2014年12月7日日曜日

地質案内 その3 クリッペ

下仁田地質案内  その3

下仁田の地質でいちばん有名なものーークリッペ    でしょうね

2009年発行の「下仁田町と周辺の地質」の作成にあたって、下書きで書かれたものなどから、解説を載せてみます。(下書きを載せることになってしまいますが、お許しを)



下図の色塗りした部分がクリッペになります。
 
立体的イメージの図もあります。








図では黄色部分がクリッペ(根なし山)、ナップです。「どこからか横滑りしてきた大地の塊」がナップで、そのうち「ナップがけずれて、一つの山の形になっている」のを,特にクリッペとよびます。
下仁田ではクリッペという言葉がよく知られているため、説明するときに、少し広めに使うこともあるかもしれません。
ナップ部分は南牧川や栗山川のほうに伸びています。下の図でごらん下さい。下郷(しもごう)や宮室(みやむろ)、高倉といった地域まで見られ、クリッペ・ナップの下は結晶片岩ばかりでなく、秩父中古生層の部分もあるのがわかります。中古生層との境が直接見える場所は、残念ながら知られていないようです。



クリッペと下にひろがる結晶片岩との境目は水平に近い断層です。この断層がいちばんよく見えるのが下仁田自然史館のすぐわき。ジオサイト(観察場所)として、有名です。

写真の左から右上にかけて見える線状の境目が断層面です。断層の上が跡倉層の砂岩、下が破砕されてグズグズになった結晶片岩(御荷鉾緑色岩・青岩の石)です。  
     写真 下仁田自然史館
                                
以下が解説です。なお、今の自然史館は、元青倉小学校でした。

  • 断層の上盤は、跡倉層(中生代白亜紀、8千数百年前)の砂質泥岩で、よく見ると、堆積後の変動が原因の大小のひび割れが見られます。
  • 下盤は、青岩公園と同じ緑色片岩ですが、ひどく破砕されています。断層面の近くでは、暗緑色の蛇紋岩ができ、塊状になって、表面が磨かれた状態になっています。
  • 青倉川の浸食作用で、河床近くの下盤がけずりとられ、上盤がおおいかぶさる形になっていますので、上盤の断層面が見られます。上盤の断層面には、鏡肌、条線が見られます。断層の動きによってできた線構造で、動きの方向を示しています。
  • 断層の走向はN70°W、傾斜は北東へ25°です。
  • この断層は、すぐ下のフェンスターとともに、クリッペのすべり面がもっともよく観察できるところです。

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クリッペの底の断層は他の場所でも観察できて、いちばん見やすいのが自然史館わきの断層というわけです。他の場所も少し紹介します。







上に紹介した断層のすぐ下流。フェンスター(ウィンドウ)という現象がみられる場所で、断層面もみられます。


左写真の岩の境目が低角断層です。断層下の結晶片岩は、強い力で破砕されて、グズグズです。

ドイツ語がフェンスターで英語がウィンドウ。最近はウィンドウとよぶことが多いようです。英語の表記に変えていっているのかな・・酸性度を現すpHも、ずっと昔からドイツ語読みのペーハーと呼んでいましたが、最近はテレビのニュースでも英語読みのピーエイチといいますね。)


下の図がこの場所の概念図です。写真を入れる場所が、仮のスケッチになっていますが、上に紹介した写真は真ん中のスケッチ部分です。
  図の「道路面」の道を左方向に行くと、自然史館があります。上に説明した大断層も
  図の左手にあります。


いろいろな説明を描いているので、同じ場所の少し詳しい説明もあります。下に紹介してみます。
なお、川辺は川の流れの変化・大雨の時の土砂の流出などで、見え方が変わってしまうこともあります。
鏑川用水:大崩山をくりぬいて流れていきます。
 


 最後に、この付近で見られる地質現象をまとめた図をのせましょう。





クリッペの底の「すべり面」は 自然史館のあるこの付近でよく観察できるのですね。


「跡倉礫岩 」というのは、跡倉層群のいちばん古い部分ですが、かつて、有名な礫岩でした。
「礫岩だ」
「いや、火成岩が地下で圧砕されたものだ」などという論争が繰り広げられました。長い間多くの研究者によって研究議論されたのです。
長源寺橋付近では、水に洗われて、この礫岩がくっきりきれいに見えます。
硬く固結して礫が変形したり切断されたり、形がぼやけてみえるところなどがあったりします。







  このブログで以前にも簡単にクリッペの紹介をしています。ダブるところも多いですが、これもお許しを 。以下のページで紹介しました。
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=481530670025045050#editor/target=post;postID=2867420626418628404;onPublishedMenu




クリッペの形成過程の説明も、下に紹介します。
次回は、別のコースで、クリッペの紹介をします。

 

 





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