2014年10月19日日曜日

上信電鉄沿線 どんぐりのなる木


上信電鉄沿線ハイキングコース  神成山 (かんなりやま)

10月の初旬、下仁田の子どもたちと近郊の山、神成山を歩きました。公民館行事です。
近くには南蛇井(なんじゃい)とか神農原(かのはら)などという変わった名前の上信電鉄の駅が・・・特に「なんじゃい」って、一体この名前は何なの、と言いたくなります。
上信電鉄では車体を絵や写真で飾ったラッピング電車も運行しています。



                                                                                                             
車内にも地質解説

    
                               
神成山は標高320mほどの、「山」というには低いなあ、という山。めだったピークがあるわけではなく、下の写真のように横長に連なっています。前回紹介した山名丘陵のような「丘陵」という感じがしてきますが、よく見るとまるっきり違います。
 
山の前面は切り立った急な崖・高さ100mの絶壁です。上から落ちたら・・・ちょっとぞっとしますね。
なぜ崖か・・・鏑川が削り取ったから。 本当なの??などと思ってしまいます。以前は川はもっと上を流れていたの?とか、いろいろわからないことがあります。川の力も恐るべし。なお、鏑川はいまは流路が少し変わったため、この崖のわきを流れてはいません。
 地質もまったく違います。山名丘陵は砂礫や泥で、ここ神成山はかこう岩の塊です
かこう岩といえば、石材によく使われるごま塩模様の硬い石を思い浮かべますが、ここのかこう岩は、平滑(なめ)かこう岩といって、黒い黒雲母などほとんど見られない、かなり変わったかこう岩です。チャートのように見えたりも・・・。6400万年ほど前のかこう岩で、強い圧砕作用をうけているとのことです。近くに中央構造線があるなあ・・などということが、あたまに浮かんできます。きっと関係あるのだろうなあ・・・
   この山頂部を連ねてハイキングコースがあります。




  歩いてみると、ザラザラと細かく崩れた石が道に散らばり、ずるっと足が滑る。滑って転んだ子に「何回目?」と聞くと、元気に「3回目!」、その後滑った時「4回目!」と、元気いっぱい。
「さすがに、かこう岩だねえ」と、妙に感心でした。顔つきからはあまりかこう岩らしくないこの石ですが、風化で細かくなりやすいというカコウ岩の性質を持っていた!

 かこう岩は風化で砂のようにざらざらになります。これをマサ土(真砂土)とよびます。「長い時間のあいだには」のただし書きがつきますが。
 石川五右衛門の辞世の句「浜の真砂(まさご)は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」の真砂は砂つぶのことでしょう。西日本にはかこう岩が多く、瀬戸内海の白砂青松の海岸の白い砂浜は、風化したかこう岩からできているといいますから、真砂からは、美しい海岸風景を思い浮かべたらよいでしょうか。

西日本では雨の多かった今年、広島では大規模な土砂崩れ・・・・・・
「またも起きた__もろい”まさ土”」などという見出しが躍っていました。多くの人命も失われています。

 

丘陵に育つ植物・・・・・その1  どんぐりのなる木

秋・・木の実の代表は「ドングリ」かな。    落ちていると、つい、拾いたくなる
  秋の一日、ちょっとドングリにご挨拶

ドングリのなる木にもいろいろあるの、お気づきだったでしょうか。冬に葉っぱを落とす木(落葉樹)のドングリ、常緑の木に実るドングリ・・・・神成山にも、4種類はありそう。

そのうちの一つがちょとめずらしいので、紹介を。                   
左写真で、名前はフモトミズナラ。
なんと、2006年に命名された・・・それまではモンゴリナラと呼ばれたり。ここでやっと学名をつけ、正式に認められたようです。 
どんぐりは下の写真。

少し詳しい方なら葉の写真を見て「ミズナラかな」、と思われるでしょうか。
でも、群馬南部地域で、標高300mのこんな標高の低い所にミズナラがあるわけはない。記憶をたどれば、みなかみ町の標高700m近でさえもコナラがたくさん育っていて、ミズナラはもう少し標高の高い所にくたくさん育っていました。
 
葉っぱはミズナラそっくりだけれど、樹皮はコナラに似ていて、ドングリをみると、ミズナラとはちょっと違う・・・頭がへこんでいます。似ているのが大陸にあるモンゴリナラ。
(ミズナラのどんぐりが手元になかったので、写真なしで、ごめんなさい。) 
 
