山と川・・・日本ならどこにでもあって、誰にとっても懐かしく思い出せる風景があるのではないでしょうか。
そこでまず、地形から話を始めようと思います。
1 地形と地質
①
山の形には意味がある
1.
平らな山、荒船山
登山者にも人気の山です。
ずっと昔、溶岩が平らな地面(湖の底)に流れて固まりました。
そのまま傾いたり曲がったりせずに今に至っているので、その平らな面により、長い平らな稜線を持つ、不思議な形をした山・荒船山ができたというわけです。
ずっと昔、溶岩が平らな地面(湖の底)に流れて固まりました。
そのまま傾いたり曲がったりせずに今に至っているので、その平らな面により、長い平らな稜線を持つ、不思議な形をした山・荒船山ができたというわけです。
何しろ山頂に平坦面が1.3kmも続くのです。
2. とがった山、小沢岳
山頂付近はチャートの岩峰。チャートは非常に硬いので、けずり残されて、とがった山になりました。稲含山も同じです。
下仁田自然史館から見た
小沢岳
稲含山(いなふくみやま)も
山頂はチャートの山です
絵
堀越武雄さん
3. 突き出た山、鹿岳
かつてのマグマの通り道(火道)がそのまま固まりました。周囲は火山灰と火山角礫が混ざりあって固まった凝灰角礫岩で、雨風で削られやすいので、削られなくなってしまい、硬い火道だけが残って見えているというわけです。これを岩頸(がんけい)とよびます
真ん中の2つのこぶが鹿岳
左が四つ又山
右は落沢方面
流れる川は鏑川
拡大してみました 手前の山は川井山
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「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」の詩で知られる宮沢賢治が、地学大好き人間だったこと、ご存知ですか。野山をめぐり、石を集め、生徒たちに教え、専門用語も使いこなしていたことを。
地質学者の宮城一男さんが、賢治の作品の中の地学的要素を取り出して、本に著しています。その中から 岩頸について書かれた部分を紹介しましょう。
「楢ノ木大学士の野宿」という作品.
ごく上等の蛋白石(オパールのこと)を見つけてくれと,成金からの依頼で出かけたけれど・・といった筋立てです。野宿の場所から見える4つのとがった山々について書いている部分です。山にはちゃんとモデルがあるようです。これらを見ながらつぶやくのです。
「ははあ、あいつらは岩頸だな。岩頸だ、岩頸だ。相違ない」
・・・そして講義をはじめるのです。
「諸君、手っ取り早く云ふならば、岩頸といふのは、地殻から一寸頸を出した太い岩石の棒である。その頸がすなはち一つの山である。えゝ。一つの山である。ふん、どうしてそんな変なものができたといふなら、そいつは蓋し簡単だ。えゝ、こゝに一つの火山がある。溶岩を流す。その溶岩は地殻の深いところから太い棒になってのぼって来る。火山がだんだん衰へて、その腹の中まで冷えてしまふ。溶岩の棒もかたまってしまふ。それから火山は永い間に空気や水のために、だんだん崩れる。たうたう削られてへらされて、しまひには上の方がすっかり無くなって、前の固まった溶岩の棒だけが、やっと残るといふあんばいだ。この棒はたいてい頸だけを出して、一つの山になってゐる。それが岩頸だ。・・・」
いかがですか。取っつきにくい専門用語を,楽しく解説していると思いませんか。
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