2014年10月23日木曜日

秋の木の実 ナツハゼなど

 
丘陵の木の実
 ・・・ 虫めがね一つでひろがる世界  ・・・
 

下仁田近郊の低山、神成山の尾根筋を歩いていたら、こんな木の実がなっていました。
小さくて(直径6~7mmほど)、黒くて、あまり目にとまりません。
でも、虫めがねを使って拡大すると、なんと、花模様がしっかり見えてくるのです! カワイイ!一緒に歩いていた子どもたち、「ほんとだあ」と喜んでいました。  これは花の咲いていたときのガクのあとです。
  これはナツハゼという木で、この実、食べられます。ジャムにもできます・・・と言ったら、子供の頃、このあたりで遊びまわったに違いない人が「食べたことない。いろいろ口に入れたけど」と。・・・何だか心配になってきました。これ、ナツハゼですよねえ。食べたことある人いたら、教えてくださいね。

”山渓ハンディ図鑑・木に咲く花”によると、ナツハゼは「かこう岩の土地を好み、関東ローム層の武蔵野や相模野ではみられない」とありました。へえー、そうなの・・・日当たり水はけのよい場所、酸性の場所というくらいならわかるのですが・・何しろツツジ科なので、ツツジの仲間はそんな性質を持っていますから。
 ここ神成山は、かこう岩でできています。高崎市の裏山、山名丘陵にもはえていましたが、ここは砂礫。みなかみ町の大峰山の北側の吾妻耶山にもあったなあ。ここは流紋岩質の溶結凝灰岩の山でした。流紋岩が深くで固まればかこう岩になるわけなので、成分的には同じようなものなのでしょう。
最初にこの実を教わったのは札幌市近郊の野幌の丘陵。食べられるというので、何となく名前をおぼえたようです。野幌丘陵は海でたまった砂や泥の地層でできていますが、表面には支笏火砕流堆積物が広くみられます。白っぽい色の火砕流で、支笏から札幌周辺に広く分布します。これも、「白い」ということは、成分的にはかこう岩と似ているでしょうね。
西日本はかこう岩が広く露出していますから、そんな地域では「かこう岩の所に多い」と言うことができるのでしょう。
こうしてみると、本当に、「かこう岩を好む」植物なのかも。地質と植物の関係・・・が少しあるかな

 地質と植物の関係と言えば、下仁田では、石灰岩地域を好んで育つ植物が数種類見られます。この関係は、アルカリ性の石灰岩の性質が関係します。

ところで、ネットで見ると、ナツハゼは園芸用に、またジャム販売用に、けっこう人気のある植物のようで、販売関係がたくさん載っていました。知りませんでした。

子どもに、実のなっているものに何があるかきいたら、左のものをあげた子がいました。
これに気づいたなんて、意外で、目の付け所に感心しました。

何だと思いますか?
ミツバツツジの実です。
こんなものには、なかなか目を留めないですよね。



その他、山名丘陵などで見かけた実を紹介します。

コバノガマズミ                           ガマズミ













              ゴンズイ (典型的でなくてわかりにくいですが )               クサギ(花の頃は蝶がよく訪れます)




 
ヒラヒラ飛ぶ木の実も紹介します。 機会があったら子どもと遊んでみませんか。
 
左はシナノキの実です。丸い実はほとんど落ちてしまっていますが、上の羽で、くるくる回りながら遠くまで飛んでいきます。これは羽の部分が6~7cmほどの大きさ。下仁田のホタル山公園に植えてありましたが、山にみられます。
オオバボダイジュやボダイジュ(中国産)もこんな実をつけます。大きさは少し大きめ。どこかに植えられているかもしれませんね。

くるくる回ってとんでいくものは、何でも楽しいですね。

 家のまわりに植えられたアオギリにも、ヒラヒラ舞う実がなります。舟のような形に丸い実がくっついていて、なんともかわいいものです。これを2階から落とすと、くるくる舞いながらとんで行き、ひとしきり遊べるわけです。
昔は家のまわりに植えられていたのですが、最近はあまり見かけないような気もします。
広島で、被爆して生き残ったアオギリを「被爆アオギリ」として大切にしている話を聞いたことがあります。広島市では被爆樹木として選定しています。この木を親とした2世は国内各地、さらに世界中に送られ、育てられているとのことです。多分、昔はよく植えられていた樹種だったのでしょう。ちなみに 、私の育った家にもありましたが、今はありません。
   アオギリの実                               実をつけたアオギリの木 背が高くなります
 

 ついでなので、川沿いなどによく見られる木の実も紹介します。
写真の大きい木、どれも同じように見えます。でも3種類写っています。
  左が皆さんよくご存知の ケヤキ。   右写真のいちばん左がエノキ、いちばん右がムクノキ。
  

どれもよくある木なのですが、なかなか区別がつきそうもない感じです。でも、実を見ると、一目でわかります。
 
  ケヤキ  右のように、小枝に実がついていて、これで風に乗って飛んでいくのだそうです。大きなケヤキの木に枯れたような葉がたくさん下がっていたら、それは種のついた枝かもしれません。

                    
                             







ムクノキ







黒みを帯びた実はムクノキです。
昔は子どもが食べたそうです。
今では食べるなんて、思いも浮かばないでしょう。鳥が運んできた種から、庭にはえてきたりして、邪魔になったりはしますが。

 赤い実はエノキ
エノキの葉は国蝶とされるオオムラサキが食べるといいますが、オオムラサキの住むところは、めったにないでしょうね。(エゾエノキというのは実が黒っぽいですけど・・

 

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 子どもたちに、ぱっくり口を開けた実を指さして、「これなんだ」ときいたけれど、みんな知らなかった。「ザのつくもの」のヒントでやっと当てました。ザクロです。
   そうか、「ガーネットのことを日本ではザクロ石とよんだ」なんて話しても、何のことやら
   わからないのだなあ。                                        

 
地味な草木たちですが、野山に出たとき、様々な自然が友達になれたら、うれしいことです。 

                               
                                                                                   

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