワは結構あちこちに見られます。かつては水田の強害草と言われていたようですが・・でも、きれい。夏に咲いています。10月になると、休耕田にアブノメが咲いていました。2か所見られたのですが、今は稲をつくっています。きれいなので、どこか咲いているのを見たいなあ。これから咲く時期だし。でも無理かな・・

ミズマツバ
環境省Ⅱ類 群馬Ⅱ類
全国37で指定

ミズマツバはあちこち見られるんですけど・・・
このあたりには多いのですが、ハテ・・・

他に、ウスゲチョウジタデというものを教わったことがあります。ですが、普通のチョウジタデとの区別が難しく、よくわかりません。
これは環境省準絶滅危惧種、群馬Ⅱ類
全国で14都道府県指定。


 私が子供のころ、農薬が使われ始め、除草剤で田んぼの雑草はきれいになくなり、大人になってあらためて田んぼを見た時、はえているのは知らない草たちばかりでした。
小さくて地味でも、よく見るときれいな花もありました。除草剤で枯れても、どこかに種子が生き延びて、農薬の毒性が弱くなって復活し始め、減反政策で休耕田が増えて、また芽を出してきたのかと思います。でも、絶滅危惧種となる者たちもたくさんあります。少しは目を向けたいです。生き延びていってほしいです。

先日の台風では、稲も倒れました。
稲刈りが大変になります。コンバインで刈れるのかなあ・・きっと手で刈りますね。
手前の田んぼ、台風で稲が倒れた
休耕田の様子。