2018年7月28日土曜日

豪雨水害、日本は自然災害の多い国なのに

日本は自然災害の多い国 
     頭に叩き込んだ方がいいですね

今、台風が東から西へ向かっている・・・考えられないコース・・・
この夏の酷暑・・・
  今までにない気象現象が頻発する日本・・・いえ、「世界でも」らしい。
  気候変動が起こっていると、誰もが思わずにいられないのでは。

 西日本の豪雨災害は、本当に痛ましい。200名以上の方が亡くなっています。
そのあとの猛暑。私など、クーラー使っているのに、何だか頭痛がしてきそうな気分で何もしたくなくゴロゴロ過ごしていたのに。被災された方々、あの暑さの中、水もなく、お風呂にも入れず、体育館などにいたのでしょう。いたたまれない。
 台風は、今、西日本方面に向かって、西方向に移動中。また崖崩れなど起こらねばいいのですが。せっかく運び出した土砂が、また流れ込んだりしなければいいのですが。

 西日本地域の、崩れやすい風化した花崗岩のマサの地質は、より一層、土砂崩れを招いたでしょう。土砂に家が巻き込まれて亡くなった方がたくさんいます。平地も少ないですね・・・
 そんな中で、水に沈む町がニュース画面に大きく映し出されていました。川の水の災害を考えてみました。


  • 岡山県倉敷市真備町 小田川の堤防の決壊で51人死亡、地区の3割、120haが浸水。
  • 愛媛県西予市 ダム放流量急増 河川で車ごと流されるなどして5名死亡


日経新聞7/17付


愛媛の例を見てみます。
 左図は西予市を含む地域の、当日の状況です。
肘川という川が流れ、2つのダムがあります。図の野村地区で5名の死者が出ています。ダムの放流が原因ではと。
ところでここは、洪水ハザードマップを作成していなかったことも判明。

4日後の11日、国交省が記者会見をしました。ずいぶん遅いなあ。 で、何を言ったかというと

放流はやむを得なかった」
「住民への周知も適切だった」

何のことはない。
『自分たちはやることをちゃんとやった。自分たちは悪くない』
と言っているだけ。

『下流域の被害は予想されたが、想定外の雨量でやむを得なかった。午前5時10分ころから大州市に連絡していた。放水の1時間以上前、警報のサイレンを鳴らした。』 『3台の車両や流域にあるスピーカーなどで注意を促した』

  聞いてない方が悪い? 
 自分たちは全力を尽くした。いえ、決められたことはやった、ですね。
仕事として決められたことはやったのだから、自分たちに責任はない、としか聞こえないでのですけど・・・オリンピックや高校野球じゃないのだから、一生懸命やったのだから、それでいい、というわけにはいかない。
 
 地元の方々は、『警報は聞いていない。明け方で、土砂降りの中で聞こえなかった。午前8時過ぎに近所の人からの連絡で気づいた。津波のように押し寄せてくる水を見た。ダムが自分たちを守ってくれると思ってきたのに』など。こんな未明に、大雨の中、警報なんて聞く人ほとんどいないよね。

ダム流入量と放水量のグラフがあります。

八ッ場あしたの会HPより
 以下に、解説の一部をのせます。

「いかに急激な増水だったかがわかります。
ダムがなければ流量の上昇には4~5時間かかりましたが、ダムがあるために、ダムからの放流で流量上昇時間が1~2時間に短縮され、しかも、そのうちの数十分で流量が急上昇しました。」「ダムの放流水は殆ど高いところから落とされるために、スピードが加速されて下流を下ります。そうすると今までの速さで流れているところにぶつかって水が掃けなくなります。ダムが放流した場合の先端は津波のように立ってくるので、堤防を越えやすくなります。」

当日は安全放水量の6倍の水が放水されました。放水しないと、コンクリートのダム部分は大丈夫でも、まわりの岩が削られて、ダムが壊れる、ということのようです。ダム決壊だと、大変な被害を生むでしょう。
 おりしも、7月23日、ラオスで完成まじかの建設中ダムが決壊し、数百人が行方不明、洪水が6つの村を襲い、6600人以上が家を失った、っというニュースが飛び込んでいました。

「ルールに基づいた処置だった」 だから、正しい?
「そりゃ、ルールがまずいんじゃないの。もう少し他の方策も考えなくちゃいけないんじゃないの」というのが、普通なら考えることじゃないのだろうか。同じ過ちをくりかえさないためにはどうしたらよいか、考えなくては。亡くなった方々へのまなざしを感じられない。

