2014年1月30日木曜日

地層に見られる模様 その2 ソールマーク

  地層に見られる模様  その2
    地層の上下を判断するときに利用できます

 地層の平らな面にある出っ張り・・・これって何? 
     
地質観察のポイント・ジオサイトになっている宮室、ここを訪れると、まず平らな地層の上を歩いて河原におりることになります。
この平らな面、足元をよく見ると、小さな出っ張りがあって、何だか少し、ゴツゴツしてます。
  写真をごらん下さい。



                                     






 






このデコボコは何?
すぐに答えられるようなら,こんなにずらずらと写真を載せなかった・・・
 まず、どうやってこのデコボコができたかを考えて見ます。


図の下の部分に注目!
1枚の地層(単層という)の一番下の部分がデコボコしています。
デコボコの下の横線の部分は泥質で、1つ下の地層になります。泥の表面はかつての海底面で、そこに
流れがつくった溝や、
物が引きずられてできたような細長い溝ができることがあります。
生き物が這いまわった跡だってあります。

そんなくぼみを、流れ込んできた砂が埋め、デコボコが保存された・・・・・。これらの砂や泥がまだ固まらないとき,上に積もった重みでデコボコができたりすることだってあります。
(何ともたくさんの可能性をあげたものです・・・・)

これがやがて固まって、地表に現れたとき,何がおこるか・・・
削られやすい泥部分がなくなり、泥の上にあった砂の部分が、でこぼこ構造をプリントしたまま、見えることになります。

ですから,この場合のデコボコの砂の面は,
地層の底面、下の方向になります。

というわけで、これ、地層の上下判定に役立つことになります。
こんな出っ張りを底痕(ソールマーク)と言います。ときには昔の水の流れの方向がわかるときだってあります。
宮室のような砂と泥が交互に縞模様をつくっている地層は海底斜面で何度もおきた地滑りによる泥流が積もってできたと言われます(タービダイトといいます)。このタイプの地層では,きれいなソールマークがたくさん見られることがあります。

<ここで注意>・・・生き物のはい跡は,生痕(生き物の生活の跡)といいますが、生痕には地層の上の面にできるものもあります。砂の上のはい跡、足あと、あるいは巣穴なら上の方から地面に穴を掘っていきます。こんな時デコボコは砂の地層の下の面ではなくて,上の面に残ったりします。

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本に載っていたソールマークをいくつか載せてみます。似たのはあるでしょうか・・・較べてみてください
宮室では 生き物の残した生痕のほうが多いのかなあ・・とはいえ、よくわからないです・・
 
                             
  写真は新地学教育講座 地球の歴史 より 

左 :
 小石などが流れたとき削ってできた溝を
 埋めてできた出っ張り。直線状に見える。
  これは地層の底面に見られる。


  下:
   水流が泥を削り取ってできた。鋭い円錐
   状に尖る。頭部が丸くなって、尾部は
   ひろがる。これも地層の底面に見られる。

(ソールって、靴底のことだったのですね。
靴底のデコボコのイメージ、でしょうか)



いろいろ見られそう




生痕 いきもののはい跡 (みやま文庫 自然の歴史1967年より)


以前、下仁田自然学校で、生痕化石に詳しい方に来ていただき、みてもらったことがあります。デコボコの一部は「生痕化石まちがいなし」との言葉をいただいています。
それにしても、判断するの,難しそう・・・
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ソールマークや級化構造からわかること
 ジオサイトの宮室に行ったとき、ルートに沿ってまず足をのせるほぼ水平な砂岩の層、表面になにやらデコボコした模様の見えるこの層は、じつは地層の底面だった・・・つまり上下がまるっきりひっくり返っていたのです。
  大きな地殻変動があった証拠です。
       こんな小さな模様が,大地の大変動を証明してくれるのです
 

上下判定は,前回書いた級化構造でもできます。目をこらしてみてみませんか。
   上下判定の方法は、他にもいくつかあり、昔から、地質調査をする人たちは,
   注意深く目をこらしてきたわけです。

 生痕化石 とは 
生き物の生活の痕跡を生痕化石といいます。足跡や巣穴、なかには糞なんていうのもあります。
宮室では、生き物のはい跡らしい模様?が地層の下面に見つかります。

