2014年6月22日日曜日

下仁田の鉱山 その4 輝安鉱の鉱山

梅雨の季節です

       絵 小林生子さん






雨の季節にも その湿度を楽しむかのような花が咲きます。


下仁田でも、高速道路入り口付近にアジサイをたくさん植えて
いらした人たちを歓迎しています。アジサイ祭りも開かれます。



少し日陰の場所ではびこって、嫌われがちなドクダミも、よく見るときちんとした端正な花の姿をしています。もっとも、白いのは花びらでもガクでもなく、単なる飾りだそうですが。
梅雨時の雨の中でも、当たり前のように咲いています。
      (アジサイの花びらに見えるのはガク        だそうです。)
民間薬の「じゅうやく」として、昔から知られたものですが、少し年配の人でないと、このことも知らないでしょうか。


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下仁田周辺の鉱山   

  今回はちょっとめずらしい鉱物を産出した場所を紹介します。そんな鉱石を採掘した場所は数ヶ所ありますが、1ヶ所しか行ったことがないので、今回はその場所について紹介します。

中丸鉱山
大学生の観察会にご一緒させてもらったことがありましたので、まずこの鉱山の紹介を。

下仁田町を東西に走る国道254から北方向に20分ほど山道を少し歩くと、かつての鉱山あとがみられます。中丸鉱山本鉱とよばれ、急斜面をよじ登ったところには、小さな坑道跡もあり、中をのぞかせてもらいました。奥行き10mほどの坑道があります。

鉱山事務所跡
この南東の急斜面をやっとのことでよじ登ると
坑道がありました
坑道の中にあった、鉄サビつらら状のもの
ここより東、山道を進み、さらに道もなくなった山の斜面を歩くと、中丸鉱山東坑があります。
急斜面を落ち葉に膝まで埋もれ滑りながら登った場所は、なんとズリ山でした。顔を出した石は採掘あとのズリ。それを丹念に見ていくと、鉱物の結晶がみつかりました。

ここは輝安鉱という鉱物がみつかることで知られます。アンチモンという元素を含む鉱物です。
右写真はそのとき採集したもの、スケールがないのですが、放射状に集まった1cm程度のかたまりが、その鉱物で、多分、輝安鉱。「多分」と書いたのは、専門の方が、違う鉱物もあるかもしれないとおっしゃっていたから。調べてみたいということで、一部持って行かれました。
他には以下のような鉱物があるそうです。重晶石は見かけました。
 黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、重晶石
 輝安鉱の風化でできた黄安華・・
  (場所によっては方鉛鉱)

「黄安華」ってはじめて聞きました。右の写真の黒い部分が黄土色になったようなものがみられましたから、それだったのだと思います。

日本はかつて、大きく美しい輝安鉱の結晶の産することで知られていました。海外にもたくさんもちだされたそうです。残念ながら、今ではなくなってしまいました。
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ここはアンチモンを得るために採掘していたわけです。アンチモンについて調べてみました。

 たまたま1ヶ月ほど前の新聞に、エレクトロニクス関係の会社が全面広告で元素周期表を載せていました。元素の表に、その元素の使い道が記されているものです。
アンチモンの項目はこんなふうにかかれてありました。「古くはエジプト女性のアイシャドー。現代では燃えにくいカーペットやカーテンの素材に使われる。」・・・・・・この説明、少し、”身近”にこだわりすぎていないかなあ・・・鹿児島湾の海底の泥の中にたくさん埋もれているのがみつかったことは、強調して書かれてありました。
インターネットで見ていただければ、実に様々なものに使われているのがわかります。半導体材料、合金、バッテリー、難燃剤(カーペットだけでなく、プラスチックに混ぜて航空機から車両その他・・・)その他さまざま・・・私には理解できないものばかりですが。
いわゆる、レアメタルの部類になる金属元素で、使用量が増加しているけれど、じつは毒性があるので、問題視もされているはずです。

