2014年4月13日日曜日

番外編 早春の植物

番外編・・・・ 早春の植物

早春・・・命のにぎわいの季節がはじまります
        春のエネルギーを 木の芽の絵から。
              絵 小林生子さん


そこで、今回は、植物にスポットをあててみます。

里見哲夫さんの書かれた本、
「下仁田の植物」 2009年 (下仁田自然学校) の資料を基に、紹介してみます。




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4月初旬の下仁田 ミツバツツジがあちこちに

岩壁を飾るツツジの仲間

    人々に愛されるツツジ・・・
      美しい花にみんなが引きつけられます

春、下仁田では岩肌のあちこちが紫色に彩られます。
 春早くに目を引くこの花はミツバツツジです。 
  

多くのツツジが好んではえる場所 

日あたりのよい岩地  
風あたりのよい場所 
尾根すじや急斜面、   
常に乾燥して土の少ないところ
栄養分のなさそうな所
しかも酸性の土壌を好んだり ・・・・・・・・・
・林のわきや疎林の下を好むものもあります
     
「何を好きこのんで、こんな厳しい環境を選ぶの」、といいたくなります。
 でもそれが「自然」というもの。

厳しい環境に生きていると思うと、ツツジの花がなお一層美しく見えてきます。

   下仁田自然史館から遠くない所にもたくさんの
   ツツジが見られます            



下仁田付近で見られるツツジの仲間
     
 細かな話になりますので、興味のある方のご参考になりましたら、ということです

全国のツツジをみると、見分けがつきそうにないほどに、たくさんの種類があります。図鑑を見ても、わからなくなりそう。
  そこで、下仁田のものをあげてみます 
                              
ミツバツツジ  
山に映えるアカヤシオ  写真堀越武夫さん
ここより下の写真は堀越さん
  

ミツバツツジ  トウゴクミツバツツジ 
コメツツジ  ヤマツツジ  ヒカゲツツジ
アカヤシオ

  • トウゴクミツバツツジは少し標高の高い地域にあります。 花と一緒に葉が出てきます。ミツバツツジそっくりですが、おしべが10本。ミツバツツジは5本です。
  • アカヤシオは、別名アカギツツジ、  ヒトツバナ、サクラツツジなど、様々な名前で呼ばれます。イワツツジという人もいますが、イワツツジという種類のツツジは別にあります。
    目立ち、美しいので、あちこちで様々な名前で呼ばれるのでしょう。甘楽ではヒトツバナとよびます。

  • ヒカゲツツジは黄色いツツジで、あまり見られないという感じがしますが、この地域では比較的多いそうです。

美しい植物たちが盗掘したりされないようにと、心底思います。
意識の向上も必要とされます。

  • ヤマツツジは広くみられ、里山を赤く彩ったりもします。

ミツバツツジ、トウゴクミツバツツジなどは、岩場だけでなく、疎林にもよく育ちます。
レンゲツツジも荒船山の山頂の平らなところにあったようですが、減少しているとのこと。


ここまでが、花や名前から「いかにもツツジ」と感じる花でしょうか。



  その他のツツジです。
アセビ  アズマシャクナゲ   
アブラツツジ  サラサドウダン 
コヨウラクツツジ  ホツツジ  ネジキ  ナツハゼ 

シャクナゲやアセビもツツジの仲間なの?・・といわれそう・・・・
みんなツツジ科というグループです。
他にもツツジの仲間はありますが、あまりツツジっぽくないので省略です。(ウスノキやハナヒリノキといったツツジ科です。ナツハゼもツツジっぽくないかもしれませんが)



野生のアセビ
下仁田付近では、南牧川の南の地域に分布します

 
庭や公園の花と思っていたアセビ、本当は
野生の植物だった・・・・

下仁田では 南牧川の南の地域に見られます。北の方面にはありません。

どうして?
地質の違い?下仁田では古い地層の地域に分布しています。南牧川の南側では暖地生の植物がみられて、北側とは少し違った植物もみられるのです。私も、ここではじめて見た植物がいくつかありました。
今までたどってきた長い歴史の結果?