 跡をつけた生き物はなに?・・・これはなかなかわからないものなのです。
しかも、食い歩いた跡、休んだ跡、住んでいた穴など、いろいろな生活跡なので、同じ生物でも、どんな時にできたかで、まるっきり違った模様ができてくる世界なのです。
  
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宮室は観察に適したジオサイトとされています。
到着して川辺までおりるのに、まず足をのせるのが、生痕などのある面。
たくさんの人が歩くと、この出っ張り、消えてしまうのではと,少々心配。

  
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花粉症の季節がやってきます。もうじき、スギ花粉が飛び始めます。
花咲く春・心躍る春が、花粉症の人には憂鬱な季節になってしまいました。

ところで、杉の花って見たことありますか
それよりなにより、杉に花は咲くの?

中学生や高校生にこんな質問をしました。 
 「次の植物に、花は咲くでしょうか?
   松 、イチョウ 、イネ 、麦 、ススキ、ネコジャラシ ・・・スギ・・」 
ホウレンソウや大根、キャベツにだって、首をかしげる。
うーん・・という顔をされたものです。

答え:上にあげたものはみんな花が咲きます。
     どうして花の印象がないかといえば、松~スギでは花びらがないので、花が全く目立たない・花に思えないため。

というわけで、めしべと花粉があれば、それを花といいます。(正確にいうと、松やスギ、イチョウはちょっとタイプが違い、めしべといいませんが)。松や杉は花粉を運ぶのが風なので、花びらで
きれいに着飾って、花粉を運んでくれる虫にアピールする必要がないわけ。
風まかせなので、下手な鉄砲も数撃ちゃあたる、で、大量に花粉をつくる・・それが迷惑な花粉。
   (別の言い方をすれば、種子のできるものは、みんな花が咲きます。)




というわけで、我が家のすぐ近くにあるスギの花の写真をのせます。
スギの枝先を眺めて、花をさがしてみませんか。まだ花粉は飛んでいないと思うのですが。
雄花の袋の中に、大量の花粉が入っています。

  憎っくきスギ花粉の拡大した姿は、花粉が飛び始めたら、水をぽたんっとたらして顕微鏡でみると、すぐにみられます。
  水を吸って パンパンに膨れた姿で、破裂したのもでてきます。





2014年1月26日日曜日

地層に見られる模様 その1 級化構造・粒子の大きさの変化




<2>地層の内部や表面に見られる模様あれこれ
 
地層に近づいてみると、その境目は真っ平らではなく、でこぼこがあったりします。つもった粒子にも模様が見えることもあります。
  こんなものを、注意深く見てみると、わかってくることがあるのです。


   級化構造(グレーディング)
  
砂混じりの泥水を透明な入れ物に入れて置いておくと、最初に粒の大きいものが沈み、上にいくほど、だんだん粒が細かくなるのが見えます。級化構造といいます.。
日曜地学散歩 みやま文庫1971年 より
層にも同じ模様の見られることがあります。右の図です。

地震などで海底斜面に地滑りが・・・
海底の斜面を一気に流れ下った泥水(乱泥流・混濁流といいます)が海底に積もるとき、級化構造の地層ができます。
これが何度も繰り返されると、砂岩泥岩互層(ごそう)ができます。
 このページの下にのせてある写真(宮室の地層)が砂泥互層の例です。

こんな地層では、粒の大きい方が下。
こんな単純当たり前のことをなぜ大騒ぎして説明するか・・・
じつは地層が地殻変動でひっくり返ったといった大事件が、これでわかることがあるから。
下の図を見てください。右と左の図の,どこがちがうか,わかりますか?右は地層が180度ひっくり返っているのですが。




 

宮室の砂泥互層(さでいごそう)   級化構造がみられます               

ジオサイト・宮室の砂泥互層
 平らにつもった砂と泥の地層、砂の量が多いですね。最初は水平に積もったものなので、せいぜい、少し傾いた程度、と思ったら・・・・

  なんとこの場所、じつは地層がまるっきり
  ひっくり返っていたりするのです。
   相当激しい大地の動きがあった!