女の子たちに、黒く焼いた肌に目のまわりを白く縁取りした、いわゆるガングロが流行った頃、ある先生が女子高校生に言っていました。「クレオパトラがなんで派手なアイシャドーをしたか知ってるか。あれには毒があって、目のまわりに飛んでくる虫を追い払えるからだ。」虫が目に卵を産み付けるのを防いだのだといっていたような気もがするのですが、ちょっと記憶が不正確・・・
こうして、目のまわりになにやら「塗りたくる」女子高校生たちにお説教をしたわけです。
このクレオパトラのアイシャドーは輝安鉱を粉にしたものだったそうです。じつは、輝安鉱に含まれるアンチモンには毒性があるのです。ですから今ではアンチモンは化粧品には使われません。もっとも、輝安鉱の粉そのものに毒性はあるのかな・・・・?
先に挙げた新聞の周期表にも、毒性の表示はした方がいいと思うのですけどね。

私はアンチモンについては、「固体になると体積の増える物質」として記憶していました。
物質はふつう、液体から固体になると体積が減ります。例外は水。水(液体)が凍ると氷(固体)になって体積が増えます。これってじつは、とてもめずらしい、普通じゃない性質なのです。他にはアンチモンがあって、それを利用してアンチモンを入れた合金で活版印刷の鋳造活字をつくったと。型に流し込んだ金属の体積が減ってしまっては、うまく印刷用の型がつくれない・・
パソコンで簡単に印刷までできるようになって、活版印刷って何?といわれそう。この印刷技術の開発で本が大量に作られ、人類の知識・文化の発展に、どんなに貢献したことか。

  (レアメタル:さまざまな理由から、産業界での使用量・流通量が少なく、希少な金属)

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        上毛新聞社 群馬の大地 より 
鉱山のだいたいの場所は左図でごらん下さい。
この付近は火山岩や火砕岩の分布地域で、鉱床付近には市野萱(いちのかや)貫入岩体とよばれる、あとから入り込んできたマグマが固まった岩石が分布しています。鉱床を含むのはこの岩体の一部の岩石とのこと。

鉱床のタイプは浅熱水性鉱脈型鉱床というものになります。
新第三紀以降という、地球の歴史からしたら比較的新しい時代、地下の比較的浅い場所で鉱脈ができたものです。
この地域にはかつて他にも鉱山があり、比較的めずらしい鉱物を産しています。

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この季節にも 木の実はみのります
                                           

           びわは

     やさしい きのみだから

     だっこ しあって うれている

     うすい 虹ある

     ろばさんの

     お耳みたいな 葉のかげに

     
          まど・みちお
                                

花も咲きます

   ネムの花は 優しい雰囲気。 植えられたものもみますが、川辺にも育っています。


ねじれているけど、ひねくれてなんかいない。

芝生にはえるネジバナ

時々、山沿いの道端でもみかけます。
でも、本当に、まれ・・・


マダケのタケノコの皮が、ぱらりぱらりと落ちていきます。

この皮でお弁当のおにぎりを包みました。
今では、竹の皮を使ったら、むしろ高級品。
食用の孟宗竹の皮は、うぶ毛のごとき毛がはえているし、しなやかに曲がってくれないし、ものを包むには不向きです。
利用したい方は、今の時期に、マダケの竹藪にいって集めてくださいね。

その昔は、この竹の皮を買い集める人もいたそうです。
しっかり利用していたわけです。


昔はこの皮で草履をつくったと聞いていました。
今、健康志向などで、またそんな草履を室内履きに使う人もいるとか。




下仁田の山あいにも、木の実や花が見られます。

     ヤマグワが実をつけていました。        ミツバウツギは、こんな形の実をさげています



道端のヘビイチゴの実はめだちます              林のかげに咲くサワギク

もちろん、ヤマアジサイも咲いています                 大きな葉っぱのアワブキの花です















少し標高の高いところ(700mくらい)にいくと、まだウツギが咲いていました。そのあたりで見かけたものです。

モミジイチゴの実                      ウリノキ  かわいい花・・アップで撮りたかった

イチゴはどれも毒がなく食べられるとききますが、一番おいしいのが、黄色いこのイチゴ!

まだウツギ(うのはな)が咲いていました。
                                        下仁田 山あいの集落


  咲く花などは地味な季節になりましたが、生き物がぐんぐん成長する季節です。

1 件のコメント:

  1. 拝読いたしました。
    中丸鉱山の話、たいへん興味深く読ませていただきました。
    また、季節の花、植物の話もおもしろく読ませていただきました。
    これからも楽しい記事を読ませていただけることを心待ちにしております。
    どうぞ、よろしくお願いいたします。

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