アセビは関西方面にいくと、新しい時代の地層でできた低い丘陵地の痩せ地という感じの所にもあったなあ・・・
単純な話ではなさそうです。興味ある話でもあります。

アセビの無い地域の公園などに、アセビが植えられることがあります。
「本来の分布と違って、よくないよなあ」と、里見さんが嘆いておられました。
あちこちに植栽され、今ではどこが自然の分布か、判断が難しいくなっているかも。

ヤマツツジ
身近な里山にもたくさんあり、親しまれています

               
         





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岩の崖の山頂でみられるツツジの仲間をあげてみます。
         
  
  里見哲夫さんや堀越武夫さんは、各所で見られる植物を丁寧に記録されてきました。その資料から紹介します。
  これからの季節、山登りしたときの参考に、どうぞ。 名前だけで写真がなくて姿がわからないで、スミマセン。

稲含山・・・チャートの崖の多い山です

トウゴクミツバツツジ ホツツジ アセビ アブラツツジ コメツツジ ネジキ
ヒカゲツツジ  アカヤシオ   サラサドウダン
コヨウラクツツジ  ナツハゼ  ヤマツツジ  アズマシャクナゲ
山頂への途中の道はアセビのトンネルが・・

小沢岳・・チャートの山頂 ここもツツジ類が多い

アカヤシオ  トウゴクミツバツツジ  ヤマツツジ ネジキ  ナツハゼ

白髪岩(しらがいわ・・・下仁田町の最高地点、1512m。明治15年設置の「原三角測点」が残っているという、貴重な場所です。山頂近くは岩場で、チャートがみられます。

アセビ  トウゴクミツバツツジ  アカヤシオ  ヤマツツジ  サラサドウダン  アブラツツジ
コメツツジ    ホツツジ   ネジキ   ナツハゼ    
 
岩壁と言えば 妙義  ここを彩るツツジは何でしょうか。岩は安山岩質の凝灰角礫岩です。
山頂ではなくて、山全体で見られるツツジになります。
 ヤマツツジ アブラツツジ アカヤシオ  ミツバツツジ トウゴクミツバツツジ  ホツツジ
 サラサドウダン  ネジキ  ナツハゼ        いろいろあります

 鹿岳(かなだけ                               
安山岩の突き出た岩です。
コメツツジが多いそうです  ヤマツツジ  ミツバツツジ  トウゴクミツバツツジ  
 他にも アブラツツジ  ナツハゼ  サラサドウダン アカヤシオ
   
アズマシャクナゲは  荒船山に多くみられます。特に東側の尾根に多いそうです。
      
それぞれツツジに彩られる山、特に美しいのはどこか、いつ咲くかと、皆さん期待して訪れます。満開の花に出会えたら、幸せな気持ちになれます。

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早春の花を、もう少し紹介  4月8日に見た花たちです


下仁田にはザゼンソウの咲く場所があります。


群馬でこんな標高の低いところで見られるのは
赤城山麓とここだけ

 北国では普通に見られる植物ですが、群馬では利根や吾妻ならあるものの、標高500mほどで育っているのはめずらしい。
どんな理由で育つことができるのでしょうか。
どなたかおわかりの方、いらっしゃいませんか。


春早くに咲きますが、4月8日にも咲き残った花がありました。ミズバショウを茶色くしたような花・・でも、ミズバショウのように清楚な感じには見られず、ちょっと不気味な雰囲気・・・育つ場所はミズバショウほどは水がなくても大丈夫です。
花と見えるのは、花ではなくて、葉っぱの変わった「ほう」。花は真ん中にあるボールのようなところ((肉穂花序という)についた小さな黄色いものです。