・・・そんなことがどうしてわかるのか・・・
ここの 一枚の地層をよーく見ると、上の方が粒が細かい場所があります。これが証拠。
 ただし、ここの粒子はちょと細かくて見えにくいので、虫眼鏡が必要かも。私のような老眼の目には、虫眼鏡は必須です。




 下の写真は、宮室の地層の一部です。草がはえて,なんだかぱっとしない写真で,なぜこれを載せたのかと思われそう。なぜ載せたかというと、
じつはこの写真の左端にちょっと見える地層は、地層がひっくり返っていて右端の地層はひっくり返っていません
真ん中部分に断層があるはずで、そのため岩石がグズグズと崩れて、しっかりした地層がみえないわけ。
下の解説図と較べてください。写真の場所は解説図のなかの、「逆転している所」とから「雁行れっか多し」という部分になります。間に断層をはさんでいます。




     化石採集の旅 関東編 1961年 より

下の写真は 万年橋下流(上図の右の方)の地層。橋の上から見たものですが、
地層がほとんど垂直に立っているようです
これなら、見ただけでも「大変動があった!」という感じがします。
これ、どっちが地層の上方向かは、調べないとわかりません。

なお、級化構造でも、特別な場合には,上の方が粒が大きいこともあります。たとえば、軽石は水に浮くので、上の方が粒が大きくなる、など。自然はなかなか複雑,一筋縄ではいかないのです。
地層の逆転を知る方法は,他にもあります。いろいろな方法を組み合わせて確実にしていくという慎重さも,大切なわけです。
   他の方法の紹介は,次回に。

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② 葉理 (ようり  ラミナ)

一枚の地層の中に,細かなすじのみえることがあるのですが・・・砂や泥の粒がつくる縞模様。つもるときの水の流れなどでできる模様です。

 例えば・・・ 写真は荒船山の近くの兜岩の地層から持ってきた石です。昔の湖にたまったもので、火山灰の混じった泥岩です。
              植物や昆虫(!)のたくさんの化石を産出したことで知られます。
              この場合の縞は、水の流れではないかもしれませんが。
          

湖にたまった兜岩の湖成層の石 
この縞模様をパカッとわると、  間から化石が出てきます。
                    資料提供 堀越武男さん 

 この地層の場所での化石採集は、今は一般にはご遠慮いただきたいという方向のようです。化石産地の保護も必要とされます。

似たようなもので有名なものに、栃木県塩原の「木の葉石」というのがあります。かつての湖に砂・泥・火山灰・ケイソウなどが静かに積もり、それが縞模様になったといいます。兜岩の縞模様も、同じような成因でしょうか・・                   
というわけでこの縞模様、1枚の地層の中での模様です。そういわれても、ちょっとわかり にくいかもしれませんが・                   
                    
兜岩の湖成層


地層に見られるラミナ

下の写真の縞模様もラミナです。
これ、甘楽町の楽山園の庭に使ってあった石のです。三波石など、この地域の名石がたくさん積み上げてありましたが、その中に混じっていました。どこの石?・・といわれると,困りますけど・・
 
このすじ、地層面に平行な時と、斜めの時があります。平行葉理(平行ラミナ)、斜交葉理(クロスラミナ 昔は偽層ともいった)があります。・・・・・写真がなくちゃ,何のことやら・・・・・・・野外の地層での写真がなくて,すみません !!                     

ラミナのよく見える場所は、きっとあちこちあるのでしょうけど・・・三浦半島など行くくと、目だって見えていたように思う・・・秩父でもあったなあ。その他いろいろ・・
下仁田周辺で,ちゃんと探して見ようっと。

       
ラミナを使って,地層の上下を決められる時もあります。
  詳しい説明は省きますが。





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宮室で見られる「雁行状れっか」もいくつか紹介します。
力を受けて岩石にできた複雑な割れ目に,方解石が入り込み,白く見えています。






