2020年11月28日土曜日

近所で秋を楽みませんか 

照葉峡にて
コロナが勢いを増していて、何とも気が重い。
今年の紅葉は美しいと言われるのに、あまり見に行かなかった。あっという間に時は過ぎる・・
妙義山に行こう、と思っていたはずなのに。

でも、早い時期に急に思い立って照葉峡(てりはきょう)に行ったのはよかった。渓谷とそこに見られる小さな滝の連続と色づいた葉。みんな車で時折停まっては通りすぎていきましたが、私たちはしっかり歩きました。
グズグズしてないで、エイっと物事は始めるものですね
木の冬芽
オオカメノキです
これからはこんな木の芽でも
楽しめます

今の時期楽しむのは、イチョウを代表とする平地での身近な紅葉でしょう。きっと身近に、きれいだなという木や場所があると思いますよ。

左は近所のゴルフ練習場にあるメタセコイアです。
均整の取れた円錐形に大きく育ち、秋になると葉は色を変え、落葉していきます。

 これぞ「生きている化石」の代表格で、日本人が化石で見つけて名前を付けたら、中国の山奥で生きているのが見つかったという、ドラマのような話があります。
 子どもの頃、父がこの枝をもらってきて差し芽をしていたのを覚えています。誰かとの思い出があると、心に深く残るものかもしれません。そんな思い出がたくさんあったら、豊かな人生なのかもしれません。
 日本中あちこちに植えられたので、学校などに大きく育っています。個人の家では、ちょっと手に余る木ですね。植えても、きっとみんな切ってしまったでしょう。

 メタセコイアの写真があまりにみすぼらしいので5月の頃の写真をのせます。
メタセコイアの葉
近所の、元学校のあった場所のメタセコイアの写真を撮ろうとしたら、枝が大胆に刈り取られていましたので。確かに、大きくなりすぎますよね。

花の終わったオキナグサが綿毛になりかけて、5月の風にそよいでいます。
向こうの方に メタセコイアが育っています。公園ですね。


近所で自然を楽しむのには、我が家では川沿いが最適です。 
高崎市を流れ下ってきた烏川の川原には、オギがいっぱい。

  オギ??と言われそう。ススキと思っている人が多いでしょうね。
水の多めの所にはえているのは、ススキとちょっと違う「オギ」が多いでしょう。
少し違う種類なのです。
人の名前にも、荻原オギワラさんがいます。昔の人も、ちゃんと区別していたわけです。



世の中は心配事でいっぱいなのに、ずいぶんのんびりしたことを書いていると言われそう。

 ちょっと、世の中に関わる事を。
我が家のすぐ近くの利根川では、洪水対策工事がまた始まっています。昨年大々的に土砂を掘り取った場所を、さらに掘り取っています、
最近の豪雨災害によって、こうしたことに国の予算・県の予算が投入されるようになってきているのでしょう。


利根川中流域 玉村町五料橋付近
昨年、川原に堆積した土砂を2mほども取り去ったのですが、
おなじ場所の土砂をまた撤去しています
国交省の事業です

ここも玉村町。古い小さな堤防を、新しく作り直す工事が始まっているようです。
群馬県の事業です

最近の豪雨と洪水被害で、各地で水害対策事業が始まっているようです。
流域全体で水害に備えると言っています。
ありがたい話です。が、利根川上流の八ッ場ダムの建設の反対運動などあるときには、
河床の土砂撤去などは一切行われてこなかったことを思わずにいられません。我が家の近くの利根川では大きな中洲も形成され、たくさんの木も生い茂っていました。生き物の生息場所にはよいのですが、河床が上がってしまうので治水対策には難点が出てきます。洪水の心配の増す場合があるわけです。バランスをとる必要があるわけです。

 河床の土砂撤去や堤防の強化をと、何度も声をあげる人たちは、ずっと無視されてきました。ダムによる治水が中心とばかり、予算をほぼダムに投入していたのです。河床整備や堤防強化の方が安く迅速に工事が進むと言っても、聞く耳を持たなかったと言えます。これって、どういうこと、と言いたくなります。