暖かい花 
 まだ雪の残る頃から咲くこの花は、カップのような「ほう」の中の温度が、外よりかなり高くなっています。北海道での例で、外はまだ零度近い気温なのに、この肉穂花序のところは15度ちかくもあったそうです。発熱しているとか・・エーッと思ってしまう。この暖かい場所に昆虫がやってきて、花粉を運んでくれます。虫が暖かなストーブにあたりにきた!
工夫・努力して暖かくなんてしなくても、もっと暖かくなってから咲いて、花粉を運んでもらえばいいじゃないかといいたくなりますが、きっと何か理由があるのでしょうね。不思議なものです。

種子はネズミが運ぶ
花の真ん中の部分を、山のネズミが食べるそうです。自分の巣に肉穂花序を運んで食べる・・こうして種は遠くに運ばれていく・・・親元を離れ、分布を広げていく・・・
いきものたちの、見えない協力関係が、ここにもあります。





















小さな群落
ここはそれほどじめじめしていない
                  真ん中にある肉穂花序・黄色い                    小さな花がついている  




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そのほかの花々
  早春の木には、まず花の咲くものもたくさんあります。


早春のカツラ、すらっとした姿は美しい
赤いのは、花?芽?・・・近づけないので
よく見えませんが

4月8日、まだ雪も見えています。
今年の大雪の名残でしょうか


あちこちに黄色い花が・・・
ヤナギも花をつけています



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足元の花たち
ダンコウバイとアブラチャンはよく似ていて・・・
 葉っぱがでれば、その形はまるっきり違うのですけどね

早春の山の木の枝先の花たち、どこにでもあり、よく一緒に見られるのは
 ダンコウバイ  アブラチャン   キブシ
 フサザクラ
キブシの花はよくめだちます



      

アズマイチゲ
ヤマエンゴサク






















カタクリと同じように、春大急ぎで花をつけ、大急ぎで光合成をして養分を蓄え、夏には姿を消す植物たち。
「スプリング エフェメラル 春のはかないもの」・・・・アズマイチゲも、その代表です・。


エゾキケマン



道端でもよく見かける、黄色い花。

下仁田には石垣が多くみられますが、
石垣にも咲いています。















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早春の里山の木や草たち

もう少ししたら、下仁田でもこんな花が咲き始めるかな。
 下仁田から高崎方面に続く丘陵は、富岡層群の砂岩や泥岩でできています。
ここは里山の趣です。
こんな里山には、春早くからたくさんの木々が 花をつけています。サクラ(山桜とよんでいますが、正しくはカスミザクラだと思います。園芸品種も混じっているかも)は新緑に映えています。目立たない花もたくさんありますが、ほとんど気づかれないかもしれません。そんな花の紹介です。
 以下は高崎観音山近くでの4月初旬の様子です。
   
ケヤキも花をつけます。高いところなので
見えませんが、
やがて地面に落ちて、知ることができます。

ヤナギの花 ネコヤナギばかりでなく、
いろいろな種類があります
                             

                                           


銀のうぶ毛に包まれたコナラの新芽の若葉色が銀ねず色のうぶ毛に包まれ、春の山の色を演出します。垂れ下がる花の穂 ・・・・  ドングリのなる木、炭焼きの木でした





ウグイスカグラ(左)とモミジイチゴ   丘陵地や山の縁の道脇に咲く花々です
桜吹雪の中で咲いていました。やがて黄色いおいしいキイチゴになります。















                                                                                                                                   
ウリカエデの花。たくさんの種類のあるカエデも それぞれ花をつけます。



見上げると、木々に下がる穂があちこちで見られるのがこの季節です。
桜やツツジのようには目立たないので、気づいてもらえない花たちです
名前?・・・まるっきり自信が無い・・・・シデの仲間とかハンノキの仲間とかいろいろ・・・

 いろいろな穂が下がっていますから、ちょっと目をとめてみませんか。
    写真をいくつかのせます。

ミツバアケビも咲いています


    
早春の雑木林はなかなか魅力的です。
ちょっと散策してみませんか。

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