この場所ではさまざまな現象が見られて、地質学を学ぶ学生の学習にも向いている場所になっています

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<季節の便り>


今年は寒い!12月から寒いので、なおのこと「早く暖かくならないかな」
  こんな中、日だまりの斜面では、もう咲いている花があります。
    オオイヌノフグリ

青空の小さなかけらをちりばめたのではないかしら、と、見るたび思う花。寒い冬のうちから、そしてのどかな春まで、キラキラ見えるあの青さは本当に魅力的。

名前は、意味を口に出すのがはばかられるという、ちょっと花にそぐわないものです。
ですが、学名はヴェロニカ・ペルシカ。これ、ずいぶんすてきな名前なのです。
十字架を背に刑場へ向かうキリストに、汗をふくようにと自身のヴェールを差し出した女性の名前なのです。
そのヴェールにキリストの顔が浮かび上がったという・・・以前、毛布を差し出した、と聞いたこともあったなあ・・・のちにこのヴェロニカは聖人とされています。たしかに、我が身の命の危険もあった行為のはずですから、その価値はあるわけです。)

この花、昔からこんなにはえてはいなかった・・もう50年近く昔になりますが、学校で、利根川べりをサイクリングしたことがあります。五料橋から板東大橋へ、もしかしたら、さらに烏川沿いを走ったかもしれません。その途中どこかでオオイヌノフグリがひとかたまり群れ咲いていました。初めて見たその澄んだブルーの花を,美しいなあと思った記憶があります。
  (今思うと、昔私の育った学校は,独自にけっこう好きなことをしていましたね)

この花、もとは地中海沿岸地域の植物(だからキリストの話に出てくるんだ)。日本には1890年ころ渡来したとか。明治時代の外来種なのです。それが近年、急速に広がり,日本中の春の野山の花になっています。
きれいだからいい、と、単純に喜んでばかりもいられない・・・・・・・今日本中で外来種が増えて、もともとの日本の種類が生息場所を奪われたりで、どんどん減少しているのです。実際、在来種のイヌノフグリは絶滅危惧種です。玉村町でも田んぼや畑の道ばたは、外来種のオンパレードです。
   美しいコバルトブルーの花は、いろいろなことを伝えてくれます。

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庭先の木ビワは、冬が花の時期。         (写真右:ビワの花)

近づいてご覧になってみませんか。ほのかな香りもします。受粉の昆虫をよんでいるのでしょう。初夏、上品な味のビワになります。

昨年はたくさん実ったのですが、今年は花もぽつりぽつりしか咲いていません。
ホトケノザ これも寒さにめげずよく咲いていますね
 
 
 


 
 



2014年1月20日月曜日

地層に見られる構造 平らな面 その3 片理・へきかい


 平らな面 その3 


以前書いたものの補足をさせてもらいます。
前々回,「平らな面その1」で、節理について書きました。そのとき、「ふつうの節理」については、「いいなと思う具体例が思いうかばないので」・・・と、写真はのせずでした。

 先日、寒いけれど穏やかな日、ふっと思いついて長瀞に行ってきました。結晶片岩の片理構造の写真なら、やっぱり長瀞の岩畳の写真がいいな、と。何年ぶりだろうか、10年よりずっと昔・・などと思いながら。
長瀞石畳に見られる節理
長瀞の岩畳に立ってみて、「あれー・・・・・」 足元の割れ目、これみんな、典型的な節理なのでは、と。断層ではないよね、と、ずれがないかどうかと、見てみました。もっと前に見に来ればよかった・・・。以前にも見ていたんでしょうけどね・・
 節理は白い脈でうめられたものや、すき間に草がはえているものもありました。

博物館に行くと解説パンフに、こう書かれてありました。
「地殻が上昇してして水平方向に引っ張る力がはたらいた結果、形成されたものと考えられます。岩畳周辺では垂直に近い節理がほぼ東西・南北方向に格子状に走っています。」

  というわけで、たくさんの割れ目・節理のはいった長瀞の岩畳の写真です。
      岩石は石墨片岩(黒色片岩)。節理はほぼ垂直方向の割れ目です。

石墨片岩の岩畳と節理


結晶片岩については以前に取り上げましたが、もとの石・原岩についてはよくわかりませんでした。
そんなことも,パンフレットに載っていましたので、紹介しておきます。ご参考に。


