2014年5月4日日曜日

下仁田の化石 その4  大型有孔虫・レピドシクリナ , アカヤシオ


アカヤシオに染まる西上州の山

下仁田南西部、南牧川から南には古い時代の地層・秩父帯の岩石が分布しています。固いチャートなどの岩石は岩峰をつくり、そこにはツツジの仲間が姿を見せています。
 5月2日に南牧の烏帽子岳に行ってきました。感激するほどの満開のアカヤシオ!



アカヤシオ(アカギツツジ)
この地方ではヒトツバナとよびます


    














 








アカヤシオは、山頂付近や尾根すじに群生しています。この明るいピンクは、何ともいえずいい色。
少し下には、明るい紫色のミツバツツジもポツポツ咲いていましたが、写真を撮り忘れ。同様にぽつぽつ見えるサクラも。
ツツジの花付のよいのは1年おきなどと聞きます。来年はこれほど。たくさんは咲いてくれないのかな・・・

烏帽子山頂は360度の眺望で、山々の名前を次々と教える人もいましたが、私だと間違いだらけになるので、山の名前は無しで、写真だけで。




        



野山の植物を盗掘する人たちがあとを絶ちません。
以前はこの地域でも、こういった花がもっと普通にあちこちで見られたという話を聞きます。
もっと身近な近所の岩壁に、こんな花が咲いていたのでしょうか・・・・・
事実、植物には絶滅危惧種のリストに入ったものがたくさんあります。

自然は国民の大切な財産です。一度破壊すると取り返しがつきません。
皆の目で自然を守り、盗掘を許さない気風をつくりたいと、心から思います。


今回見かけた他の花も、以下に紹介します。 林の木陰に見られる花などです。
フタバアオイの花
フタバアオイ 徳川家の「葵のご紋」はこれだそうです
                   


ハシリドコロ 有毒で有名 花色はシックな趣
ネコノメソウ 湿った沢沿いのどこにでもありそう




エイザンスミレ

シロバナエンレイソウ

ワチガイソウ  小さな花もよく見るとかわいい




ハナネコノメ          
チドリノキ  この葉っぱでもカエデの仲間です。
沢沿いにたくさん見られます
目立たない木の花はほかにもありそうですが、今回はこれだけで
                                             
ヤマエンゴサク
                                         

ところで、この山、登りはじめたら、なんと、沢はいまだに雪にうまっている!北方面向きの斜面ではあるけれど・・・・・
登山道はこの沢沿いにつけられているので、この雪の上を歩く羽目に。群馬県南西部の1182mの山なんですけれどもね。
足元注意で、下りには、「雪の上だから、滑ってもけがはしないよね」などと言いながら歩いていたら、ちゃんと滑って尻餅をつきました。

今年の大雪のために、今になっても雪が残る光景になったようです。例年の今頃は、雪なんて無い、と聞きました。


下仁田の化石   大型有孔虫


レピドシクリナ

有名な大型有孔虫・レピドシクリナ ・・・・ これが下仁田の地層の中でみつかります。
  下仁田自然学校の本と、運営顧問の堀越武男さんのかかれた案内プリントによって、紹介してみます。


大型有孔虫って何?

下仁田の大型有孔虫の写真をごらんください。       写真は下仁田自然学校・下仁田町と周辺の地質」より
大きさに注目・・・目盛りの付いた写真で見ると・・・3mmほど・・・ちっとも大きくない・・・・
 じつは「大型」というのは、「有孔虫のなかでは大型だ」という話。つまり、もっと小さい有孔虫がたくさんあるという話になりそうです。
下の写真は、ガラス板にはり付けて薄く擦り(プレパラートにして),顕微鏡で見て撮影したものです。
                              





この有孔虫のはいった石(石灰岩)のかけらを切った小片が、手もとにありました。
下の写真です。ものさしの1目盛りは1mm



                  どれが有孔虫?

