2017年5月26日金曜日

鉱山跡地はコケも魅力

このブログは下仁田とその周辺の地質を紹介するために書き始めたものでした。
そこで初心に戻って、今回は下仁田周辺地域にある鉱山に関係したお話にします。

とても素敵な光景に出会いました

この写真、何だと思いますか?

 緑の毛布? 
水が滴り落ちていて、なんだか涼しそう。

 これ、コケなのですが・・・
水の性質を調べると酸性で、pH4.5程度。
pHは7が中性で、数字が小さくなると酸性が強くなっていきます。この数値だと、一般的に言えば、植物が育ちやすい環境とはいえないでしょう。













    水の滴る上には、水でびちゃびちゃした茶色の地面が広がります。茶色は鉄分の色です。


 水の流れだし口も見えます。右の写真です。
写真ではちょっとわかりにいにくいですが、1か所から流れ出しているようです。
酸性の水は、何かが含まれている証拠。こういったものは鉱山の排水と推察できます。

 ここへは、地元の方に案内していただきました。
案内してくださった方が子供のころ、この場所の鉱山ではたくさんの人が働いていたそうです。
今では地元の人しか知らない場所。なんといっても地元の方は地域のことをいろいろご存知です。

 最近、群馬鉄山跡地のチャツボミゴケが有名になっていますが、この場所もかつての鉱山の跡地に育ったコケが作り出した姿です。人と自然が関わって出現した光景です。
すてきな光景、大切にしたいですね。

 なお、このコケは博物館の人が少量採取しました。種類がわかるでしょうか。楽しみです。
この場所ひとつでも、水やら鉱石・植物・皆さんの体験と、調べたい材料はたくさん思い浮かんできます。
 下仁田とその周辺の地域は地質が複雑で、小さな鉱山もあちこちに見受けられます。珍しい鉱物がある場合もあります。そこで生計を立てた方々の暮らしもありました。
興味がわきますね。
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 私たちのグループ・下仁田自然学校では、今、かつての鉱山の記録について調べて記録として残すことを考えています。鉱山で働いた経験をお持ちの方のお話を聞いたり、そのほか資料を集めています。
何かご存知の事ありましたら、情報をお寄せいただけましたら幸いです。
 
 「日本に地下資源なんてほとんどない」と思っている方は多いと思います。石油は雀の涙ほどがあったというだけだし、石炭はもう採掘してないし。今、自給できる地下資源は石灰岩だけと聞いたことがあります。
でも、戦後すぐの時期など、あちこちで小規模な資源をほったりしていたようです。もっと昔なら、日本では、最盛期には世界の銀の1/3を産出したといいますから驚きです。その当時の鉱山・石見銀山は世界遺産になっています。また地質の複雑な日本では、面積の割に、多種類の鉱物を産出したようです。
 下仁田周辺は地質も複雑ですから、いろいろな鉱物も見られそう。楽しみも増えます。こういった資源や人々の営みを、地域の宝物として、大切にしてほしいです。

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下仁田桐生鳴神山、古い時代の地層分布する場所 
 
10日も前のことになってしまったのですけど・・・・でも、ちょっと紹介。

層状チャートの地層
古い地層にたくさん見られます
鳴神山を歩いていたとき、石はずっと
チャートだったような気もする
群馬県の東と西・・・
 群馬県の東部・桐生とか大間々(今では、みどり市ですね)には、古い時代の地層が分布しています。
群馬西部の下仁田や南牧にも同じような地質が分布しています。2億年とか3億年というはるか昔の古い時代の地層です。
 先日、桐生の鳴神山に登りながら、「地質が同じだと、似たような雰囲気だし、似たような植物がはえるなあ・・」などと感じて、なんだか感慨がありました。

チャートは硬い石です
歩くのに足元注意です
桐生はシオジという木の分布の東の限界だとききます。この木、下仁田付近にも見られた木。上野村には「シオジの湯」という温泉もあったなあ。

 カッコソウで有名な桐生の鳴神山に、その花を見に行ってきました。サクラソウの仲間で、
この周辺にしかない、という貴重な花です。

 かつてはカッコソウで山一面がピンクに染まったといわれますが、今では保護活動で山の中に移植されたものが細々とみられるといった状況だとか。大きな原因が人による盗掘です。
紹介されている生育場所は2か所ですが、1か所では姿が見られませんでした。移植したものの、環境が合わなかったのか、見られなくなっていったようです。
 
タゴガエルの卵 
以前、別の場所で見たもの。
岩影の水のちょろちょろした
ところにありました。

花の咲く場所には、「守る会」方が詰めていらっしゃいました。標高980mの山とはいえ、山頂付近まで上り下りするのは、苦労なことと思います。山の中に一日座って見守っているのも。仕事現役の方には、当然、こういった活動はできませんから、年配の方が多いわけですし。ご苦労様です。
 
 登山道沿いでは、足元から何やら大きな鳴き声が。
    何だか知ってる?」「虫か鳥かな」…
長年山歩きを楽しんできた人でも知らなかった・・
タゴガエルの声です。あとで、山仲間に教えてあげて、知ったかぶりしたそうです。  よく聞く声ですよ。

声はすぐ足元なのに、このカエル、探しても姿はまず見つからない。きれいな水がちょろちょろ場がれるようなところで鳴いています。こんなところに卵を産みます。

下仁田や南牧村でも見た花を見かけました。
セリバヤマブキソウ 
この葉のものはあまり見かけない
ヤマブキソウ
明るい色のヤマブキソウがたくさん咲き、山を明るくしてくれています。

登山道には「ここからは珍しい花があります。大切にしましょう」と手書きの看板が。
ヒイラギソウ
関東や中部地方だけで
見られるといいます
分布の限られた花です
下仁田にもあります。
ヒイラギソウ











フタバアオイ

フタバアオイの花
こんな花たちは、南牧や下仁田の沢沿いを歩いたことを思い出させてくれました。
 南牧の沢の紹介は、以下です。
  http://geoharumi.blogspot.jp/2015/05/blog-post_24.html

標高980mとはいえ、山頂から見渡す山々は何層にも重なり、続き、深山の趣。
見下ろす市街地の方向も、見ごたえあり。


 360度の眺望は、冬には遠くは富士山まで見え、その他にも名の知られた山々が見えるといいます。今の季節は遠くは見えなくても、近隣の景色を楽しめ、これも素敵です。

登山道の周辺には あそこにもここにも、ウラシマソウの花が咲いていました。
ウラシマソウ
ウラシマソウ 先っぽに長~い釣り糸?
浦島太郎の釣り糸?




 桐生の町のすぐ裏山にも、すてきな場所がありました。アカヤシオもヒメイワカガミも咲く場所です。皆さんも、近所の裏山などに、素敵な場所をさがしてみませんか。



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