2014年8月4日月曜日

真夏の風景・平標山お花畑

夏です

     絵手紙はすべて 小林生子さん



前回引き続きで、夏の暑さに負けそうな気分です。

モクモクと沸き立つ雄大な入道雲は、そのまぶしさにちょっと見とれます。
 夕立雨で涼しい空気を送り込んでほしい。
 ただし、あまりひどい雷でなくて・・


早朝散歩をする人が目に付きます。
朝はさわやか。

たんぼの稲の葉の先っぽには、危ういバランスで
透きとおった水の玉がのっています。
 田んぼ一面が朝日にきらめくすがたは、朝早く
 外に出た人へのプレゼントです。









すぐ近所の田んぼでは、通りかかるたび、何羽ものアオサギが見られました。きっと何かたべているのだろう、オタマジャクシかなあ・・・やっと長靴を持って行ってみたら、そのときから、もうサギはいなくなていました。



寝苦しい夏の夜ですが、こんな姿を思い浮かべて・・




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暑い盛りは、やっぱり,高山は魅力的。

1ヶ月前に行った、平標(たいらっぴょう)山に、また行くことになりました。ベニヒカゲという蝶を探そうという人たちと一緒に。近年数が減って、絶滅危惧種のリストに入っている蝶で、本州では標高1500m以上の丈の低い草原が生息地です。昨年(?)に1頭みかけたので、今年もというわけです。

目的の蝶には出会えなかったのですが、山の魅力はいっぱいでした。
シモツケソウ・ハクサンシャジン・タテヤマウツボグサ・ハクサンフウロはじめ、多くの花たち・・    道沿い、草原が花いっぱいの場所もありました。
登るには,ガイドブックにあるコースよりも,松手山経由で登る方がいいな,と思います。下りながらお花畑を見るより,のぼりながらお花畑を見る方が、ステキです。それに、ガイドブックコースは最初が単調な林道で,その先が長い上り階段を延々と登るし・・どちらにしても,ぐるっと廻って,同じ所に戻れます)





山頂付近には頁岩(シェール)が少し顔をのぞかせていますが、岩は小さく砕け、ガレ場となっています。暑さ寒さの繰り返しで砕けていく、教科書的にいえば物理的風化の様子がよくわかります。
                                             ところで、この石、海の深い所につもった泥が硬く固まったものと思われます。そして、この山の下には花崗岩の仲間(閃緑岩でしょうか・・)が広がります。下から押し上がってきた頁岩の名残ともいえるのでは。                     (たまたま手元にあった谷川連峰の簡単な地質断面図を見ながらこう書いているわけです。平標がやっと引っかかって載っていました。谷川岳付近などは複雑な地質がひろがっていて、何だか難しそう。 仙ノ倉山や三国山は泥からできた頁岩が見られるのですが、谷川岳では蛇紋岩や結晶片岩の仲間などというちょっと特別な石があったりします。ますますよくわかりません。でも歩くとき,そこの岩石・地質の知識を持って歩くと,また楽しみが増すのではないでしょうか)       
とにかく、富士山や浅間山のような、火山の噴火でできた山ではないわけです。

食虫植物モウセンゴケ 花をつけている
キンコウカの咲く湿地

頂上からわずか下からは所々湿地がみられ、泥炭もできています。水を通さない層ができていて、湿地になったりするわけです。モウセンゴケが白い花をつけ、黄色いキンコウカが満開でした。



上写真は湿地で、黄色いキンコウカが一面に咲いていました。(写真ではちょっとわかりにくかったのですが)  右は同じ付近の斜面ですが、ササに覆われています.


高校生の頃、この山で池塘調査をしたことがある人がいて、「草滑りした」と。楽しかった・・今なら
しかられますけど。そのときは草原がひろくひろがり、ササはこんなになかったはずだと。
目的のベニヒカゲは草を食べてそだつ蝶で、この草原の減少が生息数の激減に結びついているのではと・・・
ササの進出があちこちいわれているようです。気候の変化の影響などあるのかも。


仙ノ倉岳山方面を望む  ササにダケカンバが映えて
尾根筋では、ビュンビュンと数匹のアマツバメが飛んでいました。まるでブーメランがとんでいるよう。
     カッコイイ!! 
  目の前近くを身を翻していく。風を切る音まで聞  こえてくる。
    けっこう大きいのにも、びっくり。 
 

そのスピードに目を見張りました・・時速170kmとか、いろいろ書かれてましたが・・、水平に飛ぶ速度では相当速い部類のようです。
その割には知られていなくて、不運ですね。(調べると、ちょっとびっくりするような生活をしていますよ)

風の強い日で,下界から吹き上げられてきたキアゲハなども飛んでいました。
渡りをする蝶として知られるアサギマダラも数頭。長距離移動することで知られる蝶で、2,000km以上を飛んだ記録もあるそうです。日本列島を横断、そして沖縄、台湾と・・・・羽にマークをつけて放す、という活動が行われ、調べられています。市民参加で行われている調査です。日本人好みの雰囲気の蝶で、ふわりふわりと飛ぶ様子もみんなに好まれます。(写真がなくてすみません)

今回もトンボは飛んでいました。平地で羽化したアキアカネは,夏の間すずしい高山で過ごし、秋になると赤く変身し、赤とんぼになって下界に降りてきます。そんな避暑中のトンボ・アキアカネだと思います。

氷河期につくられた階段状の地形が残っているといわれる山で、2,000mに満たない山なのに、もっと高い山の雰囲気を持っています。冬の雪の多さと風の強さで、針葉樹林ができず、草原のひろがる,偽高山帯の、ちょっとステキな山でした。

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  他人が楽しんだ話を聞くよりも、ご自身で、どこかにでかけてみてはいかがでしょうか。
新しい出会いがあったり発見があるかも。
ここで紹介した山は歩く距離が長いので、ちょっと行きにくいかもしれませんが、もっと手軽に行ける場所もたくさんあります。近所の自然でもいいかと。
つい、家でのんびりしていたほうがよくなったりするものですが、ちょっと出かけるのも、からだにも心にもいいものです。

ところで、この登山の日は午後1時半過ぎからポツポツ雨が降り始め、やがて土砂降りの雨が3時頃まで続きました。遠くでは雷の音も。
山頂からはだいぶ下っていましたから、「濡れるなあ」程度ですみますが、山頂付近にいた方は、避難する場所もない場所で、雷の恐怖だったかも。私たちが降りるときに登ってくる人もいましたから。

夏の山は、雷への配慮が必要。そういったことも知らずに登る方もいるのかも。
自分の身は自分で守らねばならない場所.・そんな厳しさも覚えていただきたいと思います。
山岳ランニングの方に会いましたが、お花畑直前で引き返そうとしていました。この山がどんなコースかもまるっきり知らず、お花畑のあるのも知らず、とにかく山道を速く登り、適当なところで来た道を引き返して車まで帰ればいいということのようです。
もったいない話でもあり、天候の急変などあったときの準備もされていないのではと、危険な感じもしました。
 それなりの知識も持たれて、自然に親しんでいただけたらと思います。


今日は夏休み気分。というわけで、これで終わりにします。
暑さに負けないよう、なんとか賢く過ごしたいものです。   


1 件のコメント:

  1. 和田さん,平標(たいらっぴょう)山 ご紹介ありがとうございました.
    「仙の倉沢を望むササにダケカンバ」尾根筋の眺望は多摩川源流(山梨県:笠取山1953m)と似ています.早速,Googleで平標山巡検にチャレンジしてみます.ありがとうございました.

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