今、グリーンディールという言葉があるそうです。環境関係の計画を総称したもの。
欧州グリーンディール委員会にはこんな一節もあります。
「2030年までに脱ダム化した河川を総延長2万5000㎞5に増やす」
日本も良い政策を高く掲げてほしいです。


2020年11月13日金曜日

イチョウの履歴 マツタケジャゴケ

 紅葉のたよりが、関東でも平野部に移ってきました。


そういえば、先週、ちょっとした山に行った時,光に照らされて黄色く色づいた葉が輝き、
時折ハラハラと舞い落ちていたなあ。

キラキラというより、光そのものが舞っているようで、しばし見とれました。

落ち葉を カサカサ 踏みながら歩く気分もいいもので、そんな情緒を詩人や文学者はしばしば書いていますね。

何という木か覚えたい時も、紅葉した葉を見るのなら、なんだか楽しいです。


マツタケジャゴケ







いっしょにいた人に、変わったものを教えてもらいました。
 コケの仲間です。マツタケジャゴケ。
ジャゴケって、家の裏などの湿った所にはえるゼニゴケに近いような仲間で、ジャは蛇かな。あまり印象の良いとは言えない姿。ですがこれ、なんと
 「マツタケの香り」  がするのです。
マツタケなんて食べないから香りわからないと一緒にいた人が言ったら「永谷園のお吸い物の匂い」と即答した人あり。香りはまさにその通り。同じ成分が入っているのでしょうか。
これ、全国にあるそうですが、あまり見かけるものではなく、よくわっかっていないコケのようです。

いろいろな人と一緒に出かけると、それぞれ知っていることが違うので、新しいことを知りあえて、楽しいですね。

          もう少しすると、イチョウが色づきます。

我が家のすぐ近くの畑、この銀杏は大粒でおいしいです。
手入れをして、きれいに洗って出荷しています。あまりお金にならないけれど。ここまで育た木ですから、やはり放ってはおけないのです。

イチョウは自然の野山では見かけません。つまり、人が持ち込んだもの。どんな履歴を持つか、ご存知でしょうか。

 「 生きている化石 イチョウ 」

   金色の ちひさき鳥の かたちして
     銀杏ちるなり 夕日のをかに    与謝野 晶子

誰もが大好きな字あざやかに黄色く色づいたイチョウの木。
神社、お寺によく見かけます。年の街路樹にもたくさん採用されています。東京都の木はこのイチョウですよね・・ゴミ収集車のイチョウのマークが脳裏に残っているのですが。
防火のためにイチョウを街路樹に植えようと奮闘した人がいたと聞きました。防火??と思いますよね。イチョウは燃えにくいのだそうです、これが防火帯の役割を果たし、延焼を防ぐと。実際に関東大震災で燃え残ったイチョウが役割を果たしたとのこと。
どこかで聞いた話でしたが、人気番組「チコちゃんに叱られる」で、取り上げていました。これできっと、多くの人に知られたでしょうね。

 日本人なら知らない人はないというおなじみのこの木、しかしヨーロッパの人にとっては驚きの的でした。1690年ころ、鎖国中の日本にやってきたドイツ人ケンペルは、長崎のお寺の境内のイチョウを見てびっくり。それを伝えられたヨーロッパの学者もびっくり!なぜってイチョウの仲間は化石ではたくさん見つかるけれど、もうとっくに死に絶えたと考えられていたのですから。今でも生き残っていたなんて!
 イチョウの仲間はジュラ紀という時代などに全盛を誇っていました。恐竜たちと一緒に生きていたということになります。2億年前には現れ、1億5千万年とかいう前には大変に栄え、世界中に広がっていたといいます(この年代、最近の研究結果で少し変わっているかなあ?)。それが中国に生きのび、多分仏教伝来の頃につたえられました。今では親戚にあたる種類は一つもなく、分類の上では1属Ⅰ種、それでもたった1種で頑張っています。そして、こんな古いタイプの生きものたちを守ってきたのが中国や日本の地域だったわけです。

身近なものにも、壮大な歴史があるわけです。銀杏を食べながら、太古の昔に思いをはせてみましょうか。