④ 片理


岩畳の写真では、割れ目の節理も見えますが、なんといっても目立つのは
     「岩の上の広く平らな面」。
親鼻の紅レン片岩、 右下手前は、橋脚跡のレンガ
 

ちょっと見た目には、地層の層理の縞模様の時と同じように感じられます。でも、この「平ら」は でき方がまったく違います

岩石が高い圧力を受て、平らな面ができる・・・わかったようで、わからない説明・・
 もう少し説明すると、圧力を受けているうちに新しい鉱物がうまれるのですが、この鉱物が圧力に対して垂直方向に並び、敷きつめたようになるため、平らな面が現れる、ということ。
 というわけで、石はこの面で平らに割れやすくもなります。
 結晶片岩に見られるこの面を、特に片理面とよびます。

緑色がかった緑色片岩もあります

  長瀞周辺の川原では、結晶片岩はどこも見事に平らな面を見せています

地下20km~30kmに押し込まれ、6000~7000気圧という高い圧力を受けて,変身してできた岩石です。岩石は溶けることなく、固体のままで変化したといいます。
    
  下仁田の青岩にも片理面がありますがこんなにきっちりと平らではありません。長瀞より、受けた圧力が小さかったので。
細かな片理の重なり









⑤ 岩石のへき開
へき開というと、ふつう鉱物の面が平らに割れることをイメージしますが
方解石など)、時には岩石についても使うことがあります。

  泥が固まってできた岩石で、平らに割れやすくなったものがあります。
 圧力を受けたことが原因で、結晶片岩ほどではないけれど、平らに割れる面ができるというわけ。

「どんな石に見られるの?」・・頁岩(けつがん・シェール)、粘板岩(スレート)。
「スレートへき開」と言う言葉もあるなあ・・。

平らに割れる石は、ヨーロッパなどでは屋根を葺くのに使われたりもしてきました。
家の外壁をスレートでおおったりもしています。
アンモナイトがせんべいのごとくに・・
どこから石墨片岩で、
どこまでが粘板岩なのかなどと聞かれる
と、ちょっと困りますが・・・
 (正確には、どんな鉱物ができているかによるのでしょうが)

こんな石、下仁田付近での例は
よくわからないので、ドイツの石で紹介します。
(ドイツのお城の屋根など、スレート葺き
ですスレート利用の本場といえそうです)

右の写真では、アンモナイトがペタンコに
なっています。
下の写真では、二枚貝らしいものがやっぱり
平らになって、岩石は何枚もの層状に
なっています。

ドイツ ホルツマーデンのスレート
 <補足>頁岩では割れる面が層理面(地層の面)と一致する層面へき開だけれど、粘板岩(スレート)では層理面とへき開面は、必ずしも一致していないそうです。

 この石、これだけ平らな面がしっかりしているのですから、「スレート」
  でしょうか・・・化石のはいりぐあいからみると、地層の面と劈開面は一致していると思いますが、どうでしょう・・






横から見たところ 
明治初期、洋風建築を建てるとき、
屋根を葺くためにと、技術者たちは、
適したスレートを、日本中さがした
そうです。そうして見つけたのが
石巻の雄勝石でした。この石は下に
挙げるようなそうそうたる建物の
屋根を飾りました。

、【東京駅・北海道庁舎・山形県庁舎・横浜開港記念館・赤坂プリンスホテル旧館・名古屋高等裁判所・京都府庁舎・京都中京郵便局・大阪中之島公会堂・広島呉海軍庁舎・旧山口県庁舎・旧三井物産門司迎賓館】

今回の大津波で、雄勝も大被害を受け
ました。東京駅改装のためにと準備し
ていた雄勝スレートも流されましたが
手作業で拾い集め、それは今、東京駅の
屋根の一部に使用されています。

なお、粘板岩(スレート)はめずらしい石ではありません。普通にある石です。
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長瀞にある「自然の博物館」に行って、
 「もっと早く来るんだった・・」
峠からみると、いかにも山あいの盆地という風景

岩畳の節理ばかりでなく なんと、最近ブログに取り上げた「白い脈」という展示があったり、 パンフレットに、これも取り上げた「雁行状われめ」が説明されていたりするのです!

