2020年5月10日日曜日

おきなぐさ 賢治は野の花も愛しました

 新型コロナウイルス感染防止で家にいるのを、巣ごもりと呼ぶような。とはいえ、運動しないと・・・。人は走り回って食料を得て生き延びてきたので、そうした生活に適した身体になっているとのことですから。
 テレビに映ったコマーシャルが、ふと目に留まりました。
大股で歩く女性の姿。背筋を伸ばして目線は上で、かっこいい。アパレル業界のコマーシャルです。
 私がこの女性の年頃のころ、大股で歩くなど、目をひそめられこそすれ、好まれることなどなかったと思う。女性は歩幅小さく、うつむき加減にちょこちょこと付き従って歩くのが好ましい、といったイメージだったでしょうか。。和服の女性はせまい歩幅でしか歩けませんし。お姫様は、あの重い服を着て、きっと健康にはよくなかっただろうな。
  世の中、変わるのですね。これはうれしいことです。


  オキナグサ

春の自然はあっという間に姿を変えます。
つい先日見たオキナグサのつやつやした穂,もう綿毛になって飛んでいます。
 この綿毛は、取ってすぐに土に蒔くと、すぐに芽がでてきます。
 すぐに蒔かないと発芽してくれません。
 我が家のオキナグサは、みんなこうして種を蒔いて手に入れました。   



八ッ場ダムに沈んだ民宿のご主人が庭に植えていました。「この種もらっていいですか」とねだって、もらった種を蒔きました。        
みなかみ町の農家の道脇に植えていた園芸品種で、昔、札幌でこの色のものを育てていたことがありました。種苗会社で売っていた種を買って、蒔いたものでした。
綿毛が飛ぶ頃、この種をちょっともらって(黙っていただいたのですけど)、育てました。
やけに黒い時もあります


もう一つ、白いオキナグサがあるのですけれど、
あれ、写真撮ってなかった。これも種をいただきました。


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オキナグサ大好きの人がいました。 宮沢賢治です。
文を紹介しましょう。

 おきなぐさ 「春と修羅」より
風は空を吹き
そのなごりは草を吹く
おきなぐさ冠毛の質直
杉とくるみは宙に立ち            
 (どこのくるみの木にも         
   いまみな金の赤子がぶらさがる)
ああ黒のしゃっぽのかなしさ
おきなぐさのはなをのせれば
幾きれうかぶ光酸の雲
くるみの花穂

 
賢治はくるみも大好き。川辺でくるみの実の化石を探したりもしています。我が家の近くの川辺にも
くるみが花の穂を下げています。

まだまだおきなぐさを取り上げた文があります。
学生時代に書いたものとのことです。

                           をちやまに雪かがやくを雪脚の
   おきな草のなだらの夕陽に

七つ森にはおきな草咲く           
あさましきまでむらがりにけり





長い文章も

おきなぐさはその変幻の光の奇術(トリック)の中で夢よりもしづかに話しました。
「ねえ、雲がまたお日さんにかかるよ。そら向ふの畑がもう陰になった」
「走ってくる、早いねえ、もうから松も暗くなった。もう越えた。」
「来た、来た。おおくらい。急にあたりが青くしんとなった。」
「うん、だけどもう雲が半分お日さんの下をくぐってしまったよ。すぐ明るくなるんだよ。」         以下 略

  こんなぐあいに、刻々と変わる雲や光、風の情景を活写していくのです。
きみかげさう(すずらん)

 「まっ赤なアネモネの花の従兄、きみかげさうやカタクリの花の友達、このうずのしゅげの花をきらひなものはありません。」
  きみかげ草はスズランです。そういえばスズランも、今、我が家の庭に咲いています。日本原産のものではなく、園芸種のドイツスズランですが。
  カタクリは我が家のあたりではほとんど育ちませんし、花も3月末ですが、群馬の北の方に行けば、5月に咲いています。うずのしゅげはオキナグサです。この地方での呼び名のようです。
岩手に行けば、どちらかというと北国なので、みんな一斉に咲いて、同時に見られるのでしょう。

庭の花から、思いがけず宮沢賢治に出会った気分でした。

ところでこのオキナグサ、今、絶滅危惧種で、野生のものはほとんど見られません。
草原にはえるものなので、そうした環境がなくなっていることが大きな原因となっています。もちろん園芸採取もありますが。
  みなさん、野生の植物、ぜひ守ってください。




そういえば、同じころ、畑ではネギ坊主が丸い頭を一杯広げています。
「これ食べられるんだよ」と言われました。
てんぷらや酢味噌和えで。ただし、坊主がまだ薄い皮に包まれた頃がいい。

 う~ん、積極的に食べるというほどでもないけれど、この季節だけのものだから、一度は味わってみてもいいかも。
 春は、山菜を代表に、色々食べられるものがありそうです。






2 件のコメント:

  1. 翁草なんですね。写真の綿毛いなってしまったそれを見たとき、昔に行った雲ノ平で見たチングルマかと思ってしまいました。取材もあったりするようで、ブログで発信を続けるのってすごいですね。私はかってPCを使い始めたころに、写真のホームページを作っていましたが、写真を勝手に使わたことがあって、掲載した人に迷惑が掛かるのでホームページはやめてしまいました。セキュリテイーがきちんとできていなかったのでしょうね。野道山道さんの写真は俳画の人の写真のようでてらいもなく、私は好きです。

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  2. 写真、気にいっていただけたとのこと、うれしいです。写真のことは何も知らないで、シャッターを押しているだけなのですが、いいなと思うことが大切なのかも。
    すこしは身の周りの自然も見ていたいですね。

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