2017年6月17日土曜日

みなかみ町 ユネスコ・エコパークに登録 

 エコパーク・・・はじめて聞いた言葉かもしれませんが・・・

様々な文化遺産・自然遺産を守り、共存し、育てようという趣旨の登録事業が進められています。
 なんといっても有名なのが世界遺産ユネスコの事業です。
いつから始まったのかと調べたら、1972年のユネスコ総会で採択されて始まったものです。人類が共有すべき優れた自然・文化遺産の保護を目指しています。私としては、結構最近の話なんだなあ、と思えてしまいます。私、これよりずっとの昔に生まれていますから、ちょっと感慨があります。
自然・文化を守ろうという意識は、結構最近のものなのかもしれません。

 日本では昔から、天然記念物という制度があります。
1919年に「史跡名勝天然記念物」が、1951年に「文化財保護法」のもと、指定が行われています。トキ、カモシカ、屋久島の杉、鍾乳洞の秋芳洞・・・・・
  
 エコパークは?・・・これもユネスコの事業で、1976年開始。
日本語で言うと「生物圏保存地域」。なるほど、生きる環境がなければ生物は生き残れない。天然記念物は一つ一つの指定・保護だけれど、これは地域全体の保全というわけです。世界遺産と違うのは、持続可能な利用により、地域住民へ利益をもたらし、人との共生を目指すこと。

ではジオパークは? ・・・2004年ユネスコ世界ジオパークネットワークが設立される。
 ぐっと最近ですね。これもユネスコの事業
保全・教育・ジオツーリズムを掲げて、地域経済の発展を目指すとうたっています。
生き物や美しい景観より、ずっと遅れて、大地に目が向けられるようになったという感じがします。足元の大地、皆さんに、もっと知ってもらいたいですね。

   前書きが長くなりました。
   新聞報道を載せます。

町長の言葉「登録はゴールではなく、スタート。」
  そう、どんな登録も、実はスタートなんですよね。

喜んでいる皆さんのようす、うれしいですね。頑張ってください。

 このみなかみ町の西部では15年ほど前から、赤谷プロジェクトという活動が行われています。日本自然保護協会・国(関東森林管理局)・地元(地域協議会)・有志(サポーター)が共同で自然に向き合った活動を行うというものです。林野関係と自然保護協会が手を結ぶというのは、画期的なことだったとのことです。むしろ、対立関係が目立つ関係だったということですから。

 自然を保護する所と、利用するところを設けていますから、エコパークの理念に合致しています。「緑の回廊」というのは、野生動物が行き来できる「道」ともいえる自然のつながりを残した場所。どこかが断ち切られると、その場所から先には移動ができなくなってしまい、生き物分布が分断されてしまい、たいへんな悪影響となります。
 下図が基本構想です。
難しいこと言ってますが、仲間とこんなところを歩いていると、いろいろなものに出会えて、文句なく楽しいわけです。多くの人がそんなことを味わえたら、それだけでも大きな成果ではないでしょうか。
左の写真は、モリアオガエルの産卵の様子。産卵は普通、夜や早朝に見られるようですが、これは昼間。雨が降り出しそうな空模様で「いやだなあ」と出かけたのですが、その曇天が幸いして、こんな光景が!!
ところで、最初に見つけたの、私です。
すぐに声をあげて、立派なカメラをもっている人を呼びました。 この場所に夜に出かけるのはちょっと難しいので、幸運でした。

 このプロジェクトが生まれたのは、日本中がリゾートに浮かれていた時代の後です。
日本中に、ゴルフ場・山にはスキー場・海にはマリーナが作られていたとき、ここにも、大手資本によりスキー場が、それからダム建設も計画されていました。一部地元住民と自然保護団体などから反対運動が始まり、結局、どちらも取りやめになりました。当時は市町村合併前で、ここ新治村としては、大きな開発で潤うと思ったのに、と、自然保護協会等とは良好な関係とは言えなかったようです。ですが、今となれば、スキー場は負の遺産となったことでしょう。取りやめることとなり、感謝だったのではないでしょうか。
 ゴルフ場も南部の地域に作られていましたが、今は廃止となり、取り壊しが進んでいます。周囲は太陽光発電のパネルが林立していますが、ここも太陽光発電の場となるのかな。

 そんな歴史も知っているものとしては、エコパーク登録は喜ばしいものと思います。
 温泉もたくさんあり、とはいえ、必ずしも客が多いとはいえなかったりと、いろいろ浮き沈みはあります。ですが、ユネスコに認定されたことを励みとして、どうぞ頑張ってください。その頑張りが 自然を守ることにつながり、人々が自然を大切にすることを学ぶことになるのですから。
  ちなみに、エコパークの数は世界では670、日本のその他のエコパークはちょっと名前をはしょって書けば 志賀高原、白山、只見、南アルプス、屋久島・沖永良部、大台ケ原、綾、祖母

最後の二つなんて、聞いたこともない名前でしょう・・ 価値を見出していくことが大切と思う次第。 
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おまけの話
 世の中にはいろいろな登録があります。
・「世界農業遺産」ご存知ですか。FAO(国連食糧農業機関)が2002年設立。日本も8地域登録。「能登の里山里海」「トキと共生する佐渡の里山」など。
・以前に紹介した「世界かんがい遺産」 これは”国際かんがい排水委員会”。設立が1950年の団体といいますから、由緒ある団体です。2014年にこの遺産を創設。

世界中で文化を大切にし、先人の努力・苦労をたたえようという機運が沸き起こるなら、これは素晴らしいことと思います。たくさん賞があると、「なんだ」と価値を低く見る人もいるかもしれませんが、ここに挙げたものは、どれもしっかりとした基礎を持つ団体のものであり、大切にするべきと思うところです。

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