板碑:野上下郷石塔婆 国指定史跡
長瀞町には高さ5.37m、大きさ日本一を誇るという板碑もありました。緑泥石片岩を利用。平らに割れますから,碑をつくるのに便利。
鏑川沿いにも,もっと小さいですが、こうした板碑がたくさんみられます。
 
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ところで、自然関係の博物館って行ったことありますか?

「グルメを味わおう」「花の○○」、あるいは著名な人の「美術展」などのように、人がワッと集まるような感じは普通はなし・・・子供が大好きな恐竜展なら人が集まるかな・・・・でも、やっぱり普通の人の感覚では、地味な場所なのでは。
少し年配の方なら「博物館行き」とか「カビの生えた博物館の・・」とかいった、あまり芳しくないイメージを持っていらっしゃるかもしれません。もう役に立たなくなった過去のものを放り込んでおく場所・・・一応歴史的意味はあるかもしれないから、とっておくけど・・・・と。
 数十年も前になりますが、「あんな所で収集品のお守りの仕事なんかしていてもしょうがない」などと、堂々と言っていた人もいました。たしか、長瀞の博物館を頭に思い浮かべながら。

 せっかくなのでちょっと長瀞の博物館の紹介を。
秩父には大正10年(1921年)にすでに「鉱物標本陳列所」があったそうです。昭和24年(1949年)、秩父鉄道株式会社により「秩父自然科学博物館」が設立されました。さすが、鉱山の歴史も,地質研究の歴史も,古くからある場所です。それを引き継いで埼玉県立の博物館になったのが昭和56年(1981年)。まだこういった自然史博物館はめずらしかった頃でした。

 博物館というのは今でも地味にみられますが、昔のような「かびくさい」と言ったイメージとはちょっと違ってきているのではないでしょうか。
展示技術も進歩していますが、なにより、行事その他をとおして、参加と体験を提供してきているし、直接と自然とふれあう活動は大切なことです。

長瀞駅周辺の食堂のおばさん、「花見ですかあ」「皆さん、花は好きですねえ、おかげでお客さんが来てくれてね。」。真冬の船の川下りは、お客はすくないだろうなあ。ここは宝登山の登り口でもあり、この山、神社もあるけど、、ろうばいが有名のようです。しばしばテレビ紹介されるのは、ここのろうばいなのかなあ。冬の重要な観光資源もあるわけです。「桜は時期が難しくてね、それに時期も短くて。」ここから桜並木が続いているようす。「羊山公園の芝桜もいいですよ」と、地域の宣伝もしっかりしていました。

花で感性を豊かにして、博物館で知性を磨いて・・・「つまんないこと言うな」と言われそう。
でも、多くの人が自然を見る目を確かにし、科学的な目を養えたら・・・さらに、地域を調べたりする人たちがつどって,情報の交換もおこなえる場であったら・・・・
博物館は、本来、そんなことを目指す場、文化をつくっていく場なのだと思います。もちろん、貴重な文化的財産を守る場でもあります。
 たまには各地の博物館に行ってみませんか。
 




 









2014年1月13日月曜日

地層に見られる構造: 平らな面 その2 断層

平らな面 その2     岩石に見られる平らな面って、なに?

  断層
断層と言ったら、みなさん何を思い出すでしょうか?
たぶん、教科書にあったようなこんな図かな。
  (高校地学の教科書の図なので、中学校の教科書や子供向けの本よりも、用語が詳しく、たくさん入っています。ちょっと難しそうに見えてしまいますが、文字を気にしなければ単純。
                                         東京書籍教科書 地学Ⅰより

あるいは下の写真のように、縞模様がずれて見える断層の写真でしょうか。(ちょっと見えにくい写真ですみません。これしか撮ってなかったもので)
甘楽町の山沿い道路の切割りにみえた
富岡層群小幡層、
断層で地層が切れている
  でも、実際には、こんなふうには見えない断層のほうが多いと思います。
  では、どんなふうに見えるのでしょうか・・・・
   断層って、要するに、ずれた割れ目の      ことをいうわけですが、でもそのずれが、
 その場で見てもよくわからない場合がたく さんあるのです。