 楕円をつぶしたようなかたちの黒い部分が有孔虫。
     どうして黒いの?・・・・わからないのですけど・・・・どなたか教えてください
  野外では、石灰岩の風化した面で、よく見えます。ハンマーで割った面では、むしろわかりにくいので、まずは落ちている石の風化している表面をさがしてみるとよいかも。

        下図が含まれる有孔虫です
        化石は90%以上がレピドシクリナだそうです。



虻田(あぶた)という地名の場所で産出しますが、ここは新生代の有孔虫の紹介では必ず出てくる地名といえそうです

<これらの化石からわかること>
 地層の堆積したのは第三紀の後半から新第三紀のはじめで、暖かい海だったこと。に
  日本では新第三紀、2,000万年前~1,100万年前のものがみられます。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・

この化石を含むのは富岡層群の井戸沢層という地層で、約1600万年前の地層になります。井戸沢層の最下部に火山灰の地層(凝灰岩)があり、この凝灰岩の年代が1650万年と測定されています。ですから、有孔虫のつもった年代は、これより少し新しいことがわかるのです。

井戸沢層は泥岩が主ですが、細粒の砂岩と泥岩の互層のところもあり、虻田では泥岩の礫を含む石灰岩層もみられ、その中に有孔虫の化石がたくさん含まれます。ですから石灰岩といっても、真っ白な青倉の石灰岩とは顔つきが違い、砂の混じった石灰岩です。
また青倉のものは古生代の石灰岩で、虻田のものは新生代で、時代もだいぶ違っています。



l  有孔虫って何?

石垣島の 星砂・・・有孔虫です
アメーバが殻のなかにいて、殻の孔(あな)から体を出しているというイメージ

石灰質の殻を持つ単細胞の生物。
大きさはふつう数mm以下。
たいていは石灰質の殻を持ち、殻にあいたたくさんの小さな穴から、針か手のように体を出して生活しています。
暖かい海の砂浜の砂をよく見ると、有孔虫を見ることがあります。小さなビンに入れて売っている石垣島の「星砂」も有孔虫の一種。
ふつう海にいて、多くの種類は海底にすみますが、浮遊して生活するものもあります。 
   
この仲間は、はるか昔、古生代の最初、カンブリア紀からいたというから、スゴイ。
小型のものなら、いろいろな場所でたくさん見つかるし、進化も早く、どんどん変化するため、今では地層の年代を決めるのに、大活躍しています。特に、浮遊しているものは、広い地域で見つかるので、遠く離れた地域を較べるのにも、とても役立つわけです。
環境によっても種類が変わるので、昔の環境を推定するのにも、便利に利用。
ちいさいけど、すごく役に立っています。
その昔は石油をさがすのにも使われました。





なお、同じような小さい化石・放散虫と混同してしまいそうですが、放散虫の殻は石英の成分、有孔虫の殻は石灰岩の成分・炭酸カルシウムで、まるっきり違います。









  ・・・・ 季節の便り ・・・・・

 絵手紙 小林生子さん
タケノコの季節ですね

土から出てくる姿は、毎年ニュースにも取り上げられます。

このタケノコは孟宗竹で、もっぱら食用。
養蚕地域の農家の裏にあった竹藪の竹はマダケです。
  違いをご存知ですか?
  見分け方を下にのせます。
  ご参考に。

カゴやざるなど、日常生活用品から養蚕の道具まで、様々なものをつくった竹はマダケです。村には竹で器用に様々なものをつくる方がいたものです。

マダケのタケノコはもっとあと、6月ころに出てきます。少し苦みのあるタケノコで、地元の人が食べる程度でしたが、最近は直売の店頭にならぶので、味を覚えた人も増えてきたかも。




 








この季節
  5月のさわやかな風を楽しみませんか

    白い花の房を下げて、アカシアが咲き出しています。世界中どこでも、この花の咲いている
    時が一番いい季節だと聞いたことがあります。本当にそうだと思います。
   


<アカシア>・・正式名はニセアカシア、またはハリエンジュ。「アカシア」は正確には、まったく違う植物をさします。熱帯原産で、アフリカやオーストラリアに多い木のことで、切り花で使うことのあるミモザはこの仲間になります。
ニセアカシアの花は天ぷらなどで食べられますが、葉や実は有毒です。ご注意を。
明治時代、北アメリカから日本にやってきた外来種。お日様がよくあたってじめじめしていないところならどこでも育つ、つまり荒れ地に最初にはえて、緑にしてくれる、そんな木、パイオニアツリーという言葉にぴったりの木。一度はえると次々芽を出し、絶滅困難。じつにたくましい。
川沿いなどにはびこり、現在は要注意外来植物とされて、生態系を乱す困りものと認定されています。在来の植物を追い出し、衰退させてしまうからです。
蜂蜜のとれる木としては重宝されてきたのですが・・・

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