 
最近の学問の進歩で、モンゴリナラとも違うことがわかったそうです。あらたに名前がつけられたとか。ですが、まだわからないことが多いらしい・・・コナラの仲間として学名がつけられていましたが、後からミズナラの仲間に変えたという記述もネットにありましたが、はて、何が本当のところなのか。「氷河時代の生き残りでは」、とか、「雑種では」とか、あれこれの見解も見かけました。未解決事項がたくさんあるようです

<分布>
主に愛知~岐阜の東海地方。さらにそこから離れた場所、北関東群馬県南部~栃木の低標高丘陵地。群馬では下仁田・南牧・神成。高崎でも見かけるかも。さらに桐生の丘陵。

<育つ環境>
砂礫層から花崗岩地帯の尾根のやせ地を中心に。

愛知県豊田市では、黒雲母花こう岩地帯だけに見られ、花こう閃緑岩地帯には全くないのだそうです。理由?・・・岩石の成分に原因があるのではなく、花こう閃緑岩では土壌が発達するのでほかの植物がよく育ち、そのため競争に負けてしまうから、と解釈されているようです。
極端な乾燥状態と発達の悪い土壌・・やせ地でほかの植物が育ちにくいところで生き残るということらしい。・・・・・・頑張って生きている。ご苦労様。

いっしょにはえているコナラの葉っぱとどんぐりは下写真です。葉っぱも実も、ちょっと違います。
写真の、大きい一つがフモトミズナラで、他がコナラのどんぐり。

(葉だけで区別するのは、実は難しいそうです。同じ種類でも葉の形がかなり違っていたり、あるいは雑種ができたりで、難しい世界だとのことです。特に、コナラなど、大変なようです。切って炭を焼いたおなじみの木なのですが)

神成山にあるどんぐりは,
フモトミズナラ ・ コナラ ・ シラカシ ・ アラカシ

下仁田全体では、もっと標高の高いところではミズナラのどんぐりも見られます。人が植えたものなら、他の種類も。

どんぐりの見分け方の表をのせます。この表、わかりやすいと思います。
 

種類の見分けはドングリで!
  と帽子(パンツ・殻斗)で見分けることがわかります。
                       (日本自然保護協会で作ったもの)
   フモトミズナラはモンゴリナラの名前でのっていますね。 
(栗やブナもドングリの仲間で載っていますが、文の中では、いかにもドングリらしい形のものだけを取り上げました)
   


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ずっと以前、下仁田自然学校で行った、どんぐりで遊んだ時の写真を紹介します。
 昔ながらの「どんぐりやじろべえ」  と  「どんぐりトトロ」
     (もっといろいろあったのですが・・・・
         箱の中に残っていたものの写真です)

 
                       (使っているどんぐりは クヌギとマテバシイ)




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丘陵から見おろすと、黄色く色づいた田んぼが、それぞれに、少しずつ色合いを変えて四角い模様を浮かび上がらせていました。ついこの前、田植えをしたと思っていたのに、早いなあ。(写真は山名丘陵です)

40年も昔、筑波山付近を走る
(だったと思う)列車の車窓の風景を見ながら、大学生の女性にこう聞かれました。「あれ、何ですか?」。
「エッ?」と聞き返してしまいました・・・外に広々とひろがるのは田植えを終えたばかりの田、風にそよぐ稲。
千葉の有名高校を卒業した彼女は、田んぼに植えられた稲を知らなかった!!

「なんということだ!」と目くじら立てられそうな話。でもついこの間、
「夏目漱石は稲を知らなかった」という話を知ってびっくり。あの漱石が・・・・稲からお米がとれることを知らなかった・・・
朝日新聞が掲載100年を記念して連載していた漱石の「こころ」に添えられた解説で知りました。

 自分が知っていることを他人が知らないと、上から目線であれこれうるさいことを言いたがるものですが、こころしていかねばなどと思ったしだいでした。
ちなみに、このことを書き残していたのは、友人だった正岡子規だそうです。

にんじんの葉っぱを知らない人なんてたくさんいるでしょうし、キャベツに花が咲くと聞いてエッと感じる人もたくさんいるでしょう。でも、お米や麦がどこでどう育てられ、どんな苦労がそこにあるのか、やっぱりみんなに知ってほしいですね。人は知らないこと、知らないものは大切にしませんから。


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