 ・地層の縞模様がみえなければ、見ただけでは「ずれ」がよくわからない。

・大規模な断層になると、その前に立っただけでは、「ずれ」はわからない。大断層ほど、どれが断層か、わかりにくいかも。


・断層付近は、包丁で切ったように、スパッと切れて見えずに、グズグズになっていて、なんだかよくわからないことも多い
    などなど・・

次には断層面がちゃんと見える場合を取り上げてみます。

断層面のよく見える例 

下仁田・青倉の大断層では、断層面がよく見えます。下の写真です。
 
黄色い線の先っぽ、矢印の所に左から右へ、少し右上がりに見える線が断層で、この断層は、断層面が水平に近くなっています
   断層面の上にある岩石は、平らな断層面の上を、どこからか横滑りしてやってきた
   岩の塊、根なし山(クリッペ)です。
というわけで、根なし山の底が断層になっていて、この断層の平らな面が見え(手でさわれます)、すり傷(条線)もみられます。  この断層は相当大きな規模のものです。
         教科書にある断層の絵のイメージとは、だいぶ違いますが。

下仁田自然史館前の青倉大断層

      (下仁田自然史館とは道路を隔てた場所ですので、自然史館にいらした折には、
     ぜひお立ち寄りださい)     

                                               写真  下仁田自然史館

スケッチ・解説
                                                             細谷 尚 さん
l  断層の上盤(うわばん)は、跡倉層(中生代白亜紀、8千数百年前)の砂質泥岩で、よく見ると、堆積後の変動が原因の大小のひび割れが見られます。
   下盤したばんは青岩公園と同じ緑色片岩ですが、ひどく破砕されて、ぐずぐずになっています。断層面の近くでは、暗緑色のじゃもん岩ができ、塊状になって表面がみがかれた状態になっています。

上盤の断層面には、みがかれた鏡肌、条線が見られます。断層の動きによってできた
  線構造で、動きの方向を示しています。


・・・・<言葉の説明>・・・・

  断層面にできた 平らなかがみはだ 
断層で岩石がずれたときに磨かれたてできた面。
ツルツルして光沢さえあるようで、鏡の面のようだということから、鏡肌。もっとも、顔が写るほどに光っているものを見たことはありませんが。
この面には一方向についた線状のすり傷、じょうせんが見られることもあります。 

断層面付近はしばしば岩石が砕けてぐずぐずになります。断層破砕帯とよびます。さらに一部は軟らかくなりしばしば粘土状のもので埋まっています。この部分を断層粘土(断層ガウジ)とよんでいます。
  そんなわけで、断層面が平らになって見えることは少ないものです。


それにしても、「大地が切れる」っていうのですから、どんな力がはたらいたのかと、想像を超えます。
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ところで断層というと、本当のところ、みなさんがいちばん知りたいのは、原子力発電所の事故で知った、「活断層」のことだと思います。我が身に降りかかるかもしれない災害も、活断層によるものらしいし・・・

地下で岩石が壊れるとき、地震の波がうまれます。岩石はズレて食い違い、断層ができる・・・・・
ですから地震の揺れがくるたび、「地下で断層が動いた」と思ってもいいわけ。
時たま、この断層が地上にも現れて、私たちに見えるわけです。
一度壊れたところは壊れやすいですから、同じ地域で、何度も地震が起きやすくなります。
とはいえ、永遠に壊れ続けるというわけでもなく、古い時代の断層では、もう壊れることもなくなります。

というわけで「過去に何度も活動し、今後も地震が起こると思われる断層を活断層とよぶ」わけです。
「思われる」ですから、いろいろなことが言えます。当然、活断層であっては困る人は、「活断層ではない」と主張します。

同じ場所で繰り返し地震が起こると、地表でも「ずれ」が積み重なり、特有な地形が形成されます。専門家は、まずこの地形を探します。でも、それだけでははっきりわかりませんから、地面の下の地層が、断層で切られているかどうか、いつの時代まで切られているかをさがします。これがみつかると、少なくともいつまで動いた断層かを、知ることができるというわけ。原発付近で、トレンチという溝を掘っているのは、そんなことがわかるかもしれないから。
  とはいえ、断層かどうかの判定にもいろいろな意見が出ます。いや、地滑りだ、膨潤だ・・(膨潤って何だろうと、まったく知りませんでした・・)
さらに、断層があっても、それが動いた時代を決定するのも、難しい話になったりもします。