「ダムがなければ、もっと被害は大きかった」 関係者は口をそろえているといいます。
「異常時の放水は仕方ない」         これも同じく

 でも、「想定を超える大雨が降ると、ダムが無力になり、洪水は防げない」
これは以前から言われ続けていることだとか。無視されていますが。

・ダムの治水効果を過大にアピール
・ダム治水の限界、ダムの危険性の周知の努力を、ほとんどしてきていない
・ダム建設に予算の多くをつぎ込んでしまい、堤防強化や河川改修という、もっと安くて短時間にできることをやってこなかった

これらも、ずっと言われ続けてきていると思うのですけど。

多くの方が亡くなった岡山県倉敷市真備町、ここは河川改修を行う直前だったと聞きます。
高梁川にそそぐ小田川の堤防が決壊していますが、支流の小田川の水が水量の多くなった高梁川に入れなかったことからの結果といいます。高梁川には5つのダムがあります。それでも、防ぐことはできなかった・・・関係者は「ダムがなければもっと被害は大きかった」と口をそろえるようですが、ダムを一つやめて、そのお金で堤防強化・河川改修を早くやるべきだった、とは、誰も言わないのですね。
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ところで、この間、政府のやってきたことが腹立たしいので、時系列で書いてみると
 
5日午後2時  気象庁 「西日本と東日本で記録的大雨のおそれ」と発表
     5日夜  自民党中心人物たち、赤坂で宴会。安倍首相、政調会長、
         総務会長、防衛大臣、法務大臣、国交大臣・・・ 
         しかも水害の中、ツイッターで写真付きで知らせている者も
6日午後9時50分  倉敷市小田川に氾濫警戒警報  10時29分 氾濫危険情報
7日午前0時30分   小田川に氾濫発生情報
    1時34分  国交省 小田川の堤防決壊確認  0時30分 2か所目の決壊確認
7日朝      愛媛・肱川 氾濫
      11日 国会は”カジノ法案”審議入り 石井国交大臣はこの法案の担当相で、
        カジノ法にかかりきり
13日  安倍首相 被災地訪問  
      15日未明 カジノ法、衆院内閣委員会で可決
16日  国交大臣 被災地訪問

この後、カジノ法成立、参院定数6増の成立

この人たちがどこを向いているのか、考えるだけでも暗くなる。
この人たちに、命を預けてはいけない、と・・・つい、長々と書いてしまいました。
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今回のことで、私は実は、とてもザワッとした嫌な感じを受けました。
「決められたことをきちんと果たしたのだから、私は正しい」
  これをちょっと変化させると
「言われたことをやっただけ。だから、責任はない。私は悪くない。」

これって、かつて、たとえばナチスのユダヤ人虐殺等で、実際に役割をはたした人たちが言っていたこと。日本軍でも同じ。自分に責任があると思っていない。
それに関した、有名な心理学実験もある。実験だからと言って、別室の見えない人に電気ショックを与えて、だんだん電圧をあげていく実験(本当はこれはウソ。電気なんか流していない)。相手が苦しんでいる声をあげるのに、多くの人が電圧をどんどん上げていっも、なかなかやめようとしない。言われたことだから、やりとげなくてはいけない、と。

つい最近知った、ナチス宣伝相のゲッペルスの秘書をしていた女性の映画の宣伝についての一部を紹介します。

「何も知らなかった。私に罪はない」。ナチス宣伝相ゲッベルスの秘書が、103歳にして沈黙を破り独白する。オーストリアのドキュメンタリー映画「ゲッベルスと私」が公開される。強大な権力に対し、自分を殺し従順に生きるか、声を上げる勇気を持てるか。今日的テーマを持った作品だ。

 ブルンヒルデ・ポムゼルは敗戦までの3年間、秘書を務めた。紳士的な上司の下で指示された仕事を忠実にこなし、ユダヤ人女性の親友の窮状に接しつつもホロコーストについては何も知らなかった、と語る。

 「知ろうとせず、目をそむけた。しっかりした知性の持ち主の彼女がそうしたのは、ある種の自己防衛。戦後、『何も知らなかった』と言い続けたのも自己防衛だろう」と、共同監督の1人、フロリアン・バイゲンザマーは語る。

 反ナチ運動「白バラ」のショル兄妹の処刑について「残酷だった」とポムゼルは言いつつ、「黙っていたら彼らは生きていたのに」。そして金庫にしまった裁判記録に興味があったが、「忠誠心から見なかった」と誇る。
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自分は正しかった、人はそう思いたがるのではありますが・・・
話がちょっと飛躍しすぎたかな。

書き忘れていました。最後に東京新聞の7月13日付から
  「ダムにつぎ込んだ人手、熱意、資金の何分の一かでも 防災教育と避難訓練に
    まわしていれば」

資料の多くは八ッ場あしたの会のHPから使わせていただきました。

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