2020年11月13日金曜日

イチョウの履歴 マツタケジャゴケ

 紅葉のたよりが、関東でも平野部に移ってきました。


そういえば、先週、ちょっとした山に行った時,光に照らされて黄色く色づいた葉が輝き、
時折ハラハラと舞い落ちていたなあ。

キラキラというより、光そのものが舞っているようで、しばし見とれました。

落ち葉を カサカサ 踏みながら歩く気分もいいもので、そんな情緒を詩人や文学者はしばしば書いていますね。

何という木か覚えたい時も、紅葉した葉を見るのなら、なんだか楽しいです。


マツタケジャゴケ







いっしょにいた人に、変わったものを教えてもらいました。
 コケの仲間です。マツタケジャゴケ。
ジャゴケって、家の裏などの湿った所にはえるゼニゴケに近いような仲間で、ジャは蛇かな。あまり印象の良いとは言えない姿。ですがこれ、なんと
 「マツタケの香り」  がするのです。
マツタケなんて食べないから香りわからないと一緒にいた人が言ったら「永谷園のお吸い物の匂い」と即答した人あり。香りはまさにその通り。同じ成分が入っているのでしょうか。
これ、全国にあるそうですが、あまり見かけるものではなく、よくわっかっていないコケのようです。

いろいろな人と一緒に出かけると、それぞれ知っていることが違うので、新しいことを知りあえて、楽しいですね。

          もう少しすると、イチョウが色づきます。

我が家のすぐ近くの畑、この銀杏は大粒でおいしいです。
手入れをして、きれいに洗って出荷しています。あまりお金にならないけれど。ここまで育た木ですから、やはり放ってはおけないのです。

イチョウは自然の野山では見かけません。つまり、人が持ち込んだもの。どんな履歴を持つか、ご存知でしょうか。

 「 生きている化石 イチョウ 」

   金色の ちひさき鳥の かたちして
     銀杏ちるなり 夕日のをかに    与謝野 晶子

誰もが大好きな字あざやかに黄色く色づいたイチョウの木。
神社、お寺によく見かけます。年の街路樹にもたくさん採用されています。東京都の木はこのイチョウですよね・・ゴミ収集車のイチョウのマークが脳裏に残っているのですが。
防火のためにイチョウを街路樹に植えようと奮闘した人がいたと聞きました。防火??と思いますよね。イチョウは燃えにくいのだそうです、これが防火帯の役割を果たし、延焼を防ぐと。実際に関東大震災で燃え残ったイチョウが役割を果たしたとのこと。
どこかで聞いた話でしたが、人気番組「チコちゃんに叱られる」で、取り上げていました。これできっと、多くの人に知られたでしょうね。

 日本人なら知らない人はないというおなじみのこの木、しかしヨーロッパの人にとっては驚きの的でした。1690年ころ、鎖国中の日本にやってきたドイツ人ケンペルは、長崎のお寺の境内のイチョウを見てびっくり。それを伝えられたヨーロッパの学者もびっくり!なぜってイチョウの仲間は化石ではたくさん見つかるけれど、もうとっくに死に絶えたと考えられていたのですから。今でも生き残っていたなんて!
 イチョウの仲間はジュラ紀という時代などに全盛を誇っていました。恐竜たちと一緒に生きていたということになります。2億年前には現れ、1億5千万年とかいう前には大変に栄え、世界中に広がっていたといいます(この年代、最近の研究結果で少し変わっているかなあ?)。それが中国に生きのび、多分仏教伝来の頃につたえられました。今では親戚にあたる種類は一つもなく、分類の上では1属Ⅰ種、それでもたった1種で頑張っています。そして、こんな古いタイプの生きものたちを守ってきたのが中国や日本の地域だったわけです。

身近なものにも、壮大な歴史があるわけです。銀杏を食べながら、太古の昔に思いをはせてみましょうか。



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