ところで、いつの時代まで動いていたら「これからも動く可能性がある」とみるのか・・・
最近の時代まで動いていたというだけで、「最近」に厳密な定義・合意は、学問的にはないのかも・・・・・第四紀後期の「数十万年前」といったあたりが、一般的なのかなあ。(はっきり知らないのですが・・)

原発についての最初の耐震審査基準は「5万年前までに動いた断層」でした。1978年のことです。2006年からは「13万年~12万年前以降に動いた断層」となりました。2012年に原子力規制委員会は40万年前以降とすると発表しましたが、2013年1月、「12~13万年以降とする従来の指針は変えず、地層がわかりにくいなど、判断がつきにくい場合に限り、40万年前までさかのぼる」と元に戻った形。
40万年という数字が出てからのネット上には、「現代の魔女狩り」とか「再稼働をさせないためか」、さらには個人攻撃の品のない罵詈雑言が踊っていました。

今年から、規制委員会からの原発立地・施設設備に関する結論も出されてくるのでしょうが、活断層のことは、最近あまり聞かなくなくなりました。トレンチを掘っている時ではないから話題に乗りにくいわけではあるでしょうが。
とにかく原発再稼働に関係してきますから、重大問題になってきます。
 「地震についてはわからないことだらけなのに、地震学者は重すぎる責任を負わされている」と、歎きとも思える声も目にしました。地震が、いつ・どこで・どれくらいの規模で起こるかなんて、わからない・・・・そもそも、見つかっていない活断層だってたくさんあるはず・・
 活断層の定義は、どうやら、科学の話ではなくなってきているようです。
今、状況はどうなっているのでしょうか・・・
 専門家の結論が出れば,それが科学的で正しいと思いがちですが、どうやらそんな単純な話ではないようです。
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 ところで、下仁田には「活断層」、あるのでしょうか。あまり聞かないなあ・・・
中央構造線に関係して、動いたところがあると言っていた人もいたけど。
私の住むところでは、1931年の西埼玉地震の際、地面に数㎝の段差ができ、小学校の校庭では水が吹き上がったと、親や親戚から聞いています。ちょうど生徒たちが校庭に整列していたときなので、みんなが見たというのです。水は液状化現象。段差は、はっきりわからないのですが、どうやら我が家に近い場所のようなので、「家の下に断層なんて通っていないでしょうね」と思ってしまう。「関東平野北西縁断層帯」というのが近くに伸びているので、活断層が他人事じゃない・・・。

 というわけで、地震大国日本では、地震と断層の知識は、「みんなの常識」になったほうがいいのではないかな、と思えます。

地震については話がどうも難しくなってしまいがちですが、そこをわかりやすく工夫してもらって。

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<季節のたより>

  お正月も終わり、七草がゆの風習も、テレビでみるばかり。
                                     




「せり・なずな・・・・   」と出てくるナズナ、
誰でも知っているかと思ったら、
そうでもない・・・・

高校生の女の子たちも、まるで知りませんでした。
そこらに生えている雑草なんて、こんな地味な「草」なんて、誰かが取り上げて「注目!」とでもしないかぎり、目にも入らないわけです。

雑草のナズナにも
元気をもらって
          
      




   絵 小林生子さん
                                                                       

メマツヨイグサかな?
地面にぺたんと貼りついた草の姿
  この形を ロゼットとよびます。 
バラの花・ローズの模様をロゼットというそうですが、草のロゼットは少し名前負けくらいのいい名前をもらいましたね。

夏には背丈高くなる草も、今は写真のように、地面に張り付いています。こうして寒い冬を乗り切ります。

葉の出方には規則性があって、お互い重なり合わないようになっています。この規則性がバラの花の形を作りるわけです。

冬には、地面に張り付いた、たくさんのロゼットがみられます。けなげに寒さに耐える姿です。