2016年12月17日土曜日

下仁田自然史館 小さな化石紹介



仁田自然史館に展示しているものをぽつぽつ紹介してきましたが、
今回は 小さな化石などの紹介を
 以前に解説したこともありますので、再登場もありますが、悪しからず。


化石整理をやっていたとき・・・
     
化石整理作業中
 

下仁田自然史館の校庭には、風にクルクルと落ち葉が舞っていました。
 そう、校庭・・・ここは以前は
      「青倉小学校」でした。
校庭に舞う「小さな小枝」、それと同じものが、整理中の化石の中にありました。

小さな小枝・じつはケヤキの実がついている 


ケヤキの実
兜岩層産出のケヤキ化石










 茂木伊一さん(故人)が集められ、寄贈してくださった兜岩化石コレクションは、昆虫も含め保存状態のよいものが多数あります。
今、頑張って、同定・リスト作成中です。


小さな化石 ・・・・自然史館にあるものの紹介

 顕微鏡を見た時、「面倒くさいなあ」と思いますか、「何が見えるか、ちょっとワクワク」と感じますか? 今年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さんは、「顕微鏡をのぞいていた時間の長さは誰にも負けない」と言っていたなあ。

 自然史館には「顕微鏡で見てね」というものがたくさんあります。顕微鏡の下にあるのは生き物ではありませんが、小さな化石、火山灰の中の鉱物などが見られます。

顕微鏡で小さな化石を見ます



火山灰に含まれる鉱物を見ます
透き通って宝石のようにきれいですよ
 
有孔虫・・・虫? どんな虫?
 

有孔虫  1650万年前
子供たちと化石採集に行ったとき見つけた有孔虫。割った石をながめていたら ゴマ粒のような小さな粒が目にとまった・・・
虫眼鏡で見たら、何やら模様が。 有孔虫でした。
小さいからってバカにしてはいけない。
有孔虫は、地層の時代を決めるのに とても役立ちます。
  写真の有孔虫について 詳しいことは私にはわかりませんが、海の地層からでています。写真もわかりにくくてすみません。
小さなカタツムリ風に見えました。

 フズリナ   

とても有名な化石です。これも有孔虫の一種。進化スピードが速く、時代を決めるのに本当によく利用されてきました。古生代という、はるか古い時代に生きていました。

フズリナ(みどり市 小平のものです)
米粒石ともいうだけあって、ちょうど米粒のような大きさ。
この仲間は下仁田町でも見つかりますが、数は少なく、きれいなものが手元にありませんので、今はみどり市大間々町小平のものを展示しています。
石(石灰岩)を切って、ガラスに張り付けて、薄くすり減らしたものです。米粒のような形のものの、内部の模様がよく見えます。
虫眼鏡でも結構よく見えます。
 ちょっと大きめなので、大型有孔虫 小さいけど、有孔虫にしては「大型」なので。
  

みどり市小平のものです
でも、これ、、虫?   

 有孔虫はアメーバが殻をかぶったようなもので、この殻の小さな穴から、アメーバ本体が手足を伸ばして生きていた・・などと説明しているのですけど。
ですから、虫ではなくて、原生動物になりますね。
有孔虫の仲間は5億年ほども昔から生息していて、今でもいる、という”つわもの”。石垣島のお土産で知られた「星砂」は今生きている有孔虫です。石灰質の(炭酸カルシウム)の殻をもっているので、なるほど、石灰岩のもとにもなったというわけ。
フズリナの説明で以前に書いたのは、以下です。
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_11.html

レピドシクリナ


これも大型有孔虫。これも、出てくると時代が決まり、当時暖かかったこともわかるので、とても有名。時代は新第三紀。 ここに展示してあるのは すべて下仁田産です。
       顕微鏡で見ると、右下写真のように見えます。大きさは、写真のはちょっと小さめかな。3㎜くらいの大きさのものも たくさんあります。


   
                  レピドシクリナ  下仁田町産出  
                          写真 中島啓治さん

黒いのがレピドシクリナ
肉眼で見ると、左写真のように見えます。
化石の入っている石を切って 磨いたものです。石は、石灰岩。
フズリナの入っていたのは古生代の石灰岩ですが、こちらは新第三紀の石灰岩。石灰岩といっても、砂っぽい石です。

レピドシクリナの解説は、以前、のせたことがあります。
http://geoharumi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
 


沖縄のビーチの砂。矢じるしの所にあるのは・・・
現在の海の有孔虫の殻の写真も載せましょう 。沖縄のビーチには白い砂浜が広がっていま
す。関東周辺の海岸とは、ずいぶん違います。

顕微鏡でのぞくと・・・砂粒ではないものが・・
この「砂」に塩酸をかけると、泡を出しておおかた溶けてしまうのです。
さらに顕微鏡で見ると・・・とげとげの付いた粒や、アンパンみたいな形で表面に模様がついているのがあったり(写真の矢印など参照)
小さな巻貝のようなのもあり、これは本当に巻貝かもしれませんが、とげとげのものは、星砂のようだし、きっと有孔虫。”アンパン”も。
サンゴのかけらや貝殻のかけら、それに有孔虫などが混じって「砂」になっているようです。これを見ながら、太古の昔に思いをはせたら、ちょっと身近になるかも。


   沖縄の砂も、顕微鏡で見るようにしてあります。沖縄まで行かなくても、有孔虫はみられるかもとは思いますが、具体的には見たことはありません。なお、サンゴや有孔虫は波に洗われて砕けてしまい、小さな白いかけらだけで、元の形がわからない砂浜もあります。 
 
他には、放散虫という、これも小さなかけらのような、とても小さい化石もあります。これは塩酸では溶けず(ガラスのような成分)、時代決定では大活躍のものです。
 地球の歴史を解明する小さな化石たちの「実力」、すごいものですね。
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八ッ場ダムの見学に行ったときの話

前回、遺跡発掘の話を書きました。発掘事業団の人に丁寧に説明していただいて、貴重な経験をさせていただきました。
 この見学会は、群馬の県議会議員が出かけた時に、一緒に参加させてもらうという機会を得たものでした。午前は遺跡、午後は本体工事の始まったダム建設場所の視察でした。
国土交通省としてはあまり来てほしくないメンバーだったことでしょう、入れる場所については、最初からすったもんだの末の当日だったようです。案内は1時から30分間だけといわれていたとかで、ぴたり1時に国交省メンバーは待ち合わせ場所に到着。ぴったり1時半には終わりにしました。入れる場所は、ゲートの中ではありますが、現場を上から見下ろす場所で、普通の人でも入れてくれる場所のようでした。
 じつは、ネット上には、ダム工事中のまさにその現場に一般の人が入っていて、岩盤を磨いたりして、「誰でもいけるよ」などと、自称ダムライターが写真付きで楽しそうに紹介しているものが投稿されていました。議員が同じような場所に入ることを希望していたわけですが、「それは特別の時で、工事も中断している時だから入れた」と。
たしか、以前、ダム骨材の砕石を運ぶベルトコンベヤーが通るトンネルの中を視察したいと、これも別の県議だったと思うが、要望しても、あれやこれやで、結局は入れなかったことがあったと聞いた記憶があります。でも、先のダムライターは、そのトンネルにも入って、写真付きで紹介していた・・・露骨なもんですね・・・当然か・・・
 国交省の説明は、人当たりの良い陽気なキャラクターの人がにぎやかに説明していたのですが、他に何人か後ろに1列に並んで黙って無表情に控えていました。
  めったにない経験をしました・・・

地域の神社 

ダムの下流にある神社、松谷神社に立ち寄ったとき、灯篭に、張られた半紙に、墨で黒々と文字が書かれているのを見ました。それぞれ思いを込めて、地域の方々が書かれているのでしょう。
春、秋で貼り替えているのでしょうか。地域の方々の誠実な姿が見えるようでした。

この神社に伝わる踊りは、文化財として大切にまもられているらしく、解説が書かれてありました。
 松谷ささら獅子舞 です。

 「文化財 一に観賞 二に感動 三に進んで保護しよう」

と書き添えられていました。これを見ただけで、ここの氏子の皆さんのファンになりそう。息づいてきた文化の香り、日々の暮らしを大切にし、生きてきた方々なのでしょう。
灯篭には墨で黒々と書かれた句や言葉が貼られていました。 
いくつかを載せましょう
                                                         






春と秋には張り替えられるらしく、
季節の言葉が書かれてありました。
メモしてあったいくつかを紹介すると

陽春  柏餅  薫風  立夏
天地皆春

「農のうた 詠みつつこの地に老いゆかむ 
浅間隠しに日沈みゆく」

「山菜を届けてくるる友ありて
夕餉の卓にあふるる春の香」


 






 

八ッ場ダムのすぐ下流の地域にある神社・・・・
 貼られた中にある言葉・・・・  ここは残ると    安堵す ・・・こんな気持ちがわいてくる地元の方々、これからも地域の文化を守っていってください。




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